お年寄りと接するのが好きなんです。 34歳で介護士に戻る理由。

公開日:2019年11月26日

更新日:2020年06月13日

介護職を選んだ方々の人生を覗く。富田千恵子

神奈川県横浜市の介護施設で、介護福祉士として働く富田さん。小学校の体験授業で介護の仕事に憧れを抱き、専門学校を経て介護福祉士に。他業種への転職を経験しながら、34歳で介護士に復帰することを決めた背景とは?お話を伺いました。

温かいお母さんみたいな仕事への憧れ

神奈川県横浜市に生まれました。生まれた時から父方の祖父母と一緒に暮らしていて、じいちゃん・ばあちゃん子でした。学校から帰ると、じいちゃんばあちゃんが必ず家にいて、ずっと一緒でした。

小学校高学年の時、老人ホームに体験学習に行きました。昔ながらの古い施設で、アットホームで明るい雰囲気でした。寮母さんが、利用者の方に「ご飯だから早く起きて」「こっちおいで」と、温かく声をかけるんです。そのお母さんみたいな姿を見て、「こういう人みたいになりたいな」と思いました。

小さい頃から世話好きで、他人のことが気になってしまう性格だったことも影響していたのかもしれません。一緒に話していたおじいさんから、「今日は話ができて楽しかったよ。私の孫は遠くに住んでいて中々会えないから」と言われたことも印象的でした。

中学・高校ではバレーボール部で、練習や試合に明け暮れました。じいちゃんは実業団のバレー部の監督、ばあちゃんはバレー選手だったので、二人を喜ばせるために始めた所もありましたね。インターハイに出場した時は、二人で岩手まで応援に来てくれました。

高校は商業科でした。卒業後は就職する人が多かったのですが、学内に貼られた経理業務などの求人票を見て、「このまま周りと同じように就職していいものだろうか」と疑問に思いました。頭の片隅に、小学生の時に体験した「あの仕事」に就きたいという思いがあったんです。一度、福祉の勉強をちゃんとしてみたいと感じていました。親と相談して、福祉系の専門学校に進むことにしました。

介護福祉士として働く充実した日々

介護現場での実習は、お年寄りと接するのが好きなのでやりがいは大きかったのですが、体力的にも精神的にも大変でしたね。決して綺麗な部分だけの仕事ではないし、体力勝負です。学校を辞めてしまう人もいました。

特別養護老人ホームに実習に行った時、数日間深く関わった利用者の方が亡くなったことがありました。「こういうこともあるんだ」と驚きました。涙もろいから何度も泣いて、こんなことで仕事になるのかと不安でしたね。

専門学校時代は、仲間に助けられました。福祉士を目指す人の集まりなのでみんな温かくて、何度も支えられました。在学中に介護福祉士の試験に合格し、卒業後はオープニングメンバーとして戸塚の介護老人保健施設で働きました。

介護士の仕事は楽しかったですね。利用者さんが喜んでくれることはもちろん、ご家族との関わりも多かったです。他の施設に移ったり、亡くなってしまったりした方のご家族が、ご挨拶に来ていただけるんです。荷物を取りに来る時に「ここに来てよかった」と言ってもらえたり、個人的に手紙をもらったり、「あなたに会えて良かった」と言ってもらったり。

利用者の方のお世話はもちろんなのですが、ご家族も視野に入れないと、ただ仕事をこなしているだけだと思うんです。そこまで見れることがプロの仕事なんじゃないかと思いましたね。

オープニングより1ヶ月後には満床になり、日に日に忙しさが増していきました。ちゃんと休みを取れる環境でしたが、体力的には大変でしたね。7年程働いて、27歳の時に同僚と結婚し、施設を退職しました。忙しく働いて体調を崩していたので、一旦働き方を変えようと思っていました。

30代になった自分がすべき働き方

お年寄りとは関わり続けたいと思い、介護施設での経験を活かせそうな整形外科でパートとして働きました。患者さんはほとんどがお年寄りで、毎日色々な方とお話できて楽しかったです。仕事が休みの日に「今日はあの子いないの?」と言ってもらえることもあり、充実していました。

ただ、仕事がとにかく忙しく、一人の患者さんとゆっくり話せる環境ではありません。話が途中なのに「ごめんなさい」と次の人のところへ行くような状況で。一人一人ともっとゆっくり向き合いたいと思いましたし、やっぱり介護士に戻りたいなと感じましたね。

4年働いた後、引っ越しを機に退職し、ジュエリーの付属品を作る会社でパートを始めました。介護士に戻ろうかと考えましたが、体調に不安があったので、家から近い場所でできる座り仕事を選びました。お年寄りとは関係ないのですが、細かい作業は好きなので、仕事は楽しかったです。ここでも4年働きました。

34歳の時、離婚しました。引っ越しと同時に会社を辞め、パートではなく正社員としての仕事を探すことにしました。その時、整形外科で働いていた時に「やっぱり介護士に戻りたい」と感じたことを思い出しました。「20代の時は勢いで働いていたけど、30代になった自分が介護の現場に戻ったら、また違う視点で働けるのかな」とも思いましたね。

例えば、介護の仕事をする職員の人にも、できることがあるんじゃないかと思いました。離職率がすごく高いじゃないですか。昔から「なんでこんなみんな辞めていくんだろう」と感じていました。だったら、自分の経験をいかして職員のフォローもできないかなと思ったんです。他業種を経験し、幅広い世代との関わりを持ち、プライベートでも色々な経験をしたからこそ、仕事以外の悩みを聞くこともできるんじゃないかと思いました。

以前より体調は良くなっていましたし、精神的に吹っ切れた面も大きかったです。極端な話ですが、世の中には片足をなくしてサッカーをしている人もいるんです。多少影響があってもやりたいことをしようと思いましたね。30代になった自分がどういう働き方をすべきか考え、介護士に復帰することに決めました。

8年間のブランクに不安を感じたので、教育体制がしっかりしている介護施設を選びました。初めの1年は、チューター制度を使ってマンツーマンで研修を受け、その翌年は、自分が新人に教える立場になります。人に教えることで、自分ももう一度基礎から学ぶことができる安心感がありましたね。

お年寄りが好きだから、介護が好き

現在は、神奈川県横浜市にあるグリーンワーフ東戸塚という介護施設で、介護福祉士として働いています。70代から90代の方を中心に、食事・排泄などの介助やレクリエーションを行っています。起床介助や就寝介助、夜間の見守りと、早番・夜勤などと時間帯を分けて働いています。

20代よりも体力が落ちているので、介護の現場に戻ってみて、「こんなに大変だっけ」と驚きましたね。他の職員のフォローという目標には全然いたっていません。でも、以前より視野が広がっている感覚はあります。落ち着いて周囲を見られるようになり、他の職員の体調や雰囲気を気にかけられるようになりました。プライベートが仕事に影響を与えてしまっていた20代からは随分変わりましたね(笑)。

働く上で、利用者の方に穏やかで楽しい人生を過ごしてもらうため、意識していることが3つあります。まずは、事故を防ぐことです。私の祖父は転んで歩けなくなってしまい、寝ている時間が多くなったことが認知症につながりました。もちろん、色々なことに挑戦して活動的に過ごしてほしいのですが、身体の安全を最優先に考えています。

次に、長期的視点での貢献の仕方を考えることです。例えば、日常会話が盛り上がると、口をしっかり動かすことにつながり、長期的に見ると食事のリハビリになります。そのために、利用者さんたちの世代が昔使っていた言葉を勉強して使ってみたり、何度でも同じ話を繰り返したりします。

短期的な会話を楽しんでもらうことはみんなできるんです。じゃあプロは何をするんだというと、毎日同じ話でもいい。会話を盛り上げることで、長期的に健康でいてもらうのにつながることすべきだと思うんです。そこに貢献できるのが、一番のやりがいですね。

最後は、マニュアル対応にとらわれず、心に寄り添うことです。「○○さん」と声をかけても反応しなかった方が、ご家庭で呼ばれていたのと同じように「とうちゃん」と呼ばれて、すごく楽しそうに話してくれたことがありました。利用者さんはお客様なので、丁寧な呼び方をすべきという意見もありますが、私は、心に寄り添うために柔軟に接することが大事だと思います。

介護の仕事が好きなのは、お年寄りが好きだからです。そうとしか言えないんですね。おじいちゃん・おばあちゃん子だった子どもの頃からずっと変わらず好きなんです。

これから、団塊の世代の方たちが介護を必要とするようになっていき、介護業界はますます人手が足りなくなります。自分の仕事に打ち込むだけでなく、介護に携わる職員の力になれたらと考えています。

大きな夢ですが、いつか介護施設を作ることも考えています。そこで自分が一番だと思う介護を提供するんです。これからも、介護を通じて、お年寄りが長期的に穏やかに楽しく生きることのお手伝いをしていきます。

富田 千恵子

神奈川県横浜市にある介護施設グリーンワーフ東戸塚にて、介護福祉士として働く。

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