更新日:2020年06月13日
公開日:2020年03月17日
資格の取得をお考えの介護職員さん、介護の資格には以前「介護職員基礎研修」という資格があったのをご存知でしょうか?
この資格は現在の介護の重要な資格でもある「介護福祉士 実務者研修」の元になった資格です。
このコラムではその「介護職員基礎研修」についてご紹介します。
ぜひ資格取得の参考にしてみてください。
はじめに、介護職員基礎研修の内容について説明していきます。
施設・在宅介護を問わず介護職員の専門性・資質の向上を目的として2006年度に創設された研修です。
しかし、2012年度にホームヘルパー1級と介護職員基礎研修が廃止され一本化されました。
以前は、様々な経験や資格から介護福祉士の受験資格が得られましたが、「介護福祉士としての水準を満たすほどの知識や技術が担保できているのか?」という批判が起きていました。
そこで介護福祉士という資格の専門性や質を高めるため、ホームヘルパー資格と介護職員基礎研修を廃止し、「介護職員初任者研修」「実務者研修」が創設されたという次第です。
また、介護職員のキャリアパスを介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士へと、わかりやすい仕組みに変更する目的もありました。
介護職員基礎研修では、ホームヘルパー養成課程に、現場で重要度が増している科目「社会福祉援助技術」「認知症の理解」「医療・看護との連携」などより専門性を追求した分野の学習ができました。
さらに、ホームヘルパー1級課程の上位資格に位置付けられていたため修了後は訪問介護事業所において訪問介護計画の作成や訪問介護員に対する技術的な指導などをおこなう「サービス提供責任者」に就くことも可能でした。
続いて、介護職員基礎研修が廃止された後に代わりとなって創設された「介護福祉士実務者研修」について説明します。
かつての「ホームヘルパー1級」や「介護職員基礎研修」に相当する資格で、2013年に新しく制定されました。
実務者研修は介護を必要とされる利用者さんに、より良質な介護サービスを提供するため、幅広い分野の介護知識と実践的な介護技術の習得を目的として実施されています。
また、2016年度より介護福祉士国家試験の受験資格に変更があり、3年以上の実務経験と合わせて、実務者研修を修了していることが義務づけられました。
介護現場などでは実務者研修と略している場合もありますが、正式名称は【介護福祉士実務者研修】です。
実務者研修についてはこちらで詳しくご紹介しています。
■「介護福祉士実務者研修ってどんな資格?徹底調査しました!」
つぎに、介護福祉士実務者研修の資格を取得するとどんなことが出来るようになるのでしょうか。
見ていきましょう。
・特定の医療行為が出来るようになる
実務者研修では、さまざまな介護の分野について学習していきます。
なかでも以前までは医師や看護師でなければできなかった、「たん吸引」や「経管栄養」について学ぶことができます。
病院に限らず高齢者が多い介護施設によっては、たん吸引などを実施しなければならない場合があります。
今後も高齢者は増加していくといわれており、実務者研修を修了していれば、自身の仕事の幅も広がると考えられるでしょう。
・サービス提供責任者として働ける
サービス提供責任者になるには、原則として実務者研修を修了することが条件とされています。
そのため、実務者研修を修了していることで、介護職員としてさらなるキャリアアップが望めます。
サービス提供責任者とは、ケアマネージャーが作成した介護プランをもとに介護サービスの計画を立てたり、ヘルパーへ指導を行ったりすることが主な仕事で、介護保険法で定められた正式な職業名です。
介護施設に配置が義務づけられている職業となっているため、高齢化が進む現代において、介護分野に必要不可欠な存在となっており、需要も高まっています。
なかでも訪問介護事業所では、実務者研修資格を持っていないサービス提供責任者が在籍していると介護報酬が減ってしまい、売り上げが減少します。
その面も含め、実務者研修修了者はとても貴重な存在だといえるでしょう。
サービス提供責任者について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
■「サービス提供責任者とは?」
ここから、介護職員基礎研修の資格を取得した人が実務者研修を受ける際の免除科目についてお伝えします。
2016年度からは「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、実務経験3年以上で「喀痰吸引等研修」と「介護職員基礎研修」の両方を修了していれば実務者研修修了者と同様に介護福祉士の受験が可能になります。
ここから介護職員基礎研保持者向けの介護福祉士取得までの2ルートについて詳しく説明します。
■喀痰吸引等研修を受講する
介護福祉士の実務経験ルートにおいて、以下の要件を満たすことで受験資格を得られます。
・実務経験 (3年以上)
・介護職員基礎研修の修了
・喀痰吸引等研修の修了 (基本研修と実技研修)
■実務者研修を受講する
介護福祉士の実務経験ルートにおいて、以下の要件を満たすことで受験資格を得られます。
・3年以上の実務経験 (3年以上)
・実務者研修の修了
介護職員基礎研修修了者の場合、実務者研修のほとんどの科目が受講免除され、喀痰吸引等研修で学習する内容と同じ、医療的ケアを受講することになります。
医療的ケアの受講時間は50時間+演習を受講すれば実務者研修を修了できるため、この方法で介護福祉士国家試験の受験資格を満たす方が多くいます。
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介護福祉士国家試験を受ける
介護職員基礎研修修了者は、「喀痰吸引等研修」または「実務者研修」と「実務経験3年以上」の受験資格を満たすことで、介護福祉士の国家試験を受験することができます。
国家試験には筆記試験と実技試験がありますが、実務経験ルートの受験者は実技試験が免除されます。
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介護福祉士として登録する
介護福祉士の国家試験の合格発表は、毎年3月下旬。
合格した方は、介護福祉士としての登録手続きを行い、登録が完了することで晴れて介護福祉士として活動できます。
介護福祉士についてはこちらのコラムも参考にしてみてください。
■「介護職のプロを目指す!介護福祉士になるには?」
現在は廃止され実務者研修にかわった介護職員基礎研修ですが、介護の仕事には欠かせない重要な資格であったことには違いありません。
また、介護職員基礎研修の取得だけでは介護福祉士の受験資格にならず、実務経験ルートで介護福祉士を目指す方は実務者研修の免除科目以外の受講と喀痰吸引等研修の受講が必要であることが分かりました。
実務者研修を取得すると介護福祉士の資格取得に限らず、現場で使える知識も増えますので取得していて損はないでしょう。
今後、介護の資格取得を考えている方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
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※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。