更新日:2020年06月13日
公開日:2020年04月09日
このコラムをご覧のあなたは、ブランクを経てもう一度介護の仕事に戻りたいけど、実際にちゃんと働けるかどうか不安になっているのではないかと思います。
主な不安要素は
・「仕事についていけるか」という技術・知識面
・「ブランクが不利になるのではないか」という転職できるか
・「今の生活と両立していけるか」という働き方
・「給料が安いのではないか」という待遇面
などではないでしょうか?
本コラムでは、それらの不安を解消するための
■復職に必要な準備
■職場選びのポイント
■志望動機の書き方
について解説していきます。
介護職経験者が復職するのは難しいのでしょうか?結論からいうと、そんなことはありません。むしろ「多少のブランクがあっても経験者歓迎」という事業所のほうが多い傾向です。
その理由として、介護現場の深刻な人員不足が挙げられます。
平成30年度 介護労働実態調査の結果では、「介護人員の不足感を感じている」という回答が67.2%。平成25年以降から5年連続増加していると発表されています。
また、同調査の「労働条件・仕事の負担に関する悩み不安、不満」の項目においても、「人手が足りない」が54.2%と最も多い結果でした。
人員不足の理由としては「採用が困難である」という回答が89.1%と最多です。
採用が困難な背景には同業他社との人材獲得競争が厳しいことがあり、決して募集をかけていないというわけではありません。
介護職員への待遇改善により少しずつ離職率は下がってきている一方で、新規採用が難しく人材の不足感は増加し続けているというわけです。
そのため求人は豊富にあり、介護業界は復職しやすい状況といえるでしょう。
特に新人教育に力を入れられない現場では即戦力が求められており、たとえブランクがあっても経験者のほうが未経験者よりも採用されやすい傾向にあります。
介護職はブランクがあっても仕事復帰しやすいことがわかりました。
ではこれから仕事復帰に向けて何から始めればいいのでしょうか?
まずは、仕事復帰するにあたってやっておくべき4つの準備
1.介護に関する法令を確認する
2.介護の知識・技術に触れる機会を増やす
3.体力をつける
4.子供がいる場合は保育所を見つけておく
について詳しく解説していきます。
現場での介助方法などが大きく変わることはそれほどありませんが、介護の法令や制度は改定されることが多々あります。
数年のブランクがある場合は法令が変わっている可能性があるので事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
■介護保険法
■厚生労働省|分野別の政策一覧<介護・高齢者福祉>
上記のサイトから介護保険法の概要や介護報酬改定など、介護に関する法令・制度を知ることができます。
最新かつ正確な情報を得られますが、専門用語が多く少々難解なため、わかりやすく解説されている介護関係のウェブサイトやSNSから情報収集することもおすすめです。
そして、介護・福祉に関するニュースは日頃からチェックしておくこと。
知り合いに介護職員がいるなら、自分が現役の頃と何がどのように変わっているかを聞くのもいいでしょう。
ブランク期間が長いほど現場の勘を取り戻すのにも時間がかかります。
しかし経験者として入職するため、職場の人たちには「このくらいは当然できる」と思われる可能性が大いにあるでしょう。
復職後に少しでも早く仕事に慣れ、即戦力として活躍するために、過去に学んできた介護知識や技術を復習しておくことをおすすめします。
過去に使っていたテキストやノートを見ながら復習していきましょう。
また介助技術を実践でおさらいしたい場合などは、自治体や事業所が行っているセミナーに参加してみてはいかがでしょうか。
参考までに全国の介護労働安定センターで開催されているセミナーを紹介します。
介護労働安定センター 離職者のための講習
こちらの講習会以外にも、他の団体が無料で開催しているセミナーは多数ありますので、お住まいの地域名で検索してみてください。
YouTubeなどの動画サイトにも介助技術や介護知識に関する動画がたくさん配信されています。ぜひ活用していきましょう。
利用者の身体介助が必須となる介護職は体力がなくては務まりません。
夜勤をする場合には生活リズムが不規則にもなります。いきなりこれまでの生活をガラリと変えるのはかなり大変なことです。
新しい環境、生活リズムに適応できず、体調を崩したり怪我をしたりしないためにも事前に「体を動かしておく」「夜勤にも対応できる生活リズムを作っておく」など計画的に準備をしておきましょう。
徐々に介護士だった頃の生活リズムに戻していきます。普段運動不足の人は、ストレッチやウォーキングなど簡単なことからでいいので体を動かし体力づくりをしておきましょう。
ご家庭に小さなお子さんがいる場合は、仕事復帰する前に預け先を確保しなければいけません。
待機児童問題が深刻な地域では受け入れてくれる保育園がすぐに見つからない可能性があります。
年度途中の受け入れが難しい場合もありますので、働き始めることを決めたら、まず早めにお子さんの預け先を探すことから始めておきましょう。
保育園に預けることが困難な場合は、託児所や育児支援制度(保育費用補助など)を設けている事業所があるので、その条件で求人を探すのも一つの方法です。
仕事復帰するにあたって準備しておくべき4つのことをお伝えしました。
ここで再就職準備金についても簡単に紹介しておきます。
これは過去に介護職の経験がある人がもう一度介護の仕事に就くときに利用できるサポート制度で、介護の仕事復帰の準備金として最大20万円(地域によっては40万円)の貸付を受けられるというものです。
この準備金は、例えば
・お子さんの預け先を探す際の活動費
・セミナーの参加費
・通勤用バイクの購入費
といった介護職への再就職にかかる費用に利用できます。
2年間介護職に従事した場合に返済が免除となります。長期での勤務をお考えの方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
利用条件がありますので、詳細は下記をご覧ください。
厚生労働省|離職した介護職員の皆さまへ〜再就職準備金のご案内〜
職場選びは復職するにあたって非常に重要な点です。
求人を探していくなかで
「以前より給料が下がるのではないか?」
「人間関係はどうだろう?」
「労働環境は?ブラックだったらどうしよう・・・」
と、色々な不安が出てくるかと思います。
まずは
・今の自分はどのような働き方が可能なのか
・なぜ復職したいのか
これらをはっきりさせることから始めましょう。
待遇や条件面で満足のいく復職となるように、希望条件を洗い出すことは必須です。
ブランクがある方は特に、ワークライフバランスを崩すことなく働ける職場を選ぶ事が大切です。
育児や介護など家庭の事情がある人は、職場選びを失敗するとうまく両立ができずに早期退職になってしまう可能性もありますね。
そうならないためにも、今の自分にどのような働き方ができるのかを洗い出していきます。
・夜勤はできるか
・土日の勤務はできるか
・残業は何時間くらいならできるか
・家から職場までの距離(通勤時間)はどのくらいなら通えるか
など、無理なく働ける条件をできるだけ具体的に考えてみてください。
求人情報は雑誌やウェブサイトなど媒体によって、また施設によっても掲載項目や内容が大きく異なります。
多くの情報を掲載している求人を選んだほうが、あとで「希望条件と違った!」となる確率を減らせるので、応募前に求人詳細は必ず隅々まで見ておきましょう。
では、求人情報のどんな部分をチェックしたらいいかですが、
・給与(手当て)
・待遇、福利厚生
・勤務時間
・休日
の部分は必ずチェックしてください。
給与面については後ほど詳しく説明します。
待遇面や福利厚生の部分は、主に「各種保険完備」「賞与あり」という内容が書かれているところです。
待遇面を重視される方は、
・交通費全額支給(マイカー通勤可能)
・保育支援(託児所)あり
・退職金制度あり
・研修制度(無料・自由参加)あり
のように、待遇の内容が具体的に記載されている求人から選ぶとよいでしょう。
勤務時間は、
・早出 07:30~16:30(休憩60分)
・日勤 09:00~18:00(休憩60分)
・遅出 11:00~20:00(休憩60分)
・夜勤 19:00~11:00(休憩120分)
のように、シフトごとの勤務時間(休憩時間)の記載がされているかどうかを見てください。月のモデルシフトが記載されている求人もあります。
休日は
・希望シフト制か曜日固定シフト制か、
・有給休暇あり
・長期休暇取得可能
・年間休日○○日
などと詳しく書かれているかどうかを見てください。
このように、具体的な情報が記載されている求人は多数ありますので、外せない希望条件がある方はできる限り求人情報で確認してから応募することをおすすめします。
さて、多くの方にとって最も重要な給料についてです。
入職後に低賃金が原因で辞めないためにも、必ず確認すべき項目です。
チェックポイントとしては、
・初任給の金額や昇給制度があるか
・各種手当がいくらつくのかなど
・基本給はいくらか
求人の給与欄を見るときには総額だけでなく、基本給の額と手当の割合を把握しておくことが重要です。基本給の金額が賞与や退職金の金額にも関わってくるからです。
また、ほとんどの求人は額面の給料を記載しています。そこから社会保険料などが差し引かれるため、実際の手取り収入は求人に記載されている給与額の8割程度と考えておきましょう。
なお、給与額が18万円〜25万円など幅を持たせて書かれている場合には、経験や保有資格に応じて給与額が決まると考えられます。
おそらく面接時に給料の話が出たときに施設側から説明があるかと思いますが、不明点があれば質問し、交渉してみてもよいでしょう。
曖昧な部分は必ず契約前にクリアにしておいたほうがいいですが、給料や条件についてあまり細かく質問をすると敬遠される可能性もありますので注意してください。
施設によっては経験者と未経験者で基本給に差をつけているところもあります。また資格手当を支給している施設も多いので、こちらもあわせて確認しましょう。
「経験者優遇(給料要相談)」のような記載がある求人は特に、自身の経験やスキル、保有資格を履歴書に必ず記載。面接時にアピールできるかどうかで待遇が決まることもあるので、しっかり話せるよう準備しておくことが大切です。
とはいえ、「直接給料の話がしづらい」「条件面の交渉が不安」「面接が苦手・・・」という方も多いのではないでしょうか。
せっかくの経験があるのにアピールできないのはもったいないですね。
そんなあなたには転職エージェントのご利用がおすすめです。
介護ワーカーでは求人紹介だけでなく、専任アドバイザーが履歴書添削や面接フォローも行いますので、復職に不安がある方はぜひお気軽ににご相談ください。
介護ワーカーに相談する(無料)
応募したい求人が見つかったら、次は履歴書(職務経歴書)を作成していきます。
履歴書の中で特に重要なのが「志望動機」欄。ブランクがある場合でも、「ぜひこの人に働いてもらいたい!」と思わせることができる志望動機はどんなものでしょうか。
志望動機を書き方と、シチュエーション別の文例を紹介していきます。
まずはなぜもう一度介護職に就こうと思ったのかを整理してみてください。
さらに「なぜその職場で働きたいと思うのか」「どんな介護職員になりたいのか」を明確にしていきます。
ブランクがある人に対して採用側が気になることとしては、
・なぜブランクがあるのか(その間に何をしていたのか)
・なぜもう一度介護の仕事をしようと思ったのか
・なぜこの職場を選んだのか
といった点です。
出産・育児や身内の介護など納得の理由であればそのまま伝えて問題ありません。
もし前職の退職理由が対人関係やストレス、待遇面の不満などであれば、そのまま伝えてしまうとマイナス評価になる可能性が高いので正直に伝えなくてもよいでしょう。
その代わりに「いったん介護の仕事から離れたけれどもう一度働きたい」と思った理由、介護の仕事に対する意欲を書いてください。
以前働いていた介護現場での経験やスキルを活かして、今後新しい職場でどんなことにチャレンジしていきたいかが伝わる志望動機にしましょう。
では具体的にどのような内容を書くといいのでしょうか。
ぜひ、介護ワーカーの志望動機文例を参考にしてみてください。ブランクがある場合の志望動機としてシチュエーション別に紹介しています。
介護業界 志望動機の書き方 ブランクありの場合
そのほかにも様々なタイプ別の文例を掲載していますので併せてご活用ください。
以下のタイプ別で文例をご用意しています。
・志望動機 厳選20選
・介護未経験
・経験が浅い(3年未満)
・経験あり(3〜7年)
・経験豊富(7年以上)
・転職回数が多い
・看護助手志望
・その他
【志望動機文例】採用担当者に響く!そして受かる志望動機をプロが分析!
■仕事復帰に向けての4つの準備
1.介護に関する法令を確認する
2.介護の知識・技術に触れる機会を増やす
3.体力をつける
4.子供がいる場合は保育所を見つけておく
■職場選びのポイント
・今のライフスタイルに合わせて選ぶ
・給料は詳細(基本給、手当、賞与)まで確認
・経験を評価してくれる職場を選ぶ
■志望動機の内容
・ブランクをマイナス評価させないこと
・過去の介護職の経験をアピール
・経験やスキルをどう活かせるか
・今後新たな職場でどんなチャレンジをしていきたいか
以上が、ブランクを経て介護職復帰を目指すための準備です。
長い期間、現役を離れていたことに不安があるかと思いますが、しっかりと準備をすることで自信を持って就職活動に臨めるのではないかと思います。
介護職の求人はたくさんあり、仕事復帰自体は難しくありません。
復職のための求人探しやご相談があればぜひ介護ワーカーをご利用ください。経験豊富なアドバイザーがあなたの経験やライフスタイルに合った求人をご提案いたします。
お仕事復帰のご相談は業界最大手の介護ワーカーへ
※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。