更新日:2020年06月12日
公開日:2020年04月15日
介護職のキャリアアップ方法をご存知でしょうか?
「これからとるべき資格は?」
「もう少し給料を増やしたい!」
「新たなチャレンジがしたい」
とキャリアを構築していくなかで、皆さん様々な想いがあるかと思います。
本コラムでは、介護職のキャリアアッププランを紹介しています。
「若手・新人介護職員向け」「中堅介護職員向け」の2つのステージに分けて、
■どんなキャリアアップができるのか
■必要な資格・要件はあるのか
■給料はアップするのか
といった内容について解説していきます。
介護職員がキャリアアップしていくには大きく分けて2つのステージがあるといえます。
1つ目は「介護職のスペシャリストを目指す」ステージ。
無資格から介護福祉士になり経験を積んでいくというキャリアパスです。
目安としては、介護職の経験5年目くらいまでを想定しています。
2つ目は「介護職経験を活かして新たなチャレンジをする」ステージ。
介護福祉士として経験を積んだ先のキャリアパスです。
目安としては、介護職歴5〜10年以上の中堅(ベテラン)介護職員を想定しています。
まずは若手・新人介護職員向けのキャリアアップの道筋からお伝えしていきます。
(ベテラン介護職員の方は、この次の「ベテラン介護職員のキャリアアッププラン」にお進みください。)
介護職のスペシャリストを目指すための代表的なキャリアパスはこのようになっています。
実務経験ルートで介護福祉士資格を取得するには、介護職の経験年数が3年必要です。無資格・未経験で介護職に就いた場合、最短約3年で介護福祉士までのキャリアアップが可能といえます。
介護福祉士資格を取得して1〜2年の経験を積めば、介護職のスペシャリストとしてどの現場でも重宝されるでしょう。
所要年数:5年想定
給料:年収30〜60万円アップ見込み
無資格・未経験から介護の仕事を始めるなら、まずは「介護職員初任者研修」を取得することをおすすめします。
厚生労働省が認定している公的資格である介護職員初任者研修では、介護知識の基礎を学べます。
もちろん介護の仕事は無資格でもできますが、無資格と有資格ではできることが異なり、働ける場所や給与額に差があります。
例えば、身体介護(食事介助、入浴・排せつ介助など)はできませんし、訪問介護員として働くこともできません。
介護職のスタートラインとなる資格のため新人は取得必須といえるでしょう。
<詳しくはこちら>
介護職員初任者研修を取得するメリットは? 仕事内容はどうなるの?
次のステップは、介護福祉士を目指すなら必要となる資格「介護福祉士実務者研修」です。
この実務者研修では初任者研修よりもさらに幅広い分野の介護知識と実践的な介護技術を学べます。
受験資格はなく初任者研修を取得していなくても受講可能。計450時間のカリキュラムを修了することで習得できる資格です。
この実務者研修資格を取得することで
・特定の医療行為(喀痰吸引、経管栄養)ができるようになる
(※別途、実地研修が必要です)
・給料がアップする(資格手当がつく場合がある)
・転職に有利に働く
・介護福祉士資格取得へのステップになる
・サービス提供責任者への道が開ける
といったメリットがあります。
講習受講にまとまった時間が必要になるので、介護の仕事に慣れてきた2年目頃から、早めの取得を目指しましょう。
<詳しくはこちら>
介護福祉士実務者研修ってどんな資格?徹底調査しました!
介護職のスペシャリストといえば国家資格である「介護福祉士」がその象徴ではないでしょうか。
介護福祉士資格を取得することでリーダー職、新人教育を任されるなど仕事内容の幅が広がることも間違いありません。
また知識と経験を兼ね備えた介護福祉士資格があると、転職の際も即戦力として歓迎されますし、給料アップも見込めます。
介護福祉士資格ありとなしでは、年収にして約30〜60万円の差があります。(参照元:厚生労働省|平成30 年度介護従事者処遇状況等調査結果)
そして、ここから先のキャリアアップを考えた場合にも、必ず取っておくべき資格といえるでしょう。さらなる高みである認定介護福祉士や、ケアマネージャー、管理職、サービス提供責任者といった新たな役割で活躍する道が開けます。
<詳しくはこちら>
かんたん解説!介護福祉士とはどんな資格?
<興味がある方はこちらも!>
詳しく解説!認定介護福祉士ってなに?
サービス提供責任者とは?
次に介護職経験5年〜10年超えベテラン介護職員向けのキャリアアッププランについてです。
介護福祉士として現場経験を積んだら、次のステージではその経験を活かして新たなチャレンジするというのはいかがでしょうか。新たなチャレンジといっても全くの異業種への転職ではなく、介護業界で別の役割を担うということです。
介護業界で活躍できる
・管理職(施設長など)
・ケアマネージャー
・生活相談員/サービス提供責任者
・看護師
・PT・OT・ST
・独立・開業
へのキャリアアップ(キャリアチェンジ)についてお伝えしていきます。
介護福祉士として経験を積んでいくと、リーダー・チーム長、主任などチームを管理する立場を任されるようになるかと思います。
その全ての職員のトップに立つのが施設長(管理者)です。
一言で管理者といっても、管理する内容は多岐にわたります。
まずは「人の管理」。利用者の状況を把握し、職員をマネジメントしなければなりません。
そして施設の運営サービスの向上、メンテナンス、営業活動などの「運営管理」、収支バランスをコントロールする「お金の管理」などが主業務となります。
施設長は現場を円滑にまわすための司令塔。
看護師や医師、他職種に対して利用者の目線に合わせた意見を伝える役割を担います。
そして、緊急時にリーダーシップを発揮して的確な判断・指示をする能力が求められます。
では施設長(管理者)はどのようにしてなるのでしょうか?
施設長になるための要件は、サービスによって異なります。
特定の資格や経験年数が必要の場合もあれば、特に資格要件がないサービスもあり、介護職経験者を優遇して任命する施設もあります。
希望の施設形態があればぜひ調べてみてください。
業務内容はガラリと変わり責任も伴いますが、間違いなく大きな成長ができるでしょう。また、収入面では大幅なアップが期待できそうです。
平均所定内賃金 | |
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正規職員 | 234,873円 |
事業所管理者(施設長) | 359,357円 |
平均賞与 | |
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正規職員 | 598,379円 |
事業所管理者(施設長) | 711,426円 |
介護実務やスタッフのマネジメント業務を経て、新たなキャリアアップをしていきたいという方はぜひ目指してみませんか?
介護福祉士からの代表的なキャリアパスに「ケアマネージャーになる」というものがあります。
ケアマネージャーの主な仕事は「ケアプランの作成」と「介護給付費の管理」で、要介護者と介護サービス事業所をつなぐ調整役を担います。
ケアマネージャーに求められるのは「コミュニケーション力」と「柔軟かつ臨機応変な対応力」。
特に利用者や利用者のご家族とのコミュニケーションが重要となります。そして他職種との連携、調整が必要な仕事ですので柔軟性は欠かせません。
働き方としては居宅介護支援事業所(居宅ケアマネ)や介護保険施設(施設ケアマネ)での勤務となります。施設ケアマネの場合は現場の介護業務と兼任する働き方も可能です。
ケアマネの場合は基本的には日中の勤務が多く、夜勤をせずに働けるというメリットがあります。
また給与アップも期待できるでしょう。施設ケアマネで介護の実務と兼任した場合には、介護福祉士資格手当と介護支援専門員資格手当の両方が支給されることもあります。
介護支援専門員実務研修受講試験は、介護福祉士資格(あるいは指定されている他の資格)を持ち5年以上の実務経験があれば受験できます。
合格率は15〜20%と非常に狭き門ですが、今後も長く介護の仕事を続けていきたいとお考えであればチャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか?
<詳しくはこちら>
介護支援専門員(ケアマネージャー)ってどんな資格?
生活相談員はソーシャルワーカーとも呼ばれています。
主な仕事内容はケアマネージャーや地域、他機関との連携、調整をする役割で、介護業務と兼務することも可能です。
ケアプラン作成の援助をしたり利用者と事業所の間に入ったりと、ケアマネージャーと似ている部分もありますが、より幅広い範囲での連携・調整が求められるのが生活相談員です。
生活相談員になるには基本的には下記の資格が必要とされています。
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
しかし地域によっては、資格がなくても指定業務の実務経験があればなれる場合もありますのでお住まいの地域の要件を調べてみてください。
介護現場は病院や看護師との関わりが多く、スキルアップをしたいと考える介護職員が看護師を目指すことは珍しくありません。
看護師資格は学校に通って取得しなければならないため、時間・費用どちらの面でもハードルは高くなってしまいますが、確実にスキルアップができるキャリアチェンジといえるでしょう。
できる医療行為が増えたり、看護計画を立てたりと、これまでよりも一歩踏み込んだ医療的ケアを行えるようになります。
現在「介護福祉士資格があれば、看護師資格と共通する学習過程の一部を免除する」という新制度の導入が検討されており、導入された場合3年かかる学習期間が2年に短縮される可能性が出てきます。
看護師資格を取得すれば、転職では介護施設に限らず、病院、クリニックと転職先の選択肢が広がりますし、介護職よりも給料のアップも期待できるでしょう。
スキルを高めていきたい方には、身体機能障害の回復トレーニングを行いサポートするリハビリ職へのキャリアチェンジもおすすめです。
介護施設で働くセラピストも多いため、馴染みがあるのではないでしょうか?
利用者の方の機能回復を手助けできることは大きなやりがいとなるでしょう。
理学療法士(PT)
「立つ」「歩く」などの基本的な運動機能回復のためのリハビリを行う専門家。
作業療法士(OT)
「食事をする」「入浴する」など生活に必要な応用動作のリハビリを行う専門家。利用者の生きがいの形成。心と身体の両方をサポートする役割。
言語聴覚士(ST)
言葉によるコミュニケーション、嚥下機能のリハビリを行う専門家。
資格を取得すれば病院やクリニックでの勤務も可能となります。介護施設で勤務する場合は、実際に介護現場を経験し、介護職員の気持ちがわかるセラピストとして重宝されるでしょう。
給料は介護職よりも大幅にアップする可能性があります。
<リハビリ職の平均年収>
理学療法士:約408万5千円
作業療法士:約408万円
言語聴覚士:約400万円
(PTOTSTワーカー調べ)
資格取得は3職種ともに大学や養成校で学習した後、国家試験に合格する必要があります。3〜4年の期間がかかり、学費もかかるため資格取得のハードルは高いことは確かです。
最後に、独立・開業についてです。
「自分の理想の介護施設を作っていきたい」という想いがある人は選択肢の一つとして持っておいてもいいかもしれません。
そのためには何といっても資金力が必要です。
介護ビジネスに関する知識を学ぶ必要もありますし、最も難しい人材の確保もできないといけません。
独立・開業は最もハードルが高く、すぐに実行に移せることではないかもしれませんが、ゆくゆくの大きな目標として考えてみるのもいいのではないでしょうか?
介護職員のキャリアアッププランをご紹介しました。
■若手・新人介護職員向けのキャリアアッププラン
「介護職のスペシャリストを目指す」
step1:介護職員初任者研修を取得
step2:介護福祉士実務者研修を取得
step3:介護福祉士を取得
経験を積んでいく
■中堅(ベテラン)介護職員向けのキャリアアッププラン
「経験を活かして別の職種へ」
・施設長
・ケアマネージャー
・生活相談員
・看護師
・リハビリ職
・独立・開業
を目指す
ベテランの介護職員のキャリアアップには様々な選択肢があり多様な働き方が可能です。
ハードルが高い資格もご紹介しましたが、高いスキルを身につけたい、新たなフィールドで活躍したいとお考えの方はぜひ検討してみてください。
またキャリアアップのための資格取得をお考えの方はこちらもぜひ参考にしてみてください。
コラム「知って得する!介護の資格を徹底調査しました!」
「スキルアップしたい!」
「資格取得支援制度があるところに転職したい!」
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