更新日:2023年04月10日
公開日:2020年04月17日
現在、介護離職者は年間12万人にものぼります。
家族に介護が必要になった際、それまでのように残業や休日出勤ができない、仕事を休まなければならない、気力・体力がもたないなどの理由で、会社を辞めざるを得ない人がいるのです。
『介護離職ゼロ』とは、2016年に政府が掲げた「1億総活躍社会」の3本の柱の一つです。
政府は「介護離職ゼロ」とともに「各自GDP600兆円」「希望出生率1.8」の『新・3本の矢』を基に、全ての国民が活躍できる社会の構築を目指そうというものです。
介護離職をしなければならない人の多くが、企業でキャリアを積み、社会にとって働き手として失うことが痛手になる世代でもあります。
また、離職する側にとっても問題があります。離職してしまうと、親の生活費だけではなく、自分たちの生活費を得ることができなくなります。
介護が終わった後も、50歳前後ともなっていると再就職も難しく、のちに、自分たちの介護にかかるお金に困ってしまうこともあるという負の連鎖が生じてしまうのです。
これらを防ごうというのが『介護離職ゼロ』の施策というわけです。
介護離職をなくすために考えられたのが、
①高齢者の利用ニーズに対応した介護サービス基盤の確保
②求められる介護サービスを提供するための多様な人材の確保、生産性の向上
③介護する家族の不安や悩みに答える相談機能の強化・支援体制の充実
④介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備
⑤働き方改革の推進
⑥元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取組
⑦高齢者への多様な就労機会の確保
⑧障害者、難病患者、がん患者等の活躍支援
⑨地域共生社会の実現
という対応策です。
具体的には、介護施設を増やしたり介護職員を確保できるように処遇改善を行なったりしています。
また、介護休業や介護休暇といった制度を利用することで、離職せずに介護を行えるシステムづくりをしています。
そして、高齢者自身も、介護が必要にならないような生活が送れるように、より長く健康に過ごせるようなプログラムが用意されます。
このように、さまざまな視点から介護離職が防げるような対策が講じられています。
施策ははじまったばかりですが、介護施設の建設や介護職員の処遇改善は徐々に行われています。
ですが、まだまだその数は足りず、また、施設の数が増えても、介護職員の数が足りないということが理由で、高齢者を受けいれることができない施設があるのが現状です。
また、介護休業や介護休暇の制度の利用が難しい職場があったり、少しの期間休みが取れたとしても、結局仕事と介護の両立が難しく離職に至るケースもあります。
介護休業や介護休暇の制度を利用した後、仕事に戻るには、その後の介護生活を支えていく介護計画を立てる必要がありますが、そのための介護サービスが充足していないのも一因です。
高齢者が働ける現場も多くはありません。
また、地域包括支援センターを中心に、高齢者が健康に過ごせるようなプログラムが用意されることになっていますが、地域による格差や問題があります。
このような現状から、介護離職を完全にゼロにすることはまだまだたくさんの課題がありそうです。
『介護離職ゼロ』の理想的な社会の実現は『介護離職ゼロ』は介護される高齢者や介護する家族、また介護職員にとって理想的な社会なのかもしれません。
その理想的な社会の構築に向けて、これからも、さまざまな工夫が必要になるでしょう。
みんなが幸せに暮らせる社会が実現するといいですよね。
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※掲載情報は公開日あるいは2023年04月10日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。