認知症介護に悩む全ての方へ! 認知症の基礎知識と適切な対応方法

公開日:2020年04月24日

更新日:2020年06月13日

症状別に解説!認知症の基礎知識と適切な対応方法

認知症介護は、病気での介護とは異なる難しさがあります。
単なる「物忘れが多くなる」というものではなく、「推測できないような不可解な言動をする」など特有の症状があるからです。

認知症の高齢者に振り回され疲労困憊になってしまう介護者は多くいますが、具体的な症状や特性を理解して対応方法を変えることで、負担をぐっと減らせます。

本コラムでは、認知症の方への対応がわからず悩んでいる方に向けて、
■認知症の種類と症状
■症状別の正しい対応
■ケース別の対処法

についてお伝えしていきます。

認知症ケアに携わる介護職員さん、ご家族が認知症になってしまった方・・・
対応に悩む全ての方へ「認知症の基礎知識と正しい対応方法」を教えます

認知症とは

■認知症とは
後天的原因により生じる知能の障害です。
さまざまな原因によって脳の神経細胞が破壊され、正常な日常生活が送れない状態になることをいいます。


■日本の認知症の現状
現在、国内での認知症高齢者はのべ600万人。
ここから高齢化の進展に伴い、認知症の人数はさらに増加するといわれています。

団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となる2025年には730万人に達する見込みで、日本の高齢者の5人に1人が認知症になると推計されます。

参照:認知症介護におけるストレス対策研修に関する研究会報告書|介護労働安定センター

認知症の種類と具体的な症状

認知症は代表的な4パターンに分類され、それぞれに原因や症状が異なります。
その種類と具体的な症状について解説していきます。

認知症の種類

4大認知症といわれている代表的な4種類の認知症があります。
国内の認知症高齢者の多くは、このいずれかのタイプに当てはまります。

4代認知症の種類、主な原因、代表的な特徴について

アルツハイマー型認知症
最も多い病型で、半数以上がこのタイプの認知症です。
脳の神経細胞が破壊され、脳が委縮することで発症。

物忘れから始まり、記憶障害見当識障害などの症状が起こり、末期には寝たきりになる可能性があります。
また嘘をついたり、被害妄想が多くなる傾向にあります。


レビー小体型認知症
アルツハイマー病についで多い疾患です。
レビー小体という特殊なタンパク質が神経細胞に沈着し破壊することで発症。

アルツハイマー病とパーキンソン病の特徴を併せもち、手の震えや幻視、うつ症状などがでます。また自律神経症状としてたちくらみ、排尿障害を起こすこともあります。
転倒にも注意が必要です。


脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血などによる血管詰まり・出血で神経細胞が死滅し認知症を発症します。
高血圧や糖尿病など生活習慣病や心臓病などを治療することで、発症や予防が可能です。

脳の障害を受けた部分は機能低下するものの、正常な部分もあるため、「記憶障害はあっても判断力は低下しない」というような”まだらに症状が現れる”ことが特徴。
早期から麻痺、感情コントロールができないなどの症状が出ます。


前頭側頭型認知症(ピック病)
前頭葉と側頭葉の萎縮により発症します。

特徴として、人格変化意欲障害などがあり、反社会的行動(万引きなど)を起こす場合があります。
側頭葉に障害を受けている場合、言語障害も発症します。
記憶障害はあまり目立ちません。比較的進行はゆっくりです。

認知症の症状

認知症の中核症状と周辺症状の関係性

認知症のタイプによって起こる症状は違いますが、主に「中核症状」「周辺症状」の2種類に分けられます。

中核症状
・記憶障害
・見当識障害
・理解・判断力の低下
・実行機能障害
・言語障害
・認知機能障害


周辺症状
・妄想
・抑うつ
・興奮
・徘徊
・不眠
・幻覚
・せん妄
・暴力
・介護拒否
・失禁


中核症状は、脳細胞の死滅、脳の機能低下によって起こる直接的な症状です。
周辺症状は、中核症状が本来の性格や環境に影響することで現れる症状をいいます。

これら2つの症状は別々に現れるわけではなく、中核症状を基礎として、その上で周辺症状が起こります。
例えば「財布をどこに置いたかわからなくなる」のは記憶障害で中核症状。そのことに対して「自分に非はない」「財布は盗られた」というような被害妄想は周辺症状という具合です。


認知症の対応には、この症状の区別が非常に重要です。

中核症状は脳の認知機能の衰えなので、薬で進行を遅らせることはできても完治は困難。
一方、周辺症状と呼ばれる心理的要因による症状は、周囲の人が認知症の方の気持ちを理解して安心できる対応をすることで軽減できる可能性があるのです。

【症状別】認知症高齢者の対応方法

症状別 認知症の正しい対応方法

では認知症によくみられる症状と正しい対応について解説していきます。
認知症への理解を深めて適切な対応をすることで、介護者側の負担や不安を軽減させましょう。


記憶障害
認知症の基本的な症状です。
記憶障害には3パターンの傾向があります。

1つ目は「最近の出来事を忘れる」こと。5分前の記憶が無くなったりします。
同じことを何十回も繰り返し話したり聞いたりしますが、本人は話したことも聞いたことも忘れています。

例えば何度も同じ質問を受けたときは、「さっきも言ったのに!」などと叱らずに、根気よく同じことを同じように答えることが大切です。
何度も同じ対応をするのがしんどい場合には、さりげなく別の質問をするなどして話題を変えましょう。

2つ目に「全体の記憶を忘れる」という傾向があります。
つまり断片的な記憶が抜けるのではなく、体験そのものを忘れてしまうのです。

例えば食事では「何を食べたか」を忘れるのではなく、「食べたことそのもの」を忘れるというようなことが起こります。
食後すぐに「お腹がすいた」と言って食事を求めたり、出かけた後に「今日はどこにも行ってない!」と言うなど、覚えがあるのではないでしょうか。

本人が忘れている記憶に対して、正しいことを無理に伝えてもなかなか納得してはくれません。「そうですねー」と返事をしたり、場所を変える、テレビをつけるなど気をそらせることが効果的です。

3つ目に「記憶が現在から過去に遡ってしまい過去の記憶の中で生きている」という場合があります。

認知症の人が、今見ている時代はいつなのか、どんな世界で生きているのかを理解し、受け入れることが大切です。
そのためにも会話の中でいろいろな質問をして、どのくらい昔の記憶で話しているのか探ってみましょう。

徘徊
徘徊症状は命の危険をもたらすこともあります。
しかし外に出られないよう四六時中室内に閉じ込めるわけにもいきません。
できるだけ目の届くようにそばにいるようにしていても、ふいに目を離した隙に外出してしまう場合があります。

もしもの場合に備え、本人の衣服や靴に、本人にばれないように小さめに名前や住所を書いておきましょう。
可能であれば地域の周辺住民に、徘徊の可能性があることを伝えておきましょう。



被害妄想
認知症の初期段階に現れる最も多い症状の1つ「もの取られ妄想」。
財布や通帳など貴重品の収納場所を忘れてしまい、「盗まれた」と妄想してしまう症状です。

認知症の被害妄想は身の回りにいる人に向けられることが多く、訪問介護職員や、身の回りの世話をしている人が疑われることがよくあります。

対処法としては、もし場所がわからなかったとしても「一通り時間をかけて一緒に探す」のがベストです。
そして最後に「誘導して本人に見つけさせる」とよいでしょう。
すぐにあなたが見つけてしまうと、場所を知っていたと勘違いされ、より疑われてしまうからです。
探す際は「盗まれた」「なくした」という言葉は使わずに「どこにしまったのかな」「このタンスの中はー?」と誘導しましょう。


不眠
高齢者は寝つきが悪く眠りが浅くなりがちです。
加えて、認知症になると周囲の環境変化に敏感になり不眠をもたらす場合があります。
昼寝をしすぎて夜に眠れなくなったり、昼と夜の区別がつかなくなったりします。

介護者は夜中に起こされたり、動き回るので目が離せなくなるため睡眠不足に悩まされるという負のスパイラルに突入します。

そんな状況では介護者にストレスが溜まり、体調不良やうつになってしまうこともあるでしょう。
そうならないために、認知症の人には日中によく活動させ、夜にしっかり眠れるような生活リズムを作ってあげることが大切です。
午前中に日光浴や軽い運動、レクを行うなど、眠ってしまわないような工夫をしましょう。


幻覚
認知症の症状に幻覚や幻聴があります。
「部屋の外に誰かいる」といった幻覚症状は、認知症によくみられる症状です。
その際、否定をしてしまうと認知症の方はより強い不安感抱きますので、絶対に否定をしてはいけません

「さっき○○が通っていたからだよ」というような対応をしましょう。
虫やお化けが見える場合は「私がやっつけるね」と退治してあげます。
「もういなくなったよ、大丈夫だよ」と安心感を与えてあげると幻覚症状が落ち着く傾向にあるのでやってみてください。

ベテラン介護福祉士が教える認知症対応「こんな時どうする?」

こんな時どうする?ベテラン介護福祉士が教える認知症対応法

なぜか私には強いんですけど!

現在、訪問介護をしています。

担当している利用者さんのなかで、私にだけとてもきつい言い方をする方がいます。

おうちに伺う度に「料理の味がイマイチ!」などの文句を言われたり、他のヘルパーさんに私の悪口を言ったりしてるんです。

認知症の方は心から頼りにしている人に対して、わがままな態度をとることがあります。

おそらくその方もあなたに慣れている証拠で、「安心」と「甘え」からくる行動だと思いますので、理解してあげましょう。

攻撃がひどいと感じるときは話題を変えたり、掃除など作業をして利用者さんの近くから離れ興奮が冷めるのを待ってみてください。

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介護拒否されてしまいます・・・

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勤務先のデイサービスにこられる利用者さんのなかに、いつも家族に無理やり連れてこられている方がいます。

来ても「つまらない!」と言ってレクの参加を拒否されますし、食事介助をしても怪訝な顔をされてしまい全く食べてくれません。

正直、疲れます・・・どうしたらいいんでしょう。

高齢者の方が介護拒否される理由は、「自分はまだまだ大丈夫!」と介護されること受け入れたくないという気持ちから起こることがあります。
世話をされることを情けなく感じたり、プライドが傷ついてしまうのです。

これは時間が解決してくれることも多く、まずは介護サービスへの先入観、新しい環境への不安、メリットなどを根気よく説明し不安を取り除いてあげましょう

しかし認知症の方の中には「自分が認知症で介護が必要である」ことを理解できない場合がありますので、本心から嫌がっている状況にもかかわらず、無理やり強要するようなことは絶対に控えましょう

本人が意思決定できるようなコミュニケーションと見守ることが大切です。

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暴力をふるわれます!

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とても攻撃的な利用者さんの対応がわかりません。

気に喰わないことがあると施設の備品を投げたり壊したりします。
また着替えの時などに腕を引っ掻かれたり髪を引っ張られたり・・・。

恐怖です。

この行動は認知症の周辺症状。何か不安や恐怖を感じている時に攻撃的な態度をとることが多くなります。

感情のコントロールがうまくできずに怒鳴ったり、暴力を振るって気持ちを表現しているのです。

周りは突然起こるその行動にびっくりしてしまいますが、本人には理由や伝えたい思いがあります。無理に押さえ込むようなことはせず、何が原因かを考えてあげましょう

認知症の方は環境の変化には敏感。何か最近変わったことがなかったかなど振り返ってみてください。
本人が落ち着きを取り戻したら、話を傾聴し安心感を与えてあげることが何よりも大切です。

とはいえ、暴力によって被害を受けるようなことは避けなければいけません。
このような場合には、
・落ち着くまで一旦離れる
・二名以上の職員で対応する
といった対応をしてみてください。

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セクハラに耐えられません!

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着替えや食事の際にお尻を触ってくる利用者さんがいます。
卑猥なことを言われたり・・・

その人の介護が憂鬱です。
泣きたくなります。

これも認知症の利用者さんによくあることですね。

認知症の人は脳の機能の低下により正常な理解や判断ができない場合があります。
「相手が嫌がっているかどうか」「やっていいことかどうか」の判別ができません。

もしかするとあなたのことを彼女や奥さんだと思っているのかもしれません。
うまく交わす方法を身につけられるといいですね

本人が良し悪しの判別をできないので、強く拒絶したり怒ったりしないであげてください
もしあなたの体を触ろうとして手がのびてきたら、「手を握ってあげる」「会話をふって気をそらせる」など平常心で対応しましょう。

なおセクハラだと感じて苦痛な場合には、上長やご家族に相談してもよいでしょう。
二名以上の職員での対応、担当から外してもらうことも検討してみてください。

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認知症関連資格コラムの紹介

認知症の種類や症状、適切な対応方法をご紹介しました。

認知症介護に大切なのは、症状や特性について理解しようとすることです。
そして認知症の方の気持ちを常に考えながらコミュニケーションをとることを心掛けてください。

症状を理解し適切な対応をすることで負担や不安を減らしていきましょう。

では、最後に認知症介護に役立つ資格をご紹介します。
介護の現場で必ず活かせますので、興味がある方はぜひご覧ください。

認知症ケア専門士
介護の現場で活躍できる「認知症ケア専門士」ってどんな資格?

認知症介護実践者研修 
認知症ケアに携わるなら取るべき資格!認知症介護実践者研修ってなに?

認知症介護実践リーダー研修 
認知症介護実践リーダー研修 ってどんな資格?

認知症対応型サービス事業管理者研修
認知症対応型サービス事業管理者研修とはどんな研修?

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