更新日:2021年06月17日
公開日:2020年05月27日
介護の仕事をするにあたって比較的はじめの段階で学ぶ介助がこの歩行介助。
名前の通り「歩行」を「介助」していくのですが、正しい方法で介助をしないと利用者を転ばせてしまうなど大きな事故につながりかねません。
そこで歩行介助について注意点などを詳しくまとめましたので、ぜひ参考にして現場で活用してみてください。
はじめに、歩行介助とはどんなことをするのか解説していきます。
人は年齢がすすむにつれて身体機能は衰えていき、介助が必要になる場面も増えてきます。
その介助のなかで早い段階で必要となる介助が「歩行介助」。
これは自分の足で歩けるように歩行を介助していくことを指します。
一言で歩行介助と言うものの、なかには4つの種類が存在します。
ここから、その歩行介助の種類について一つずつ紹介していきます。
杖無しで自力歩行ができるが少し不安定な方、または杖などを使用しながらほとんど自力歩行できる方におこなう介助です。
利用者が不安定になりやすい杖の反対側や麻痺を患っている側に介助者がつきそい斜め後ろから見守ります。
バランスを崩しそうになったときにすぐに支えられる位置にいることが大切です。
名前の通り、利用者に寄り添いながら介助する方法で、見守り歩行よりも密着状態になります。
歩行時、介助者は利用者の利き手とは逆の側に立ち、利用者側の手を利用者の奥側の脇に入れ、反対の手で利用者の手に添えます。
麻痺のある利用者であれば麻痺のある側に立ちましょう。
お互い前方を向いて歩くので障害物を確認でき、ストレスなく長距離を移動することができます。
利用者と向かい合って両手をとりながら歩行していくことを手引き歩行といいます。
向かい合って利用者の様子を確認しながら歩行しているため、前後への転倒を防ぐができます。
このとき、肘からしっかりと支えてあげるとより安全に進めます。
ただし、介助者が後ろ向きで進むため前方の様子をしっかり確認できないため、バランスを崩して共倒れするリスクもあり長距離の歩行には向いていません。
では次に歩行介助をする際に注意すべきことを1つずつ紹介していきます。
室内を移動する際には敷居や電気のコードなどでつまずいたり引っかかってしまうこともあります。
これらの障害物になるものはなるべくどかし、通路の広さを確保できるよう事前に歩行導線のチェックしておきましょう。
できれば普段から通る通路には物をなるべくおかないことがベストです。
また、床が濡れて滑りやすくなっているかなどの状態も確認しておきましょう。
屋外での移動では、雨天時や冬の早朝など道路が滑りやすくなっているので転倒のリスクも多くさらにに注意が必要です。
車が多く通る道路を歩く場合は、利用者の安全を守るため介助者が車道側に立つようにしましょう。
スリッパやサンダルのようなかかとのないものは脱げてしまったり、滑ることがあるので転倒リスクが上がります。また、重たい靴も足に疲労感を与えることがあるので避けましょう。
靴の選び方は利用者の足のサイズに合う軽くて滑りにくい、できれば滑り止めがついた靴が理想的です。
部屋を靴下で歩行される方も多いかと思いますが、滑りやすくなるためとても危険です。
できれば滑り止めのついた靴下や滑りにい室内履きを履くか、脱いでおくのもいいでしょう。
靴と同じようにズボンの長さも注意が必要です。
ズボンが長すぎたりウエストが緩んでいると裾を踏んでしまい、転倒する恐れがあるからです。
ズボンの丈やウエストサイズの確認もしておきましょう。
杖や歩行器を使用している場合、破損や杖先のゴムが劣化していることがあるとバランスを崩し事故や怪我につながってしまいます。
そうならないためにも、そのまま使用せずゴムを交換したり新しいものに変えましょう。
杖先のゴムだけであれば安く交換が可能です。
車輪がついている歩行器の場合は、ネジの緩みやタイヤのすり減り回転加減、フレームのゆがみに気を付けましょう。
このように1ヶ月に一回などで定期的にメンテナンスをおこなうと、未然に事故を防ぐことができます。
目的地まで一気に進んでしまいたい気持ちもあるかと思いますが、たとえ短い距離でも休憩を挟みましょう。もし無理をしてしまうと疲れが出て転倒事故につながる恐れがあります。
座って休憩する場合は立ち上がる時のふらつきなどに注意してゆっくりと立ち上がりましょう。
転倒リスクを考えながら、利用者のペースに合わせて様子を見ながら歩行介助をしましょう。
つぎに、歩行介助をするときのポイントについてそれぞれ見ていきます。
介助者は利用者の歩幅と歩調に合わせましょう。
早く移動したいがために介助者が無理にリードしようとすると、利用者はバランスを崩してしまい転倒する危険性があります。
歩くペースを保ち、介助者がそれに合わせるようにゆっくりと一歩ずつ、確実に進めていくことが大切です。
利用者の重心が右に動いたら、介助者も右に、左に重心が動いたら、介助者も左に。
足の運びや歩幅、リズム、間隔を意識しながら相手の動きにあわせて、イチ・ニ、イチ・ニと声を掛けながら一緒に動くと歩きやすいでしょう。
利用者に残っている機能をうまく利用し、重心のある方の足に体重をのせるように支え、歩く動きを助けてあげることを意識すれば次の一歩がスムーズに踏み出せます。
すり足であったり前のめり、後ろのめりであるなど体の状態によって歩き方は人それぞれ違うので歩き方の特徴を把握し、利用者にあった歩行介助をすることが大切です。
歩行介助をするとき、利用者の全身を支えるつもりで力を入れてしまう方も多いですが、力で歩行を助けることはできません。
人が歩くときは前後左右に重心移動しています。
「転ばせたらいけない」という気持ちから利用者に過剰に密着すると、歩行に必要な重心移動を妨げてしまうことがあります。また、自然な腕の振りひとつ妨げられただけでも、重心移動のバランスがとりにくくなります。
歩行時の動きの特徴を把握しながら、歩く妨げにならないように介助することを心がけましょう。
歩行者の動きを邪魔しないように身体は密着させ過ぎず、歩行者がバランスを崩すことがあればすぐに支えられるポジションをとることが大切です。
手をつないで歩行する場合は、右側に立つなら介助者の右手で利用者の右手を、左側に立つなら利用者の左手を、下から支えるように握りしょう。
つないでない手は背中側へまわし、腰のあたりや骨盤周辺に添えるとバランスを崩して転びそうになっても、瞬時に支えることができます。
転倒リスクや膝折れの不安がある場合は、つないでいないほうの手の位置を脇に変えて支えるといいでしょう。
片麻痺があり杖を使用している場合、
上るとき 杖→麻痺のないほうの足→麻痺のあるほうの足
下りるとき 杖→麻痺のあるほうの足→麻痺のないほうの足
この順番で動かしてもらいます。
常に健康な足に重心をかけることを意識してもらうと、より安全に移動できます。
このとき、介助者は麻痺のある方に立って支えましょう。
杖を使わない場合は、かならず片手で手すりをつかんでもらうようにしましょう。
上るときは介助者は利用者の斜め後ろ、下りるときは斜め前に立って、万が一バランスを崩した際に支えられるよう見守ってください。
利用者が歩行器を使用するときは、介助者は斜め後ろに立ちます。
利用者の脇の下に軽く手を添えていつでも対応できるようにしておくといいでしょう。
歩行の手順は
歩行器を動かす→動かしにくいほうの足→動く方の足
という順番です。
歩行器と体の距離が近すぎず遠すぎないよ適度な歩幅でゆっくり前に進んでもらいましょう。
歩行器は廊下などの床が平坦な場所や短距離を移動する際に適しており、足に負担がかかる人や転びやすい方には不向きです。
タイヤがついているので前に進むとはいえ、逆に後方へ転倒する可能性があります。
そのため、転倒に備えて介助者は後ろ側から腰か両脇を軽く支え、利用者が足を一歩前に踏み出したら介助者も同じように踏み出すというようにしましょう。
ペースと歩幅を合わせながら前に進むことで、利用者も安心して進むことができます。
歩行介助について解説してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
歩行介助をするときは、すべてを支えて介助するのではなく利用者に残っている体の機能を利用して歩く動きを手伝うという意識でおこなうことが大切です。
休みながらでないと歩けなかったり、短距離でも時間がかかるとしても、焦らず辛抱強く付き合うことで介助されるストレスや転倒リスクも減るでしょう。
利用者の歩き方の特徴をしっかり把握し、正しい歩行介助を学んで利用者との信頼関係を築いていきましょう。
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※掲載情報は公開日あるいは2021年06月17日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。