これから介護の仕事を始めようと考えている方向けに「生活援助従事者研修」というものがあります。
2018年に創設されたばかりで、まだまだ認知度が低いこちらの研修。
一体どのような内容の講座なのでしょうか?
今回は生活援助従事者研修について、
■研修内容
■受講のメリット
■どんな人におすすめなのか
といったことについて詳しく解説します。
生活援助従事者研修とは
介護職の生活援助サービスに必要な知識などを習得する目的
で、2018年に新たに創設されたのが生活援助従事者研修課程です。 創設された背景には、訪問介護事業所の深刻な人材不足があります。知識・技術習得のハードルを下げ、身体介護をしない”生活援助のみ”に従事できる職員を増やすことで、訪問介護の人材を増やしていくという狙いがあります。 そもそも生活援助とは?
訪問介護のサービスは大きく「身体介護」「生活援助」に分かれています。この二つの主な違いは「要介護者の身体に直接触れるか
」という点です。 身体介護は要介護者の身体に触れて行う介助です。例えば・食事介助・入浴介助・排せつ介助・歩行介助といった介助業務が「身体介護」に該当します。一方、生活援助は直接的に要介護者の身体には触れません。 具体的には、 掃除
洗濯
衣服のたたみ、整頓
調理、食事の後片付け
シーツ交換、ベッドメイキング
買い物代行
薬の受け取り
生活援助従事者研修はどんな人におすすめ?
生活援助従事者研修は「これから介護の仕事をやってみようかな?」と考えている人にとって基礎の基礎が学べる、入り口となる講座
です。 「介護職に興味があるけれど続けられるか自信がない・・・」「家事が得意なので活かしたい!」「日中の短時間で働きたい!」「いきなり身体介護をするのは難しそうなので、まずは生活援助からはじめてみたい!」と考えている方におすすめの研修です。 この生活援助従事者研修は、あくまで訪問介護で生活援助の業務をしたい方向けの研修。身体介助を含む基礎知識・技術を身につけたい方には、介護職員初任者研修をおすすめします。生活援助従事者研修と介護職員初任者研修の違いに関しては、後ほど詳しくご説明します。 資格取得のメリットは?
生活援助従事者研修を受けるメリットは大きく3つあります。
1. 短時間の学習で基礎知識を習得できる
2. 訪問介護の生活援助の仕事ができるようになる
3. ご家族の在宅介護にも活かせる
誰もが受講でき、短時間で学べて、実践に活かせる
という点が生活援助従事者研修の最大のメリットといえるでしょう。生活援助従事者研修の概要
ではここからは、生活援助従事者研修の概要について詳しくご説明していきます。
生活援助従事者研修の実施主体は、「都道府県又は都道府県知事の指定した者」とされており、各地域の自治体や資格スクールにて研修が行われています。
創設されてまだ間もない研修のため、実施団体は非常に少ない状況です。
受講資格
受講の要件はありません。年齢や経験を問わず、生活援助サービスへの従事をお考えの方ならどなたでも
受講可能です。 研修のカリキュラム
研修時間は合計で59時間です。
研修科目と各研修の時間数は下記のように組まれています。
研修科目及び研修時間数について
研修科目 | 研修時間数 |
職務の理解 | 2時間 |
介護における尊厳の保持 自立支援 | 6時間 |
介護の基本 | 4時間 |
介護・福祉サービスの理解と 医療との連携 | 3時間 |
介護における コミュニケーション技術 | 6時間 |
老化と認知症の理解 | 9時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと 生活支援技術 | 24時間 |
振り返り | 2時間 |
合計 | 59時間 |
各研修科目の学習内容について
1.職務の理解 |
1.多様なサービスの理解
2.介護職の仕事内容や働く現場の理解 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 |
1.人権と尊厳を支える介護
2.自立に向けた介護 |
3.介護の基本 |
1.介護職の役割、専門性と多職種との連携
2.介護職の職業倫理 職業倫理
3.介護における安全の確保とリスクマネジメント
4.介護職の安全 介護職の心身の健康管理 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 |
1.介護保険制度
2.医療との連携とリハビリテーション
3.障害福祉制度およびその他制度 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 |
1.介護におけるコミュニケーション
2.介護におけるチームのコミュニケーション |
6.老化と認知症の理解 |
1.老化に伴うこころとからだの変化と日常
2.高齢者と健康
3.認知症を取り巻く状況 認知症ケアの理念
4.医学的側面から見た認知症の基礎と健康管理
5.認知症に伴うこころとからだの変化と日常生活
6.家族への支援 |
7.障害の理解 |
1.障害の基礎的理解
2.障害の医学的側面、生活障害、心理・行動の特徴、かかわり支援等の基礎的知識
3.家族の心理、かかわり支援の理解 |
8.こころとからだのしくみと生活支援技術 |
<I.基本知識の学習> 1.介護の基本的な考え方
2.介護に関するこころのしくみの基礎的理解
3.介護に関するからだのしくみの基礎的理解
<II.生活支援技術の学習> 4.生活と家事
5.快適な居住環境整備と介護
6.移動・移乗に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
7.食事に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
8.睡眠に関したこころとからだのしくみと自立に向けた介護
9.死にゆく人に関したこころとからだのしくみと終末期介護
<III.生活支援技術演習> 10.介護過程の基礎的理解 |
9.振り返り |
1.振り返り
2.就業への備えと研修修了後における継続的な研修 |
学習方法
先述したとおり、学習時間は合計59時間です。
そのうち、最大29時間はご自宅での通信学習が可能です。
地域によってカリキュラムの日程や時間数に多少の違いがありますが、通信学習を29時間、通学での学習を30時間、さらに施設などでの実習が実施されます。
全ての研修を終えた後、30分程度の筆記試験があります。
全カリキュラムの学習を終え、試験に合格することで研修課程修了となります。
難易度
生活援助従事者研修の難易度は、非常にやさしいといえるでしょう。
介護職の入り口と位置づけられており、知識・技術の習得が足りない場合には補講が実施されるなど、受講者全員が修了できるような研修が組まれています。
費用
スクールや自治体によって異なります。自治体によっては補助金制度がある場合も。
実施団体については、現在お住まいの地域の自治体ホームページなどから探すことができます。
生活援助従事者研修と介護職員初任者研修の違い
介護職員初任者研修の研修科目は生活援助従事者研修と全く同じものになりますが、学習時間数に違いがあります。 生活援助従事者研修の研修時間が59時間なのに対して、初任者研修の場合は合計130時間の履修が必要。つまり、初任者研修の方が同じ科目をより深く学べる研修となっています。 介護職員初任者研修は介護職のスタートラインともいえる研修。初任者研修資格を取得することで生活援助だけでなく身体介護も可能になり、業務の幅が広がります。本格的に介護職を続けるのであれば介護職員初任者研修の受講をおすすめ
します。 ちなみに、生活援助従事者研修の修了者が介護職員初任者研修を受講する場合は、生活援助従事者研修ですでに学習している一部の研修内容が免除になります。130時間の内、まだ受講していない71時間分の学習で履修することができます。 <介護職員初任者研修について、詳しくはこちら>■どんな資格?介護職員初任者研修を徹底調査!
まとめ
介護職の足がかりとなる「生活援助従事者研修」。研修を履修することで、訪問介護の生活援助の業務をできるようになります。しかし創設されたばかりの新しい研修で認知度はまだまだ低く、受講することによって「転職に有利」「給料アップ」ということはないでしょう。 誰もが受講でき、短時間で学べる研修ですので、介護のお仕事に興味を持ち、まずは生活援助からチャレンジしてみたいという方はぜひ前向きに検討してみてください。
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