更新日:2023年04月11日
公開日:2020年07月03日
介護職で人気になりつつある「認知症ライフパートナー」という資格をご存じでしょうか?
この資格は、とくに認知症を患っている利用者さんがいる施設では、知っている方や取得している方は多いはず。しかし、認知症の利用者さんとあまり関わりがない方は「聞いたことがある」という程度で、どんな資格なのか分からない方は少なくないでしょう。
高齢化にともない認知症の患者数も増回してきている今、認知症について正しい知識を持っている介護職員の需要も高まってきています。
そこで今回は、認知症ライフパートナーとはどんな資格なのか、また取得方法や受験資格、費用などについてまとめてみました。
さっそく見ていきましょう!
認知症ライフパートナーとは、2009年「一般社団法人 日本認知症コミュニケーション協議会」が認定を始めた民間資格です。
認知症ライフパートナー資格は「3級・2級・1級」の3つにレベルが分かれています。
以前は、基礎検定(現3級)・応用検定(現2級)の2種類でしたが、2016年に試験制度が変更され上級の「1級」が新設されました。
認知症ライフパートナーは、認知症を患っている方のこれまでの生活体験や生き方、価値観を尊重し、その人らしく日常生活を送れるように本人や家族に寄り添ってサポートをすることが目的です。
その人らしく生活するためには、認知症の方が好む音楽や運動、園芸などのアクティビティを活用し、脳を活性化させる認知症ケアが有効だとされています。
しかし、認知症の方は言葉によるコミュニケーションが困難になることがほとんどです。
そのため、その人が好むアクティビティを知るには、話し方や表情、姿勢、しぐさといった言葉以外の部分から相手の気持ちを理解するスキルやコミュニケーション能力が必要とされます。認知症ライフパートナーは、これらのコミュニケーション技術やアクティビティ・ケアを計画、実施する技術などを身につけ、仕事に反映させるという役割を担っています。
認知症ライフパートナーの資格は、それぞれの級によって学習する内容が異なります。
3級・2級・1級それぞれの学習内容について見ていきましょう。
認知症ライフパートナー3級では、ケアに関わる専門職だけでなく誰もが身につけておくべき基本的な知識の習得を目指します。
3級の受験資格は、学歴・年齢・性別・国籍など制限はなくどなたでも受験可能です。
認知症ライフパートナー3級では、
・認知症についての基本的な知識
・基本的な症状に対する対応の仕方
・基本的なコミュニケーションのとり方
・身近なケアに活かせる認知症ケアの知識
など、アクティビティ・ケアを進めるうえで、必要となることや手順ついて学習します。
認知症を正しく理解していないと、認知症の方の生活や心を混乱させる原因に繋がることもあるため、本人だけでなく家族やケアにあたる方々が落ちついて対応するために必要な基本的知識や技術を身につけられます。
◇認知症ライフパートナー3級について詳しく知りたい方は「日本認知症コミュニケーション協議会|認知症ライフパートナー3級」をご覧ください。
認知症ライフパートナー2級では、認知症ケアの現場で必要となる専門知識や技術、制度の活用法など、一つ上の専門的な内容について習得を目指します。
2級の受験資格は、学歴・年齢・性別・国籍など制限はなく誰でも受験可能です。
認知症ライフパートナー2級では、
・認知症ケアに効果的な専門知識
・認知症の症状への対応について
・認知症の方に対するアセスメント手法
・認知症の方に対するコミュニケーション手法
・住環境についての知識や意義
・国の施策や制度の活用法について
など、認知症ケアを実施するために必要な基本的ケアの考え方や手法について学習します。
2級を取得することで、在宅や施設などの現場で認知症ケアの即戦力となれる知識を身につけられます。また、認知症の方の生活に総合的にかかわり、支援できる専門職として活躍できます。
◇認知症ライフパートナー2級について詳しく知りたい方は「日本認知症コミュニケーション協議会|認知症ライフパートナー2級」をご覧ください。
認知症ライフパートナー1級は、2016年に新設されたまだ新しい資格です。
認知症ライフパートナー1級では、認知症の方やその家族に対する心理的支援などをおこなうために、必要となるさまざまな知識や能力を身につけます。
1級の受験資格は、2級に合格していることが条件です。
認知症ライフパートナー1級では、
・専門知識
・判断力
・コミュニケーション能力
・情報収集能力
・マネジメント能力
など、認知症に関するさらに深い知識や高い能力を身につけます。
認知症ライフパートナー1級は、指導者としての役割を担うため、より深い認知症に関する内容やアクティビティ・ケアの企画から運営、評価までを実行できる能力と技術を持つことが必要です。
◇認知症ライフパートナー1級について詳しく知りたい方は「日本認知症コミュニケーション協議会|認知症ライフパートナー1級」をご覧ください。
結論からいうと、認知症ライフパートナー資格を取得しても資格手当や給与アップなどはほとんど望めません。給与アップが望めるとすれば、認知症ライフパートナー1級の資格を取得している場合、施設によっては待遇があるかもしれません。
給料アップなどの待遇がないのなら「取得するメリットはあまりないのでは?」と思う方もいるはず。
けれども、認知症ライフパートナーの取得は介護職にとって“2つのメリット”があります。
では、認知症ライフパートナーの取得にはどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
認知症ライフパートナーの資格取得のメリットは、以下の2つです。
メリット(1)|業務をスムーズに進められるスキルが身につく
認知症ライフパートナーの資格は、取得を目指すことで認知症に関する知識や対応方法などケアで役立つ実践的な技術を身につけられます。
そのため介護施設でのケアにおいて、認知症の利用者さんを混乱させないように適切な対応ができるため、業務を滞らせずスムーズに進めることが可能です。仕事量が多く忙しい介護職員にとって、ケアをスムーズにおこなえるスキルが身につけられることは、資格を取得するメリットといえます。
メリット(2)|「利用者さん」と「ケアをする人」の両者のストレス軽減に繋がる
認知症を持っている利用者さんに適切な対応ができるようになることで、ケアの拒絶や暴言を言われるなどの言動が減少します。そのため、利用者さんも心穏やかに過ごせ、ケアをする側の介護職員もストレス軽減に繋がります。両者のストレスが軽減し気持ちよく過ごせるようになることは、認知症ライフパートナーを取得する最大のメリットです。
認知症ライフパートナー資格の取得方法について見ていきましょう。
受験資格や受験料などは、各級によって異なる内容もあるので、資格取得を目指す級をご覧ください。
認知症ライフパートナーの申し込みから受験までの流れをご紹介したいと思います。
認知症ライフパートナーの申し込み方法は「インターネットから申し込む方法」と「FAXまたは郵送で申し込みする方法」の2通りあります。
それぞれの申し込み方法別の「申し込み~受験の流れ」は以下です。
1)検定試験に申し込む
日本認知症コミュニケーション協議会のホームページの「検定試験 お申込み」ページにて必要な情報を入力する。
2)受験料を支払う
申し込みから一週間以内に、銀行または郵便局の指定口座に受験料を振り込む。
銀行または郵便局の指定口座は、申込みの際に入力したメールアドレスに送られる自動返信メールに記載されています。
※入金が確認できない場合は受験できません。受験料の振り込みは申し込み後すぐに手続きをおこないましょう。
3)受験票が届く
受験票発送日に受験票が全国一斉発送されます。
4)受験当日
受験当日は以下3点を持参すること。
・受験票
・筆記用具(HBまたはBの鉛筆およびシャープペンシル・消しゴムのみ)
・身分証明書(運転免許証、パスポート、学生証、社員証など)
原則として第三者機関で発行しており、かつ氏名・生年月日・顔写真の3点を揃って確認できるもの
5)結果発表
結果発表は、合格発表日に合格者の受験番号と模範解答が日本認知症コミュニケーション協議会のホームページにて発表されます。
合格者には合格証が送られます。
1)検定試験に申し込む
電話もしくは日本認知症コミュニケーション協議会のホームページにて、資料請求をおこなう。
取り寄せた資料に同封されている「申込み書」に必要事項を記入の上うえ「日本認知症コミュニケーション協議会 検定事務局」へFAXまたは郵送する。
2)受験料を支払う
申し込みから一週間以内に協議会指定申込書に記載されている銀行または郵便局の指定口座に受験料を振り込む。
※入金が確認できない場合は受験できませんので受験料の振り込みは申し込み後すぐ手続きをしてください。
3)受験票が届く
受験票発送日に受験票が全国一斉発送されます。
4)受験当日
受験当日は以下3点を持参すること。
・受験票
・筆記用具(HBまたはBの鉛筆およびシャープペンシル・消しゴムのみ)
・身分証明書(運転免許証、パスポート、学生証、社員証など)
原則として第三者機関で発行しており、かつ氏名・生年月日・顔写真の3点を揃って確認できるもの
5)結果発表
結果発表は、合格発表日に合格者の受験番号と模範解答が日本認知症コミュニケーション協議会のホームページにて発表されます。
合格者には合格証が送られます。
認知症ライフパートナー検定の受験資格や受験料、合格基準など、各級の受験概要についてご紹介します。
【認定試験】夏期・冬期の年2回実施 ※2・3級の併願受験も可能
【試験時間】10:00~12:00(制限時間2時間)
【受験会場】8会場(予定):札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡・熊本
※受験会場の詳細は受験票でお知らせします。
※会場ごとに定員に限りがあり、ご希望に添えない場合がございます。
【受験料】6,000円
【受験資格】学歴・年齢・性別・国籍による制限はありません。
【試験方式】マークシート式試験
【合格基準】100点満点中70点以上を取ること。
【出題基準】「認知症ライフパートナー検定試験 3級公式テキスト[改訂版]」から出題される。
◇認知症ライフパートナー検定試験の日程などの詳細については「日本認知症コミュニケーション協議会|検定試験 受験要項」をご覧ください。
【認定試験】夏期・冬期の年2回実施 ※2・3級の併願受験も可能
【試験時間】10:00~12:00(制限時間2時間)
【受験会場】8会場(予定):札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡・熊本
※受験会場の詳細は受験票でお知らせします。
※会場ごとに定員に限りがあり、ご希望に添えない場合がございます。
【受験料】9,800円
【受験資格】学歴・年齢・性別・国籍による制限はありません。
【試験方式】マークシート式試験
【合格基準】100点満点中70点以上を取ること。
【出題基準】「認知症ライフパートナー検定試験2級公式テキスト[改訂版]」から出題される。
◇認知症ライフパートナー検定試験の日程などの詳細については「日本認知症コミュニケーション協議会|検定試験 受験要項」をご覧ください。
【認定試験】年1回冬季のみの実施
【試験時間】前半:10:00~12:00(制限時間2時間)
後半:14:00~16:00(制限時間2時間)
【受験会場】5会場(予定):札幌・東京・名古屋・大阪・福岡
※受験会場の詳細は受験票でお知らせします。
※会場ごとに定員に限りがあり、ご希望に添えない場合がございます。
【受験料】14,000円
【受験資格】学認知症ライフパートナー2級に合格している者。
【試験方式】前半:マークシート式試験
後半:記述式試験
【合格基準】前半・後半それぞれ100点満点中70点以上を取ること。
【出題基準】「認知症ライフパートナー検定試験1級公式テキスト」とテキスト外から出題されます。
◇認知症ライフパートナー検定試験の日程などの詳細については「日本認知症コミュニケーション協議会|検定試験 受験要項」をご覧ください。
認知症ライフパートナーは、認知症に関する基本的なことから専門的なこと、また制度の活用法といった内容まで身につけることができる資格です。
認知症を患っている方が増えている今、介護業界では認知症に対する理解や知識、適切な対応を習得しておくことが必要とされてきています。
これから転職を考えいてる方やスキルアップを考えている方は、認知症ライフパートナーの資格取得を考えてみてはいかがでしょうか。
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