介護認定調査員とはどんな仕事?なるための条件や給料は?

更新日:2023年04月14日

公開日:2020年07月08日

介護認定調査員 必要な資格や仕事内容は?

介護保険制度において重要な役割を担う介護認定調査員。
具体的にどんな仕事をする職業なのか?
どうやったらなれるのか?
といった内容をわかりやすく解説します。

介護認定調査員とは

介護認定調査員は、要介護認定を決めるための調査をする役割を担います。
 
要介護認定とは、介護サービスを希望する高齢者に対してどの程度の介護(支援)が必要かを決めること。この要介護認定には段階を踏んでいくつかの調査が必要となりますが、その1次判定のための聞き取り調査を介護認定調査員が行います。

上記の図にもあるように、介護度の判定をするための調査は1次判定と2次判定の2段階に分かれています。
まずは要介護認定の1次判定に必要なデータを集めるために、介護認定調査員が申請者(介護サービス希望者)に直接聞き取り調査を行います。
 
実際に申請者を目の当たりにし、審査に必要な情報を調査して提供する重要な役割を担っています。
申請者の状況をできる限り正確に介護認定審査会委員に伝達するために、調査票や意見書をまとめることが必要となります。
 
とはいえ、認定調査員が1次判定のすべての責任を負うということではありません。
申請者の状態は様々であり、その状況を聞き取り調査だけで正確に判断することは困難です。
介護認定調査員による聞き取り調査のデータと主治医意見書などを基にコンピューターでの1次判定を行います。これは客観的かつ公平な判定を行うためです。
 
さらにコンピューターによる1次判定を基に、保健医療福祉の学識経験者による2次判定を行う2段階の審査によって介護度を判定します。

具体的な仕事内容

繰り返しになりますが、介護認定調査員の主な仕事は申請者への訪問調査。
要介護認定の1次判定をするための情報収集を行います。
 
訪問調査では、概況調査と心身の状況に関する基本調査を実施します。
その中で選択に迷った場合や実際の介助方法が不適切と考えられる場合には、その詳細を特記事項として記録し、介護認定審査会の判断を仰ぎます。

聞き取り調査の内容について

では具体的にどのような内容をヒアリングするのでしょうか。
 
認定調査項目は、

  • 概況調査
  • 基本調査
  • 特記事項

の3つに分類されます。

◆概況調査の構成

1:調査実施者
2:調査対象者
3:現在受けているサービスの状況
4:置かれている環境等
 (家族状況、住宅環境、傷病、既往歴等)

◆基本調査の構成

1:身体機能・起居動作/13項目
2:生活機能/12項目
3:認知機能/9項目
4:精神・行動障害/15項目
5:社会生活への適応/6項目
その他:過去14日間にうけた特別な医療について/12項目

身体機能・起居動作(13項目)
・麻痺等の有無
・拘縮の有無
・寝返り
・起き上がり
・座位保持
・両足での立位保持
・歩行
・立ち上がり
・片足での立位
・洗身
・つめ切り
・視力
・聴力
生活機能(12項目)
・移乗
・移動
・えん下
・食事摂取
・排尿
・排便
・口腔清潔
・洗顔
・整髪
・上衣の着脱
・ズボン等の着脱
・外出頻度
認知機能(9項目)
・意思の伝達
・毎日の日課を理解
・生年月日や年齢を言う
・短期記憶
・自分の名前を言う
・今の季節を理解する
・場所の理解
・徘徊
・外出すると戻れない
精神・行動障害(15項目)
・物を盗られたなどと被害的になる
・作話
・泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる
・昼夜の逆転がある
・しつこく同じ話をする
・大声をだす
・介護に抵抗する
・「家に帰る」等と言い落ち着きがない
・一人で外に出たがり目が離せない
・色々なものを集め、無断でもってくる
・物を壊したり、衣類を破いたりする
・ひどい物忘れ
・意味もなく独り言や独り笑いをする
・自分勝手に行動する
・話がまとまらず、会話にならない
社会生活への適応(6項目)
・薬の内服
・金銭の管理
・日常の意思決定
・集団への不適応
・買い物
・簡単な調理
過去 14 日間にうけた特別な医療について(12項目)
【処置内容】
1. 点滴の管理
2. 中心静脈栄養
3. 透析
4. ストーマ(人工肛門)の処置
5. 酸素療法
6. レスピレーター(人工呼吸器)
7. 気管切開の処置
8. 疼痛の看護
9. 経管栄養

【特別な対応】
10. モニター測定
11. じょくそうの処置
12. カテーテル

参照:認定調査員テキスト 2009|厚生労働省

介護認定調査員になるには

介護認定調査は申請を受けた市町村が主体となって行います。
 
しかし市町村の職員だけでは調査員の必要数をまかなえないため、指定居宅介護支援事業者や介護保険施設にも認定調査を委託。市町村の職員、もしくは市町村から委託を受けた指定居宅介護支援事業者や介護保険施設での介護支援専門員(ケアマネージャー)などが認定調査を行っています。
 
新規申請の約3割、更新申請の約7割が委託による調査です。

介護認定調査員に必要な資格

事務受託法人による認定調査業務は、介護支援専門員のほか下記の2点を満たす者が実施できます。

  • 次の資格を有し、資格取得後に当該資格に係る業務に5年以上従事している、
    もしくは過去に認定調査に従事した経験が1年以上ある者

     
    対象となるのは下記の21資格です。

    医師、歯科医師、
    薬剤師、保健師、
    助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、
    理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、
    社会福祉士、介護福祉士、
    視能訓練士、義肢装具士、柔道整復師、
    あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、
    栄養士、精神保健福祉士

     「当該資格に係る業務」というのは、各資格に基づく実務経験ではなく、介護現場での実務経験を指しています。
    また、市町村の元職員や元ケアマネージャーなどで過去に1年以上認定調査に従事したキャリアを持つ人が対象となります。


  • 都道府県等が実施する認定調査員研修の修了に加え、委託元市町村が実施する質の確保のための研修を修了
     
    これらの条件は令和2年の4月の介護保険法改正によって新たに定められました。

令和2年4月の改正で何が変わった?

これまでは認定調査を指定市町村事務受託法人に委託した場合、当該法人の介護支援専門員が調査をする必要があったのですがその条件が緩和されました。
対象が介護支援専門員から新たに「保健、医療又は福祉に関する専門的知識を有する者」と規定され、具体的には、先述した①、②の条件を満たしていることが要件となります。
 
ただし、これは指定事務受託法人の場合に限ります。
当てはまらないケアマネ事業所、介護施設、包括などでは、従来通りの運用(介護支援専門員による調査)が維持されます。
 
この条件緩和により
・ 要介護認定の効率的かつ確実な実施が可能になる
多様な働き方が可能となり、人材の効率的な就業や確保につながる

といった効果が見込まれています。

まとめ

今後も介護を必要とする高齢者が増え続けることを考えると、介護認定調査員の需要はますます高まるでしょう。
 
介護認定調査員は現状、介護支援専門員の業務と兼務してされている方が多いのではないかと思いますが、自治体の嘱託社員雇用や非正規雇用で1日数時間・週2~3日勤務といった働き方も可能です。
プライベート重視の方やケアマネをしながらWワークしたい方にもおすすめです。
 
興味がある方は、経験を活かしてぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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