更新日:2023年04月13日
公開日:2020年10月13日
近年注目されている「ユニットケア」という介護スタイル。
「入居者にもっと寄り添ったケアをおこないたい」という思いから、ユニットケアに興味を持っている方もいるはず。
そこで今回は、ユニットケアと従来型の違いやユニットケアを受けるメリット・デメリット、また仕事内容や働くうえでの注意点などについてご紹介したいと思います。
ユニットケアとは、介護施設において他の入居者や介護スタッフと共同生活をしながら、一人ひとりの個性や生活リズムに合った暮らしが送れるようにサポートする介護手法のことです。ユニットケアは、入居者を10人以下の人数で一つのユニット(小グループ)ごとに分けます。一つのコミュニティーのように入居者だけでなくスタッフも固定され、自宅にいるような住環境を整えてケアしていきます。
ユニットケアは、2001年から本格的にスタートした比較的新しい介護スタイルです。
2002年からユニットケア型の特別養護老人ホームに対応した施設設備補助金が設けられ制度化されたことで、ユニットケアを導入する施設が増えてきています。
ユニットケアは、特別養護老人ホームだけではなく介護老人保健施設や介護付き有料老人ホームなどにも取り入れられており、いまや珍しい介護方法ではありません。
ユニットケアが増えてきていると言っても、実際にどのような違いがあるのか分からないという方は多いはず。そこで、ユニットケアと従来型にはどのような違いがあるのかについて見ていきましょう。
まず、ユニットケアと従来型の大きな違いは「入居者が生活を送る部屋」にあります。
このように、ユニットケア型と従来型では「個室」なのか「多床室」なのか、また部屋の配置や共有スペースの有無など施設の構造が大きく違ってきます。
では、それぞれの違いについて詳しく説明したいと思います。
【従来型】
従来型の介護施設では、1部屋に4人程度の入居者が一緒に暮らす「多床室」がほとんどです。同じ部屋で複数の入居者が生活しているため、プライバシーの確保が難しく一人でリラックスできる時間などは持ちにくいでしょう。
また、直線の廊下を挟んで一列に並んだ部屋があり、大きな食堂があるという配置になっている施設が多く、自宅よりは病院などに近い構造となっています。
施設には多くの入居者がいるため、効率的に介護ができる「集団ケア」をおこなうことがほとんどです。集団ケアでは、施設が決めたスケジュールに沿ってケアがおこなわれるため、食事や入浴の時間などは決められており個人の生活リズムに合わせて対応することは難しいです。
【ユニットケア型】
ユニットケア型は、一人ひとりに個室がありユニットごとにリビングや共有スペースがある部屋配置が特徴です。入居者の個室があるため、一人でリラックスできる時間を過ごせるだけではなく、しっかりと個人のプライバシーを守れるため、着脱衣やおむつ交換なども人の視線を気にせずおこなうことができます。
また、ユニットケア型にはリビングなど共有スペースが設けられているため、他の入居者と交流することも可能です。
ユニットケアは、入居者の個性や生活リズムを尊重した「個別ケア」で生活をサポートしていきます。そのため、食事の時間や日中どのように過ごすのかなど、一人ひとりの生活ペースに合わせたケアをおこないます。
たとえば、朝食は起きた人から食事を取り、食事内容は個人によってトーストやごはんなど自宅で食べていたメニューに近いものを提供するなど、時間やメニューはさまざまです。
各ユニットには専任スタッフが配置されるため、スタッフや他の入居者との距離が近くなり自宅で生活しているかのように過ごせます。
施設利用者にとって、ユニットケアのメリット・デメリットとはどんなことがあるか見ていきましょう。
【メリット】
〇個室があるためプライバシーを確保できる
〇その人らしい生活を尊重することができる
〇個室のほかにリビングなどの共有スペースがあるため、他の入居者やスタッフと交流できる
〇一人ひとりの状況に合わせた個別ケアを受けられる
〇スタッフは専任なので利用者との距離が近くなり、より家庭に近い環境になる
〇個室のため家族が気兼ねなく訪問できる
〇感染症などを発症しても個別対応しやすい
【デメリット】
●設備が充実しているため、居住費や光熱費が割高になり利用費負担が大きくなる。
●トラブルが起きるとお互い気まずい思いをしてしまう。(場合によっては住み替えの問題が生じるケースも)
●一人が苦手な方にとっては、一人で過ごす時間を孤独に感じてしまう
上記のように、ユニットケアは入居者にとってメリットの多い施設といえます。
ユニットケアで働く介護職員のメリットとしては
・入居者に目が行き届きやすい
・入居者との距離が近くなる
・一人ひとりにあったケアを提供してあげられる
ということです。
ユニットは10名以下と人数が少ないため、入居者それぞれの個性を理解しやすく距離も縮まるのが早くなります。従来型では対応してあげられなかったこともユニットケアなら対応してあげられることが多くなります。
反対に、ユニットケアで働くデメリットは
「複数の仕事を同時に対応しなければならない場面が多い」
ということです。
たとえば、食事の準備中に介助が必要な方がトイレに行こうとしているなどの場面は多々あります。朝の時間帯はスタッフ一人で対応することが多いため、バタバタとなりがちです。
また、夜勤で2ユニットを一人で対応しなければならない施設もあるため、複数の入居者の対応を同時におこなう場合もあり、効率的に動くことが必要とされます。
ユニットケアでの仕事内容は従来型それほど変わりありません。
パジャマから普段着の着替えや食事の介助、入浴介助など、入居者の身の回りに関すること全般のサポートをおこないます。
また、介助以外の仕事としては
・部屋の掃除
・シーツ交換
・食事の盛り付け
・傾聴
・家族の対応
・職員への伝達事項の共有
などです。
個別ケアをおこなうユニットケアでは、従来のように食事時間などのスケジュールを施設で決めていないため、個人々で一日の流れは異なります。
たとえば朝食でみてみると、従来型であれば全員食堂に集まって一斉に食事を取るのがほとんどです。しかし、ユニットケアでは起きてきた人から朝食を食べ始めます。朝食のメニューもその人が自宅で食べていた内容に近いものとなっており、和食派の方には和食メニュー、洋食派の方には洋食メニューを提供します。
このようにユニットケアでは、できるだけ自宅での生活に近づけられるように工夫しながら入居者のケアをおこなっていきます。
ユニットケアで働く介護職員はどのような流れなのか、スケジュール例をご紹介したいと思います。
<< ユニットケアスタッフ 一日のタイムスケジュール例 >>
7:00 出勤・入居者の様子を確認
8:00 朝食(起きてきた人から個々に合わせた配膳や食事介助、口腔ケア、服薬など)
10:00 入浴(入居者一人に対してスタッフ一人で入浴介助)
11:00 昼食(お茶や食事を盛り付けなどの準備、食事介助など)
12:30 スタッフの休憩(食事を取りながらスタッフ同士情報共有することも)
14:30 おやつタイム
15:00 外出をする入居者のサポートなど
16:15 入居者一人ひとりの日中の記録をつける 夜勤スタッフへの申し送り
16:30 業務終了
ユニットケアのタイムスケジュールは、事業者によって始業や終業時間、スケジュール内容は異なりますが、上記のような流れが一般的です。
ユニットケアを導入している介護施設で勤務するにあたっての注意点について見ていきましょう。
ユニットケアの施設で働くにあたっての注意点は以下の3つです。
〇体調管理をしっかりとおこなう
ユニットケアでは、おもに早番・遅番・夜勤に分かれており1ユニットを一人で見なければならない時間帯があります。そのため、体調不良などにより急な欠勤になってしまうと他ユニットのスタッフがサポートすることになり、負担をかけてしまうからです。
〇一人ひとりをよく見る
ユニットケアは個人に合わせた細やかなケアができることが特徴の一つです。
そのため、専任のスタッフを配置し「入居者のわずかな変化にも気づく」ということが求められます。一人ひとりの些細な変化にも気付けるように、入居者とのコミュニケーションや観察することが大切です。
〇細かなことまで記録に残しておく
ユニットケアでは、入居者の生活スタイルや好きな食べ物、好きなテレビなど、その人の個性を細かく記録に残しておくこが大切。詳しく入居者について書いておくことで、万が一スタッフが欠勤することになっても、他ユニットの担当者に入居者の詳細が伝わりやすいからです。他の人が見ても分かりやすいように情報を整理し共有できるようにしておきましょう。
ユニットケアは、入居者が自宅に居るかのように個室やリビングで自由に過ごすことができ、アットホームな雰囲気が特徴の施設です。そのため、ユニットケアで働くスタッフには一人ひとりに合った個別ケアをおこなうための観察力が必要とされます。
入居者と家族のような雰囲気のなかで細やかなサポートをしたいと考えている方は、ユニットケアを導入している施設での勤務に向いているでしょう。
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