更新日:2023年05月22日
公開日:2021年04月05日
2023年度末で廃止される「介護療養型医療施設(介護療養病床)」とはどのような施設なのでしょうか?
介護療養型医療施設の特徴や廃止となる理由、経緯、また新たに創設された「介護医療院」の特徴についてまとめたので、ぜひ参考によんでみてください。
介護療養型医療施設とは、比較的に介護度の高い要介護者に対して充実した医療ケアと介護ケア、リハビリテーションを提供する施設です。介護療養型医療施設は、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)のように要介護者が入居できる公的施設の1つとなっています。
厚生労働省によると、介護療養型医療施設を以下のように定義しています。
療養病床等を有する病院または診療所であって、当該当療養病床等に入院する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療行為を行うことを目的とする施設。
(旧介護保険法第8条第26項)
※引用:厚生労働省|介護療養型医療施設及び介護医療院(参考資料)
介護療養型医療施設は介護療養病床とも呼ばれ、医療法人による運営がほとんど。また看護師の人員配置がほかの介護施設より多く、手厚い医療ケアやリハビリテーションを受けられます。
介護療養型医療施設の特徴について詳しく見ていきましょう。
介護療養型医療施設の入所基準は以下のようになっています。
年齢:原則として65歳以上
介護レベル:要介護1~5の認定を受けている
医療措置:必要
介護療養型医療施設は、医学的管理が必要な要介護1~5の認定を受けた人のみ利用することができます。要支援1・2の認定を受けている方は入所することができません。
しかし実際の利用者は、要介護度4以上かつ80歳以上の高齢者が大部分を占めているため、上記の基本条件を満たしていても、介護度が低いと入所することが難しいのが現状です。
介護療養型医療施設で提供されているサービスは以下の4つ。
●医師による診療
●医師・看護師による医療的ケア
●看護師・起動訓練指導員によるリハビリテーション
●介護職員による介護ケア
介護療養型医療施設では、入居者100人につき常勤の医師が3人、また常勤の下院後職員や介護職員はそれぞれ17名以上が義務付けられ、医療機関に近い介護施設です。
医師や看護師が常駐しているため、痰の吸引や胃ろう、経鼻栄養、酸素吸引といった医療ケアが充実していることが大きな特徴です。
介護療養型医療施設は療養することが目的であるため、一般的な有料老人ホームのようにイベントやレクリエーションなどにはあまり力を入れていません。また掃除や洗濯、買い物といった生活援助系のサービスもあまり提供されていません。居室は医療施設と同じように多床室である場合がほとんどです。
介護療養型医療施設はなぜ廃止されるのでしょうか?
介護療養型医療施設の廃止理由やその経緯について見て分かりやすくまとめてみたので見ていきましょう。また、新たに創設された介護医療院とはどのような特徴を持っている施設なのか紹介していきたいと思います。
「介護療養型医療施設」は、2023年度末で完全廃止となります。
厚生労働省は、2017年度末で介護療養型医療施設を廃止することを決定しており、2024年3月末までを移行期間としています。
厚生労働省は当初、2006年に医療構造改革を発表し2011年度末をもって「介護療養型医療施設」の廃止を決定していました。しかし、移行先であった介護老人保健施設などへの転換がうまく進まなかったことを理由に、期間を延長し2017年度末で廃止となりました。
そして介護療養型医療施設の廃止後、受け皿となる新しい施設「介護医療院」が2018年4月に創設されました。
廃止後である現在でも介護療養型医療施設が運営されているのは、2023年度末までを移行期間として設けているからです。現在運営している介護療養型医療施設も2024年3月末をもって全面廃止となります。
介護療養型医療施設廃止の理由は以下。
■実際、介護保険施設である「介護療養型医療施設(介護療養病床)」と医療保険の対象となる「療養型病院(医療療養病床)」の違いがなくなっていた
国が調査をした結果、両施設において「医療の必要性が高い患者と低い患者が同じ比率で混在している」また「医療を必要としていない高齢者が介護療養型医療施設を利用している」ということが明白になった。
■以前から問題とされていた高額な医療費や介護費の問題、看護スタッフの人員不足
以上2つの問題が介護療養型医療施設を廃止したおもな理由です。
これらの問題を解決するためには、医療的ケアを必要とする患者と医療的ケアの必要性が低い患者を適切に分別する「療養病床の再編成」が必要という判断が下されました。
介護医療院は、2018年4月に創設された介護療養型医療施設の代わりとなる施設です。
要介護の認定を受けた高齢者を対象とし「長期療養のための医療ケア」と「日常生活上の介護ケア」を一体的に提供します。
介護医療院は、
・「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」などの医療機能
・生活施設としての機能
といった条件を兼ね備えた施設となっています。
介護医療院の特徴は以下の3つ。
◇長期療養のための医療ケアが必要な要介護高齢者を受け入れる
◇看取りやターミナルケアを提供する
◇生活の場としての機能を持っている
介護医療院のもっとも大きな特徴は、医療や介護の提供だけでなく「生活の場」を提供することです。長期療養が必要になっても「住み慣れた地域で生活ができる場所」を提供することで、自分らしい暮らしを送れるようになります。
介護医療院は、Ⅰ型とⅡ型の2つに分かれます。
介護医療院 | ||
---|---|---|
Ⅰ型 | Ⅱ型 | |
基本性格 | 要介護高齢者の長期療養・生活施設 | |
主な利用者増像 | 重篤な身体疾患を有する者及び 身体合併症を有する認知症高齢者等 | Ⅰ型と比べて、容体は比較的安定した者 |
施設基準 (最低基準) | 介護料療養病床相当 医師 48対1 看護師 6対1 介護士 6対1 | 老健施設相当以上 医師 100対1 看護師 3対1 介護士 3対1 |
面積 | 老健施設相当(8.0 ㎡/床) |
Ⅰ型は、重度の要介護者や身体合併症を持つ認知症の高齢者などがおもな対象となっています。介護療養病床に相当するサービスを提供し、24時間体制の看取りケアやターミナルケアも対応します。
Ⅱ型は、Ⅰ型より比較的に容体の安定した高齢者を対象とし、介護老人保健施設に相当するサービスを提供します。看取りケアやターミナルケアについては、オンコール体制で実施されています。サービス内容は介護老人保健施設相当ですが、老健のように3カ月単位での退所判定はおこなわず、Ⅰ型・Ⅱ型ともに終身制の施設となります。
またⅠ型・Ⅱ型とは別に、居住スペースと医療機関を併設した「医療外付け型」もあります。
医療外付け型のおもな利用対象者は「医療の必要性は多様だが、容体は比較的安定した者」となっており、居住スペースは個室で13㎡以上とⅠ型・Ⅱ型よりも広い基準となっています。
医療外付け型は、Ⅱ型よりも自立度が高い高齢者を受け入れる施設となっており、個室スペースの確保や充実した介護サービスを受けられるということが特徴と言えます。
介護療養型医療施設はまもなく廃止されてしまいますが、介護医療院は2018年にスタートしたばかりで、まだあまり浸透していないのが事実です。
介護職のなかにも「聞いたことがなかった」という方もいるのではないでしょうか。
介護医療院は医療ケアがおこなわれるため、他の介護施設で働くよりも介護と医療に関する高い知識やスキルが求められます。そのため介護職員として「さらにスキルアップを図りたい」と考えている方におすすめの施設です。
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