介護の仕事をしてみようかとお考えの皆さんに、介護士になるための方法について解説します。
「介護士はどのような仕事をするのか」「必要な資格はあるのか」など、詳しくお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてください。
介護士とは
介護士とは介護の仕事(身体介護や生活援助などの実務)をしている人の総称として使われる場合が多く、介護職、介護職員と同義と考えてよいでしょう。
たまに介護福祉士のことを介護士という場合がありますが、正式には介護士と介護福祉士は同じ意味ではありません。
介護福祉士は介護の仕事をするすべての人を指す名称ではなく、介護士のなかでも「介護福祉士」という国家資格を持つ人に限定された呼称になります。
介護士=介護福祉士ではないという点を理解しておきましょう。
介護士の仕事内容
介護士の仕事内容は介護サービス利用者の身の回りのお世話や介助をすることです。大きく分けて「身体介護」と「生活援助」という介護業務になります。●身体介護
利用者の身体に直接接触して行う介助サービスや、自立支援のための見守りなどが身体介護にあたります。主に・排泄介助・食事介助・入浴介助・清拭・身体整容・更衣介助・体位変換・移動・移乗介助・外出介助・起床・就寝介助・服薬介助などの介助業務です。●生活援助
家事の援助など「本人の代行的なサービス」として位置づけられている、身体介護以外の介護サービスが生活援助です。具体的には・掃除・洗濯・ベッドメイク・衣服の整理・被服の補修・一般的な調理、配下膳・買い物・薬の受け取りなどが、それにあたります。 介護士の働き方
介護士が持っておきたい代表的な資格
介護職のための代表的な資格は次の3つです。
・介護職員初任者研修
・介護福祉士実務者研修
・介護福祉士
これらの資格取得は法的義務ではありません。
しかし資格を持っていると介護の基本的な知識や技術があることの証明となるため、介護職の就職活動の際には無資格よりも有利になるでしょう。
介護職員初任者研修
介護職を始めるうえで欠かせない、介護のスタートラインとなる資格です。介護の基本的な知識や技術を身につけることができる研修で、学習時間は130時間。2ヶ月程度の期間をかけて学び、最後に修了試験に合格すれば資格を取得できます。費用は無料~数万円までと通うスクールによって異なるため、事前に必ず調べましょう。この研修を修了しているかどうかで、未経験からの転職成功率は大きく変わるでしょう。<詳しくはこちら>◆どんな資格?介護職員初任者研修を徹底調査! 介護福祉士実務者研修
受講条件は特になく何歳であっても受講できますが、初任者研修と比べてより実践的な内容となっているため、ある程度介護の知識や経験がある方が内容を理解しやすいでしょう。資格取得には原則20科目、合計450時間のカリキュラムを修了する必要があります。なお次に紹介する介護福祉士資格を取得するには、まずこの実務者研修の修了が必須になるということも覚えておきましょう。<詳しくはこちら>◆介護福祉士実務者研修ってどんな資格?徹底調査しました! 介護福祉士
介護福祉士資格は十分な知識・技術を備えたプロフェッショナルの介護士であることを証明する国家資格です。介護福祉士国家試験に合格しなければ、介護福祉士と名乗ることはできません。なお国家試験を受験するには、介護福祉士実務者研修を修了していることや福祉系学校を卒業しているか3年以上の実務経験があることなどの条件を満たしている必要があります。<詳しくはこちら>◆かんたん解説!介護福祉士とはどんな資格? なお、下記コラムでは介護士に役立つさまざまな資格を紹介しています。あわせてご覧ください。
◆知って得する!介護の資格を徹底調査しました! 介護士になるための方法
介護士になる方法についてお伝えしていきます。
結論からいうと介護士になるために、資格や経験は必須ではありません。
すぐにでも介護の仕事に就きたいという場合、求人に応募して採用されれば介護士として働くことができるのです。
しかし、全ての職場が無資格未経験で働けるわけではありませんし、資格の有無によって業務の幅は限られています。
また「どんな介護士になりたいか」「介護士として何を実現したいか」思い描くキャリアプランや働き方は人それぞれかと思います。
本コラムをお読みの皆さんも、これから高校や大学に進学予定の人もいれば、中卒や高卒、主婦(主夫)から介護の道に進む人、異業種から介護士へ転職する人など状況はさまざまでしょう。
ここからは介護士になるためのステップとして、代表的な3つの方法をご紹介していきますので、自分にはどの方法が合っているかを決める参考にしていただければと思います。
◆無資格・未経験で介護現場に飛び込む
先ほどお伝えしたように、すぐにでも働きたいという方は、無資格未経験OKの介護現場で働き、のちのち資格取得を目指すという方法がよいでしょう。資格取得支援制度を設けている職場もありますので、求人を探す際はそういった情報も確認しておきましょう。なぜ初任者研修を受講すべきかというと、介護業務の基本となる身体介護をするうえで必要だから
です。入職後に初任者研修を受けることを採用条件としている職場もあります。利用者の身体に直接触れる介助などの行為は初任者研修を修了していない職員には任せてもらえません。食事の配膳や、居室の清掃、片付けといった生活援助の業務や介護補助的な業務が中心になります。一人前の介護士として職場の戦力になるためにも、働きながらできるだけ早い段階で取得することをおすすめします。
なお無資格未経験でも応募できる求人の多くは高齢者施設や病院です。訪問介護員を希望する場合には、初任者研修の修了が必須となりますので注意しましょう。また知識や経験がない中で働く場合、人一倍のやる気や努力が求められることを心得ておかなければなりません。
◉メリット
・介護士としてすぐに働くことができる
・働きながら介護の知識や技術を学べる
◉デメリット
・初任者研修を修了するまでは、業務(勤務先)が限定される
・採用のハードルが高くなる
・仕事と資格取得の勉強を両立しなければならない
◆介護職員初任者研修を修了してから介護現場で働く
まずは初任者研修を修了してから就職活動するという方法です。
初任者研修を修了していると、介護の基礎知識を持っていることが証明されます。
同じ介護職未経験であっても無資格の場合と比べて採用率はぐっと高くなるでしょう。
多くの選択肢の中から条件に合う職場を見つけたい場合にも、初任者研修を修了してから就職活動することをおすすめします。
また先に初任者研修で介護知識・技術を学んでおくことで、現場での業務がスムーズに進められる可能性が高くなるでしょう。
◉メリット
・就職先の選択肢が広がる
・採用の確率が高くなる
・給料に資格手当がつく場合がある
・基礎知識があることで初めての業務も理解しやすくなる
◉デメリット
・130時間(2カ月程度)の学習が必要
◆福祉系の学校に進学してから介護現場で働く
介護士になるには、介護福祉系の学校に通ってから就職するという方法もあります。
今、中学生や高校生の皆さんは、介護の道に進むために進学を考えている人もいるかもしれません。
介護士を目指す人のための学校には、高校や大学(短大)、専門学校があります。
講義や実習を通して専門知識をじっくり学ぶことができますし、高校や大学であれば介護以外の分野や教養も身につけることができます。
また必要単位を習得して卒業することで介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができ、試験に合格すれば実務経験を積む前から、介護福祉士として働くことができます。
しかし、学費は数百万円単位でかかりますし、介護士になるまでに3年~4年はかかることになります。
もしすでに社会人の方が介護福祉士資格を取得するためだけに進学を検討されているならば、介護現場で実務経験を3年積んで資格を取得する方法をおすすめします。
◉メリット
・介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
・はじめから介護福祉士として働ける
・介護以外にも様々な分野の学習ができる
・高卒、大卒資格を取得できる
◉デメリット
・介護士として働くまでの期間(学生期間)が長い
・費用がかかる
介護士の将来性
日本は深刻な介護人材不足です。団塊の世代が後期高齢者となる2025年に超高齢化社会を迎える日本において、介護人材は200万人不足すると予想されています。介護職員の需要はこの先もしばらく高まっていくことは間違いないでしょう。そのような人材不足を背景に、今、介護業界では、介護職員の処遇改善や介護ロボットの導入などが進められています。また介護業界のキャリアパス制度も確立されつつあります。キャリアを積んでリーダーや管理職を目指したり、生活相談員やケアマネージャーに転身したりと、多様な働き方が可能です。今後はより一層、職員の働きやすさややりがいが重視されていく業界となるでしょう。<参考コラム>◆介護職のキャリアアップの方法を一挙公開!◆介護職のキャリアパスとは?制度の目的、事業者・職員それぞれのメリットを解説! まとめ
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