更新日:2023年04月07日
公開日:2021年06月28日
幼老複合施設というものが最近増えつつあります。
名前の通り、児童向けと高齢者向けの施設が複合している建物なのですが、世間一般にはまだあまり馴染みがありません。どういった施設か知らないという介護職員も多いのではないでしょうか?
本コラムでは幼老複合施設について解説していきます。
施設の詳細や仕事内容などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
幼老複合施設とは、保育所などの児童向け施設と高齢者施設が同じ敷地内に建てられている複合施設を指します。「介護と保育が共生している」施設といえるでしょう。
例えばグループホームと保育園が併設、デイサービスと児童館が併設など、その組み合わせはさまざま。敷地内にそれぞれの施設が独立して建てられ、食事や季節の行事などを共にすることで交流を持つというケースが多いようです。
全国的に見てもまだ数は少ない幼老複合施設ですが、多くのメリットがあり、よい事例が広まっていけば今後も増えていく可能性があります。
幼老複合施設を建設する目的は大きく2つあると考えられます。
・複合することで費用を抑える
・異世代間の交流を促進する
この2点です。
まずは単純に、施設を複合することによって土地や建物を有効活用し、建築費、運営コストを抑えるためです。国や自治体も補助金の給付を積極的に行っており、運営費や設備投資に利用できます。
そして、利用者と子ども達、地域住民など幅広い世代との交流の場を設けるという目的もあります。
高齢化社会、認知症高齢者が増加している現在の日本では、地域包括ケアシステム(※)の構築が欠かせません。そんな中で、幼老複合施設は「高齢者の社会参加」の役割を持ちます。
子ども達とふれあうことで笑顔になり、活力を得られる高齢者が増えます。
また子ども達にとっても、多世代とふれあうことで思いやりの心が芽生えたり、成長につながる機会が増えるでしょう。
異世代間の交流が生まれる幼老複合施設は、高齢者だけでなく相互にメリットがある施設といえます。
※地域包括ケアシステムとは
高齢者の尊厳の保持と自立支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるための地域の包括的な支援・サービス提供体制のこと
幼老複合施設では、高齢者と子ども達が1日中同じ場所で生活を共にするというわけではありません。
交流方法や頻度は施設によって異なっており、それぞれの施設に行き来することもあれば、共同スペースで一緒に過ごすこともあります。
主な活動として、次のようなことが挙げられます。
・食事、おやつ
・体操
・散歩
・お絵かき
・簡単な調理
・歌やお遊戯
・レクリエーション
・季節の行事
・誕生日会
これらは一例ですが、共同作業や触れ合いの時間を多く作ることで両者の関係が深められていきます。
介護職員が幼老複合施設で働く場合には何か特別な資格が必要なのでしょうか?
また仕事内容は介護と保育どちらをするのか、それとも両方担当するのか、どういった働き方をするのでしょうか?
ここからは幼老複合施設で働くための条件や仕事内容についてお伝えしていきます。
幼老複合施設には、介護士と保育士の両方が配置されます。
当然ですが介護士は高齢者の介護を行い、保育士は子ども達の保育をします。
それぞれに役割が異なり、業務内容も区別されているため、介護と保育いずれかの専門資格や知識・経験があれば働くことは可能です。
ただし、どちらの職種にせよ高齢者とも子ども達とも関わる場面は多くありますので、両分野の知識がある程度は必要かもしれません。
介護福祉士と保育士の両方の資格を持っている方は歓迎されるでしょう。
仕事内容は一般的な介護施設での仕事内容と大差ありません。
介護職員として入職した場合には、主業務は高齢者の身体介護や生活支援になります。
ただし幼老複合施設は、施設形態がバラバラです。
特別養護老人ホーム、デイサービス、グループホーム、有料老人ホームなど、その施設形態によって利用者の要介護度や働き方は異なりますので注意しましょう。
また子ども達との交流時には、高齢者だけでなく園児たちの面倒を見たり、一緒に遊んだりすることもあります。レクリエーションや行事も充実しているところが多いでしょう。
最後に幼老複合施設で働く場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
転職をご検討の職員さんはぜひ参考にしてください。
幼老複合施設で働く、メリットは以下です。
・子ども達とも触れ合える
・自身の子どもを入園させられる
・保育料が割引になる
幼老複合施設で介護職をするメリットは、何といっても子ども達とも触れ合えることです。
園児が楽しそうに走り回る姿や、高齢者の方々のいきいきとした笑顔、世代間交流など、他の高齢者施設では見られない幼老複合施設ならではの環境で働くことができます。
子ども好きな介護職員さんにはぴったりの職場ではないでしょうか。
またお子さんがいる職員は、優先的に自身の子どもを預けられる可能性があります。
また保育料が割引になるなどの福利厚生を受けられる場合もあります。
ただし、これは職場によりますので、希望される場合は必ず事前に確認しておきましょう。
幼老複合施設で働く、デメリットは以下です。
・負担が大きい
・事故やトラブルの危険性
・感染症のリスク
介護士と保育士で役割が分かれているとはいえ、高齢者と子ども達が同じ場所で過ごす際にはやはり両方に気を配らなければなりません。
例えば、認知症の方が園児に暴言を吐いたりしないか、園児が走り回って介護事故が起こらないか、といったことにも注意する必要があります。
高齢者と子ども達とでは思考や行動が違うため、気をつけるべき点が違ってきます。
保育に関する勉強が必要になり、負担が大きいと感じることもあるかもしれません。
また感染症のリスクもあります。
高齢者も子ども達もウィルスに対する免疫は低く、風邪や感染症をうつしあってしまう可能性があるため、より一層感染対策が必要となります。
職員も感染するリスクは十分にありますので、その点も理解しておかなければならないでしょう。
幼老複合施設について解説しました。
高齢者にとっては生きがいや活力につながり、子ども達にとっては思いやりやマナーを身につけることができるといった多くのメリットがある施設です。
働き手にとっては大変な部分もありますが、それ以上に他の介護施設では得ることのできない体験や感動があるのではないかと思います。
まだ数はそれほど多くはないものの、今後増えていく可能性のある幼老複合施設。
転職先の選択肢の一つとしてぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
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コラム「介護の施設・サービスをご紹介!種類別にまとめました!」
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コラム「老人ホームの種類・特徴を介護職員向けにわかりやすく解説」
「幼老複合施設で働きたい」
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※掲載情報は公開日あるいは2023年04月07日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。