地域密着型の介護サービス、小規模多機能型居宅介護をご存知でしょうか?
名前は聞いたことがあるけど、詳しいサービス内容がわからないという方も多いかもしれません。
本コラムでは小規模多機能型居宅介護とは何かを詳しく解説します。
仕事内容やサービスの特徴などをわかりやすくお伝えしますので、転職をお考えの職員さんはぜひ参考にしてください。
小規模多機能型居宅介護とは
小規模多機能型居宅介護は「通い」「宿泊」「訪問」の3つサービスを1つの事業所が提供している地域密着型の介護サービスです。略して、小多機(しょうたき)ともいわれています。(以下、「小多機」表記あり)利用者は通い、宿泊、訪問の中から、その時に必要なサービスを自由に選択し、組み合わせて利用できます。介護を必要とする高齢者であっても、できる限り住み慣れた地域で自立した日常生活を送れるように支援することが小規模多機能型居宅介護の役割
です。 小規模多機能型居宅介護の特徴
小規模多機能型居宅介護の最大の特徴は、1つの事業所が通い、宿泊、訪問を提供している定額の介護サービスという点です。
これは利用者にとって大きなメリットがあります。
通常、デイサービスや訪問介護など、介護サービスを複数利用する場合には、利用者と各サービス事業者が個別に契約しなければなりません。
しかし小多機の場合、同一の事業者が3つのサービスを提供するため、利用者が個別にサービスを探して契約を交わす必要がなくなります。
またどのサービスも同じ事業所の職員が行うため、新たに人間関係を構築する必要もありません。
そして利用料が月額定額制であることから、どのサービスを何度利用しても介護保険利用限度額を超える心配はありません。
(食費・宿泊費・おむつ代などは、別途必要です。)
このような仕組みで、利用者がストレスなく在宅介護を受けられるようになっています。
サービスを利用できる対象者
要支援1~要介護5までの在宅介護の高齢者であれば利用できます。
ただし地域密着型サービスのため、原則として事業所が所在する市区町村に住んでいる(住民票がある)人が対象です。
小規模多機能型居宅介護のサービス内容
小規模多機能型居宅介護は、その名の通り小規模の介護サービスです。1事業所につき登録者数は29名以下、通いは15名以下、宿泊は9名以下と定められています。サービス内容は、繰り返しになりますが、・通い・宿泊・訪問の3つのサービスです。通いはデイサービス、宿泊はショートステイ、訪問は訪問介護の位置付けになります。しかし通常の各サービスと比べると制限が少なく、自由度が高い傾向にあります。例えば、通常のデイサービスだと利用時間が何時から何時までと決められていることが多いですが、小多機の場合には「リハビリだけ」「入浴だけ」など必要なメニュー・時間のみ利用することが可能です。このように少人数制のアットホームな環境で、24時間365日、一人ひとりの利用者に寄り添ったサービスを提供
しています。<各サービスについてはこちら>◆デイサービスコラム「デイサービスってどんなサービス?」◆ショートステイコラム「ショートステイってどんなサービス?」◆訪問介護コラム「訪問介護ってどんなサービス?」なお、よく似たサービスとして看護小規模多機能型居宅介護(かんたき)があります。これは小規模多機能型居宅介護に訪問看護が加わったもので、医療ケアが必要な方向けのサービスです。小多機とは別の介護サービスになりますので注意しましょう。<詳しくはこちら>コラム「看護小規模多機能型施設(かんたき)ってどんな施設?」 小規模多機能型居宅介護の仕事内容
では、小規模多機能型居宅介護で働く職員の詳しい仕事内容についてお伝えしていきます。
人員基準
まずは小多機の人員配置基準から見ていきましょう。
小規模多機能型居宅介護 人員配置基準 |
職種 | 本体事業所 | サテライト型事業所 |
代表者 | 認知症対応型サービス事業開設者研修を修了した者 | 本体の代表者 |
管理者 | 認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した常勤・専従の者 | 本体の管理者が兼務可能 |
通い | 常勤換算方法で3:1以上 | 常勤換算方法で3:1以上 |
訪問 | 常勤換算方法で1以上(他のサテライト型事業所の利用者に対しサービスを提供することができる) | 1以上(本体事業所又は他のサテライト型事業所の利用者に対しサービスを提供することができる) |
夜勤 | 時間帯を通じて1以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる) | 時間帯を通じて1以上(宿泊利用者がいない場合、置かないことができる) |
宿直 | 時間帯を通じて1以上 | 本体事業所から適切な支援を受けられる場合、置かないことができる |
看護職員 | 小規模多機能型居宅介護従業者のうち1以上 | 本体事業所から適切な支援を受けられる場合、置かないことができる |
介護支援専門員 | 介護支援専門員であって、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者1以上 | 小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修を修了した者1以上 |
介護職員の仕事内容
介護職員の仕事内容は、他の介護施設での仕事内容と大きな違いはありません。ただし、通い、宿泊、訪問と担当するサービスの違いによって、業務内容は異なります。◆通い
・健康チェック・身体介護(食事介助、入浴介助、排泄介助など)・レクリエーションの企画・実施・機能訓練の補助・利用者の送迎・事務など◆宿泊
・健康チェック・身体介護(食事介助、入浴介助、排泄介助など)・服薬介助・口腔ケア・就寝・起床介助・レクリエーションの企画・実施・利用者の送迎・事務など◆訪問
・安否確認、健康チェック・掃除、洗濯、調理、配食、ゴミ出しなどの生活援助・食事介助、移動介助、排泄介助などの身体介助・服薬介助・通院・外出介助・地域集会などの参加のための調整・事務など小規模多機能型居宅介護事業所で働く介護職員は、概ねどのサービスも担当することになるでしょう。もちろん夜勤もあります。送迎業務があるので、自動車免許の資格が必要条件になっている場合が多いです。 ケアマネージャーの仕事内容
小規模多機能型居宅介護にはケアマネージャーが1名以上所属します。
複数のサービスが一体型になっているため、専属のケアマネージャーが所属し利用者一人ひとりのアセスメントを行った上でケアプランを作成します。
・介護サービス計画書の作成、プランの見直し
・利用者のご家族との連絡・調整
・事業所・施設、関係機関との連携
・モニタリングや会議記録などの帳票作成
・介護業務
などが主な業務内容です。
多くの事業所ではケアマネ業務に加えて、介護業務が兼務になるでしょう。
なお、小多機のケアマネージャーとして働くには、認知症介護実践者研修、小規模多機能型サービス事業管理者研修を修了する必要があります。
まとめ
小規模多機能型居宅介護について解説しました。
ひとつの事業所が包括的にサービスを提供できることは、利用者にメリットがあるだけでなく、職員にとっても大きなやりがいにつながるのではないかと思います。
「利用者さん一人ひとりに対してもっと寄り添ったケアがしたい」
「利用者さんと深く関わり、信頼関係を築いていきたい」
とお考えの介護職員さんにはぴったりの職場ではないでしょうか。
本コラムが、転職をお考えの職員さんの参考になれば幸いです。
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