「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」。
長い名称で覚えるのも大変ですが、介護老人福祉施設とは特別養護老人ホーム(通称:特養)のことで、一般的には「地域密着型特別養護老人ホーム」とも呼ばれています。
一体どのようなサービスで、通常の特別養護老人ホームとはどのような違いがあるのでしょうか?
わかりやすく解説していきます。仕事内容に興味のある職員さんはぜひ参考にしてください。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)とは
地域密着型介護老人福祉施設とは、常に介護が必要となる高齢者ができる限り自立した生活を送れるように支援する定員29名以下の入所施設
です。2006年に新設された地域密着型サービスのひとつに含まれます。「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」が正式名称ですが、一般的には「地域密着型特別養護老人ホーム」と呼ばれることの方が多いかもしれません。 役割
可能な限り在宅生活への復帰を目指し、利用者が自身の能力に応じて自立した日常生活を送れるように支援することが、地域密着型介護老人福祉施設の役割
です。また先ほど、地域密着型介護老人福祉施設は地域密着型サービスのひとつとお伝えしました。地域密着型サービスとは、できる限り住み慣れた場所で人生の最期まで過ごしたいという高齢者らを地域全体で支援する「地域包括ケア」を実現するための介護サービスです。自立支援に基づいた介護サービスを提供するだけでなく、地域の高齢者の相談拠点という役割も期待されており、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行う
ことが求められます。 利用対象者
サービスを利用できるのは、施設が所在する地域に住む要介護認定を受けている高齢者です。
要介護3以上の方が対象となっています。
要支援1、2の方は利用不可です。
要介護1、2の方は原則利用不可ですが、特例として下記条件に該当する場合には受入れ可能となります。
<特例条件>
・認知症により、日常生活に支障をきたす症状・行動が頻繁に見られ、在宅生活が困難な場合
・知的障害・精神障害により、日常生活に支障をきたす症状・行動が頻繁に見られ、在宅生活が困難な場合
・家族による深刻な虐待が疑われるなどの理由により、在宅生活では心身の安全・安心確保が困難な場合
・単身世帯である、または同居家族らによる支援が期待できず、かつ、地域の介護サービスなどの供給が不十分なことで在宅生活が困難な場合
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のサービス内容
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護で提供されるサービスは、主に以下のような内容です。
・食事
・入浴・清拭
・排泄
・健康管理
・機能訓練
・居室清掃
・身の回りの世話
・療養上の世話
このようにサービス内容は通常の特別養護老人ホームと基本的には変わらず、身体介護や生活援助が中心となっています。
特別養護老人ホームとの違いは?
では地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)と従来の特別養護老人ホームでは何が違うのでしょうか?大きな違いは、利用対象者と定員です。
地域密着型特別養護老人ホームでは、施設が所在する地域の住民であることが利用条件となっており、定員は29名以下の小規模施設という特徴があります。一方、従来の特別養護老人ホームは、一般的に「広域型」と呼ばれる定員が30人以上で利用者の居住地域を限定しない施設
を指します。地域密着型は地域に根づいた少人数制サービスであることから、アットホームで雰囲気は明るいことが特徴です。地域やご家族との結びつきを重視しており、市町村や介護・医療・福祉サービス、地域住民と密に連携しながら運営されています。 施設形態
そして地域密着型介護老人福祉施設の形態には「単独型」「サテライト型」「併設型」があります。◆単独型
単独型は、名前の通り地域密着型介護老人福祉施設を単独で運営する形態です。利用者の個室と共同スペースからなる「ユニット型」の施設が多い傾向にあります。◆サテライト型
サテライト型は、本体施設(広域型特別養護老人ホームなど)と密に連携を取りながら、本体施設とは別の場所で運営される居住施設です。本体施設と同一法人によって設置され、原則20分以内の場所で運営されます。後述しますが、サテライト型は本体施設と適切に連携できる場合に限り、一部の人員配置基準が緩和されています。◆併設型
併設型は、居宅サービス事業所や地域密着型サービス事業所などと併設されている地域密着型特養です。 仕事内容
地域密着型介護老人福祉施設での介護職員の仕事内容は、・身体介助・居室整備・洗濯・機能訓練の補助・レクリエーション企画・実行・散歩の付添い・買い物代行・身の回りのお世話・記録作成、事務作業などです。24時間体制ですので、夜勤もあります。これらは、他の介護施設での仕事内容と大きな違いはありません。ただし、地域密着型介護老人福祉施設は29名以下の小規模施設のため、大規模な介護施設に比べて、より接遇マナーやホスピタリティが重視される傾向です。
利用者一人ひとりに向き合った手厚い介護サービスを提供することが求められます。また在宅復帰を目指す施設であることから、在宅復帰する利用者の退所準備、新たな利用者の受け入れ準備なども頻繁に起こる可能性があります。 人員基準
地域密着型介護老人福祉施設では以下の職種、人数が義務付けられています。◆管理者
常勤専従1名管理上で支障がない場合は、同事業所の他職務や同一敷地内の他事業所・施設等に従事可能。<資格要件
>・社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用・社会福祉施設長資格認定講習課程修了者などのいずれかの資格所有者◆医師
入所者に対し健康管理、療養上の指導を行うために必要な数 サテライト型:本体施設(老健) の医師が処遇を適切に行える場合に限り、配置なしでも可能。◆生活相談員
常勤で1名以上サテライト型:常勤換算方法で1名以上本体施設(老健) の生活相談員が処遇を適切に行える場合に限り、配置なしでも可能。<資格要件
>・社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事・介護福祉士・介護支援専門員などのいずれかの資格所有者◆看護師、准看護師 または介護職員
総数は、3:1(入所者の数:職員の数)以上看護職員:1名以上必要、内1名は常勤介護職員:1名以上は常勤サテライト型:看護職員は常勤換算方法で1名以上であれば、非常勤でも可能<資格要件
>看護職員:看護師か准看護師の資格所有者介護職員:なし◆機能訓練指導員
1名以上サテライト型:本体施設(特養・老健) の機能訓練指導員が処遇を適切に行える場合に限り、配置なしでも可能。<資格要件
>・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格所有者 ◆介護支援専門員(ケアマネージャー)
常勤専従で1名以上2人目からは非常勤可能サテライト型:本体施設(特養・老健・介護療養型医療施設)の介護支援専門員が処遇を適切に行える場合に限り、配置なしでも可能。<資格要件
>介護支援専門員の資格所有者◆栄養士
1名以上配置サテライト型:本体施設(特養・老健・100床以上の病院)の栄養士が処遇を適切に行える場合に限り、配置なしでも可能。<資格要件
>・管理栄養士・栄養士いずれかの資格所有者 まとめ
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について解説しました。
明るく家庭的な雰囲気で地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、地域の高齢者の相談拠点としても機能しています。
「小規模施設で利用者一人一人の方と向き合った介護がしたい」
「ホスピタリティを重視した施設で働きたい」
という介護職員さんにおすすめの職場ではないでしょうか。
本コラムが参考になりましたら幸いです。
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