更新日:2023年03月31日
公開日:2021年09月07日
これから介護職として働く方、働き始めた方のなかには、介護現場で利用者さんに対する「言葉遣い」に迷っている方は多いのではないでしょうか?
年長者に対しては敬語を使うのが一般的ですが、介護現場では利用者さんにタメ口で話している介護スタッフもいれば、敬語で話している介護スタッフもいて、どちらを使えばよいのか分からなくなってしまいますよね。
そこで、介護現場での正しい言葉遣いや敬語の基本について、また敬語とタメ口のメリットとデメリットなどをまとめてみました。
言葉遣いで迷っている介護職の方はぜひ参考に読んでみてくださいね。
介護現場では利用者さんだけではなく利用者さん家族との信頼関係を築くことも大切です。
そのため、介護スタッフの言葉遣いは信頼関係を構築するうえでも重要なポイントとなってきます。
また、介護施設全体のイメージに繋がるため言葉遣いには気を付けなければなりません。
そのため介護現場では「敬語」を使用することが望ましいでしょう。
しかし、実際の介護現場では「敬語」と「タメ口」の両方が使われていることも少なくありません。
たとえば、利用者さんとタメ口で話し家族と過ごしているような空間を作り、家に居るようなアットホームさを特徴としてる施設。
反対に、利用者さんに対して敬語で話すことを統一し、利用者さんをお客様のように扱うことを特徴とする施設。
また、そのような決まりをとくに設けず、利用者と担当スタッフとの関係性などによって、それぞれにタメ口であったり敬語であったりする施設もあります。
しかしここで注意すべき点は、施設がいくらアットホームで自宅に居るような空間を大事にしている場合でも「利用者さんとの関係性が築けていない間は敬語で話すべき」ということです。
年長者に限らず若い人でも、初対面の人やそんなに仲良くない人に急にタメ口で話されたら、あまり良い印象にはならないですよね。利用者さんに対してタメ口で話す施設であっても、実際にタメ口で話すのは関係性が築けてから徐々に変えていきましょう。
このように、言葉遣いについて施設の方針や利用者との関係性にもよるためどっちが正しいかは一概には言えませんが、どれだけ利用者さんや家族と仲良くなったとしても、自分より目上の人であることを忘れず、尊敬の気持ちを常に持つことが大切です。
敬語とは、相手に対して敬意を表すための言葉です。
敬語の表現は一つではなく、敬意の表し方によって大きく3種類に分けられます。
小学校高学年で習う敬語ですが、きちんと敬語の種類を理解し使い分けられる自信がある方は少ないのではないでしょうか?
そこで、敬語の3つの表現について解説していきたいと思います。
日常生活であまり敬語を使っていない方、敬語は使っているけれど使い分けに自信がない方など、改めてチェックしておきましょう。
【尊敬語】
相手または第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べる言葉。目上の方や相手に対して敬う気持ちをあらわす表現。
例)
・いらっしゃる
・おっしゃる
・召し上がる
・お名前
・お忙しい など
【謙譲語】
自分や自分側の人の動作などをへりくだることで敬意を表す表現。
謙譲語は、さらに「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」の2つに分けられます。
謙譲語Ⅰは、自分から相手または第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べる言葉。
謙譲語Ⅱは、自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べる言葉。
例)
[謙譲語Ⅰ]
・伺う
・申し上げる
・差し上げる
・御説明する
・お持ちする など
[謙譲語Ⅱ]
・参る
・申す
・いたす
・存じる など
【丁寧語】
丁寧語は「丁寧語」「美化語」の2つに分けられます。
丁寧語は、話や文章の相手に対して丁寧に述べる言葉。相手や内容を問わずに使える表現です。
美化語は、ものごとを美化して述べる言葉。上品で美しい言葉遣いをするための表現です。
例)
[丁寧語]
・です
・ます
・(で)ございます
[美化語]
・お料理
・お花
・ご挨拶
・ご利用 など
敬語についてもっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。
◎文化庁「敬語おもしろ相談室」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf
介護現場など、一般的によく使われている敬語を一覧表でまとめてみました。
正しく使えているか、確認してみましょう。
<よく使う敬語一覧表>
基本の形 | 尊敬語 | 謙譲語 謙譲語Ⅰ・Ⅱ(丁重語) | 丁寧語 丁寧語・美化語 |
---|---|---|---|
する | なさる される | いたす | します |
見る | ご覧になる ご覧くださる | 拝見する 見させていただく | 見ます |
行く | 行かれる いらっしゃる おいでになる | 参る 伺う | 行きます |
来る | お見えになる いらっしゃる お越しになる 来られる | 参る 伺う | 来ます |
言う | おっしゃる 言われる | 申す 申し上げる | 言います |
聞く | お聞きになる 聞かれる | 伺う 拝聴する | 聞きます 聞いています |
食べる | 召し上がる お食べになる 食べられる | いただく 頂戴する | 食べます |
座る | お掛けになる | お座りする 座らせていただく | 座ります |
もらう | お受け取りになる お納めになる | いただく 頂戴する | もらいます |
会う | お会いになる 会われる | お目にかかる | 会います |
介護現場でどの言葉遣いをするかによって、メリットやデメリットはあるのでしょうか?
「敬語」と「タメ口」それぞれ使用するメリットとデメリットについてまとめたので見ていきましょう。
介護現場で「敬語」を使う場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
<介護現場で「敬語」を使うメリット>
□利用者さんに尊敬の気持ちを伝えることができる
□利用者さんや家族に丁寧な印象をもってもらえる
□利用者さんと適度な距離感を保てる
□施設全体のイメージアップに繋がる
など
<介護現場で「敬語」を使うデメリット>
■親しみやすさが出にくい
■よそよそしく感じ、冷たい印象を持たれることがある
■利用者さんに気を使わせ過ぎてしまうことがある
など
介護現場で敬語を使うことで得られるメリットは多くあります。
とくに、利用者さん家族からの印象が良くなることは、担当スタッフだけでなく施設にとっても大きなメリットです。
しかし、敬語を使うことでデメリットにある「親しみにくい」「よそよそしい」といった印象を持たれることがあるのも事実。だからといって、敬語のすべてがそのような印象になるわけではありません。
敬語と言っても尊敬語や謙譲語、丁寧語と種類があるため、あまり堅苦しくならない丁寧語を使えばデメリットにある親しみにくさや冷たい印象などを持たれることはないでしょう。
介護現場で「タメ口」を使う場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
<介護現場で「タメ口」を使うメリット>
□利用者さんと打ち解けやすくなり心の距離を縮めることができる
□家族といるような安心感を与えることができる
□気を使わせずに過ごしてもらえる
など
<介護現場で「タメ口」を使うデメリット>
■利用者さんとの距離が近くなりすぎてしまう
■雑に扱われている印象を与えてしまう
■プライドを傷つけてしまうことがある
■仕事が適当な印象を与えてしまう
■利用者さん家族からの印象が悪くなることがある
など
介護現場でタメ口を使うことで得られるメリットは、利用者さんとの距離感を縮め、家族や友達といるような安心感を与えられることです。
反対にタメ口を使用することで、利用者さんとの距離感が近くなりすぎてしまうことや、利用者さん家族にマイナスな印象を与えてしまうこともあります。
タメ口で話す場合はとくに、言葉遣いの丁寧さが必要です。また利用者さんと話す時以外は、敬語を使うことで利用者さん家族の印象も変わってくるでしょう。
利用者さんとの正しいコミュニケーションを取るにはどうしたらいいのでしょうか?
そのポイントをご紹介したいと思います。
利用者さんとのコミュニケーションで大切なことは
◇信頼関係を築くこと
◇利用者が望んでいるコミュニケーション方法を選ぶ
ということです。
敬語もタメ口もそれぞれにメリットがあり、デメリットがあります。
まずは、利用者さんとの関係性を構築し、利用者さんがどのようなコミュニケーションを望んでいるかによって、敬語で話すのかタメ口で話すのかを選びましょう。
利用者さんの希望によりタメ口でコミュニケーションをとる場合であっても、基本的には丁寧な言葉を使うことが大事です。子ども扱いした言葉や命令口調な言葉はどんな場合でも使ってはいけません。
とくに、スタッフ同士で利用者さんについて話す場合は、注意が必要です。
たとえ、利用者さんの意向で本人のことを「〇〇ちゃん」などと呼んでいたとしても、利用者さん本人と会話するとき以外は「〇〇さん」と呼ぶなど、敬語を使うこと。
利用者さんの家族が聞いたときに不快感を与えないよう、言葉遣いには十分気を付けなければなりません。
利用者さんや利用者さん家族とのコミュニケーションで最も重要なことは「利用者さんを思いやる気持ちを持つこと」です。
思いやりの気持ちを持っていなければ、いくら丁寧な敬語を使っていてもどこか冷たさや素っ気なさが利用者さんや家族に伝わり、信頼してもらえないでしょう。
相手に対する思いやりの気持ちがあれば、自然と丁寧な言葉を使うはずですし、行動にもその気持ちが表れ利用者さんや家族にも「利用者さんのことを大切にしていること」が伝わります。
介護職は、基本的には敬語を使用し、タメ口は利用者さんの意向がある場合のみ使用するようにしましょう。
敬語もタメ口もそれぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらが間違っているとは言えませんが、タメ口を使用する場合はとくに「言葉の丁寧さ」を意識しましょう。
介護で大切なことは、利用者さんに対して「思いやる気持ち」を持ち続けることです。思いやりを持った行動や言葉は、利用者さんに必ず伝わり良好な関係を築く一歩となります。
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