看護師からケアマネージャーへの転職とは?ケアマネの資格取得や仕事内容について解説!

更新日:2023年01月31日

公開日:2023年01月25日

考える女性看護師

看護師のキャリアチェンジの一つとしてケアマネジャーがあります。
ケアマネジャーは看護師の経験をいかせる職種であり、高齢者問題に仕事として取り組める職種であるからです。
しかし、看護師として活躍している方の中には、ケアマネジャーの仕事内容や資格の取得方法について、詳しく把握していない方がいるかもしれません。
そのため、「看護師からケアマネ」という選択を急ぎ過ぎないほうがよいでしょう。
今回はケアマネジャーについて詳しく知らない看護師に理解していただけるように、仕事内容や資格の取得方法、メリット・デメリットなどについて解説します。

ケアマネジャーとは

ケアマネジャーは「ケアマネ」の略語で広く知れ渡っていますが、正式名称を介護支援専門員といいます。
ここでは仕事内容や勤務する職場による仕事内容の違いなどの、ケアマネジャーの基本的な内容についてみていきましょう。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーは要支援者や要介護者から相談を受けて、その心身状況にあった介護保険サービスを利用がきるように、サービス事業者と連絡調整を行います。
主な仕事内容は介護保険サービスを利用するための計画であるケアプランの作成です。

ケアプラン作成

ケアプランは以下の流れで作成します。

 ● インテーク:介護保険サービスの利用希望者との初回面談
           ↓
 ● アセスメント:利用希望者を訪問し心身状況や生活状況、希望などを聞き、課題を分析する
           ↓
 ● ケアプラン案作成:アセスメントをもとにケアプラン案を作成
           ↓
 ● サービス担当者会議の開催:本人やサービス事業者などの関係者を集めてケアプラン案を協議。関係者から意見を聞きケアプラン案を修正
           ↓
 ● ケアプラン同意:利用希望者から修正したケアプランの同意を得る
           ↓
 ● ケアプラン交付:利用希望者や介護保険サービスを提供する事業者へ交付し、サービスの提供が始まる
           ↓
 ● モニタリング・評価:ケアプランどおりにサービスが提供されているかを確認。また、定期的に利用者を訪問し目標が達成されているかを確認
           ↓ 
 ● ケアプランの修正・再交付:モニタンリング・評価にもとづき、必要なら再度アセスメントを行い、ケアプランを修正し再交付

上記の流れでケアプランを作成し、必要ならケアプランを修正します。

そのほかの仕事

ケアマネジャーはケアプランの作成が主な仕事ですが、そのほかにも以下のような仕事をしています。

 ● 要支援・要介護認定の訪問調査:訪問調査は要支援・要介護認定申請をした介護保険サービス利用希望者に対して行うもの。ケアマネジャーは区市町村から委託を受けて行う
 ● 相談業務:利用者やその家族からケアプラン作成以外の様々な相談に対応する
 ● 給付管理業務:国民健康保険団体連合会に介護給付費を請求する。病院のレセプト業務のようなもの

このほかにも仕事はありますが、勤務先によって内容が異なるのが特徴です。

居宅ケアマネと施設ケアマネの違い

ケアマネジャーは勤務先によって仕事内容が大きく異なります。
勤務先は大きく分けて、居宅介護支援事業所と、介護老人保健施設や認知症対応型共同生活介護などの介護施設の二つです。
また、ケアマネジャーは勤務先によって、前者を居宅ケアマネ、後者を施設ケアマネと呼ばれることもあります。
居宅ケアマネと施設ケアマネの違いは下表のとおりです。

 居宅ケアマネ施設ケアマネ
サービス対象者自宅に住む利用者施設に入居している利用者
仕事の特徴外部事業者と連携が必要
(外部サービスを利用するため)
利用者との距離が近い
(施設利用者だけを担当するため)
勤務の特徴土日休みが多い介護職兼務なら夜勤あり
担当利用者数35人100人

施設ケアマネの担当利用者数が多く感じるかもしれませんが、介護施設内ですべてが完結するメリットもあります。
上記以外の勤務先としては地域包括支援センターがあります。要支援者のみのケアプランを作成することが、上記のケアマネジャーとの違いです。
地域に住む高齢者にサービスを提供しており、主任ケアマネや保健師(看護師)、社会福祉士と連携して、地域包括ケアシステムの実現に向けて仕事をします。

ケアマネジャーになる方法

考える女性とノートパソコンに向かい合う男女

ここでは看護師がケアマネジャーになるための方法を解説します。

試験合格だけではなく研修受講が必要

多くの方は資格試験に合格すればケアマネジャーになれると思っているかもしれません。
しかし、資格試験の合格だけではなく、その後の研修を受講する必要があります。

ケアマネジャーになるための試験とは

ケアマネジャーになるためには、各都道府県が行っている介護支援専門員実務研修受講試験に合格することが第一の条件です。
受験資格として国家資格にもとづく業務を5年以上する必要があります。
ただし、看護師は当試験が定めている国家資格に該当するため、5年以上の従事期間を超えていれば問題はありません。

参照:公益財団法人東京都福祉保健財団 令和4年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 「4 受験資格コード(兼 現職種コード)」 

また、同試験の内容は次のとおりです。

 ● 出題方法:五肢複択方式
 ● 試験時間:120分間
 ● 出題数:60問
 ● 出題分野:介護支援分野25問
         保健医療福祉サービス分野35問
        (保健医療サービスの知識等:20問、福祉サービスの知識等15問)
 ● 合格基準:70%の正答率(両分野とも)

合格基準は70%とされていますが問題の難易度によって基準点が毎年度変わります。
例えば、令和3年度(第24回)試験の合格基準点は以下のとおりでした。

 ● 介護支援分野:14点
 ● 保健医療福祉サービス分野:25点

上記のとおり介護分支援分野が25問中14点であり、解答率56%と低く設定されていました。

参照:東京都福祉保健局 第24回介護支援専門員実務研修受講試験合格基準 

ケアマネジャーになるための研修とは

ケアマネジャーになるためには、各都道府県が行っている介護支援専門員実務研修を受講することが第二の条件です。
同研修は合計87時間に及ぶ長時間の研修で、講義(座学・グループワーク)と実習(居宅介護支援事業所)に分けられています。
同研修を修了後に登録申請をして介護支援専門員証の交付を受けて、初めてケアマネジャー(介護支援専門員)と名乗れます。

参照:厚生労働省 介護支援専門員実務研修ガイドライン 

看護師はケアマネ試験に合格しやすいのか?

看護師は介護支援専門員実務研修受講試験に合格しやすいといえます。
なぜなら、同試験で医療分野の問題が多く出題されるからです。
前述のとおり保健医療福祉サービス分野35問のうち保健医療サービスの知識等は20問と、出題数60問のうちの3分の1が医療分野です。
これだけを考えても、看護師が同試験を受験することは有利といえるでしょう。
ちなみに、東京都の同試験における1,153名の合格者のうち、看護師は183名(准看護師は10名)と、682名の介護福祉士に次いで多い合格者数です。

参照:令和3年度(第24回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験の合格者数等 

看護師がケアマネジャーになるメリット・デメリット

〇の書かれた棒を持つ笑顔の女性

何事にもメリットとデメリットは付き物です。
ここでは看護師がケアマネジャーになることのメリットとデメリットについて解説します。

看護師の経験がいかしやすい

看護師がケアマネジャーとして働くメリットは、やはり看護師としての経験をいかせることです。
看護師がケアマネジャーとして働くメリットは以下のとおりです。

 ● 医療サービスの知識がいかしやすい
 ● 医師と連携しやすい

医療依存度の高い利用者を担当する場合は、看護師として知識やスキルをいかしてケアプランを作成できます。
看護師は医療知識があるため、医師との連携もスムーズでしょう。
そのほかでは、ケアマネジャーの仕事は看護師よりも体力的負担が少ないと考えられていることです。
しかし、居宅ケアマネなら暑い夏や寒い冬でも利用者への訪問があり、施設ケアマネなら介護職兼務の場合は夜勤があるかもしれません。
このように、看護師とケアマネジャーのどちらの体力的負担が少ないかは、一概には言えないのです。

給与が下がるリスクも・・・

ケアマネジャーになった場合に、給与が下がるリスクを考えておかなければなりません。
令和3年賃金構造基本統計調査によると、ケアマネジャーと看護師の給与(年額)は、以下のように約90万円の差がついています。

 ● ケアマネジャー:410万円
 ● 看護師:499万円
※千円以下四捨五入

参照:令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 

看護師に夜勤があることを踏まえなければなりませんが、看護師の給与のほうがケアマネジャーよりも高いことは明らかです。

ケアマネジャー以外で看護師の経験をいかしてみよう

ここまでは看護師からケアマネジャーへの転職を様々な視点からみてきました。
ここからはケアマネジャー以外で看護師の経験をいかせる職場について解説します。
ケアマネジャーとは異なるキャリアにはなりますが、確認することでケアマネジャーの理解がより深まりますよ。

地域包括支援センターでの相談業務

まず一つ目が地域包括支援センターです。
ケアマネジャーとして働くケースを先ほど解説しましたが、ケアマネジャーの資格が無くても地域包括支援センターで看護師として働けます。
地域包括支援センターの看護師は地域で暮らす高齢者を医療面でサポートします。
仕事内容としては高齢者からの健康相談の対応や医療機関との連携などです。
そのほかにもケアマネジャーが行うケアプランの作成(要支援者に限る)を、ケアマネジャーの資格を保有していなくても担当できます。
ケアプラン作成に興味のある看護師は、地域包括支援センターで経験を積んだあとで、ケアマネジャーとして本格的に働くかを判断しても遅くはないでしょう。
なお、地域保活支援センターで働いている職種は、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士で、看護師は保健師に準ずる資格として働けます。

介護施設や障害者施設で看護師として活躍する

高齢者や障害者のケアに興味があるなら、介護施設や障害者施設で看護師として勤務しましょう。
身体介護も少なく急患がないため、肉体的・精神的にも病院の看護師より負担が少ないからです。
仕事内容は両施設とも病院と比較すると夜勤が少なく、利用者の健康・服薬管理が中心です。
介護職・支援職と連携し仕事をするため、病院とは異なった刺激が得られます。
また、ケアマネジャーとかかわる機会が多くなるため、ケアマネジャーの仕事を客観的にみられるでしょう。
病院での勤務が負担に感じているなら、介護施設や障害者施設で看護師として勤務してはいかがでしょうか。

看護師の経験をいかしてケアマネジャーとして働こう!

屋上でガッツポーズする3人の女性看護師

看護師からケアマネジャーへの転職に不安を感じているかもしれません。
しかし、デメリットだけではなくメリットも多くあります。
ケアマネジャーに興味があるのなら、求人サイトを確認してイメージを膨らませてはいかがでしょうか。

※掲載情報は公開日あるいは2023年01月31日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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