更新日:2023年03月14日
公開日:2023年02月22日
新人ケアマネージャーとして働き始めた人の中には、業務中の必需品や持っておくと便利なものについて、まだイメージがしっかりとできていない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ケアマネージャーが日々持ち歩いているものを仕事内容別にご紹介します。
ケアマネージャーとは、介護保険法に基づいてケアマネジメントを行うことのできる有資格者のことを指し、正式名称を「介護支援専門員」と言います。
ケアマネージャーの具体的な仕事の流れは次の通りです。
項目 | 概要 |
インテーク | ・介護が必要な本人やその家族と最初に行う面談で、1時間程度かけて現在の状況や要望をヒアリングする ・その時点での主訴、守秘義務、ケアマネジメントの目的と内容、ケアマネージャーと利用者の役割と責任、納得と同意に基づく進め方の5つについて確認する |
アセスメント | ・情報収集とその整理を通して課題を分析し、どのような介護サービスが必要なのかを明らかにする ・具体的にはADL、認知・意志関連、行動障害関連、IADL、精神症状関連、残存能力の評価と可能性、介護環境、居住環境、利用者および家族の健康(医療)、既存サービスの状況の10項目についてアセスメントを行い、利用者が望む自立した生活を阻害する要因を生活全般から明らかにし、利用者が自立に向けてどのような希望や意志を持っているかを知る |
ケアプランの作成 | ・ケアプランを作成する ・必要があればサービス提供事業者との仲介やサービスの調整を行う ・サービス担当者会議を開催しケアプランの内容確認と、利用者とサービス提供事業者がニーズや情報を共有し、ケアマネジメントにおけるお互いの機能の意識や役割分担を図る ・ケアプランがサービス担当者会議で承認されれば契約をする |
モニタリング | ・ケアプランに基づいたサービスが開始されたら定期的に利用者を訪問し、目標の達成度、サービス内容がニーズに合っているか、新たな生活目標の3つを確認する |
終結 | ・利用者がケアプランによるサービスが必要なくなることで終結する |
上記の仕事の流れから、ケアマネージャーはインテーク、アセスメント、サービス担当者会議、モニタリングの時は事務所から外出して、利用者や家族、サービス提供事業者の担当者、専門職などと面談してコミュニケーションを取る必要があるのがわかります。
そのためケアマネージャーが外出する時の必需品は次の6つだと言えるでしょう。
・介護支援専門員証
・携帯電話
・名刺
・筆記用具
・印鑑と朱肉
・マスク、使い捨て手袋、消毒用アルコール
介護支援専門員証はケアマネージャーとして登録をしている都道府県の知事から交付されるもので、介護保険法上、ケアマネージャーとして実務に従事する人には取得が義務付けられており、5年ごとの更新制となっているのです。
ケアマネージャーが外出する際には、どのような場合でも必要となる上記の6つ以外では、それぞれの仕事の段階に合わせて必要なものやあると便利なものが異なってくるため、次の項目で詳しくご紹介します。
参考:厚生労働省「障害保健福祉主管課長会議資料 第1章 ケアマネジメントの基本」
インテークに必要なものと便利グッズを揃える上では、介護が必要な本人やその家族と最初に行う面談であるということを意識するのが望ましいでしょう。
インテーク時にあると便利なもの、必需品、それらを入れるのにおすすめのバッグをご紹介します。
インテーク時の必需品は次の通りです。
・各種申請書類
・契約書
・重要事項説明書
・介護保険制度、福祉用具、サービス提供事業者のパンフレット
利用者やその家族との信頼関係を築くために、相手の話を受容的に聴くというのがインテークでは重要なため、持ち物としては自分の身分を証明するための介護支援専門員証や名刺、話を記録するための筆記用具ばかりに気を取られがちです。
しかし、相手の質問に的確に答えるための準備として、書類やパンフレットを持参することもまた大切だと言えます。
書類は折り目がつかないようきちんとファイリングし、パンフレットも常に最新のもので説明が行えるよう、事前確認を怠らないようにしましょう。
インテークでは初めて利用者の自宅に訪問するため、家庭の状況に応じて柔軟な対応が取れるよう、次のようなものを準備しておくと便利です。
・スリッパ
・替えの靴下
・ウェットティッシュ
・ハンディースキャナー
・レターセット
スリッパは先方でお借りすればよいのではと考える人もいるかもしれませんが、介護が必要な人を抱えた家族の場合、その人の介護に時間を割かなければならないため来客の準備や掃除に手間をかけられない可能性があります。
もし足の踏み場もないといった状況でも、安全に訪問し先方との信頼関係を築くために準備を怠らないようにしましょう。
またハンディスキャナーは介護保険証やお薬手帳などをスキャンでき、レターセットはアポイントの際に先方が何らかの理由で不在だった際に、訪問したことをお伝えできます。
インテーク時は申請書類やパンフレットなども持参することを考えると、A4サイズのトートバッグを準備するのがおすすめです。
書類はタイミング良く取り出せるよう種類別にファイリングし、介護支援専門員証や名刺などの細かいものはバッグの中で行方不明にならないよう、ポーチなどにわけて整理しておくのがよいでしょう。
バッグの中を整えておくのが苦手だという人は、バッグインバッグを1つ購入して、それぞれの物の定位置を決めておくと忘れ物が防止でき、バッグを交換する時もバッグインバッグをそのまま移し替えればよいので時短になります。
ケアマネージャーが利用者の実情に合わせたケアプランを作成するために繰り返し行うのがアセスメントですが、漏れなく情報を入手するという観点から必要なものを持参するようにしましょう。
アセスメント時の必需品は次の通りです。
・ケースファイル
・メジャー
・デジタルカメラ(スマホのカメラでもよい)
メジャーは住宅改修の相談を受けた際、すぐに寸法を計測するために必要なものです。
裁縫用のメジャーではなく、計る時にまっすぐになる建築用のメジャーを準備しておくのが望ましいでしょう。
アセスメント時には情報収集だけではなく新たな相談を受ける場合もあるため、それに対応できる次のようなものを準備しておくと好印象です。
・電卓
・ハサミ
電卓は新たなサービスを利用したい際にかかる費用の試算をするのに便利で、はさみは病院からの書類の開封などに使うことができます。
アセスメント時は書類も持参するものの、細々としたものを整理して持ち歩く必要があるため内ポケットがたくさんあるバッグを選ぶのがよいでしょう。
またバッグインバッグやポーチなどに小分けして、バッグの中が雑然としないように工夫するのもおすすめです。
モニタリングはケアプランが実情に合っているかを確認し、利用者の要望やサービス提供事業者の意見に耳を傾けながら、ニーズの変化に合わせてケアプランを微調整するために行います。
そのため、アセスメントの時と同じく情報収集をするのに必要なものを持ち歩くようにしましょう。
モニタリング時の必需品は次の通りです。
・チェックシート
・ケースファイル
・メジャー
・デジタルカメラ(スマホのカメラでもよい)
チェックシートはケアマネージャーが訪問時に確認することを整理しておくためのシートで、現場で確認漏れがないようにするためと、後でモニタリングシートに転記しやすいようにするために自分なりの書式を作っておくと便利です。
モニタリング時にもアセスメント時と同様、新たな相談を受ける可能性があるため、それに対応できる次のようなものを用意しましょう。
・電卓
・ハサミ
電卓はスマホにもついていますが、利用者に数字を見て理解してもらうため、大きめのサイズのものを1台持ち歩くと話に説得力を持たせることができます。
モニタリング時もアセスメント時と同様細々としたものを持ち歩く必要があるため、内ポケットがたくさんあるバッグを選ぶのがよいでしょう。
またポケットやポーチ、バッグインバッグなどに物を収納する際は、プライベートで使う物と仕事で使う物が混じらないようにするのがコツです。
サービス担当者会議はケアマネージャーが利用者とサービス提供事業者、専門職などのスケジュールの調整を行い、利用者の生活している場所で、おおむね次のような流れで30分~1時間程度かけて行われます。
項目 | 概要 |
開始の挨拶 | ・ケアマネージャーよりサービス担当者会議の目的や議題が説明される |
自己紹介 | ・出席者全員が自己紹介、名刺交換を行う |
ケアプラン原案の説明 | ・利用者の心身の状態、現状の課題、目標達成が阻害されている要因、利用者と家族の意向、援助の目標、各サービス事業者のサービス曜日、時間、内容などを説明する |
意見交換 | ・議題についてケアマネージャーの主導で意見交換をする |
総括 | ・決定事項を再確認し新たな課題やすぐには解決できない課題があった際は各自が持ち帰って検討し、後日ケアマネージャーに報告する |
閉会の挨拶 | ・ケアマネージャーより閉会の挨拶をして終了 ・次回の開催時期についてもスケジュールを確認しておく |
このような流れからサービス担当者会議に足を運ぶ際は、サービス担当者会議への出席者全員が必要な情報を適切に共有し、ケアマネージャーがケアプランについてわかりやすく説明するために必要なものを準備するのが望ましいと言えるでしょう。
サービス担当者会議時の必需品は次の通りです。
・ケアプラン(事前送付の場合)
・ケースファイル
・介護保険制度、福祉用具、サービス提供事業者のパンフレット
・ボイスレコーダー
・段取りを記録したメモ
サービス担当者会議では会議の議事録を作る必要があるため、もしボイスレコーダーを準備できなければ記録用紙をあらかじめ準備しておくのが望ましいでしょう。
またケアマネージャーが外出する際の必需品である名刺ですが、特に初回のサービス担当者会議は顔合わせを兼ねている場合がほとんどのため、足りなくならないよう事前に名刺入れに入っている名刺の枚数をチェックしておくことが重要です。
そしてサービス担当者会議をあまり開催した経験がなく、司会進行に自信がない場合はおおまかな段取りのメモを作っておき、それを見ながら進行するのもおすすめです。
サービス担当者会議は利用者を中心に行われるため、わからないことを調べて利用者に見せる事のできる次のようなものを持参すると便利です。
・電子辞書
・地図
スマホでも対応できますが、文字や図が大きめで見やすいものがあれば準備しておくと、信頼関係を構築するのに役立ちます。
サービス担当者会議では使用する書類の量が多く、持ち物も重量がそれなりにあるものが多いため、持ち手の丈夫なバッグや、リュックなどを使うのがおすすめです。
リュックの場合はポケットが内側にたくさんついているので、プライベートで使うものと仕事で使うものを分けて収納しておくと便利でしょう。
ケアマネージャーが持っておくと便利なものや必需品は、インテーク、アセスメント、モニタリング、サービス担当者会議など外出時の仕事内容に応じて変わるため、それらを持ち歩くためのバッグも都度変えるのが望ましいでしょう。
ケアマネージャーとして利用者やケアに関わる専門職、サービス提供事業者の信頼を得るためにも、仕事の内容に応じて柔軟な対応ができるような持ち物の工夫を少しずつ身に着けていってください。
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