グループホームとは?法律上の位置づけからかかる費用まで詳しく解説

更新日:2023年03月14日

公開日:2023年02月27日

食事を提供する女性と年配の男性

自分の家族に介護や日常生活のサポートが必要なのでグループホームの利用を考えているけれど、本当に本人に合っているのか、費用がどのくらいかかるのかわからないので不安に感じている人はいませんか? 

この記事では、グループホームの法律上の位置づけから利用するのにかかる費用まで詳しく解説します。

グループホームとは?

車いすに座っている女性

グループホームとは高齢者、障がい者、障がい児が日常生活において必要な援助を受けながら少人数で共同生活を営む施設で、地域社会に溶け込みながら生活できるのが理想的な形とされます。

高齢者が利用するグループホームは介護保険法で、障がい者と障がい児が利用するグループホームは障害者総合支援法でそれぞれ定義づけられているため、それぞれどのような施設なのか見てみましょう。

介護保険法におけるグループホーム

介護保険法におけるグループホームは正式名称を認知症対応型共同生活介護と言い、第8条20項において要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活のお世話、機能訓練を受けられる施設と定義づけられています。

また介護予防認知症対応型共同生活介護は、要支援1の人は利用できません。

人員配置基準、設備基準は次の通りです。

人員配置基準介護職員・1人以上が常勤
・夜間と深夜以外の職員配置は利用者3:介護職員1(常勤換算)
計画作成担当者・ユニットごとに1人
・認知症対応型共同生活介護計画の作成をし1人はケアマネージャーでなければならない
・厚生労働大臣が定める研修を修了していなければならない
・ケアマネージャーではない計画作成担当者は特別養護老人ホームの生活相談員や介護老人保健施設の支援相談員などの実務経験が必要
管理者・ユニットごとに常勤で1人
・適切な指定認知症対応型共同生活介護を提供するために必要な知識や経験を持つ
・特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定認知症対応型共同生活介護事業所などの介護職員や訪問介護員として3年以上認知症の人の介護経験が必要
・厚生労働大臣が定める研修を修了していなければならない
代表者・特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、介護老人保健施設、介護医療院、指定認知症対応型共同生活介護事業所などの介護職員や訪問介護員等として、認知症の人の介護をした経験があるか、保健医療サービスや福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験がある
 ・厚生労働省が定める認知症対応型サービス事業開設者研修を修了していなければならない
設備基準入居定員・5人以上9人以下
居室・定員1人
・1部屋当たりの床面積は7.43m2以上
設備・居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備、非常災害に際して必要な設備、その他利用者が日常生活を営む上で必要な設備を設ける

要介護認定を受けた認知症の高齢者が、住み慣れた地域で引き続き生活できるようにすることを目的として設けられたのが認知症対応型共同生活介護だと言えるでしょう。

参考:e-GOV法令検索「介護保険法」
参考:e-GOV法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」

障害者総合支援法におけるグループホーム

障害者総合支援法におけるグループホームは正式名称を共同生活援助と言い、第5条17項において障がい者が主に夜間、共同生活のできる住居で相談、相談や日常生活上の援助を行い必要な人には介護サービスも提供する施設と定義づけられています。

共同生活援助には次の3種類があり、少しずつサービスの内容が異なるのが特徴的だと言えるでしょう。

共同生活援助の種類サービスの内容
介護サービス包括型・主として夜間に共同生活住居で相談や入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の援助をする
・利用者の就労先や日中活動サービスとの連絡調整を行う
・余暇活動など社会生活上の援助をする
外部サービス利用型・主として夜間に共同生活住居で相談や日常生活の援助をする
・利用者の状態に応じて外部の居宅介護事業所に委託して入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の援助をする
・利用者の就労先や日中活動サービスとの連絡調整を行う
・余暇活動など社会生活上の援助をする
日中サービス支援型・主として夜間に共同生活住居で相談や入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の援助をする(昼夜を通じて1人以上の職員を配置する)
・利用者の就労先や日中活動サービスなどとの連絡調整をする
・余暇活動など社会生活上の援助を行う
・定員1人~5人の短期入所を併設して、在宅で生活する障がい者の緊急、または一時的な宿泊の場を提供する

また人員基準、設備基準は次の通りです。

人員配置基準サービス管理責任者・介護サービス包括型
30:1以上(利用者:職員)
・外部サービス利用型
30:1以上
・日中サービス支援型
30:1以上
世話人・介護サービス包括型
6:1以上(4:1~6:1)
・外部サービス利用型
6:1以上(当面は10:1以上)
(4:1~6:1、10:1)
・日中サービス支援型
5:1以上 (3:1~5:1)
生活支援員・介護サービス包括型
障害支援区分に応じ 2.5:1~ 9:1以上
・日中サービス支援型障害支援区分に応じ2.5:1~ 9:1以上
設備基準ユニット・共同生活住居ごとに1以上のユニットが必要
入居定員・1ユニット2人以上10人以下
居室・定員原則1人
・居室面積は収納設備を除き7.43m2
設備・居室と居室に近接した相互に交流を図ることができる設備を設ける

障害支援区分の認定を受けた障がい者が、一定の支援を受けながら地域で生活するためのサポートをするのが共同生活援助の目的であると言えるでしょう。

参考:厚生労働省「共同生活援助(介護サービス包括型・外部サービス利用型・日中サービス支援型)に係る報酬・基準について

グループホームと他の施設との違い

子どもと車いすに座っている女性

介護保険法、障害者総合支援法ともグループホーム以外にも施設に入居して受けられるサービスは複数ありますが、それぞれグループホームとどのような違いがあるのかをご紹介します。

介護保険サービスにおけるグループホーム以外の施設

介護保険サービスにおいてグループホーム以外の施設は5つあるので、それぞれとグループホームがどのように違うのか解説します。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設は一般的に特別養護老人ホームと呼ばれ、グループホームとは次のような違いがあります。

定義入居者入居定員
グループホーム・要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の支援、機能訓練を受けられる施設認知症で身体は比較的元気な人が入居する
・介護予防認知症対応型共同生活介護は要支援1の人は利用できない
5人以上9人以下
特別養護老人ホーム・入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行うことを目的とする施設・介護度が比較的高い人が入居する
・要介護認定において要支援1・2と認定された人は利用できない
・100人以上の施設もあり規模が大きい

グループホームは小規模で認知症の要介護者が入居しますが、特別養護老人ホームは比較的大規模で要介護度も多岐に渡るのが大きな違いと言えるでしょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは一般的に「老健」と呼ばれる施設のことで、グループホームとは次のような違いがあります。

定義目的入居者
グループホーム・要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の支援、機能訓練を受けられる施設認知症の進行緩和・介護予防認知症対応型共同生活介護は要支援1の人は利用できない
介護老人保健施設・要介護者で心身の機能の維持回復をして自宅で生活するための支援を必要とする人に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護や機能訓練、その他必要な医療や日常生活上のお世話をするのを目的とする施設・リハビリで身体機能を回復し自宅で生活できるようになる・要介護認定において要支援1・2と認定された人は利用できない

グループホームが認知症の進行緩和を目的としているのに対し、老健はリハビリをすることで身体機能を回復し、自宅で生活できるようになるのを目的としているのが大きな違いと言えるでしょう。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は医療が必要な要介護者を受け入れる施設で、グループホームとは次のような違いがあります。

定義人員配置基準入居者
グループホーム・要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の支援、機能訓練を受けられる施設・介護職員
1人以上が常勤
・計画作成担当者
ユニットごとに1人
・管理者
ユニットごとに常勤で1人
・代表者 1人

・介護予防認知症対応型共同生活介護は要支援1の人は利用できない
介護療養型医療施設・医療の必要な要介護高齢者のための長期療養施設・医師 医療法に規定する必要数以上
(概算で48:1)
・薬剤師 医療法に規定する必要数以上
(概算で150:1以上)
・看護職員と介護職員(利用者:職員)
6:1以上
・理学療法士と作業療法士 実情に応じた適当数
・栄養士 医療法に規定する必要数以上
(100床以上の場合1)
・介護支援専門員
1以上 (100:1を標準とする)
・要介護認定において要支援1・2と認定された人は利用できない

グループホームが主に介護サービスを提供する人員体制としているのに対し、介護療養型医療施設は主に医療を提供する人員体制となっているのが大きな違いと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「介護療養型医療施設及び介護医療院(参考資料)」

特定施設入居者生活介護

特定施設入居者生活介護とは指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームなどが行う介護サービスで、グループホームとは次のような違いがあります。

定義指定・監督
グループホーム・要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の支援、機能訓練を受けられる施設・市町村
特定施設入居者生活介護・要介護者ができるだけ自立した日常生活が送れるよう支援や機能訓練などを行う・都道府県・政令市・中核市

グループホームが市町村が指定・監督をする地域密着型介護サービスで地域のニーズに合った介護を提供するのに対し、特定施設入居者生活介護は都道府県などが指定・監督して介護サービスや介護予防サービスを提供するというのが大きな違いと言えるでしょう。

参考:関東信越厚生局「地域密着型サービスの概要」

介護医療院

介護医療院とは長期療養が必要な要介護者を受け入れる施設で、グループホームとは次のような違いがあります。

定義居室
グループホーム・要介護者で認知症の人が、共同生活をする住居で入浴、排泄、食事などの介護、日常生活の支援、機能訓練を受けられる施設・定員1人
・1部屋当たりの床面積は7.43m2以上
介護医療院・要介護高齢者の長期療養・生活のための施設・定員4人以下
・入所者1人当たりの床面積は8m2 以上

グループホームが日常生活の援助を提供しているのに対し、介護医療院では医療を提供しながらも生活施設としての側面も併せ持っているのが大きな違いと言えるでしょう。

参考:厚生労働省 介護医療院「介護医療院とは?」

障害福祉サービスにおけるグループホーム以外の施設

障害福祉サービスにおいてグループホーム以外の施設は3つあるので、それぞれとグループホームがどのように違うのか解説します。

施設入所支援

施設入所支援とは施設に入所する障がい者に対して夜間や休日に、入浴、排せつ、食事の介護などを行うサービスで、グループホームとは次のような違いがあります。

定義入居者
グループホーム・障がい者が主に夜間、共同生活のできる住居で相談や日常生活上の援助を行い必要な人には介護サービスも提供する施設・区分による制限はない
施設入所支援障がい者に対して夜間や休日に、入浴、排せつ、食事の介護などを行う施設・生活介護を受けている人で障害支援区分が区分4(50才以上の人は区分3)以上の人

グループホームにおいては介護サービスが必要な人には提供するという位置づけなのに対し、施設入所支援では介護サービスを主として提供するのに大きな違いがあると言えるでしょう。

福祉型障害児入所施設

福祉型障害児入所施設は障がい児入所施設に入所している障がい児を保護し、日常生活の指導や知識、技能を身に着けてもらうサービスで、グループホームとは次のような違いがあります。

定義入居者
グループホーム障がい者が主に夜間、共同生活のできる住居で相談や日常生活上の援助を行い必要な人には介護サービスも提供する施設・区分による制限はない
・18才以上の障がい者
医療型障害児入所施設・入居している障がい児に対し治療や日常生活の指導を行い知識、技能を身に着けてもらうための施設・区分による制限はない
・18才未満の障がい児

グループホームが障がい者に対して夜間に日常生活の援助を主に行う施設なのに対し、福祉型障害児入所施設は障がい児に対する治療を主に行うのが大きな違いと言えるでしょう。

医療型障害児入所施設

医療型障害児入所施設は障がい児入所施設や医療施設に入所している障がい児を保護、治療し日常生活の指導や知識、技能を身に着けてもらうサービスで、グループホームとは次のような違いがあります。

 定義入居者
グループホーム障がい者が主に夜間、共同生活のできる住居で相談や日常生活上の援助を行い必要な人には介護サービスも提供する施設・区分による制限はない・18才以上の障がい者
医療型障害児入所施設・入居している障がい児に対し治療や日常生活の指導を行い知識、技能を身に着けてもらうための施設・区分による制限はない・18才未満の障がい児

グループホームが障がい者に対して夜間に日常生活の援助を主に行う施設なのに対し、福祉型障害児入所施設は障がい児に対する治療を主に行うのが大きな違いと言えるでしょう。

グループホームの利用にかかる費用

書類の写真

グループホームを利用すると費用はどのくらいかかるのでしょうか。

介護保険サービスと障害福祉サービスそれぞれでグループホームを利用した時の自己負担額をご紹介します。

介護保険サービスにおけるグループホームの場合

認知症対応型共同生活介護を利用した場合の1日あたりの自己負担額は次の通りです。

共同生活住居が1つの場合共同生活住居が2つ以上の場合
要支援2755円743円
要介護1759円747円
要介護2795円782円
要介護3818円806円
要介護4835円822円
要介護5852円838円

自己負担額は1割負担ですが、日常生活費(食材料費・理美容代・おむつ代など)などは、別途負担する必要があることに注意しましょう。

参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「認知症対応型共同生活介護(グループホーム」

障害福祉サービスにおけるグループホームの場合

共同生活援助を利用した場合でも自己負担額は1割ですが、月ごとの利用者負担には所得に応じて次のような上限が定められています。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護を受給している世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

1か月間に利用したサービスの量に関わらず、上記金額以上の利用者負担は必要ないということです。

まとめ

車いすに座っている女性

介護保険法におけるグループホームは正式名称を認知症対応型共同生活介護、障害者総合支援法におけるグループホームは正式名称を共同生活援助と言い、それぞれ目的や受けられるサービスが異なるため、選ぶ際は利用する人のニーズに合っているかを確認することが大切です。

この記事も参考にして、ぜひ利用する人が暮らしやすいグループホームを選んでみてください。

※掲載情報は公開日あるいは2023年03月14日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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