老人(高齢者)介護の問題とは?解決方法や利用できる介護保険施設を解説!

更新日:2023年06月05日

公開日:2023年06月02日

高齢者

「老人介護の問題についてしっかり理解したい」と思っている介護関係者はいませんか。
高齢者人口の増加や介護人材不足などにより、現在の日本では様々な老人介護問題が噴出しています。
介護関係者が老人介護問題全般を理解することで、担当している業務が客観的に見えてくるかもしれません。
そこで今回は、老人介護問題の具体的な内容や対応方法、自治体の対応事例について解説します。

様々な老人介護の問題がある

高齢者と女性の手

現在の日本は様々な老人介護問題を抱えています。
まずは、どのような老人介護介護問題があるか確認していきましょう。

老人が老人を介護する「老々介護」

老々介護とは、在宅で老人が老人を介護する状況です。
高齢の夫婦間・兄弟姉妹間で介護する状況だけではなく、親子ともに高齢者で子が親を介護する状況もあります。
高齢者が一緒に生活する高齢者を介護するため、適切な介護を受けられないことや介護する側の疲弊があり、介護する側される側の共倒れも考えられます。
老々介護がおこる要因は以下のとおりです。

●平均寿命が延びている:介護する側される側ともに高齢者になってしまう
●子が遠くに住んでいる:核家族で子が遠方に住んでいて介護が受けられない


日本社会の高齢化や核家族化という社会状況の変化が、大きく影響しているとも言えます。
老々介護は高齢者の夫婦であれば、年を重ねれば必ずおきる問題です。
そのため介護が必要になる前後で以下のような対策が考えられます。

介護前
●介護を必要としない体づくり:日々の運動によりできるだけ若々しい状態を維持する
●介護の情報収集:介護が必要になったときの相談先や対応方法について調べる


介護後
●通院する:適切な治療を受けることで状態の悪化を防ぐ
●相談する:適切な介護を受けられるように専門家から助言を得る
●地域ネットワークとかかわる:介護のストレスの発散や客観的な状況判断のため


老々介護の前後にかかわらず早め早めに対応していきましょう。

介護をしてもらえない「介護難民」

介護難民は、介護を受けたいのにもかかわらず誰からも介護を受けられない人々です。
適切な介護を受けられないことで介護度の悪化も考えられます。
介護難民が発生する要因は以下のとおりです。

●介護施設が足りない:入居希望者が増加しているのに建設が追いついていない
●介護人材が足りない:仕事・給与・労働生産人口の不足などの理由により足りていない
●家族が近くにいない:核家族化の影響で介護してくれる家族が遠方に住んでいる


上記のような要因のため国レベルでの対策も当然必要です。
ただ、以下のような個人レベルの対策もあります。

●介護の情報収集:介護サービスの種類・入居予定の介護施設などを調べる
●老後資金を蓄える:有料老人ホームへの入居等もふまえ老後に発生する介護費用を蓄える
●相談する:相談機関や家族、周りの人に相談することで問題に対応する


なお、介護難民の相談先の地域包括支援センターについては、後ほど解説します。

高齢者の一人暮らしが増加している

高齢者の一人暮らしは地域や親族間からの孤立をまねきます
家族から管理されない自由気ままな生活は、ストレスをため込まずに生活できるというメリットはあります。
しかし、適切な時期に医療や介護が受けられなというデメリットも大きくなってしまうのです。
高齢者の一人暮らしが増加している要因は以下のとおりです。

●配偶者の死:高齢の核家族の場合は配偶者が亡くなると一人暮らしになる
●核家族化:子が一緒に住んでいないため配偶者が亡くなると一人暮らしになる

一人暮らしの高齢者が孤立しないようにするためには、以下のような対策が考えられます。

●相談する:相談機関や家族、周りの人に相談することで問題に対応する
●地域ネットワークとかかわる:交流を持つことで様々な刺激を受ける。見守りあう関係も構築できる


自宅で亡くなり時間がたってから気づくというケースも後を絶ちません。
早急に対応することで、孤立せずに最期まで自分らしく生きられます。

老人介護の問題がおきた場合の対応方法

高齢者とスタッフ

ここでは、老人介護問題がおきた場合の対応方法について解説します。

地域包括支援センターに相談する

地域包括支援センターは、地域ごとにある高齢者の相談機関です。
保健師と主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)、社会福祉士の三職種が、高齢者の様々な相談に乗ってくれます。
高齢者本人だけではなく、その家族や地域の方々からの相談にも対応してくれることが特徴です。
また、相談ごとのほかに、介護保険・市区町村独自の福祉サービスの申請や、要支援者のケアプランの作成も行っています。
なお、一つの地域包括支援センターは、高齢者人口が3,000人から6,000人の規模の地域を担当しています。
ちなみに、地域包括支援センターの制度が創設される前は、老人福祉法で定められた老人介護支援センター(在宅介護支援センター)が老人問題の相談に乗っていました。

介護保険事業所を利用する

介護保険事業所を利用することも老人介護問題を解決する方法の一つです。
介護保険事業所の利用は様々な老人問題を解決できるからです。
介護保険事業所を利用することで、在宅生活の継続や高齢者の孤立の防止ができ、適切な介護を受けられます。
介護保険事業所には、以下のように通いや訪問などで利用できる様々なサービスがあります。

●通所介護(デイサービス)
●通所リハビリ(デイケア)
●訪問介護
●訪問入浴
●短期入所生活介護(ショートステイ)


介護保険事業所のサービスの利用により、高齢者は安心して自宅での生活ができます。

介護保険施設に入所する

在宅生活が難しい高齢者は、介護保険施設に入所するという方法もあります。
高齢者が入居できる介護保険施設は以下のとおりです。

 対象者サービス内容
特別養護老人ホーム 
 (介護保険老人福祉施設)
原則要介護3以上 
 ※事情がある場合は要介護1・要介護2も可能
介護や生活支援、健康管理などを行う
介護老人保健施設要介護在宅復帰意を目指し介護やリハビリを行う
介護医療院要介護介護や医療、看護、ターミナルケアなどを行う

すぐには入居できないことが一般的なので、複数の介護保険施設へ入居申し込みをしましょう

高齢者見守り相談窓口設置事業|東京都の事例を紹介

体操

各自治体で老人介護の問題に対応・防止する事業が行われています。
ここでは、事例として東京都の「高齢者見守り相談窓口設置事業」について解説します。同事業は東京都の補助事業です。
補助を受けた市区町村の地域の実情にあわせて、地域包括支援センターや社会福祉協議会などが同事業を行います。
同事業を担当する職員も港区の「ふれあい相談員」 や練馬区の「訪問支援員」 など様々です。

参照:東京都福祉保健局 高齢者見守り相談窓口設置事業

在宅高齢者の情報収集をする

高齢者見守り相談窓口設置事業では、専門職員が積極的に高齢者のもとを訪問します。
これまでの高齢者福祉行政は、相談を受けてから対応していました。
しかし、同事業は専門職員が高齢者のもとに訪問して、困りごとがないかを聞いて回ります
専門職員の訪問によって、困りごとを解決したり介護保険サービスへつなげたりと、高齢者一人ひとりにあった対応をしています。

高齢者の見守りネットワークと連携する

高齢者見守り相談窓口設置事業では、高齢者の見守りネットワークと連携して高齢者の見守りを行います。
同事業の専門職員が地域全体を見守りをしているだけでは、担当地域が決まっているとはいえ限界があります。
地域のボランティア団体や民生委員などと連携し、点から線、そして、面というネットワークを構築するのです。
そのネットワークで地域の高齢者を見守り、老人介護問題を未然に防いでいきます
具体的な対応方法としては、ネットワークから問題を抱えている高齢者の情報を収集します。
そして、同事業の専門職員が訪問し相談に乗ることで、問題を早期に解決していくのです。

在宅高齢者・家族などからの相談に対応する

高齢者見守り相談窓口設置事業では、一般的な老人介護問題の相談にも対応しています。
地域包括支援センターと同じように、在宅高齢者やその家族からの相談にも対応しているのです。
相談内容によっては介護保険申請を促したり、他機関からの支援を受けられるようにしています。
また、元気な高齢者に対しては、相談ではなく地域の高齢者サークルや専門職員が開催する講座を案内しています。

解決方法を知れば老人(高齢者)介護の問題はこわくない!

女性とスタッフ

現在の日本には、介護難民や老々介護などの様々な老人介護問題があります。
老人介護問題を解決するためには、個々の対策もありますが、地域包括支援センターへの相談や介護保険サービスの利用などの対策が考えられます。
また、自治体の老人介護問題の対応・防止事例として、東京都の「高齢者見守り相談窓口設置事業」について紹介しました。
問題の全体を理解して、介護関係者が力をあわせて老人介護問題を解決していきましょう。

※掲載情報は公開日あるいは2023年06月05日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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