更新日:2023年09月28日
公開日:2023年08月22日
「居宅介護支援事業所のケアマネとして働きたい!」
「将来的には居宅介護支援事業所を立ち上げたい!」
介護職や介護業界志望の学生は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の仕事に興味があるでしょう。
ただ、仕事のイメージが漠然としていて、はっきりと把握していないかもしれません。
そこで今回は、居宅介護支援事業の概要や業務内容、介護支援専門員として就職する方法、1人ケアマネとして独立などについて解説します。
まずは居宅介護支援事業所の概要について解説します。
居宅介護支援事業所とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が常駐し、介護保険サービスを利用する地域の高齢者を支援する事業所です。
介護保険サービスを利用するためには、ケアプランと呼ばれる居宅サービス計画書が必要であり、その作成が居宅介護支援事業所の主な仕事です。
そのほかには、地域の高齢者の一般的な介護相談も受けています。
居宅介護支援事業所の最高責任者である管理者になるためには、介護支援専門員の上級資格である主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の資格が必要です。
ちなみに、居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員を「居宅ケアマネ」、有料老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設に勤務する介護支援専門員を「施設ケアマネ」と呼ぶことが一般的です。
居宅介護支援事業所と業務内容が似ている機関に地域包括支援センターがあります。
主な違いはケアプランの作成の対象者の範囲です。
両機関の詳細な違いは下記のとおりです。
対象(相談) | 対象(ケアプラン作成) | スタッフ | |
---|---|---|---|
居宅介護支援事業所 | 担当地域の高齢者 | 要介護(原則) | ケアマネ主任ケアマネ |
地域包括支援センター | 担当地域の高齢者 | 要支援 | 保健師主任ケアマネ社会福祉士ケアマネ事務員など |
上表のようにケアプランの作成の対象は要介護か要支援かで違っています。
ただ、要支援の方のケアプラン作成が、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ委託されることもあります。
なお、地域包括支援センターは、上表以外にも地域づくりといった業務を行っていることが特徴的です。
地域には様々なタイプの居宅介護支援事業所があります。
勤務している介護支援専門員の人数や、介護支援専門員の経験職種に違いがあるからです。
多くの介護支援専門員が勤務している事業所もあれば、「1人ケアマネ」と呼ばれる1人の介護支援専門員しか勤務していない事業所もあります。
また、特定事業所加算 を取得して、質の高いケアマネジメントを利用者様に提供している事業所もあります。
特定事業所加算とは、質の高いケアマネジメントを提供するために、常勤の介護支援専門員の人数や24時間連絡体制、研修計画の立案などの、細かな条件を満たした居宅介護支援事業所が取得できる加算です。
これらのように居宅介護支援事業所といっても様々なタイプがあり、介護支援専門員として働くときは、自分にあった事業所を選ぶことが重要です。
なお、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)というサイトを使用すれば、近くの居宅介護支援事業所の一覧を確認できますよ。
ここからは、居宅介護支援事業所の業務内容について一つひとつ解説しています。
居宅介護支援事業所のメインとなる業務はケアプランの作成です。
ケアプランは介護保険サービスを利用するときに必要になる計画書で、以下のような流れで作成されます。
1. アセスメント:利用者の心身状況や生活環境などを把握し課題分析を行う
2. サービス担当者会議:介護支援専門員・利用者・サービス提供事業者などでケアプラン案を検討する
3. ケアプラン作成:サービス担当者会議での意見をもとにケアプランを作成する
4. ケアプランの交付:問題がなければ作成したケアプランを交付する
5. モニタリング:ケアプランどおりに介護サービスが提供されているかを確認する
6. 見直し:モニタリングによって修正が必要ならケアプランを見直す
「ケアプランの作成」というと書類を作成しているイメージが浮かびますが、実際は作成にいたる様々な業務が存在しています。
居宅介護支援事業所ではケアプランの作成のほかにも、公的機関のような介護相談を受けています。
相談状況によっては他機関の紹介や、介護保険申請が必要であると判断される場合は申請も受けつけます。
担当している利用者様以外の方の相談も受けていることは、あまり知られていないこともかもしれません。
居宅介護支援事業所は、利用者様と様々な事業所や自治体などとの橋渡しをしています。
利用者様と各機関との橋渡しは以下のようなイメージです。
● 事業所:介護サービスの提供
● 自治体:要介護認定の更新手続き
● 医療機関:診察・定期通院
また、介護サービスへの要望・相談や苦情の対応も行っています。
ここまで、居宅介護支援事業所の概要や業務内容について解説してきました。
イメージがつかめたところで、最後は居宅介護支援事業所の介護支援専門員として勤務する方法について解説します。
居宅介護支援事業所で介護支援専門員として働くためには、試験に合格し実務者研修を受講・修了しなければなりません。
また、それら以外にも様々な手続きが必要です。
介護支援専門員の試験合格から居宅介護支援事業所への配属までの流れは以下のとおりです。
1. 介護支援専門員実務研修受講試験に合格
2. 介護支援専門員実務研修を受講・修了
3. 各都道府県の介護支援専門員資格登録簿へ登録
4. 介護支援専門員証の交付
5. 居宅介護支援事業所に配属
上記を一つひとつ達成して、初めて居宅介護支援事業所で介護支援専門員として働けます。
前述のとおり居宅介護支援事業所で介護支援専門員として働くためには、同事業所へ配属されなければなりません。
介護職として実務経験を積み、試験に合格し、実務研修を受講・修了し、介護支援専門員証が交付されても、当然ですが居宅介護支援事業所へ配属されなければ同事業所で働けないのです。
居宅介護支援事業所へ配属される方法は、大きく分けて①「転職する」・②「異動する」の二つがあります。
①「転職する」は、他会社の求人へ応募し採用され居宅介護支援事業所へ配属されることです。
所属している会社に居宅介護支援事業所がない場合に使う方法です。
ただ、慣れ親しんだ会社で働き続けたい方は、不安を感じるかもしれません。
そのような方は、初めから居宅介護支援事業所を運営する会社へ就職し、介護支援専門員に登録後に異動希望を出すことをおすすめします。
事業所は違いますが、異動のほうが同じ会社で働き続けられるため、不安をあまり感じずに働き続けられるでしょう。
将来的に介護支援専門員になることを考えて介護職になる方は、初めの会社選びも重要になってきますよ。
居宅介護支援事業所で介護支援専門員として働く方法として、転職と異動を解説しましたが、実はもう一つ方法があります。
リスクがありあまり選択する方はいませんが、「1人ケアマネ」という自分で居宅介護支援事業所を立ち上げる方法です。
「事業所を立ち上げるなんて、儲からないのでは・・・」と不安に感じる方もいるでしょう。
確かにケアプランの作成以外にも、介護報酬請求や自治体への申請、事業所運営などの全てことを1人でこなす必要があります。
ただ、成功すれば経営者として大きな収入が得られることでしょう。
リスクは伴いますが、経営に興味のある方は選択の一つとして検討してもよいかもしれません。
居宅介護支援事業所は介護支援専門員が常駐し地域の高齢者を支援する事業所です。
主な業務内容は、介護保険サービスを利用するときに必要なケアプランの作成ですが、その他にも重要な業務を行っています。
居宅介護支援事業所で介護支援専門員として働くためには、試験に合格したうえで介護支援専門員として登録され、配属されなければなりません。
介護支援専門員によっては自ら事業所を立ち上げて、1人ケアマネとして活躍している方もいますよ。
※掲載情報は公開日あるいは2023年09月28日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。