更新日:2023年09月28日
公開日:2023年08月22日
「介護福祉士実務者研修を取得したほうが・・・でも、働きながらは大変かも?」と悩んでいる介護職や介護業界への転職希望者はいませんか。
介護福祉士実務者研修の必要性を理解していても、時間や費用の面で決断できない方も多いでしょう。
そこで今回は、介護福祉士実務者研修の概要や受講方法、受講費用がかからない方法などについて解説します。
介護福祉士実務者研修は、介護業界では知れ渡っている研修で、修了すれば履歴書に記載できるほどです。
正規名称も介護福祉士実務者研修ですが、介護業界内では「実務者研修」と呼ばれることが一般的です。
ここでは、介護福祉士実務者研修の概要がわかるように、同研修修了を受験要件とする資格試験や、修了するメリット、研修時間・期間について解説します。
実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受験する場合は、3年の実務経験に加えて介護福祉士実務者研修の修了が条件となっています。
つまり、同研修の修了が受験要件の一つとなっているのです。以前の実務経験ルートは3年の実務経験だけで受験できました。
しかし、実務経験ルートは、介護の制度・理論を学ぶ機会が不足しているという議論があり 、同研修の受講が受験要件に加えられたのです。
実務経験ルートでの受験者が多い介護福祉士国家試験では、介護福祉士実務者研修の修了が介護福祉士へのパスポートとも言えます。
介護福祉士を目指している方は、ぜひ介護福祉士実務者研修を受講しましょう。
介護福祉士実務者研修は、介護について幅広く学べ、知識やスキルがしっかりと身につく研修です。
同研修で学ぶ科目と時間は下表のとおりです。
科目 | 時間 |
人間の尊厳と自立 | 5 |
社会の理解Ⅰ・Ⅱ | 計35 |
介護の基本Ⅰ・Ⅱ | 計30 |
コミュニケーション技術 | 20 |
生活支援技術Ⅰ・Ⅱ | 計50 |
介護過程Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 計90 |
発達と老化の理解Ⅰ・Ⅱ | 計30 |
認知症の理解Ⅰ・Ⅱ | 計30 |
障害の理解Ⅰ・Ⅱ | 計30 |
こころとからだのしくみⅠ・Ⅱ | 計80 |
医療的ケア | 50 |
合計 | 450 |
なお、介護過程Ⅲの45時間は、通信講座を受講している方もスクーリングの参加が必要です。
また、医療的ケアは、上表の時間以外に演習(実技)試験を行い修了する必要があります。
介護福祉士実務者研修は、キャリアアップや給与アップという点からも、とてもメリットの大きい研修です。
先ほど解説したように、介護福祉士国家試験の受験要件や介護の知識・スキルが得られます。
取得した資格や知識、スキルは仕事に活かせるため、介護職のキャリアアップに役立つでしょう。
また、キャリアアップすることで基本給のアップも見込めます。
さらに、多くの施設・事業所は、同研修修了している介護職に対して資格手当を支給しています。
1万円の資格手当を支給する施設・事業所も珍しくありません。
基本給のアップと資格手当の取得で、給与のアップが大いに期待できますよ。
メリットの多い介護福祉士実務者研修ですが、どれくらいの研修時間が必要なのでしょうか。
該当する介護系研修を一つも修了していないなら、450時間の研修時間が必要です。
該当する介護系研修を修了しているなら研修時間の一部免除があります。
修了している介護系研修ごとの研修時間と免除時間は以下のとおりです。
研修名 | 研修時間 | 研修免除時間 |
介護職員初任者研修 | 320 | 130 |
ホームヘルパー1級 | 95 | 355 |
ホームヘルパー2級 | 320 | 130 |
ホームヘルパー3級 | 420 | 30 |
介護職員基礎研修 | 50 | 400 |
研修期間で考えると、無資格の方では6ヵ月程度、介護職員基礎研修修了者では1ヵ月程度と修了した研修によっても異なります。
なお、上表にある研修を修了しているなら、研修時間のほかに研修費用の一部免除もありますよ。
「実務者研修を受けるには・・・」と受講方法がわからない方もいるでしょう。
介護福祉士実務者研修は、通学だけではなく通信でも研修を受講できます。
ただ、スクーリングや修了試験での合格が必要です。
ここでは研修の受講方法について解説します。
介護福祉士実務者研修は、スクールへ通い研修を受講する通学講座と、自宅で勉強して課題を提出する通信講座の二つに分類できます。
両講座のメリットは以下のとおりです。
● 通学講座:教室で勉強に集中できる・疑問点をすぐに質問できる
● 通信講座:自分のペースで勉強できる・細切れ時間を活用できる
なお、通信講座には、昔ながらの課題を郵送する方法と、オンライン上で提出する方法の二つがあります。
向き不向きや自宅のオンライン環境にあわせた選択ができますよ。
通信講座の介護過程Ⅲと医療的ケアに限っては、スクーリングで学ぶ必要があります。
研修へ申し込むときは、スクーリング会場が自宅から通いやすい場所にあるかを、しっかり確認してください。
また、医療的ケアは、学んだことが実際にできるかどうかの演習試験が行われます。
試験官の前で決められた手順どおりにケアを行うことは、筆記試験とは異なった緊張感があります。
緊張のために「医療的ケアに落ちた!」と嘆く受講生も少なくありません。
なお、スクーリング会場は、東京23区や大阪市、名古屋市などの大都市に多い傾向があります。
修了試験が行う講座の場合は、当然ですが合格しないと介護福祉士実務者研修を修了できません。
ただ、修了試験といっても資格試験のような難しいものではなく、基本をしっかり押さえておけば合格できる試験です。
なお、修了証明書は、同研修を修了してから1~2週間後に受講生のもとへ届きます。
ここまでは介護福祉士実務者研修の概要や受講方法について解説してきました。
とてもメリットのある研修で受講のしやすさも魅力ですが、費用が発生することも事実です。
しかし、同研修の費用が返ってくる方法や、費用をかけずに受講する方法が実はあるのです。
最後は費用をかけずに同研修を受講する方法について解説します。
方法の一つ目は勤務している施設・事業所の資格取得支援制度を利用することです。
資格取得支援制度は所属する会社によって異なるため、介護福祉士実務者研修が対象でないことや、全費用を負担してくれないこともあるでしょう。
しかし、比較的規模の大きな会社では、対象になっていることが多いようです。
例えば、「SOMPO ケア株式会社」や「株式会社木下の介護」は、実務者研修の全費用を会社が負担してくれます。
また、「株式会社ニチイ学館」で実務者研修を受講したあとに同会社に就職すると、受講料が全額返金されます。
研修を受講してから介護の仕事に携わるかを決めたい方には、向いている制度といえるかもしれません。
このように、資格取得支援制度を利用することで、受講費用をかけずに実務者研修が受講できるのです。
方法の二つ目は公的な職業訓練制度を利用することです。
代表的な訓練制度にハロートレーニングがあります。
厳密には公共職業訓練と求職者支援訓練に制度が分かれていますが、どちらも受講費用がかからないことのほかに、給付金を受けながら研修を受講できることもメリットです。
そのため、仕事やお金の心配をしないで、研修の受講に集中できるという特徴があります。
利用するための試験や厳しい出席義務が課せられますが、メリットはほかの制度と比較しても大きいと言えるでしょう。
介護福祉士実務者研修を修了することは、メリットが大きいと言えるでしょう。
研修も自分にあった受講方法が選択できます。
施設・事業所の資格取得支援制度や公的職業訓練制度など、費用をかけずに研修を受講する方法もあります。
介護業界で活躍したいのなら、ぜひ介護福祉士実務者研修を受講しましょう。
※掲載情報は公開日あるいは2023年09月28日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。