混合介護が施行されるとどうなるの?

更新日:2020年06月13日

公開日:2019年06月17日

政府でも議論が続く混合介護が施行されると、どうなるの?分かりやすく特徴を解説

現在、政府内でも混合介護についての議論が続いています。混合介護(選択的介護)とは、従来の介護保険サービスに介護保険外サービスを組み合わせてよりご利用者様のニーズに対応できるように考えられたサービスです。混合介護が導入されるとメリットだけでなく様々なデメリットも生じます。今回は混合介護について紹介します。

はじめに

まずはじめに、知っておいていただきたいことがあります。
2019年10月現在において、混合介護は全国で導入されている制度ではありません。
2018年8月1日から2021年3月31日まで豊島区で行われるモデル事業で、豊島区での実績をもとに今後制度化されるかどうかが検討されます。

混合介護(選択的介護)とは?

混合介護(選択的介護)とは、ご利用者様が介護費用の1割を支払って介護保険内で受けるサービスと、全額自己負担の介護保険外のサービスを同時に使うことをいいます。
現在の制度でも混合介護を受けることが可能ではありますが、介護保険内のサービスと保険外のサービスを明確に分けることが必要とされているため、同一時間内にサービスを提供することが認められていません。
訪問介護の場面を例に挙げてみましょう。
現在の制度では訪問介護士がご利用者様の分のご飯を作り、同時にご家族様の食事を作ることは認められていません。
ご利用者様とご家族様の食事を準備する場合、一度その介護士が自分の事業所に戻り、再度訪問して家族のご飯を作るか、別の訪問介護士が訪問して家族のご飯を作る必要があります。とても非効率ですが、現在の制度ではこうする他ないのです。
混合介護が認められるようになると、このような費用や時間の無駄が省かれ、効率よくサービスを提供することが可能になります。

混合介護(選択的介護)で可能になること

現在の制度 混合介護

現在の混合介護における課題を受けて、介護保険サービスと保険外のサービスを同時・一体的に行えるようにすることと、介護サービス価格の自由化を推進し多様なサービス提供を図ることを推進するように提言しました。これを「混合介護の弾力化」と言います。これが実現されると、訪問介護場面で本人と家族の分の食事を一緒に作ることができたり、デイサービスの送迎時に買い物支援や病院への送迎などを一緒に行うことが可能になります。
事業者が自由に価格を設定できることで専門性の高いスタッフのサービスを受ける場合に指名料を課すことも可能になります。料金はそのままでサービスに付加価値をつけたり、他事業所と差をつけることで競争原理が働き、介護サービス自体が活性化する可能性もあります。事業所収入が増えることで職員の給料に反映されることもあるかもしれません。

混合介護(選択的介護)のメリット

混合介護が制度化されるとどのような点がメリットなのでしょうか。

サービスの幅が広がる

時代の変化と共に高齢者のニーズも多様化していくことが考えられます。今までの同じようなサービスだけでは対応できないようになっていくのではないでしょうか。今までの介護サービスで対応できなかった部分は、介護保険外サービスで対応できるようになり、よりサービスの幅が広がるのではないでしょうか。

介護スタッフの働き方が変わる

今まで、非効率的だったサービスが一体化されると、サービス時間の短縮や業務効率が上がり、介護スタッフそれぞれに時間的な余裕が生まれると思います。また、価格の自由化によって付加価値をつけることが可能となり、事業所収入が増え介護職の地位の向上や金銭的な余裕が生まれると思います。

混合介護(選択的介護)のデメリット

混合介護が制度化されるとどのような点がデメリットとなるのでしょうか。

ご利用者様の費用負担が増える

混合介護が機能し始めると、介護サービスに付加価値が盛り込まれるため、ご利用者様の費用負担は増加してしまう恐れがあります。また、低所得者と富裕層と間に格差が生じ、混合介護の費用を払えない人も出てくることが懸念されています。

利用者被害に遭う恐れ

判断力が低下したご利用者様につけ込んで、不必要なサービスを契約させようとする悪徳な事業者が出現してしまう可能性があることも示唆されています。

まとめ

2018年8月1日から東京・豊島区で混合介護のモデル事業が開始され1年が経ちました。今後、他府県に広がっていくかどうかは豊島区でのパイロット運用終了後、検証を待ってからとなります。介護ワーカーでは今後も混合介護の動向に注目していきます。
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※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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