介護職として3年以上働いている方のなかには「そろそろキャリアアップしたいな」と思っている方は少なくないはず。
今回は、介護リーダーやユニットリーダーへのキャリアアップを目指している方に向けて、それぞれの仕事内容やリーダーになるには何が必要なのか、また給与についてなどをまとめてみました。さっそく見ていきましょう。
介護リーダーとユニットリーダーの違いとは?
介護リーダーとユニットリーダー、どちらも介護職にとってはよく聞く役職名ではないでしょうか?しかし、違いがはっきり分からないという方もいるはず。そこで、まずは介護リーダーとユニットリーダーの違いについてご紹介したいと思います。【介護リーダー】
介護リーダーとは、介護主任と呼ばれる役職です。介護現場の調整役として、施設や介護職員をまとめます。安全に介護を提供できるよう、そして職員も安心して働けるように環境整備について考えることも介護リーダーの役割です。介護リーダーは、法令による配置が定められていないため、リーダーを配置するかどうかは各介護施設の判断に任せられています。【ユニットリーダー】
ユニットリーダーとは、ユニットケアをおこなう施設のユニットというチームのリーダーです。高い知識と技術を活かしユニットのリーダーとしてケアの質を管理すること、またユニットを上手く運営していくことがユニットリーダーの役割となります。ユニットリーダーは、厚生省令によって「ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置すること」と義務づけられています。(※)(※)参考:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成三十年厚生労働省令第四号)第四十七条 介護リーダーとユニットリーダーの大きな違いは「厚生省令の配置基準で定められているかどうか」という点です。どちらも介護現場や職員のまとめ役としての役割を担っています。 ユニットケアとは・・・ユニットケアとは、入居者一人ひとりが望んでいる暮らしをサポートする個別ケアの方法です。介護が必要になっても、これまで大切にしてきた暮らしを営めるようにサポートします。一つのユニットを10人以下のグループに分け、小人数で家庭的な生活が送れるように支援していきます。 では、介護リーダーとユニットリーダーの仕事内容やリーダーになるために必要なことなどについて詳しく見ていきましょう。 介護リーダー
介護リーダーの仕事内容
介護リーダーになるとどのような仕事をするのでしょうか?介護リーダーの仕事内容について詳しく見ていきましょう。 以下は介護リーダーの仕事内容の例です。 [介護リーダーの仕事内容]
〇職員の勤務管理、シフト表の作成〇研修の企画・資料作成・開催〇介護現場の労働環境の整備〇職員の教育・育成〇利用者さんのリスク管理、介護サービス内容の見直し〇行事の企画・運営〇緊急時対応・スタッフへの指示〇利用者家族との連絡調整・面談対応〇新規利用者さんとの面談〇職員の採用面接など求人関連業務〇管理者や他職種・他部署との連絡・連携〇職員へ伝達事項の周知〇施設内会議、委員会への参加〇記録物の管理〇物品管理〇介護ボランティアや介護実習生の受け入れなど 上記のように、介護リーダーの仕事内容は多岐に渡ります。これまでの現場の業務に加え、職員のフォローや人員配置の調整、管理職とのパイプ役など様々な役割を求められます。介護職員をまとめるリーダーとして、豊富な知識や高度なスキルだけでなく高いコミュニケーション能力が必要とされます。 介護リーダーになるために必要なこと
介護リーダーは、保有資格や経験年数の規定はとくに設けられていません。しかし、業務内容や介護リーダーが担う役割を考えると介護職員として豊富な経験が必要となります。“豊富な経験”の基準は、厚生労働省では勤続10年以上の介護福祉士が望ましいとされています。この基準は、2019年に「技能・経験を持つリーダー級の職員」の処遇改善を目的に創設された「介護職員等特定処遇改善加算」に関係しており、制度設計の基となった「勤続年数 10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という方針があったからです。 しかしながら、介護福祉士の資格を持ち実務経験が長ければ介護リーダーになれるわけではありません。介護リーダーになるには、多様なニーズに対応できる知識や技術が身についていつだけではなく、リーダーとして求められるさまざまな能力を持ち合わせていることが必要です。 介護リーダーに求められる能力は次の5つ。 ・介護に関する高度な知識や技術・指導力・マネジメント力・リーダーシップ・コミュニケーション力 これらの能力があり、介護福祉士として豊富な経験と知識がある人が介護リーダー適しているといえます。 ◎介護福祉士について詳しく知りたい方は以下のコラムをチェックしてみてください。「かんたん解説!介護福祉士とはどんな資格?」 介護リーダーの給与はどのくらい?
介護リーダーの給与について見ていきましょう。
介護リーダーの給与額を弊社独自に調査してみました。
介護リーダー(介護主任)の給与額は、月24万円~30万円ほどが多く、年収は400万円前後が中間年収額となっています。役職手当は1万円~3万円と事業所によって差があり、夜勤の回数などによって給与額は違ってきます。
≪介護リーダーの給与例≫
基本給:150,000円~209,300円
資格手当:8,000円~10,000円
処遇改善手当:20,000円
役職手当:15,000円
特定処遇改善手当:80,000円
夜勤手当:6,000円~7,000円/回
通勤手当:実費支給(上限20,000円)
賞与:年2回(前年度実績 300,000円~600,000円)
ユニットリーダー
ユニットリーダーの仕事内容
ユニットリーダーになるとどのような仕事内容なのでしょうか?ユニットリーダーの仕事内容について詳しく見ていきましょう。 以下はユニットリーダーの仕事内容の例です。 [ユニットリーダーの仕事内容]
〇ユニット会議をひらく(議題の決定・議事進行など)〇ユニットで行うイベントや行事の企画、内容確認〇リーダー会議への参加〇ユニットスタッフのシフト管理・調整〇ユニットスタッフの教育〇ユニットの新規入居者の選定〇ユニットの入居者のリスク管理やケア方法の見直し・決定〇ケアプランに関する書類確認〇ユニットの入居者家族との連絡・対応・話し合いなど 上記のように、ユニットリーダーの仕事内容は「入居者に関すること」と「ユニットスタッフに関すること」の2つに分けられます。各ユニットには5名前後の介護職員が配置されており、その介護職員をまとめ入居者一人ひとりに合ったサービスを提供できるようにしていくことがユニットリーダーの役割です。 ユニットリーダーになるために必要なこと
ユニットリーダーになるためには、介護職の資格を保有していること、1年以上の実務経験を必要とされます。とくに、介護士資格については介護福祉士を保有しているユニットリーダーがほとんどです。初任者研修や実務者研修などの資格を持っている方は、まず介護福祉士資格の取得をしてからユニットリーダーを目指すとキャリアアップに近づきます。 介護リーダーと同じく、ユニットリーダーにも下記の能力が求められます。 <ユニットリーダーに求められる5つの能力>・介護に関する豊富な知識や技術・指導力・マネジメント力・リーダーシップ・コミュニケーション力 ユニットリーダーを選ぶ基準として「人の上に立てる人柄なのか」という点を重視されるため、とくにリーダーシップやコミュニケーション力は必須能力です。ユニットリーダーは経験や知識が豊富なだけではなく、スタッフをまとめる力や決断力、そして見極める力を必要とされます。
ユニットリーダーの給与はどのくらい?
ユニットリーダーの給与について見ていきましょう。
ユニットリーダーの給与額について弊社独自に調査してみました。
ユニットリーダーの給与額は、月18万円~20万円ほどが多く、年収は285万円前後が中間年収額となっています。役職手当は数千円~1万円ほどと事業所によって差があり、なかには役職手当が付かない施設もあります。
給与額は夜勤の回数や保有資格、経験年数などによって異なり、施設によってさまざまです。
≪ユニットリーダーの給与例≫
基本給:145,000円〜170,000円
資格手当:10,000円〜10,000円
介護職員処遇手当:25,000円
夜勤手当:4,000円/回
役職手当:0~10,000円
通勤手当:実費支給(上限15,000円)
家族手当:配偶者10,000円、子5,000円
住宅手当:4,000円~6,000円
賞与:年2回(2.1カ月分)
介護リーダーやユニットリーダーに向いている人
介護リーダーやユニットリーダーに向いている人とはどのような人なのでしょうか?介護・ユニットリーダー向いている人の特徴についてご紹介したいと思います。 介護・ユニットリーダーに向いている人の特徴は次の3つです。◇周囲と力を合わせながら問題解決をすることができる人
◇個人的な感情に流されず、冷静な判断・決断ができる人
◇利用者や介護職員の些細な変化に気付け、対応ができる人
介護リーダーとユニットリーダーに共通して言えるのは「人柄」が重要であるということです。リーダーになると色々な場面で意見や判断を求められることが多々あります。職員からの信頼を得ていなければ、職場の人間関係が悪くなるだけでなく施設全体の雰囲気にも影響し離職に繋がってしまうこともあります。そのため、リーダーは高いコミュニケーション能力があることや職員に慕われる人柄であることが大切です。 まとめ
介護リーダーやユニットリーダーは人から慕われ、責任を持って決断行動できる人でなければなりません。リーダー職へキャリアアップを考えている方は、いまの自分の仕事を振り返りリーダーとして適している行動をとれているのかを考えてみましょう。足りないと思う点があれば改善し、リーダーとしてふさわしい発言や行動、視点などを持てるよう日々努力することで、リーダーに求められる能力を身につけることができでしょう。
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