介護における「モニタリング」という仕事をご存知でしょうか?
モニタリングはケアマネージャー(介護支援専門員)がおこなう業務の一つ。
ケアマネージャー(介護支援専門員)のおもな業務は、アセスメントをおこない利用者一人ひとりに合ったケアプランの作成・提案や介護給付費の管理などさまざまあります。
なかでも、利用者のケアプラン作成と同じくらい重要な仕事がモニタリング業務です。
今回は、ケアマネージャーの仕事の一つである「モニタリング」とはどんな仕事なのか、またモニタリングをするうえでのポイントや注意点、モニタリングシートの書き方まで、詳しく解説したいと思います。
介護におけるモニタリングってどんな仕事?
介護におけるモニタリングとはどのような仕事なのか、またモニタリングをおこなう目的について見ていきましょう。
モニタリングとは?
介護現場におけるモニタリングとは、ケアプランに沿って提供されている介護サービスが利用者本人や家族のニーズに合っているかを定期的にチェックすることをいいます。
ケアマネージャーがサービスの利用者や家族、またサービス提供者である介護スタッフから利用状況について定期的に聞き取りをおこない情報収集したうえで、ケアプランと比較しながら「ケアプラン通りにサービスを提供しているか」「提供されているサービスは適切か」「以前と比べて変化した点はどこか」などを確認します。
モニタリングをする目的について
モニタリングをおこなう目的は、ケアプランの実施状況についての確認と課題や目標に対する評価、そして利用者のニーズの変化に気付きサービスのズレがないようケアプランの微調整をすることです。介護サービスを受ける利用者の心身の状況は、一定ではなく日々変化していくため利用者が必要としているサービスもまた変化していきます。このようなズレを定期的にチェックし修正することで常に利用者のニーズに合った介護サービスを提供することが可能になります。◎ケアマネージャーについて詳しく知りたい方は以下のコラムをチェックしてみてください。「ケアマネージャーってどんな資格?」「ケアマネ必見!アセスメントのコツ&アセスメントシートの書き方まとめ」 介護モニタリングで押さえておきたいポイント5つ!!
前述したように、モニタリング業務ではケアマネージャーがサービスの利用者や家族、介護スタッフから利用状況について聞き取りをおこないます。
この「聞き取り」ですが、実際どのように聞き取りをすればよいのか分からないという方もいるのではないでしょうか?
そこで、モニタリング業務を実施するうえで、押さえておくべきポイントについてご紹介したいと思います。
モニタリングのポイントは以下の5つ
(1)ケアプラン通りにサービスが実施されていたか
(2)ニーズ対する充足度は?/必要なサービスに変化はない?
(3)利用者本人・家族の要望に変化は?
(4)目標を達成できている?
(5)信頼関係を築く
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
POINT1|ケアプラン通りにサービスが実施されていたか
まずは、ケアプランにあるサービスがきちんと実施されていたかどうかを確認することが大切。
ケアマネージャーが提案したケアプランは、介護サービスを必要としている利用者と家族の間で生じていた問題が解消されることを目的として作成されています。そのため、ケアプラン通りにサービスが実施されていなければ、その要因を把握し解決方法を考えます。
POINT2|ニーズ対する充足度は?/必要なサービスに変化はない?
ニーズに対する充足度や必要なサービスに変化がないかを確認しましょう。
利用者や家族と面談をおこない、サービスを受けどのくらい満足できているのか聞き取りを実施します。また、スタッフから得た情報も含めて必要なサービスに変化はないか検討します。
POINT3|利用者本人・家族の要望に変化は?
利用者の健康状態などによって、利用者本人や家族が必要とするサービスが変化することは少なくありません。そのため、面談にて介護サービスに対してどのように感じているのか、またどのような要望があるのか“本心”を聞き取ることが大切です。
POINT4|目標を達成できている?
モニタリングにおいて、ケアプランで設定している目標を達成できているかどうかを確認することはとても大事なことです。
目標が達成できていない場合は、ケアプラン修正が必要になります。反対に目標が達成できていれば次の目標を設定しなければなりません。
POINT5|信頼関係を築く
モニタリングを継続的に実施することによって、利用者や家族、スタッフとの信頼関係を築くことはとても重要です。とくに、利用者やその家族は信頼関係がないとなかなか本心を話さない方もおり、ケアプランにズレがあることに気付きにくくなってしまいます。
そうならないためにも、利用者の生活状況や身体状況だけでなく家族の疲労などにも気を配ったケアプランを調整することで、利用者本人や家族との信頼関係を強めていけます。
介護でモニタリングをする際の注意点
モニタリングを実施する際の注意点について見ていきましょう。●利用者や家族の声に耳を傾ける
介護サービスを受け始めたばかりの利用者や家族は不安な気持ちを抱いていることがほとんどです。そのため、初期のモニタリングではケアプランをただ評価するだけではなく、利用者本人や家族の心の声に耳を傾け信頼関係を築くことが大切です。信頼関係を築くことで思っていることを話してもらいやすくなるため、その後のケアプランに反映でき、サービス提供もスムーズに進むようになります。●サービス担当者からの情報は大切に
サービス担当者である介護スタッフやホームヘルパーは、ケアマネージャーより長い時間利用者と接しています。そのため、サービス担当者からの情報や意見はモニタリングにおいてとても重要です。日頃からサービス担当者とコミュニケーションを取っておくと、ヒアリングしやすくなるだけでなく情報提供してもらいやすくなります。●実際の介護現場で確認する
利用者や家族の声、サービス担当者からの情報だけに頼るのは危険です。サービスの利用が中・長期になると、利用者や家族に面談しても「とくに変わりない」という返答が多くなってきます。そのような時ほど、何か変化があっても気付きにくく事故が起こる確率も高くなってしまいます。いつも近くで見ているサービス担当者も、スムーズにサービスを実施できていると利用者の些細な変化に気付かないこともあるでしょう。そこで重要になるのが「実際にどのようにサービスがおこなわれているのか「自分の目で見て確かめること」です。利用者がどのような表情で過ごし、サービスを受けているのかをしっかりと観察し、ときに利用者と話をしてみましょう。 モニタリングシートの書き方と記入例
モニタリングをおこなう際に作成するのがモニタリングシートです。モニタリング結果の記録様式に決まりはなく、施設によってさまざま。記録内容は、モニタリングを実施した日付や場所、誰と面談したのか、短期目標やサービス内容、利用者の変化などについて記入します。【良くない記入例】令和〇年〇月〇〇日|本人、妻と面談・ケアプランについて問題はなく継続を希望これではケアプランの意向確認だけとなりモニタリングの記録として適切ではありません。モニタリングシートを書くポイントは以下□モニタリングを実施したことを誰が見ても分かるようにしておく
□身体状況、サービス実施状況など詳しく記録する
□モニタリングの結果、今後の方針を記録する
上記のポイントを踏まえた記入例は以下 モニタリングシート |
記入日:令和〇年○月○○日 | 担当者名: |
利用者名:○○○○様 | 実施場所:居室 |
短期目標 | 転倒せずに歩行ができる |
今までのケアプラン | (これまでのケアプランについて記入する) |
サービス実施状況 | (サービス実施状況について記入する) |
身体状況の変化 | (身体状況の変化について記入する) |
気持ちの変化 | (気持ちの変化について記入する) |
ニーズの充足状況 | □満足 □どちらともいえない □不満 |
本人・家族の要望など | (面談にて聞き取りした内容を書き込む) |
目標達成の評価 | ケアプラン開始直後は、歩行が不安定で転倒の恐れがあった。 定期的にリハビリをおこない体力をつけ、下肢筋力を鍛えることで歩行が安定してきている。 |
今後の方針 | 自立歩行を目指し、もう3カ月継続する。 |
モニタリングシートの書式や記入内容などは、法令などで定められていないため施設などによって異なります。どのような書式であっても、できるだけ細かく丁寧に作成することを心がけましょう。
まとめ
利用者や家族のニーズの変化に合わせて介護サービスを提供し続けるためには、定期的なモニタリングが必要不可欠です。
しかし、毎月モニタリングを実施するうちに新しい情報が少なくなってきてしまうこともしばしば。なんとか情報を得ようと質問するのはいいことですが、質問攻めになってしまわないように気をつけましょう。気軽な会話の中から心の声を引き出し、ケアプラン改善のヒントを探してみてください。
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