更新日:2023年04月13日
公開日:2021年05月17日
介護を必要とする方々は、旅行に行きたいと思ってもなかなか実現することができません。
「周りに迷惑をかける」「不安ばかりで楽しめない」と諦めてしまう方が多いのです。
今回は、そんな要介護者らが安心・安全な旅を楽しめるようにサポートをする「旅行介助士」という資格をご紹介します。
旅行介助士資格はその名の通り旅行の介助を行い、「旅行がしたい」という要介護者や障がい者の願いを叶えます。
要介護者の旅をサポートするために必要な知識やスキルを学ぶことができる民間資格で、2019年、一般社団法人日本介護旅行サポーターズ協会によって創設されました。
旅行介助士公式サイトの情報によると、70代以上の旅行者の数は60代に比べてぐっと減るようです。歩行に関する不安があるからというのが最も大きな理由となっています。
※参照:介護旅行の現場|一般社団法人日本介護旅行サポーターズ協会
近頃では高齢者や障がい者を対象に、バリアフリーツアーやユニバーサルツーリズムといった旅が企画されていますが、それでも不安を感じて旅行を諦めてしまう方が多いというのが現状です。
要介護者の場合、旅先での移動、食事やトイレ、入浴時などさまざまな場面で介助やサポートが必要になる場合がありますが、旅行に一緒に行く友人や家族らにその助けをお願いするのは気が引けるという方は多いでしょう。
そんな方々の不安を取り除き、引け目を感じることなく楽しい旅をしてもらえるようにサポートするのが旅行介助士の役割です。
介護経験、そして旅行に必要な知識やスキルを持つ「旅と介護のプロ」である旅行介助士なら、要介護者の「もう一度旅をしたい」「旅行を楽しみたい」という願いを叶えることができるでしょう。
この資格では主に旅行業者が持っておくべき基礎知識や、旅行を企画・アテンドするうえで必要な実務などを習得できます。
一点注意が必要なのは、介助の方法や介護の知識が学べる資格ではないということです。
すでに介助技術を持っている人向けのカリキュラムが組まれており、原則、介護経験がある人が受講する講習となっています。
旅行介助士資格はバス研修などを含む3日間の研修を修了することで取得できます。
添乗員の講師と共にバスツアーを体験し、要介護者との旅行で気をつけるべきポイントなどを学びます。
ツアー体験後に旅程管理者試験が実施され、この試験に合格すれば「国内旅程管理主任者」を取得できます。
国内旅程管理主任者とは、ツアーコンダクターや団体旅行などの添乗員に取得が義務付けられている資格で、国内旅行の添乗が可能になるというものです。
旅行介助士資格を取得することは、介護のプロ、そして旅行のプロ(ツアーコンダクター)であることの証明となります。
また、資格を取得すれば、協会が提携するAMUSEという添乗員派遣会社に添乗員として登録されます。
ツアーを企画する旅行会社からAMUSEに旅行介助士の依頼があれば、それを受けて、協会から出発地エリアに住む旅行介助士に打診があります。
このような流れで協会を通じて、旅行介助士を必要とする方々の紹介を受けられるようになります。
ではここから、資格の取得方法について解説していきます。
次のいずれかに該当する人が対象となります。
介助ができることを前提としたカリキュラムのため、介護施設等での勤務経験がなければ基本的には受講不可となっています。
公式サイトでのみ可能です。電話やメールでの受付は行われていません。
下記にて、希望の開催地や日程を確認のうえ、お申し込みください。
なお、申し込み期限は開催の1ヶ月前となっています。
◆旅行介助士 申し込みページ
受講料:55,000円(税込)
受講料にはテキスト代やバス実習費、「国内旅程管理主任者」資格の取得費用が含まれます。
なお、旅程管理主任者資格をすでにお持ちの方は、25,000円(税別)となります。
受講料お支払い後に、下記のテキスト3点がご自宅に郵送されます。
・旅行介助士テキスト
・旅程管理者テキスト
・旅程管理者試験予想問題
すでにお伝えしているように、資格取得には3日間の研修受講が必要です。
研修の具体的な内容は次の通りです。
旅行介助士 研修内容 | |
---|---|
1日目 | ・旅行業法令・約款・添乗実務 ・国内旅行実務(前半) |
2日目 | ・国内旅行実務(後半) ・バス添乗実務 □バス内アナウンス(要介護者に対する挨拶、行程案内、注意点アナウンスの方法) □観光地でのサポート方法(大人数を少人数で見守るポイント等) □土産店などでのサポート方法(車椅子での土産購入のポイント等) ・旅程管理者試験 |
3日目 | ・介護旅行実務 1|介護旅行の企画 2|旅行の手配 3|下見のポイント 4|旅行の準備 5|旅行者の状態把握 6|旅行中のサポート 7|旅行後の業務 8|試験 |
すでに国内旅程管理主任者の資格をお持ちの場合は一部研修が免除され、1日目は参加不要、2日目のバス添乗実務からの研修参加となります。
講義中に2回試験が行われます。両方の試験に合格すれば修了証が発行され、旅行介助士資格取得となります。試験は不合格にならないように再試験も実施されるようです。
高齢者や障がい者の方々の旅行支援として、旅行介助士の他、下記のような資格・制度もあります。
興味のある方はぜひ、公式サイトで詳しい内容をご確認ください。
◆観光介助士
一般社団法人日本UD観光協会が認定する、高齢者や障がいを抱える方が安全・安心に旅行できるようサポートする資格です。初級・中級・上級と3段階に分かれています。
旅行添乗員だけでなく、宿泊施設、観光施設のスタッフにも役立てられている資格です。
<詳しくはこちら>
研修・資格について|一般社団法人 日本UD観光協会
◆トラベルサポーター
トラベルサポーターとは、障がいを持つ方や高齢者の旅行に一緒に同行し、介助やサポートをしながら自身も旅を楽しむ登録制のボランティアスタッフです。
介護職員初任者研修資格が必要となります。
※現在はコロナウィルスに伴う対応のため、募集されていません。
最新の情報は公式サイトでご確認下さい。
<詳しくはこちら>
トラベルサポーター|クラブツーリズム
旅行介助士はまだ比較的新しい民間資格ですが、今後は国家資格への採択を目指しているそうです。
旅行したくても不安でできないという方々の夢を実現することができるとても意義のある資格ではないでしょうか。
今はなかなか旅行がしづらい世の中ではありますが、この先、安心して旅行ができるような日本に戻ったときに、大いに役立てられる資格ではないかと思います。
興味がある方はぜひ、公式サイトをご覧ください。
旅行介助士|一般社団法人日本介護旅行サポーターズ協会
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