「介護福祉士会」とは?知っておきたい入会方法、メリット・デメリット

更新日:2023年04月13日

公開日:2021年06月21日

介護福祉士会とは?参加できる研修、入会方法、メリット・デメリットもご紹介!

介護福祉士会をご存じでしょうか?
介護福祉士の資格取得を目指している方や取得した方は「介護福祉士会」という協会を聞いたことがある方もいるでしょう。しかし、どんな協会なのか詳しく知らない方は少なくないはず。

そこで今回は、介護福祉士会とはどのような協会なのか、また入会方法やメリット・デメリットについてまとめてみました。さっそく見ていきましょう。

介護福祉士会とは

介護福祉士会ってどんな協会なの?

介護福祉士会とは、介護分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」の有資格者による職能団体のことです。
介護福祉士会は「公益財団法人 日本介護福祉士会」のほか「公益財団法人 (都道府県)介
護福祉士会」があります。都道府県介護福祉士会は、日本介護福祉士会のパートナー団体で47都道府県に設立されています。

<介福祉士会の目的>
日本介護福祉士会では
「介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与すること」
※引用:「公益社団法人 日本介護福祉士会の概要」

を目的として掲げています。

つまり、介護に関する知識や技術を広めること、そして国民の福祉の増進に貢献することを目的としています。
この目的を果たすため、介護に関する知識、技術などの専門性をより高め、介護福祉士としての質の向上に努めています。

<介護福祉士会の倫理綱領>
倫理綱領とは、専門職団体が専門職としての社会的責任や職業倫理を行動規範として書き表したものです。
日本介護福祉士会では設立当初から倫理綱領の作成に着手し、設立から約1年9カ月後の1995年11月17日に宣言されました。

「日本介護福祉士会倫理綱領」は以下。

日本介護福祉士会倫理綱領
1995年11月17日宣言

前文
私たち介護福祉士は、介護福祉ニーズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。
そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。

(利用者本位、自立支援)
1.介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
(専門的サービスの提供)
2.介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑽に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。
また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。
(プライバシーの保護)
3.介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
4.介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
(利用者ニーズの代弁)
5.介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。
(地域福祉の推進)
6.介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。
(後継者の育成)
7.介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。
倫理綱領

※引用:「公益社団法人日本介護福祉士会 倫理綱領」

<事業内容>
日本介護福祉士会では以下の事業内容をおこなっています。

●介護福祉士の職業倫理並びに専門的知識及び技術の向上に関する事業
●介護福祉に関する調査研究に関する事業
●介護福祉士教育機関その他関係団体との連携及び協力に関する事業
●介護福祉の普及啓発に関する事業・介護福祉士の相互福祉に関する事業
●その他本会の目的を達成するために必要な事業

日本介護福祉士会では国民の福祉の増進に貢献する事業や介護福祉士が成長でき質を向上させるための事業をおこなっています。

介護福祉士会で参加できる研修について

介護福祉士会で参加できる研修 生涯研修の軸となる3つの研修

日本介護福祉士会では、介護職チームのあり方を踏まえた生涯研修体系というシステムが作られています。
そのなかで、生涯研修の軸とされている研修が3種類あります。
その3種類の研修というのが「介護福祉⼠基本研修」「ファーストステップ研修」「認定介護福祉⼠養成研修」です。
介護福祉士に求められる役割を担保するための研修として、この3種類の研修を「軸となる研修」としています。

◆介護福祉⼠基本研修の概要◆
介護福祉士基本研修は「資格取得後~実務経験2年未満」の方を対象とした研修です。
介護福祉士として
・生活支援としての介護の視点
・自立支援の考え方
・介護過程の展開

などを学び、根拠に基づいた質の高い介護の実践力を養う研修となっています。

◆ファーストステップ研修の概要◆
ファーストステップ研修は「実務経験2年~3年」の方を対象としている研修です。
「求められる介護福祉士像」を目指して、小規模チームのリーダーや初任者などの指導係として活躍できる人材を養成することを目的とした研修です。

◎ファーストステップ研修についてもっと詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。 
「受講するべき?介護福祉士ファーストステップ研修とは!」 

◆認定介護福祉⼠養成研修の概要◆
認定介護福祉⼠養成研修は「実務経験5年以上」の方を対象とした研修です。
この研修では、以下の役割を期待される介護福祉士を養成するための研修となっています。

◇介護職チームに対する教育指導、介護サービスマネジメントをおこない、介護職チームのサービスの質を向上させる。
◇地域包括ケアを推進するため、介護サービス提供において多職種との連携・協働を図る。
◇地域における施設・事業所、ボランティア、家族介護者、介護福祉士などの介護力を引き出し、地域の介護力の向上を図る。


また日本介護福祉士会で参加できる研修は上記3種類以外にも多数あります。
たとえば
●多職種連携等に関する研修
●介護過程の展開を強化する研修
●中核的な役割を担う介護福祉士資質向上研修(新リーダー研修)
●介護職種の外国⼈技能実習⽣の指導者向けの介護職種の技能実習指導員講習
●サービス提供責任者研修
など、都道府県介護福祉士会と連携し研修を実施しています。

介護福祉士会へ入会するには

介護福祉士会への入会方法 入会手続きの流れ

介護福祉士会への入会方法について紹介していきたい思います。

【入会の要件】
日本介護福祉士会、都道府県介護福祉士会ともに「介護福祉士の有資格者かつ本会の目的・趣旨に賛同している方」であればどなたでも申し込み可能です。

ただし、日本介護福祉士会へ入会する場合は都道府県介護福祉士会への同時入会が必要となります。都道府県介護福祉士会のみに入会することも可能ですが、生涯研修制度や福利厚生の利用を希望するのであれば、日本介護福祉士会への入会が必須となっており、基本的には両方に入会することがほとんどです。

【入会手続き】
介護福祉士会への入会手続きは、まず入会資料を請求することから始まります。
日本介護福祉士会への入会であれば、日本介護福祉士会ホームページより「請求窓口」にて資料請求をおこなう、もしくは日本介護福祉士会事務局宛てにメール、電話、FAXにて請求します。
都道府県介護福祉士会であれば、居住している又は勤務先の都道府県介護福祉士会に資料請求をします。

請求書類の入会申込書などが届いたら、必要事項を記入し必要書類を指定先に送付します。
会員登録が完了すれば登録の案内ハガキが送付され、会費の入金確認が取れれば会員証が郵送されます。

[入会手続きの流れ]
1.)入会資料の申請
    ▼
2.)入会申込書の作成
    ▼
3.)入会申込書等の送付
    ▼
4.)会員登録・会費の入金
    ▼
5.)会員証の郵送

【会費】
日本介護福祉士会の入会金・年会費、同時に入会する都道府県介護福祉士会の入会金・年会費の両方が必要です。
ただし、介護福祉士養成施設や福祉系高等学校を卒業した翌年度中(卒業後1年以内)に入会する方は、日本介護福祉士会の入会金が免除されます。

<日本介護福祉士会>
入会金:5000円
年会費:3000円

※令和5年度より入会金、年会費が以下の通り変更されます。 
入会金:3000円 
年会費:5500円 

<都道府県介護福祉士会>
入会金:0円~5000円
年会費:3000円~7000円
※都道府県介護福祉士会の入会金・年会費の金額は、各都道府県介護福祉士会によって異なります。各都道府県の会費についての詳細は、以下の日本介護福祉士会の資料をご覧ください。
★都道府県介護福祉士会会費一覧★

■ 入会時の注意点 ■
入会の要件を満たしている方であれば、いつでも入会することは可能ですが、年度途中に入会する場合でも年会費は全額納付となっています。そのため、入会月には注意が必要です。
次年度からの入会を希望する場合は、日本介護福祉士会もしくは入会する都道府県介護福祉士会に問い合わせてご確認ください。

~介護福祉士会を退会するには~
日本介護福祉士会もしくは都道府県介護福祉士会を退会する場合は、指定様式の「退会届」に必要事項を記入し、書面にて日本介護福祉士会もしくは所属している都道府県介護福祉士会宛てに送付します。退会届の到着をもって退会となります。

しかし、退会時に未納会費がある場合、会費を納付したうえで退会となります。
年会費は4月1日に発生するため、退会届は前年度中(3月末日)までに到着するように提出するなど、退会届の提出には注意が必要です。
もちろん年度途中の退会は可能ですが、納付した年会費の返却や月割りなどはありません。

※参考:「公益財団法人 日本介護福祉士会|ホームページ

介護福祉士会へ入会するメリット・デメリット

介護福祉士会へ入会するメリット・デメリット

介護福祉士会への入会は、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
入会を迷っている方のために、メリット・デメリットについてまとめてみました。
さっそく見ていきましょう。

入会するメリット

介護福祉士会へ入会するメリットは、以下が挙げられます。

〇会報「日本介護福祉士会ニュース」が年5回届く
日本介護福祉士会が発行している会報が年5回届き、無料で制度改正などの最新情報や政策の動向などを盛り込んだ情報を得ることができる。

〇研修会への参加が可能になる
日本介護福祉士会または都道府県介護福祉士会が開催する、様々な研修会へ会員価格で参加が可能になる。

〇会員専用の福利厚生制度がある
日本介護福祉士会会員専用のオリジナル保険「安心三重奏(賠償責任保険+傷害総合保健+所得補償保険)」に割安な保険料で加入することができます。

〇会員専用のがん保険・医療保険に加入できる
会員専用の「がん保険・医療保険」で集団割引が適用され割安な保険料で加入することが可能です。

〇書籍を会員割引で購入できる
介護福祉士会が発行する書籍を会員価格で購入できます。

〇他事業所の介護福祉士の方々と直に交流ができる
日本介護福祉士会に入会することで、全国規模の大会などに参加することができるため、勤務先の事業所以外の介護福祉士と直に交流したり情報交換をしたり、ネットワークを広げる機会を得られる。

介護福祉士会に入会することで、これらのメリットを得ることが可能です。
なかでも、全国大会などで各地の介護福祉士と直接会って交流する機会が持てることは、入会する最大のメリットと言えます。
また、交流する機会は情報交換をするだけではなく、抱えている悩みを相談できることで解決への糸口を見つけられることもあり、自身の成長にも繋がっていきます。

入会するデメリット

反対に、介護福祉士会に入会するデメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
介護福祉士会へ入会するデメリットとして考えられるのは以下です。

●介護福祉士会の同時入会が必要になる
日本介護福祉士会に入会する際、都道府県介護福祉士会への入会が必要となります。都道府県介護福祉士会は居住地もしくは勤務先の都道府県での加入となります。

●入会金・年会費がかかる
日本介護福祉士会に入会するには、日本介護福祉士会と加入する都道府県介護福祉士会の両方の入会金と年会費の支払いが必要です。都道府県介護福祉士会の入会金や年会費は、各都道府県によって金額が異なります。そのため、高い金額設定の都道府県介護福祉士会に入る場合は、年会費だけで両会合わせて1万円になる場合もあります。

●途中入会・退会でも年会費の割引や返金はない
途中で入会や退会をする場合、年会費の割引や返金などは一切ありません。
年会費の引き落とし後、すぐの退会であっても返金の対応はないため退会の手続きをする際は注意が必要です。


上記のように、介護福祉士会への入会でデメリットになることは、同時入会が必要なことや費用のことくらいで、ほとんどありませんでした。しかし、自分の意思ではなく入会するのであれば、入会金や年会費などの費用の負担は大きなデメリットになるでしょう。

介護福祉士会へ入会することで得られる情報や知識などは、より良い介護福祉士として成長するために必要なことばかりです。自分の意思を持って入会するかどうかで、メリットに感じられるのかデメリットに感じるのか、変わるのではないでしょうか。

まとめ

介護福祉士会について、また入会方法やメリット・デメリットなどについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
日本介護福祉士会や都道府県介護福祉士会への入会は任意であり、介護福祉士だからといって入らなければならないというルールはありません。しかし、入会することで得られるメリットは多く、介護福祉士として成長するにあたり必要となる知識や技術などを学べるだけでなく、同じ介護福祉士の仲間と出会い交流できる機会を持つことができます。
入会を決めるにあたって大事なのは「自分の意思で入会したいと思うこと」です。
介護福祉士会への入会を迷っている方は、このコラムを参考にぜひ考えてみてくださいね!

◎介護福祉士について詳しく知りたい方はこちらのコラムもご覧ください。 
「かんたん解説!介護福祉士とはどんな資格?」 

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※掲載情報は公開日あるいは2023年04月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。

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