介護のIADL(手段的日常生活動作)とは何か?評価指標やADLとの違いを解説

更新日:2021年08月05日

公開日:2021年06月22日

IADL 手段的日常生活動作 とは何か

介護の仕事をされている方であれば「IADL(手段的日常生活動作)」という用語を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
また「ADL(日常生活動作)」という用語もありますが、言葉だけを聞いても意味がわかりづらいですよね。

本コラムではIADLとは何かをわかりやすく解説していきます。
介護業界では基本となる用語ですので、ご存知ない方はぜひ理解しておくとよいでしょう。

IADLとは

IADLとは「Instrumental Activities of Daily Living」の頭文字をとったもので、日本語では「手段的日常生活動作」と訳されています。

日常生活で行う動作の中で手段的、つまり少し複雑になる動作をIADLといいます。

IADLとADLの違い

このIADLを詳しく説明する前に、まずはADLについて理解する必要があるでしょう。

IADLとADLの違い

ADL(日常生活動作)は「Activities of Daily Living」の略で、日常生活での基本的な動作のことです。
BADL(Basic ADL)基本的日常生活動作といわれることもありますが、本コラムではADLとして解説します。

具体的にいうと


・食事
・排泄
・着脱衣
・入浴
・歩行、移動


といった動作です。

それに対してIADLはADLを応用した高次な動作を指します。
具体的には、


・電話の使い方
・買い物
・食事の準備
・家事
・洗濯
・移動
・服薬管理
・金銭管理


の8項目がIADLにあたります。

高齢者が要介護状態になるまでの過程では、先に複雑な動作であるIADLの低下が起こってから、次にADLの障害が起こるとされています。
そのためにも介護予防においては、まずIADLが低下しないように維持することが重要になります。

自立支援をするうえで、介護職員は利用者のADLの状態をよく把握しておくことが欠かせません。
利用者がどういった動作をどこまでできるのか、何ができないのかを日々の介護の中でよく観察し、サポートをしていくことが大切になります。

IADLの評価方法

IADLを評価する方法はいくつかあります。
Lawtonの尺度、老研式活動能力指標、DASC-21などがあります。

今回は有名なLawtonの「手段的日常生活動作(IADL)尺度」をご紹介します。
これは高齢者専用のIADLを評価する尺度です。

上記の8項目
・電話の使い方
・買い物
・食事の準備
・家事
・洗濯
・移動
・服薬管理
・金銭管理
を対象に、それぞれどの程度の動作が可能なのかを評価するものです。

IADL評価項目・尺度

下記の表はLawtonのIADLの評価表です。
項目ごとに3~5段階で分けられている行動の内、どれに当てはまるのか該当する番号を選び、それに紐づく右端の数値の合計で採点します。

項目
A 電話を使用する能力
1. 自分から電話をかける(電話帳を調べたり、ダイアル番号を回すなど)11
2. 2、3件のよく知っている番号をかける11
3. 電話に出るが自分からかけることはない 11
4. 全く電話を使用しない00
B 買い物
1. 全ての買い物は自分で行う11
2. 小額の買い物は自分で行える00
3. 買い物に行くときはいつも付き添いが必要00
4. 全く買い物はできない 00
C 食事の準備
1. 適切な食事を自分で計画し準備し給仕する 1
2. 材料が供与されれば適切な食事を準備する 0
3. 準備された食事を温めて給仕する、あるいは食事を準備するが適切な食事内容を維持しない 0
4. 食事の準備と給仕をしてもらう必要がある 0
D 家事
1. 家事を一人でこなす、あるいは時に手助けを要する(例: 重労働など) 1
2. 皿洗いやベッドの支度などの日常的仕事はできる 1
3. 簡単な日常的仕事はできるが、妥当な清潔さの基準を保てない 1
4. 全ての家事に手助けを必要とする 1
5. 全ての家事にかかわらない 0
E 洗濯
1. 自分の洗濯は完全に行う 1
2. ソックス、靴下のゆすぎなど簡単な洗濯をする 1
3. 全て他人にしてもらわなければならない 0
F 移送の形式
1. 自分で公的機関を利用して旅行したり自家用車を運転する11
2. タクシーを利用して旅行するが、その他の公的輸送機関は利用しない11
3. 付き添いがいたり皆と一緒なら公的輸送機関で旅行する11
4. 付き添いか皆と一緒で、タクシーか自家用車に限り旅行する00
5. まったく旅行しない00
G 自分の服薬管理
1. 正しいときに正しい量の薬を飲むことに責任が持てる11
2. あらかじめ薬が分けて準備されていれば飲むことができる00
3. 自分の薬を管理できない00
H 財産取り扱い能力
1. 経済的問題を自分で管理して(予算、小切手書き、掛金支払い、銀行へ行く)一連の収入を得て、維持する11
2. 日々の小銭は管理するが、預金や大金などでは手助けを必要とする11
3. 金銭の取り扱いができない00

例えば、「かかってきた電話に出ることはできても、自分からかけることはできない」という人の場合、「A 電話を使用する能力」は3に該当し、1点となります。

C~Eの項目に関しては男性は除外となっており、男性は5点満点、女性は8点満点で評価されます。

なお、上記の項目はその時々の体調や環境によって、できる時とできない時があるということを理解しておきましょう。

IADLが低下する原因

IADLはなぜ低下していくのでしょうか。

IADLの低下は、加齢、疾病などによる身体機能や認知機能の衰えが大きな要因であることは間違いないのですが、それだけではありません。
実はIADLの低下には精神面や生活環境も大きく影響します

・身の回りの世話を何でもやってくれる人がいる
・人や社会との関わりが減っていく
・できないことが増え、ふさぎ込むようになる
など、生活環境や精神的ストレスによっても、IADLの低下は進行していきます。

例えば、
「定年退職後、ほとんど誰とも会話せずメリハリのない毎日を過ごすようになったことで認知機能が低下していった」
「家族のサポートに甘えて、頑張れば自力でできることもお願いしていたら、これまでできていた動作もできなくなった」
というようなケースはよくあります。

職員の皆さんも利用者のためについ何でもやってあげたり、世話を焼き過ぎたりすることはないでしょうか?
IADLの低下予防の観点からすると、それが利用者のためになるとは限らないということを理解しておきましょう。

加齢や病気による衰えは仕方のないことではありますが、環境を工夫することで今ある身体機能を維持することは可能です。
介護現場においても、職員の工夫次第で利用者のIADL低下予防、さらにはQOL向上が期待できるでしょう。

IADLの低下を予防するには

IADLの低下を予防するために

ではIADLの低下を予防するために介護職員ができることをご紹介します。

まずは、利用者のADL、IADLの評価を把握することです。
頑張ればできる動作、できない動作を理解することで、その人にとって必要な介護がわかります。

要介護認定も介護の必要度合いを測る指標ではありますが、具体的にどの動作ができるのかを把握するにはADL、IADLの指標を用いるのがよいでしょう。

そして、全てを世話してあげるのではなく、「自分でできることはやってもらい、できないことだけを手助けする」ことが大切です。
まずは見守り、必要な部分に手を貸すという方法でサポートするようにしてみてください。
何か一つでもできることが増えれば、その人の自信や意欲向上にもつながるかもしれません。

施設介護の場合は訪問介護よりもできることが限られてしまいますが、利用者と買い物に出かける日を設ける、体操などのレクリエーションをするなど、少しでも体を動かす時間を作るとよいでしょう。

ただし、無理に行うことは禁物です。
利用者の方々にとって、どういう状態がベストなのかを見極め、気持ちに寄り添ったサポートをすることが何よりも大切です。

まとめ

IADL(手段的日常生活動作)について解説しました。

高齢者の介護予防、自立支援にはIADLの維持が不可欠です。
身の回りのことを何でもやってあげるのが「良い介護」ではありません。
利用者の自立支援を行うこと、「自分でできる」という自信を持ってもらうこと、生活機能を維持しQOLの向上を図ることもまた介護の重要な役割です。

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◆コラム「自立支援介護とは?基本のケアやメリットを分かりやすく解説!」

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