老人性認知症疾患療養病棟とは?施設の役割やサービス内容、今後の方針について解説

更新日:2021年09月24日

公開日:2021年09月24日

どんな施設?老人性認知症疾患療養病棟

老人性認知症疾患療養病棟という施設があります。

聞き慣れない方が多いのではないかと思いますが、認知症高齢者が利用できる介護や看護、医療ケアを提供している入院病棟です。

今回はこの老人性認知症疾患療養病棟について詳しく解説していきます。
どんな施設か興味があるという方はぜひお読みください。

老人性認知症疾患療養病棟とは

老人性認知症疾患療養病棟とは

老人性認知症疾患療養病棟とは介護療養型医療施設の一種です。

認知症を患ったことによって精神状態に支障をきたしている方や、認知症に伴って行動異常が見られる方が入院する病床です。

入院するのは精神病床ですが、医療保険ではなく介護保険適用となります。


介護療養型医療施設とは?

介護療養型医療施設(療養病床)とは、医療ケアや看護ケアが充実した比較的介護度が高い人向けの医療施設です。
2023年で完全廃止されることが決まっています。

<詳しくはこちら>
◆介護療養型医療施設とは?廃止後に創設「介護医療院」の特徴もご紹介!


施設の役割

認知症の症状によって在宅での介護が困難になった高齢者を受け入れるのが老人性認知症疾患療養病棟の役割です。

日常生活を送るうえで必要な介護に加え、医療的ケアや機能訓練などを実施し、症状の進行・緩和を図ります。

利用対象者

利用対象は要介護1以上の高齢者がではありますが、特に重度の認知症で、医療や介護の必要性が高い方向けの施設となっています。

具体的には、下記のような精神症状や行動異常を起こす認知症の方です。

<認知症が引き起こす精神症状・異常行動>
・妄想
・抑うつ
・徘徊
・不眠
・幻覚
・暴力
・介護拒否
・失禁

老人性認知症疾患療養病棟のサービス内容

老人性認知症疾患療養病棟のサービス内容

先述の通り、老人性認知症疾患療養病棟では医療ケア・看護ケアなどが手厚いことが特徴です。

主なサービス内容は、
・日常生活介護
・医学的管理
・機能訓練

です。

まずは介護職員による食事や入浴、排泄などの身体介護や洗濯や居室清掃といった生活援助などの介護サービスが提供されます。

そして利用者の状態に応じて、医師や看護師による薬物療法などの医学的管理を実施。臨床心理士による回想療法などが行われることもあるでしょう。

また理学療法士や作業療法士らが行う機能訓練で認知症の進行緩和を図り、できる限りその人らしく暮らせるようにサポートをします。

なお、療養をメインとした施設ですので、レクリエーションや季節の行事などは実施していないところが多いでしょう。

老人性認知症疾患療養病棟の施設基準

老人性認知症疾患療養病棟の施設基準は、介護療養型医療施設の基準に準ずる形となります。
人員基準と設備基準は以下の通りです。


人員基準

人員基準
医師48対1
(医療法に規定する必要数以上)

看護職員6対1以上

介護職員6対1以上

理学療法士
作業療法士
実情に応じた適当数
薬剤師150対1以上
(医療法に規定する必要数以上)

栄養士100床以上の場合1名以上
(医療法に規定する必要数以上)

介護支援専門員1名以上


設備基準

設備基準
病室1室当たり定員4人以下

入院患者1人当たり 6.4㎡以上

機能訓練室
40㎡以上

食堂1㎡×入院患者数以上

廊下幅1.8m以上
(中廊下は2.7m以上)

浴室身体の不自由な者が入浴するのに適したもの

出典:介護療養型医療施設及び介護医療院 │ 厚生労働省

介護療養型医療施設の廃止と介護医療院への移行

老人性認知症疾患療養病棟は、介護療養型医療施設(2023年で完全廃止)の類型と前述しましたが、2024年以降はどうなるのかという点をお伝えしていきます。

そもそもなぜ介護療養型医療施設が廃止されたのかというと、介護保険が対象の「介護療養型医療施設(介護療養病床)」と医療保険が対象の「療養型病院(医療療養病床)」のサービスの違いが実質なくなっていたというのが大きな理由です。

加えて、医療施設なのに介護保険適用という点や、看護師の人材不足などの課題もあって廃止となりました。

その受け皿として介護医療院が新設され、介護療養型医療施設も介護医療院への移行が進められています。

老人性認知症疾患療養病棟の今後は?

老人性認知症疾患療養病棟の話に戻りましょう。

老人性認知症疾患療養病棟は、それほど数が多い施設ではありません。
すでに廃止され介護医療院などに移行したケースが多く、新設も認められていないため、この先増えていくことはありません。

では今ある施設自体もすぐに廃止されて新施設へ移行されるのかというと、老人性認知症疾患療養病棟に関しては、精神病床の現場の声や医師会からの意見などを踏まえ、国として以下のような見解を示しています。

精神医療の対象となるような症状を伴う認知症患者に対して提供するべき適切な医療は、新たな施設類型に求められる機能とは大きく異なることを踏まえ、現在、老人性認知症疾患療養病棟に入院している認知症高齢者に対しては、引き続き適切な精神科専門医療が提供できるように配慮すべき

参照:療養病床の在り方等に関する特別部会「療養病床の在り方等に関する議論の整理」(抜粋)|厚生労働省

療養病床は介護医療院などに移行していますが、老人性認知症疾患療養病棟に関しては現存のまま運営することが推奨されています。

また移行するのであれば「介護医療院ではなく認知症治療病棟への移行が適切」というような意見もあるようです。

<介護医療院について詳しくはこちら>
◆詳しく知りたい!介護医療院ってどんな施設?

まとめ

以上、老人性認知症疾患療養病棟について解説しました。

2025年以降、高齢者の5人に1人は認知症(700万人以上)という時代が予測されている日本において、認知症高齢者の介護問題は避けて通れません。

現状では、国は「地域包括ケアを推進し、地域一体での認知症介護に取り組んでいく」という方向性を示していますが、この先の超高齢化社会を考えるとやはり、老人性認知症疾患療養病棟に代わる新たな認知症高齢者向けの療養施設が必要という声もあります。

2023年末に完全廃止された場合の受け入れ先や、2024年以降の動向に注目です。

<関連コラム>
◆地域包括ケアシステムとはどんな制度?目的や構成要素を簡単に解説します

◆認知症カフェとは?カフェの役割や目的、運営について解説します

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