介護業界で働く人の給料とは?安いと言われる背景から昇給事情まで詳しく解説

この記事では、介護業界で働く人の給料から昇給事情まで詳しく解説します。
介護業界で働く人の給料
職種 | 平均給与 |
労働者全体 | 242,273円 |
訪問介護員 | 224,126円 |
介護職員 | 222,756円 |
サービス提供責任者 | 259,904円 |
生活相談員 | 257,498円 |
介護支援専門員 | 264,577円 |
介護業界の給料が安いと言われる背景
3つご紹介します。
給料が労働条件に見合っていない
令和3年度介護労働実態調査における19,925人へのアンケート調査で労働条件等の悩み、不安、不満について聞いてみた所、次のような結果が出ました。
労働条件等の悩み、不安、不満 | 割合 |
仕事内容のわりに賃金が低い | 38.3% |
有給休暇が取りにくい | 25.6% |
休憩が取りにくい | 21.1% |
労働時間が不規則である | 9.3% |
労働時間が長い | 7.8% |
不払い残業がある・多い | 4.7% |
仕事中のケガなどへの補償がない | 3.9% |
給料が労働環境に見合っていない
令和3年度介護労働実態調査における19,925人へのアンケート調査で、職場内で受けたことのある身体的・精神的な攻撃についてたずねた所、次のような結果が出ました。
職場内で受けたことのある身体的・精神的な攻撃の種類 | 割合 |
脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃) | 8.0% |
隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し) | 4.5% |
私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害) | 3.7% |
業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求) | 3.1% |
暴行・傷害(身体的な攻撃) | 1.6% |
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求) | 1.4% |
その他 | 1.1% |
無回答 | 85.4% |
・優越的な関係に基づいて行われること
・業務の適正な範囲を超えて行われること
・身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること
アンケートの結果ではそれぞれの数値はあまり大きなものではありませんが、無回答が85.4%もあるため、他にハラスメントが隠れている可能性も否定できません。
一方利用者の家族から受けたセクハラ・暴力などについてたずねた所、次のような結果が出ました。
利用者の家族から受けたセクハラ・暴力などの種類 | 割合 |
暴言(直接的な言葉の暴力) | 19.5% |
介護保険以外のサービスを求められた | 14.7% |
暴力 | 9.6% |
セクハラ(性的嫌がらせ) | 9.1% |
その他 | 0.7% |
上記のような経験をしたことはない | 26.2% |
無回答 | 40.6% |
これらのことから職場でのパワハラやセクハラがある介護事業所の場合、労働環境が良いとは言えないため、給料が安いと感じる人が出てきてもおかしくはありません。
参考:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメントについて」
人事評価が給料に反映されていない
令和3年度介護労働実態調査における19,925人へのアンケート調査で、賃金や手当に関する希望をたずねた所、次のような結果が出ました。
賃金や手当に関する希望 | 割合 |
基本給の引き上げ | 65.4% |
賞与(ボーナス)の導入・引き上げ | 48.0% |
能力や仕事ぶりに応じた評価の実施 | 38.7% |
勤務年数に応じた評価の実施 | 31.8% |
資格手当の導入・引き上げ | 26.9% |
役職手当の導入・引き上げ | 14.0% |
早朝・夜間勤務手当の導入・引き上げ | 13.8% |
通勤手当の導入・引き上げ | 11.3% |
連絡用の携帯電話の支給・通信費補助 | 9.1% |
移動時間の労働時間への算入や移動手当の導入・引き上げ | 7.0% |
その他 | 3.8% |
賃金や手当等についての希望はない | 12.0% |
無回答 | 2.2% |
何に基づいて自分の給料が決められているのかはっきりしない場合、給料が安いと感じる人も出て来るでしょう。
参考:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果について」
介護業界で働く人が給料を上げるには
3つご紹介します。
自分の勤務先の給料の引き上げ要件を知る
2022年に厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査」で1,283ヵ所の施設・事業所を対象に給与の引き上げ要件についてたずねた所、次のような結果が出ました。
給与の引き上げ要件 | 割合 |
勤続年数 | 24.4% |
経験年数 | 14.3% |
資格の保有 | 24.8% |
サービス提供責任者 | 3.9% |
主任介護支援専門員 | 1.0% |
勤務形態(常勤・非常勤) | 27.9% |
雇用形態(正規・非正規) | 20.2% |
勤務時間 | 11.9% |
管理職(ユニットリーダー以外) | 7.1% |
管理職以外 | 10.3% |
人事評価 | 37.9% |
要件にかかわらない | 6.9% |
その他 | 13.8% |
給料の引き上げ要件となる資格を取得する
前の項目でご紹介した給料の引き上げ要件となる資格はサービス提供責任者、主任介護支援専門員、その他の資格のためそれぞれの資格取得方法を解説します。
サービス提供責任者になるための資格
介護福祉士の資格を得るためには以下の4つのルートがありますが、どのルートが自分にとって望ましいかは現状取得している資格や実務経験によっても異なるため、詳細は公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページで確認しましょう。
ルートの種類 | 概要 |
・介護福祉士養成施設を卒業し筆記試験を受けることで資格が取得できるルート(実技試験は免除) | |
・3年以上の実務経験を積み所定の研修を受けた上で筆記試験を受けることで資格が取得できるルート(実技試験は免除) | |
・福祉系高校を卒業して9ヵ月以上の実務経験を積み、筆記試験を受けることで資格が取得できるルート(実技試験が免除かどうかは要確認) | |
・EPA介護福祉士候補者となって3年以上の実務経験を積み、筆記試験を受けることで資格が取得できるルート(実技試験が免除かどうかは要確認) |
また介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修の上位資格で、国家資格である介護福祉士を受験するために必要な資格の1つです。
スクールの就職支援制度、ハローワークの制度などを活用するとテキスト代以外の受講料が無料になる場合もあるので、利用してみるのもよいでしょう。
受講資格はありませんが、スクールによっては介護職員初任者研修を受けてからでないと受講できない場合があるので注意が必要です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」
主任介護支援専門員
・専任の介護支援専門員として勤務した期間が通算で5年以上
・ケアマネジメントリーダー養成研修修了者、または⽇本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネージャーで、専任の介護⽀援専⾨員として勤務した期間が通算して3年以上
・主任介護支援専門員に準ずる人として現在地域包括支援センターで勤務している
・介護支援専門員の業務に対して十分な知識と経験を持ち都道府県が適当と認める
主任介護支援専門員研修は各都道府県で行われているので、詳細はホームページで確認してみましょう。
参考:内閣府「主任介護支援専門員の概要」
参考:CMAT「東京都主任介護支援専門員研修」
その他の資格
令和3年度介護労働実態調査における7,559人へのアンケート調査で、今後取得したい資格についてたずねた所、多かったのは次の資格でした。
資格の種類 | 割合 |
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 36.6% |
介護福祉士 | 26.7% |
社会福祉士 | 14.9% |
主任介護支援専門員 | 13.1% |
介護福祉士実務者研修 | 10.0% |
参考:公益財団法人介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果について」
同じ事業所で長期にわたって勤務する
自分が求める労働条件や労働環境を満たしていて、昇給が見込めるならある程度の年数は同じ事業所で勤務しましょう。
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
介護業界で働く人の昇給について
2022年に厚生労働省が発表した「賃金引き上げ等の実態に関する調査」の結果を基に3つの観点からご紹介します。
2022年の賃金改定の実施状況
| 1人平均賃金を引き上げた・引き上げる | 1人平均賃金を引き下げた・引き下げる | 改定の時期は1月~8月のみ | 改定の時期は9月~12月のみ | 改定の時期は1月~8月と9月~12月 | 賃金の改定を実施しない | 未定 |
全企業 | 85.7% | 0.9% | 74.9% | 6.7% | 4.9% | 6.2% | 7.3% |
医療・福祉 | 95.2% | ー | 81.0% | 3.8% | 10.4% | 2.0% | 2.8% |
これらのことから、2022年介護業界では昇給が積極的に行われたと言えるでしょう。
2022年の賃金改定額
| 1人平均賃金の改定額 | 1人平均賃金の改定率 |
全企業 | 5,534円 | 1.9% |
医療・福祉 | 6,403円 | 2.8% |
定期昇給・ベースアップの実施状況
| 定期昇給とベースアップの区別がある | ベースアップを行った・行う | ベースアップを行わなかった・行わない | ベースダウンを行った・行う | 定期昇給とベースアップの区別はない |
全企業(管理職) | 60.4% | 24.6% | 35.6% | 0.2% | 38.1% |
全企業(一般職) | 63.7% | 29.9% | 33.8% | ー | 34.8% |
医療・福祉(管理職) | 45.9% | 29.9% | 16.0% | ー | 52.6% |
医療・福祉(一般職) | 49.9% | 32.8% | 17.1% | ー | 48.6% |
これらのことから近年医療・福祉業界では定期昇給やベースアップに積極的な事業所が増え、仕事をした人の給料が上がる仕組みが少しずつ整ってきていると言えるでしょう。
参考:厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要」
まとめ
この記事も参考にして、ぜひ自分の事業所の給料が上がる要件を満たし、昇給を目指してみてください。






