介護職の賃上げでパートはどうなった?今後の処遇改善政策も含めて解説!

近年の賃上げブームで、常勤介護職の賃上げは実現し、パートも含めた介護職全体が賃上げをしています。今回は、パート介護職の賃上げ状況や今後の予想について解説していきます。
介護業界も他の産業と同じで、賃上げの原資になるのが「処遇改善加算」です。
「介護職の賃上げってパートもされたの?」と思っている方が多いかもしれません。パート介護職の賃上げを把握するためにも、この処遇改善加算がどのように影響しているかを理解しなければなりません。
そこで今回は、処遇改善加算による介護職全体の賃上げ状況やパートが給与を上げる方法などを解説します。
賃上げの基本的な考え方から丁寧に解説しているので、介護報酬をはじめとする介護保険制度や経済に詳しくない方も理解できる内容です。
処遇改善加算で介護職の賃上げは実現したのか
まずは「賃上げ」という用語や常勤介護職の賃上げ状況などを解説します。
介護職の賃上げ政策の中心になるのが処遇改善加算です。
ただ、賃上げが進んでも、介護職の平均給与が全産業の平均に達していないという現状があります。
賃上げとは「ベースアップ+定期昇給」
まずは「賃上げ」という考え方について詳しく解説します。
賃上げは以下の計算式で求められます。
- 賃上げ=ベースアップ+定期昇給
ベースアップとは給与が個人だけではなく職場全体で上がることです。
例えば昨年の新規採用者の基本給が20万円、今年の新規採用者は21万円となることがベースアップです。
一方、定期昇給とは経験年数が増えることで定期的に基本給が増加することを言います。
年度が新しくなる4月に定期昇給が行われることが日本では一般的です。
以上のことから、賃上げとは勤続年数を重ねることによる定期昇給と、職場全体の給与の底上げであるベースアップが含まれるている概念と言えます。
そして、介護業界において賃上げの根拠となるのが、次節で解説する介護報酬の中の処遇改善加算なのです。
処遇改善加算によって賃上げは実現している
処遇改善加算は介護職の賃上げを主な目的としていて複数の加算で構成されています。
近年では処遇改善加算の一つである介護職員等ベースアップ等支援加算の制定・改定がされました。
その結果、令和4年(2022年)2月からの9000円相当、令和6年(2024年)2月からの6000円相当の月額給与のアップが実施されています(ともに補助金の支給でスタートし加算へ移行)。
この介護職員等ベースアップ等支援加算の制定により、介護職の給与は実際にどのように増加したのでしょうか。
令和4年度の厚生労働省の調査によると、同加算を取得している介護施設・事業所の常勤介護職の月額給与は、令和3年12月と比較し令和4年12月のほうが平均10,060円多くなっていました。
処遇改善加算が効果を発揮していることが調査からも明らかになりました。
なお、事業所が処遇改善加算を取得するためには、介護職のキャリアパスや職場環境などの改善の取り組みが必要です。
賃上げだけでなく介護職の処遇が改善されるため、「処遇改善」という言葉が加算の名称についていると考えられます。
給与は全産業の平均に届いていない
介護職の賃上げはされていますが、給与額が低いというイメージを払拭できていません。
なぜなら、全産業の平均のほうが圧倒的に高いからです。
調査方法による差はありますが、介護職は全産業の平均月額給与と比較すると約4万円低いと言われています。
介護職が賃上げしても、近年の賃上げブームで全産業も同じように行っているので、一向に差は縮まりません。
超高齢社会による介護職不足が叫ばれている現状では、「政府による思い切った介護職の賃上げ政策が必要だ」と言っても言い過ぎではないでしょう。
パートの介護職も賃上げされたのか
常勤介護職の賃上げ状況の次は、パート介護職の賃上げ状況について解説します。
処遇改善加算はパートも賃上げが実現
処遇改善加算によりパート介護職の賃上げも実現しました。
なぜなら、同加算は常勤だけではなくパートをはじめとした非常勤介護職も対象にしているからです。
前述の厚生労働省の調査によると、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所のパート介護職の時給は、令和3年12月と比較し令和4年12月のほうが平均20円多くなっていました。
介護施設・事業所が介護職への賃上げ分として使うのであれば、常勤介護職のみへの支給も可能です。
ただ、昨今の人手不足を考えると、パート介護職の給与を増やさないと介護施設・事業所が運営できません。
安定的に運営していくためにもパート介護職の賃上げが必要なのです。
2023年に最低賃金が改定された影響
時給で働くことの多いパート介護職は、都道府県ごとに定められている最低賃金の影響を受けやすい雇用形態です。
なぜなら、最低賃金以下の時給で従業員を雇用することはできないからです。
令和5年(2023年)10月に最低賃金が改定され、全都道府県が39円から41円の範囲で増加しました。
代表的な都道府県の改定後と改定前の最低賃金は以下のとおりです。
改定後 | 改定前 | |
北海道 | 960円 | 920円 |
東京都 | 1113円 | 1072円 |
大阪府 | 1064円 | 1023円 |
福岡県 | 941円 | 900円 |
沖縄県 | 896円 | 853円 |
41円増加した東京都の1日8時間勤務するパート介護職の給与で考えると、日給が328円(41円×8時間)増加しました。
数十円の増加と思われるかもしれませんが、一日や一か月で考えると大きな増加額なのです。
物価高の影響を考えると...
処遇改善加算や最低賃金の改定がパート介護職の賃上げに大きな影響を及ぼしました。
しかし、その賃上げを打ち消す現象がおきています。
それが物価高です。
近年の物価の上昇額は賃上げの増加額を上回っています。
名目(金額)では給与が増加していますが、物価高のため実質では給与が減少する現象がおきています。
このような状況を打破するためには、国によるさらなる賃上げ政策の実施が必要です。
次章では今後の賃上げについて予想していきます。
パートの介護職の賃上げは今後も実施されるのか
ここではパート介護職の賃上げが今後も実施されるのかを、大胆に予想していきます。
処遇改善加算でさらに賃上げされる
パート介護職の賃上げは処遇改善加算によって今後と実施されると予想できます。
なぜなら、政府から今後の賃上げに対する前向きな発言があるからです。
首相や社会保障審議会の介護給付費分科会委員は、過去に「介護職の賃上げが必要」という趣旨の発言をしています。
そして、その賃上げ政策は処遇改善加算で行われると考えられます。
加算の増加は利用者の負担増へつながりますが、介護人材の待遇や不足を考えると介護職の賃上げは必要です。
パート介護職は今後の賃上げに期待しましょう。
「最低賃金を引き上げる!」と政府が答弁した
処遇改善加算以外では最低賃金の改定も予想できます。
なぜなら、政府が今後も最低賃金を改定すると国会で答弁しているからです。
武見厚生労働大臣は令和6年(2024年)3月19日参議院予算委員会で、「2030年代半ばまでに最低賃金を1500円に引き上げる」という趣旨の答弁をしています。
時給が最低賃金以上になることを考えても、今後もパート介護職の賃上げが実施されていくでしょう。
パートの介護職が給与を上げる方法とは
最後はパート介護職が自ら給与を引き上げる方法を解説します。
他人に頼る賃上げではなく自らの努力で給与を増やしましょう。
定番だけど資格取得が一番の近道!
「聞き飽きた!」と思われるかもしれませんが、資格取得でパートも給与を増やせます。
なぜなら、資格取得によって資格手当を支給してくれる介護施設・事業所がほとんどであるからです。
常勤介護職なら月額ですがパートなら時給に資格手当が上乗せされます。
おすすめの介護系資格はやはり介護福祉士です。
介護福祉士というと難しいと思われるかもしれませんが、介護福祉士国家試験は、介護の基本的な内容が多く出題される試験です。
介護職としての現場経験がある方なら決して難しい試験ではありません。
「過去問の勉強だけで合格しちゃった!」という方も実際にいますよ。
自宅から近い職場へ異動・転職する!
二つ目の給与を上げる方法は異動・転職です。
常勤介護職なら給与の高い部署・会社へですが、パートの介護職の場合は「自宅から近い職場への異動・転職」という違いがあります。
通勤時間を短くし浮いた時間を勤務時間に当てることで、勤務時間を増やし給与を上げられるからです。
通勤時間を片道30分削減すれば、1日1時間勤務時間を増やせます。
転職サイトや転職雑誌を調べれば、自宅に近い職場は意外に多くあります。
まさに「時は金なり」ですよ。
介護職の賃上げでパートも未来も明るい!介護の仕事をこれからも楽しもう!
「介護職の賃上げはパートでも実施されたの?」と多くのパート介護職が思っているでしょう。
その答えは「賃上げが実施された」です。
ただ、物価高によって賃上げ効果が薄れています。
物価高や超高齢社会に対応するためにも、政府による介護職への大胆な賃上げ政策が必要で、その中心が処遇改善加算です。
賃上げ以外にもパート介護職が自ら給与を増やす方法があります。
今後の賃上げ・給与増に期待しパート介護職は日々の介護業務に励みましょう。
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