介護職から異業種へ転職した方は、どういった理由からなのでしょうか。
介護職から異業種へ転職した理由は、
・やりたい仕事ができなかった
・心身の健康状態の不調
などが挙げられます。
転職を成功させるためにもしっかりと準備をしておきましょう。
介護の仕事における離職率とは?
2022年に公益財団法人介護労働安定センターが発表した介護労働実態調査において、介護労働者(訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員)の平均離職率と全産業の1年間の平均離職率を調べた所、それぞれ14.3%、13.9%となりました。
全産業より介護の仕事における平均離職率の方が0.4%上回ったことから、介護業界自体をやめていく人もそれなりに多いことが予想されます。
介護職から異業種に転職した理由とは?
介護職から異業種に転職した人は、実際の所どのような理由で転職をしたのでしょうか。
3つの観点からご紹介します。
介護職を辞めて異業種に転職した理由
2020年に公益財団法人社会福祉振興・試験センターが行った「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査」において、現在異業種で働く35,388人の介護福祉士に、福祉・医療・介護分野の職場を辞めた理由についてたずねた所、次のような結果が出ました。
辞めた理由 | 割合 |
やりたい仕事ができなかった | 11.8% |
心身の健康状態の不調 | 42.1% |
法人・会社の理念や方針に共感できなかった | 20.7% |
職場の雰囲気や人間関係に問題があった | 36.1% |
給与や賃金の水準に満足できなかった | 36.1% |
勤務形態が希望に沿わなかった | 20.9% |
副業・兼業ができなかった | 3.7% |
育児や介護の支援が得られなかった | 7.7% |
将来のキャリアアップが見込めなかった | 13.8% |
より魅力的な職場が見つかった | 16.0% |
起業・開業 | 3.4% |
転居 | 8.0% |
人員整理、退職勧奨、法人解散など | 22.7% |
異業種に転職した介護福祉士の場合、心身の健康状態の不調と回答した人が40%を超えており、心身共に限界を迎えて退職し異業種に転職した人が少なくないのが目を惹きます。
また給与や賃金の水準に満足できない、育児や介護の支援が得られないといった自分の生活に関わる部分に課題を抱え退職する人がいるのも気になる点です。
一方起業・開業、転居といったポジティブな理由は合計してもわずか11.4%で、ほとんどがネガティブな理由となっているのも特徴的ではないでしょうか。
これらのことから介護職を辞めて転職し異業種を選ぶ人は、自分の力だけではどうしても解決できない課題が理由となり、転職という道を選ぶ人が多いと言えるでしょう。
介護職を辞めて異業種に転職した世代別の理由
「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査」において、福祉・医療・介護分野の職場を辞めた理由の世代別の1位の結果をまとめてみた所、次のような結果となりました。
| 男性 | 女性 |
10代 | (全ての回答が同率1位) | 職場の人間関係や雰囲気に問題があった(25.0%) |
20代 | 給与や賃金の水準に満足できなかった(26.3%) | 心身の健康状態の不調(25.0%) |
30代 | 給与や賃金の水準に満足できなかった(32.2%) | 心身の健康状態の不調(20.2%) |
40代 | 給与や賃金の水準に満足できなかった(28.9%) | 心身の健康状態の不調(18.6%) |
50代 | 給与や賃金の水準に満足できなかった(20.3%) | 心身の健康状態の不調(21.8%) |
60代 | 心身の健康状態の不調(13.6%) | 心身の健康状態の不調(21.1%) |
ライフステージの変化により割合は変わるものの、どの世代でも男性は圧倒的に給与、女性は心身の健康状態が理由で辞めていくのがわかります。
結婚・出産のタイミングである20代・30代の男性では子供にお金がかかるという理由で退職する人が多く、50代・60代の女性では体力が落ちてきてそのまま体調を崩し、退職する人が多いのが垣間見えます。
転職したがやっぱり介護職に戻りたい人の割合
「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査」において、介護業界への再就業の意向をたずねた所、次のような結果となりました。
回答 | 割合 |
ぜひ働きたい | 3.2% |
条件が合えば働きたい | 38.4% |
働きたくない | 27.8% |
わからない | 28.5% |
「ぜひ働きたい」「条件が合えば働きたい」を合計すると41.6%で、「働きたくない」の27.8%と比較すると13.8%多いので、転職しても条件が合う職場があれば介護職として働きたいと考える人が少なくないのがわかります。
介護職をやめて転職し異業種で働いても後悔しないようにするためには、しっかりと下準備をし、それなりに覚悟を持って取り組んだ方がよいと気づかされる結果だと言えるでしょう。
介護職から転職するのにおすすめの職業を知るには?
介護職から転職するのにおすすめの職業を知るには、厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagを利用するのがよいでしょう。
jobtagには各職業の仕事の内容、就業するまでの学び方や必要な資格、労働条件の特徴、求人統計データなどの情報が記載されているので、転職しようとする職業についてイメージがしやすくなるのです。
気になる職業があればまずjobtagで情報収集するのが望ましいですが、自己分析しながら自分に合う職業を探せる機能もあるので、その中から3つおすすめをご紹介します。
職業興味検査をしてみる
職業興味検査は、「興味に関する診断テスト」という42問の質問に回答することで、職業興味の特徴を調べられるツールです。
設問にさまざまな仕事の内容が書いてあるので、「やりたい」「やりたくない」「どちらともいえない」の3択で回答し、画面右下の「検査結果を見る」をクリックすると職業興味の特徴を分析してくれます。
分析結果では回答に職業興味の領域別に点数をつけ、高かった領域の職業をリスト化して紹介してもらえるのです。
職業の内容を知りたい場合は職業名をクリックすると、その職業の紹介ページを見られるのですぐに仕事の詳細を確認できます。
また検査結果はPDFで保存することもできるので、保存したリストを参考にしながら複数の職業について時間をかけて検討するのもおすすめです。
価値観検査をしてみる
価値観検査は、「仕事価値観に関する診断テスト」という60問の質問に回答することで、仕事の価値観を調べられるツールです。
設問にさまざまな仕事に対する価値観が書いてあるので、「とても重要」「重要」「やや重要」「重要ではない」の4択で回答し、画面右下の「検査結果を見る」をクリックすると仕事に関する価値観の特徴を分析してくれます。
分析結果では「あなたの特徴」においては自分の持つ仕事の価値観を文章で読むことで客観視でき、価値観別に重要視している度合いがスコアで表示されるので、点数の高低を参考にすることもできます。
直接業種や職種と結びつく検査ではないのですが、自分が働く上で何を大切にしているかがわかるので、希望する会社のビジョンと価値観が合致しているかどうかなどを確認するのに役立つでしょう。
検査結果は職業興味検査と同じくPDFでダウンロードできます。
職業適性テストを受けてみる
職業適性テストは、問題を素早く正確に解く力を調べるテストで、検査ベーシック、検査アドバンスの2種類があります。
途中で計算が必要になるので、メモ用紙などを準備してテストに臨むのがよいでしょう。
検査は、「やり方」(例題)→「練習問題」→「本検査」の順に進むので、やり方を十分に理解してから本検査に進むのがおすすめです。
検査が終わると回答数と正答数が棒グラフで表示され、自分の結果に近い職業のグループを提示してもらえるのです。
職業グループからはそのグループに含まれる職業を検索できるので、自分の適性に合った職業とは何かがわかる仕組みになっています。
検査結果は職業興味検査、価値観検査と同じくPDFでダウンロードできるので、自分に合う職業を検索の上じっくり検討したい人はファイルで保存しておくのがおすすめです。
介護職から異業種への転職を成功させるためには?
介護職から異業種への転職を成功させるためには、どのようなことを心がければよいのでしょうか。
3つの観点からご紹介します。
ポータブルスキルを身に着ける
ポータブルスキルとは、介護職としての専門的なスキル以外に業種が変わっても次の職場で生かすことのできるスキルのことを指します。
厚生労働省ではポータブルスキルには次のような要素があるとしています。
分類 | 項目 | 概要 |
仕事のしかた | 現状把握 | 取り組む課題やテーマを設定するために行う情報収集やその分析の方法 |
課題設定 | 事業、商品、組織、仕事の進め方の中で取り組まなければならない課題の設定のし方 |
計画立案 | 担当業務や課題を遂行するための具体的な計画の立て方 |
課題遂行 | スケジュール管理や各種調整、業務を進めるうえでの支障になることの排除や高いプレッシャーの乗り越え方 |
状況への対応 | 予期せぬ状況への対応や責任の取り方 |
人との関わり方 | 社内対応 | 経営層・上司・関係部署に対する納得感の高いコミュニケーションや支持の獲得方法 |
社外対応 | 顧客・社外パートナー等に対する納得感の高いコミュニケーションや利害調整・合意形成の方法 |
上司対応 | 上司への報告や課題に対する改善に関する意見の述べ方 |
部下マネジメント | メンバーの動機付けや育成、持ち味を活かした業務の割り当て方法 |
Jobtagには上記の要素を測定し、それを活かせる職務、職位を提示する「ポータブルスキル見える化ツール」があります。
ポータブルスキル見える化ツールを使うことで、自分の介護以外の専門スキルがどの程度身についているか、それを次の職務でどのように使うかがイメージできるでしょう。
ポータブルスキル見える化ツールでは、最初に上記の要素の中で自分が得意だと思う程度に応じて29点の点数をそれぞれの要素に振り分けていき、要素別の到達度を入力すると診断結果を見ることができます。
診断結果では入力した数値と近い職務と職位が5つのタブで表示されますが、今まで全く関心のなかった意外な職種に自分の持つポータブルスキルが役立つのを知ることができるので、自分だけでは思いつかない職業への道を考えるきっかけにもなるでしょう。
他のJobtagのツールと同じくPDFでダウンロードができるので、自分のポータブルスキルに自信がない介護職の人は異業種への転職を成功させるためにも結果を分析して改善を試みましょう。
将来介護業界に再就業したくならないか考える
前の項目でもご紹介した通り、「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士就労状況調査」において介護業界への再就業の意向をたずねた所、「ぜひ働きたい」「条件が合えば働きたい」を合計すると41.6%であるとわかりました。
介護職から異業種へと転職した後、また介護業界に再就業するというのは働く上での視野が広くなるという意味ではよいのですが、介護業界におけるブランク期間ができてしまうことにもなるので、再就業したくならないかよく考えてから転職するのが望ましいでしょう。
転職準備活動を行う
2020年に厚生労働省が発表した「令和2年転職者実態調査」において、転職者5,530人を対象にどのような転職準備活動を行ったかを聞いた所、次のような結果でした。
転職準備活動の内容 | 割合 |
職業能力を向上させるため公共の施設を利用した | 7.6% |
資格・知識などを取得するために学校などに通った | 9.8% |
資格・知識などを取得するために通信教育などで勉強した | 10.3% |
今の会社で役立つ資格・免許を取得した | 13.9% |
就職ガイダンスや適性・適職診断などを受けた | 12.9% |
キャリアコンサルティングを受けた | 16.0% |
産業・職業などに関する情報収集をした | 42.9% |
特に何もしていない | 66.1% |
特に何もしていない人が66.1%であることを考えると、何かしらの転職準備活動をすればその分他の転職者とは差別化できるため、介護職から異業種への転職は各段にしやすくなると言えるでしょう。
転職先で必要な資格やスキルについて知り、少しでも有利になることを身に着けておくのが大切です。
まとめ
介護職から転職して異業種で働く人は少なくないですが、後悔したり再度介護業界で働きたくなったりしないようにするためにも、転職準備活動で自分の適性やポータブルスキルを分析し、次の職種で必要な資格などを取得するのは重要だと言えるでしょう。
この記事も参考にして、前向きに転職活動に取り組んでみてください。
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