老老介護・認認介護とは?原因から解決した事例まで詳しくご紹介

日向にいる老夫婦
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老老介護とは、介護者と要介護者の双方の年齢が65才以上の高齢者である状態を指します。
老老介護になる考えられる原因は…
・平均寿命と健康寿命に差があるため
・夫婦のみの世帯が増加したため
・経済的に苦しいため
などが挙げられます。
この記事ではこうした原因から、解決した事例まで詳しく解説します。

老老介護・認認介護とは?

座って手をつなぐ老夫婦
老老介護とは、介護者と要介護者の双方が65才以上の高齢者である状態を指します。

また認認介護とは、介護者と要介護者の双方が認知症を発症している状態のことです。

介護を行うのは健康な若い人であるというイメージを持つ人も少なくないかもしれませんが、在宅介護を行っている世帯においては老老介護・認認介護とも増加しているため、高齢化社会における大きな課題となっているのです。

老老介護と認認介護の現状

杖をつてい歩く人
2019年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」において、要介護者のいる世帯を対象に介護者と要介護者の関係について調べた所、次のような結果が出ました。

介護者と要介護者の関係

割合

同居している配偶者

23.8%

同居している子供

20.7%

同居している子供の配偶者

7.5%

同居している父母

0.6%

別居している家族など

13.6%

事業者

12.1%

また要介護者と同居している介護者について年齢別の組み合わせを調べた所、次の結果が出たのです。

 

2001年

2010年

2019年

60才以上同士

54.4%

62.7%

74.2%

65才以上同士

40.6%

45.9%

59.7%

75才以上同士

18.7%

25.5%

33.1%

そして、要介護者が介護が必要となった原因は次の通りでした。

原因

割合

認知症

17.6%

脳血管疾患(脳卒中)

16.1%

高齢による衰弱

12.8%

これらのデータから、家族が認知症になったのをきっかけに介護が始まったものの、同居の家族以外に介護を依頼することができず、年齢を重ねていくうちに老老介護となり、やがてそれが認認介護になっていくという現状がうかがえます。

参考:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」

老老介護と認認介護の原因

老夫婦の人形
日本においてはどのような原因から老老介護や認認介護が引き起こされているのでしょうか。

3つご紹介します。

平均寿命と健康寿命に差があるため

平均寿命とは0才時に何才まで生きられるかを統計から予測した平均余命のことで、健康寿命とは健康上の問題で日常生活に制限のない時間のことです。

2022年に内閣府が公表した「令和4年版高齢社会白書」においてこの平均寿命と健康寿命について調査した所、次のような結果が出ました。

 

2001年

2010年

2019年

平均寿命(男性)

78.07才

79.55才

81.41才

健康寿命(男性)

69.40才

70.42才

72.68才

平均寿命と健康寿命の差(男性)

8.67年

9.13年

8.73年

平均寿命(女性)

84.93才

86.30才

87.45才

健康寿命(女性)

72.65才

73.62才

75.38才

平均寿命と健康寿命の差(女性)

12.28年

12.68年

12.07年

平均寿命も健康寿命も年々少しずつ伸びてきているものの、男性の場合は8~9年、女性の場合は12年ほど介護を受けて生活しなければならないことが、老老介護や認認介護を引き起こす原因の1つとなっているのがわかります。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」

夫婦のみの世帯が増加したため

2021年に厚生労働省が発表した「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると65才以上の人がいる2580 万9千世帯(全世帯の 49.7%)の中で、世帯構造が「夫婦のみの世帯」が 825 万1千世帯(65 歳以上の人がいる世帯の 32.0%)で最も多いことがわかりました。

このことから、夫婦どちらかが要介護者となった時にもう1人が介護者となりやすい状況となっているため、老老介護や認認介護につながってしまう現状がうかがえます。

参考:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

経済的に苦しいため

2021年の国民生活基礎調査において、1世帯あたりの平均所得金額について調査した所、次のような結果が出ました。

 

2011年

2015年

2020年

高齢者世帯以外の世帯

622.9万円

638.0万円

685.9万円

高齢者世帯

303.6万円

308.1万円

332.9万円

差額

319.3万円

329.9万円

353万円

また高齢者世帯に生活意識についてたずねた所、「大変苦しい」と回答した世帯が21.3%、「苦しい」と回答した世帯が29.1%という結果だったのです。

これらのデータから高齢者が経済的に苦しい状況にあり、介護サービスを受ける余裕がないことが、老老介護や認認介護の原因の1つになっていると考えることができます。


参考:厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」

老老介護と認認介護の問題点

夕焼けの中の二人
老老介護や認認介護をすることには、どのような問題点があるのでしょうか。

3つご紹介します。

QOLの低下

2019年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」において同居する介護者の介護時間について調査した所、次のような結果が出ました。

 

ほとんど終日

半日程度

2~3時間程度

必要な時に手を貸す程度

要支援1

3.9%

3.6%

2.5%

71.1%

要支援2

7.3%

4.7%

6.8%

64.7%

要介護1

11.3%

7.5%

13.1%

61.2%

要介護2

15.7%

12.2%

15.8%

50.2%

要介護3

32.5%

17.6%

13.1%

27.7%

要介護4

45.8%

8.6%

21.7%

11.5%

要介護5

56.7%

12.8%

7.9%

3.0%

介護度が高くなるにつれ同居する介護者の介護時間が増加し、自分の時間が少しずつ取れなくなっていく様子が垣間見えます。

また同居の介護者は必ずしも介護に関する正しい知識を身に着けているわけではなく、健康状態が悪化することも想定されるため、老老介護と認認介護においては介護者と要介護者双方のQOLが低下する可能性が高いのが問題点だと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」

共倒れ・2人孤独死・虐待などにつながる可能性がある

老老介護や認認介護を続けることで、共倒れ・2人孤独死・虐待などにつながる可能性があります。

老老介護や認認介護は介護者の身体的な負担だけではなく、コミュニケーションがうまくできないことによる精神的な負担も大きいことから、共倒れにつながりやすくのが問題点だと言えるでしょう。

また世帯構造が夫婦のみの世帯の場合、夫婦どちらかの体調が急変した時もう1人が周囲の人に助けを求めることができますが、それができず誰にも発見されないまま亡くなってしまうことを2人孤独死と呼びます。

前の項目で紹介したように老老介護や認認介護においては要介護者の介護度が高くなるにつれ介護時間が増えるため、周囲の人とのおつきあいが希薄になり、2人孤独死が起こりやすくなるのが問題点です。

そして2020年に厚生労働省が行った「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果では、次のような結果が出ました。

 

2019年

2020年

介護サービスに携わる人などによる相談・通報件数

2,267件

2.097件

上記のうち虐待と判断された件数

644件

595件

高齢者の世話をしている家族による相談・通報件数

34,057件

35,774件

上記のうち虐待と判断された件数

16,928件

17,281件

2019年と2020年の結果を比較すると、介護サービスに携わる人からの相談・通報があり、虐待と判断された件数は減っていますが、高齢者の家族からの相談・通報があり、虐待と判断された件数はむしろ増加しているのです。

このことから介護サービスを利用せず、老老介護や認認介護を続けると虐待を引き起こす可能性が高くなるのが問題点だと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」

社会との接点が減少する

2022年に内閣府が公表した「令和4年版高齢社会白書」で高齢者の社会活動への参加について調査した所、65才以上の人の30.2%が収入の伴う仕事をし、51.6%の人が何らかの社会活動に参加しています。

しかし老老介護や認認介護の状態になると仕事や社会活動を続けるのは難しくなり、介護者、要介護者とも社会との接点が減少するでしょう。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」

老老介護・認認介護の解決策とその事例

空と繋いでいる手
老老介護・認認介護にはどのような解決策と、実際に解決した事例があるのでしょうか。

解決策と事例にわけてご紹介します。

老老介護と認認介護の解決策

老老介護と認認介護の解決策を3つご紹介します。

介護保険サービス・介護保険外サービスを利用する

家族に介護が必要となった場合、まずは介護保険サービスと介護保険外サービスの利用を検討してみましょう。

介護保険サービスとは介護保険を利用して受けられるサービスのことで、要介護者の最低限の生活を支援するのを目的としています。

介護保険サービスについては、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」のホームページに、2022年12月現在介護保険法に基づく26種類・54サービスの事業所・施設が公表されています。

サービスの内容は要介護者がしてほしいことから調べられるようになっており、次の8つの中から選んで内容を知ることができます。
・介護の相談・ケアプラン作成
・自宅に訪問
・施設に通う
・訪問・通い・宿泊を組み合わせる
・短期間の宿泊
・施設等で生活
・地域密着型サービス:地域に密着した小規模な施設等
・福祉用具を使う

またサービスの詳細には介護保険を利用した時の利用者負担金額も表示されるため、介護保険サービスを受けた時の費用を知りたい人にも便利です。

一方介護保険外サービスとは、介護保険が適用されず料金の全額を負担する介護サービスのことで、QOLをより高めるのを目的としています。

厚生労働省・農林水産省・経済産業省が共同で作成した「「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」(保険外サービス活用ガイドブック)」では介護保険外サービスで受けられる具体的なサービス内容が紹介されているため、初めて利用する人は参考にするのもよいでしょう。

老老介護・認認介護にならないようにするには、まずは介護を家族以外の人にしてもらうことから始めるのが良い解決策となります。

参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集」

地域のコミュニティに参加する

2022年に内閣府が公表した「令和4年版高齢社会白書」において65才以上の人に近所の人との付き合い方についてたずねた所、「会えば挨拶をする」と回答した人が82.8%、「外でちょっと立ち話をする」と回答した人が57.3%でした。

社会活動がおっくうだと感じる人でも、このように外に出た時に少しでも近所づきあいをしておくことによって、体調が急変した時でも助けを求めやすくなります。

老老介護・認認介護を防ぐためにも、地域のコミュニティに参加するのは重要なことだと言えるでしょう。

参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」

あらかじめ家族で介護について話し合う

介護が必要になる前に、家族で介護について話し合うことも、老老介護や認認介護の解決策となります。

介護サービスの利用について家族の考えをあらかじめすり合わせておき、かかる費用をどのように負担するのかを決めておくことで、スムーズにサービスを導入することができるでしょう。

老老介護・認認介護の解決事例

老老介護と認認介護の解決事例を3つご紹介します。

鳥取県の孤独・孤立を防ぐ温(ぬく)もりのある支え愛社会づくり推進条例案

2022年に鳥取県では、老老介護・ヤングケアラー・8050問題などで社会的に孤立した人を支援するため、「孤独・孤立を防ぐ温(ぬく)もりのある支え愛社会づくり推進条例」案をまとめました。

この条例を基に関係機関での情報共有や人材の育成を進め、今まで支援の手が届きにくかった人たちの発見や見守りを進めることとしたのですが、課題を抱える本人だけではなく支える周囲の人たちも一体的に支援する取り組みは日本初です。

条例が可決されれば、2023年1月から施行される予定となっています。

参考:鳥取県「県議会に提出した条例」

老老介護で介護サービスに理解のない状態から介護サービスに結び付けた事例

世田谷区が公表している「ケアマネジメント困難事例集」の中で、老老介護で介護サービスに理解のない状態から介護サービスに結び付けた事例が紹介されています。

この事例では介護者である夫が要介護1、要介護者である妻が要介護5と典型的な老老介護で、妻は入院していた病院からも介護サービスを受けることを勧められましたが、2人とも家での生活を希望していました。

最初は2人とも介護サービスの担当者に対し何をする人なのかが理解できない状態でしたが、ケアマネージャーができるだけ訪問して相談を受けたり、医師と同席したりしてコミュニケーションを少しずつ取り続け、夫妻の意思を尊重しながらサービスを受けることを勧めてみたのです。

すると夫妻は最初は在宅サービスから受け始め、夫婦共に体力が低下し始めたタイミングで施設サービスに切り替え、老老介護を終わらせることができました。

ケアマネージャーが夫妻の意思決定を急がず、根気よくコミュニケーションを取り続けたことから老老介護を解決した好事例だと言えるでしょう。

参考:世田谷区「ケアマネジメント困難事例集」

認認介護で介入しにくい状態から介護サービスに結び付けた事例

同じく「ケアマネジメント困難事例集」では、認認介護で同居の長男からの虐待があり介入しにくい状態から介護サービスに結び付けた事例が紹介されています。

この事例では介護者である妻が要介護1、要介護者である夫が要介護2で共に認知症の疑いもあり、本人たちは施設サービスを受けることを希望していましたが、同居する長男からの虐待がありなかなか話が進みませんでした。

しかしケアマネージャーが話が進まなくても定期的な訪問を繰り返し、安否確認や状況確認を繰り返したのです。

すると長男が母親を休ませたいという理由でショートステイを依頼し、認認介護を終わらせることができました。

介護者、要介護者だけではなく家族とも信頼関係を構築したことで、認認介護を解決した好事例だと言えるでしょう。

参考:世田谷区「ケアマネジメント困難事例集」

関連コラム:老人(高齢者)介護の問題とは?解決方法や利用できる介護保険施設を解説!

まとめ

手をつなぐ二人
老老介護とは、介護者と要介護者の双方が65才以上の高齢者である状態を指し、認認介護とは、介護者と要介護者の双方が認知症を発症している状態を指します。

一度老老介護や認認介護に陥ってしまうと解決するのが難しくなるものの、あらかじめ家族で介護について話し合ったり、地域のコミュニティに積極的に参加したりすることで老老介護や認認介護になるのを予防することができます。

この記事も参考にして、ぜひ一度は自分の家族と介護についてじっくり話してみてください。
※掲載情報は公開日あるいは2023年03月14日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。
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