生活介護事業所とは?現状から事業所の選び方まで詳しく解説

スタッフと送迎車へ運ばれる車椅子の男性
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生活介護事業所とは?
生活介護事業所とは「生活介護」のサービスを提供する事業所をいいます。
生活介護事業所への入所を考えているけれど、どんな施設なのかがあまりよくわからないので事業所での過ごし方のイメージがわかず、困っている人はいませんか?

この記事では、生活介護事業所の現状から、自分に合った生活介護事業所の選び方まで詳しく解説します。

生活介護事業所とは?

スタッフと外の散歩へ行く車椅子の男性
生活介護事業所とは障害者総合支援法第5条で定められている障害福祉サービスの中で、「生活介護」のサービスを提供する事業所のことです。

障害者総合支援法における「生活介護」とは、常時介護を必要とする障がい者が主に昼間において施設などで入浴、排泄、食事の介護や創作活動、生産活動の機会の提供などを受けることを指します。

生活介護は、障がい者が自立した日常生活や社会生活を営むことを目的に行われています。

参考:全国社会福祉協議会「障害福祉サービスの利用について」
参考:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

生活介護事業所の対象者

生活介護事業所で行われる生活介護の対象者となるのは、どのような人なのでしょうか。

厚生労働省のホームページでは、対象者を地域や入所施設において安定した生活をするために常時介護が必要な人と定義づけた上で、具体的な条件を3つ提示しています。

①障害支援区分が区分3(障がい者支援施設などに入所する場合は区分4)以上の人
②年齢が50歳以上の場合障がい支援区分が区分2(障がい者支援施設などに入所する場合は区分3)以上の人
③生活介護と施設入所支援との利用の組み合わせを希望する人は、障がい支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低く、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成した上で、市町村に利用の組み合わせの必要性が認められた人

また③の人のうち以下の条件を満たす人は、サービス等利用計画案を作成した上で引き続き生活介護を受けることができます。

・障害者自立支援法の施行時の身体・知的の旧法施設(通所施設も含む)の利用者(特定旧法受給者)
・ 障害者自立支援法施行後に旧法施設に入所し、継続して入所している人
・2012年4月の改正児童福祉法施行の際に障がい児施設(指定医療機関を含む)に入所していた人
・新規の入所希望者(障がい支援区分1以上の人)

これらのことから、生活介護事業所に入所するためにはまず市町村の窓口に申請し、障がい支援区分の認定を受ける必要があることがわかります。

参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
参考:全国社会福祉協議会「障害福祉サービスの利用について」

生活介護事業所の職員配置と設備基準

生活介護事業所における職員の配置や設備については、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」の第38条と第39条においてその基準がそれぞれ定められています。

生活介護事業所における職員の配置基準は次の通りです。

職種

配置基準

管理者

・1人

医師

・利用者に対して日常生活上の健康管理と療養上の指導を行うために必要な数

看護職員(保健師、看護師、准看護師)

・1人以上

理学療法士または作業療法士

・利用者に対して日常生活を営むのに必要な機能の減退を防ぐための訓練をする場合は訓練を行うために必要な数

生活支援員

・1人以上

サービス管理責任者

・利用者の数が60人以下であれば1人以上、61人以上であれば40人ごとに1人を加える

また設備については、訓練・作業室、相談室、洗面所、トイレ、多目的室、その他運営上必要な設備を設けなければならないとされており、それぞれの基準は次の通りです。

設備の種類

基準

訓練・作業室

・訓練や作業に支障のないスペースがある・訓練や作業に必要な機械器具などがある

相談室

・室内における会話の漏えいを防ぐための間仕切りなどがある

洗面所

・利用者の特性に応じたもの

トイレ

・利用者の特性に応じたもの

多目的室

・利用者の支援に支障がない場合相談室と兼用できる

生活介護事業所に入所を考えているなら、職員の数や設備についても上記の設置基準に照らし合わせながら確認するのが望ましいでしょう。

参考:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」

生活介護事業所の役割

生活介護事業所の役割は障害者総合支援法において主に日中活動の場として位置づけられていますが、2019年に厚生労働省が公表した「自己点検チェックのための生活介護事業ガイドライン案」にはもう少し具体的な役割が示されています。

・障がい者の心身の健康の維持・増進のための支援
・障がい者の主体的な生活と自己実現を目指した支援
・障がい者の社会参加の機会の保障
・障がい者の権利と意思決定の保障

生活介護事業所には障がい者の主体的な意思決定を尊重し、健康的な生活を送るためのサポートをしながら、障がい者の自己実現を目指すという役割があるのがわかります。

参考:e-GOV法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
参考:平成30年度厚生労働科学研究費補助金「障害者の福祉的就労・日中活動サービスの質の向上のための研究」国立重度知的障害者総合施設のぞみの園「自己点検チェックのための生活介護事業ガイドライン案」
生活介護事業所の現状

生活介護事業所の現状

積み木の家とブロック
生活介護事業所の現状とはどのようなものなのでしょうか。

施設数の推移と利用する障がい者の状況、2つの観点からご紹介します。

生活介護事業所の施設数

生活介護事業所の施設数の推移は次の通りです。

 

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

施設数

7,275件

7,630件

8,268件

8,637件

9,056件

増減数

342件

355件

638件

369件

419件

増減率

4.9%増加

4.9%増加

8.4%増加

4.5%増加

4.9%増加

一方2021年に東京商工リサーチが公表した、2020年の障がい者福祉事業の倒産と休廃業・解散は合計127件(前年比6.6%減)で、2013年以来7年ぶりに減少しましたが2019年に続き2年連続で100件を上回るという結果でした。
障がい者福祉事業の倒産や休廃業が相次ぐ中、生活介護事業所の施設数は増加を続けていることから、これから入所を考える人にとっては選択肢が増え、倒産や休廃業による急なサービス変更といったリスクが減少するでしょう。

参考:厚生労働省「社会福祉施設等調査」
参考:株式会社東京商工リサーチ「2020年『障害者福祉事業』倒産と休廃業・解散調査」

生活介護事業所を利用する障がい者の状況

生活介護事業所を利用する障がい者の状況とは、どのようなものなのでしょうか。

利用者数の推移、障がい支援区分、年齢、障がい特性の観点から見ていきましょう。

2020年に厚生労働省が発表した「生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、2018年、2019年、2020年における障がい支援区分ごとの生活介護事業所の利用者数の推移は次の通りです。

 

区分1

区分2

区分3

区分4

区分5

区分6

合計

2018年

26人

3,851人

24,249人

58,805人

76,953人

117,637人

281,521人

2019年

23人

3,869人

23,697人

58,723人

78,687人

121,916人

286,915人

2020年

20人

3,746人

23,072人

58,524人

79,477人

123,924人

288,763人

区分5と区分6の利用者数が多く、区分6の人数が3年間で6,287人と最も増加しているのが特徴的と言えるでしょう。

また2019年における年齢別の生活介護事業所の利用者数は次の通りです。

年齢

18才未満

18才以上20才未満

20才以上35才未満

35才以上50才未満

50才以上65才未満

65才以上

割合

0.9%

3.2%

28.2%

30.0%

24.7%

13.0%

生活介護事業所を多く利用しているのは20才~64才までの人ですが、65才以上の高齢者も13%が生活介護事業所を利用しているのが目立ちます。

そして生活介護事業所の利用者に占める障がい特性は次の通りです。

障がい特性の種類

割合

強度行動障がい

16.5%

重症心身障がい者

8.2%

医療的ケアが必要な人(重症心身障がい者意外)

6.3%

強度行動障がいとは医学的な診断ではなく、行政や福祉で必要な支援を判断するための用語で次のような基準で判定されますが、自宅や施設でも著しく対応が困難な状態を指します。
・ひどい自傷
・強い他傷
・激しいこだわり
・激しいもの壊し
・睡眠の大きな乱れ
・食事関係の強い障がい
・排泄関係の強い障がい
・著しい多動
・著しい騒がしさ
・パニックのもたらす結果が大変な処遇困難
・粗暴で相手に恐怖感を与えるため処遇困難

上記のような特性から、なかなか受け入れ先を見つけるのが難しい強度行動障がいの方でも、生活介護事業所では受け入れを行っていることから、利用者数が年々増加しているのもうなずけます。

参考:厚生労働省「生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」
参考:厚生労働省 平成24年度障害者総合福祉推進事業「強度行動障害の評価基準等に関する調査について報告書」

生活介護事業所における一日の過ごし方

車椅子対応の送迎車
生活介護事業所における一日の過ごし方はどのようなものなのでしょうか。

おおまかなタイムスケジュールをまとめてみました。

時間

活動内容

9:00~

・ミーティング
・バイタルチェック

10:00~

・朝の会
・日中活動の開始(生産活動、創作活動、運動機能訓練、余暇活動、入浴など)

11:30~

・昼食準備
・昼食

13:00~

・日中活動の再開

15:30~

・トイレ誘導
・帰りの会

利用者宅に職員が8:30~に迎えに行き、16:00~に自宅まで送るのも加えると、昼間のほとんどの時間を生活介護事業所で過ごし、本人の希望する活動を行うことができるのがわかります。

またバイタルチェック、入浴、決まった時間の昼食といった健康的な生活を送るためのサービスも受けられるため、体調も崩しにくくなるのではないでしょうか。

生活介護事業所の選び方

四つ葉のクローバー、積み木の家、ミニチュアの椅子、ノート、「選び方」と書かれたブロック
障がい者が自分に合った生活介護事業所を選ぶためには、どのようなことに気を付けて選べばよいのでしょうか。

2つご紹介します。

障がい特性に対応できる事業所を選ぶ

障がい者が自分に合った生活介護事業所を選ぶためには、まずは自分の持つ障がい特性に対応できる事業所を選ぶようにしましょう。

例えば、前の項目でご紹介した通り生活介護事業所を利用する人の中には医療的ケアを必要とする人が6.3%いますが、この人たちが生活介護事業所を利用するなら、常勤する看護職員の人数が一定数配置されている事業所が望ましいと言えるでしょう。

2019年9月に厚生労働省が発表した「生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」によると、生活介護事業所における看護職員の常勤換算数分布は次の通りです。

看護職員の常勤換算数

割合

0.5人未満

30%

0.5人以上1人未満

7%

1人以上1.5人未満

36%

1.5人以上2人未満

4%

2人以上2.5人未満

11%

2.5人以上3人未満

2%

3人以上3.5人未満

5%

3.5人以上4人未満

1%

4人以上4.5人未満

2%

4.5人以上5人未満

1%

看護職員が2人以上常勤している生活介護事業所の割合は21%と決して多くはありませんが、医療的ケアを必要とするならこの中から選んだ方が安心・安全な生活が送れると言えるでしょう。

参考:厚生労働省「生活介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」

障がい者本人がやりたい活動に合わせて選ぶ

障がい者が自分に合った生活介護事業所を選ぶなら、障がい者本人がやりたい活動を行っている事業所を選ぶようにしましょう。

同じ生活介護事業所というくくりにはなっていても、ホームページで確認すると立地から活動内容まで個性を感じさせる事業所が多いと言えます。

例えばアウトドアが好きであれば自然に囲まれた環境で屋外での活動に力を入れている事業所、動物との触れあいを楽しみたいならアニマルカフェを併設している事業所を選んでみると生活に張り合いが生まれ、地域の中で生き生きと暮らしていけるのではないでしょうか。

まとめ

生活介護事業所内の浴室
生活介護事業所とは障害者総合支援法における障害福祉サービスの中で、「生活介護」のサービスを提供する事業所のことで、市町村の窓口に申請し、障がい支援区分の認定を受けた上で対象者であれば利用することが可能です。

この記事も参考にして、ぜひ自分に合った生活介護事業所を見つけてみてください。
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※掲載情報は公開日あるいは2023年03月30日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。
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