親の介護をどうする?現状からしたくない場合の対処方法まで詳しく解説

両親の心配
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親の介護をしたくないと負担に感じている方も多いかと思います。
年齢的に親の介護が差し迫ってきているけれど、あまり家族としての関係が良くなかったためしたくないというケースも。
この記事では、そうした場合の対処法などについて解説します。

親の介護の現状

扶養
親の介護について考える時最初につきあたるのが「親の介護は法律に定められた義務なのかどうか」という疑問です。

民法の877条1項には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」とありますが、親に対する扶養は生計が成り立つ程度の金銭的な援助が原則となり、夫婦間や子供のように自分と同等の生活レベルを保障する必要はありません。

そのため介護が必要な状況の場合、介護サービスを受けるための費用を負担するという方法が検討できるでしょう。

ただし民法の881条には「扶養を受ける権利は、処分することができない」とも定められているため、親の生活が困窮した場合法律上の扶養義務はなくならないことも覚えておく必要があります。

2019年に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査の概況」において要介護者に主な介護者は誰かをたずねた所、同居する「子」は20.7%でした。

このことから、要介護者を主に介護しているのは必ずしも子供というわけではないのがわかります。

参考:e-GOV法令検索「民法」
参考:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」

親の介護についての考え方

家族
親の介護についてどのような考え方をしている人が多いのかを、3つの観点からご紹介します。

親の介護で不安に思っていること

2019年にアクサ生命保険株式会社が発表した「介護に関する親と子の意識調査2019」では、40代・50 代の親が存命で親の介護をした経験がない人250人、40代・50代の親が存命で親の介護をした経験がある人250人、60代・70代で子どもがおり、介護された経験がない人500人に対しアンケート調査を行いました。

親の介護を経験していない人250人に親の介護で不安に思うことを聞いた所、次のような結果でした。

介護費用

自分の仕事への影響

自分の精神状態

自分の健康状態

親の介護をした経験がない人

54.4%

44.4%

36.4%

35.6%

一方親の介護を経験した人250人に親の介護で実際に困ったことを聞いた所、次のような結果だったのです。

 

介護費用

自分の仕事への影響

自分の精神的な負担

自分の健康・体力

親の介護をした経験がある人

33.6%

53.6%

62.0%

50.8%

比較してみると親の介護を経験した人とない人では「介護費用」と「自分の精神状態」で大きく認識の差があり、予想より金銭的な負担が少なく精神的な負担が大きいのがわかります。

介護の担い手は親と子で意識の差がある

「介護に関する親と子の意識調査2019」で親の介護を経験していない人250人に親の介護は誰が担うのがよいかを聞いた所、次のような結果でした。

 

自分

介護サービスの職員

自分の兄弟姉妹

親の配偶者

自分の配偶者

自分の子供

その他の親族

親の介護をした経験がない人

57.2%

36.0%

30.4%

4.8%

4.4%

2・0%

0.4%

親の介護経験がない人は、介護サービス以外で介護を担うのがよいと考える人が64%で多数派なのがわかります。

一方60 代・70 代で子どもがおり、介護された経験がない人 500 人に自分が要介護状態になったら誰に介護をしてほしいか聞くと次のような結果でした。

 

介護サービスの職員

配偶者

子供

子供の配偶者

その他の親族

友人・知人

その他

介護された経験がない人

49.6%

41.2%

24.6%

2.2%

2.0%

0.4%

0.4%

0.4%

ほぼ半数の人が介護サービスを利用するのがよいと考えているのがわかります。

これらのことから親の介護を誰が担うかについては、親世代と子世代で考え方の違いが大きいと言えるでしょう。

親の介護のためどんな準備をしているか

SOMPOホールディングス株式会社が2019年に発表した「親の介護に関する調査」で全国の30代以上の男女で親の介護経験がある人1,091人、親の介護経験がない人1,088人に対してアンケート調査を行いました。

親の介護経験がある人に、何か事前に準備していたかを聞いた所、次のような結果が出ました。

事前準備の種類

割合

親の意向を確認した

30.3%

家をリフォームした (手すりの設置、エレベーターなど)

28.7%

地域の自治体に相談した

23.1%

兄弟姉妹で役割分担を決めるなど話し合いをした

19.8%

会社の支援制度を確認した

6.3%

介護のために貯金をしていた

6.1%

民間の保険に加入した

5.8%

その他

1.6%

何もしていない

33.0%

70%弱の人が何かしら親の介護の準備をしていたものの、何もしていなかった人も33%いたのがわかります。

一方実際に親の介護を経験して、事前にやっておけばよかったと感じることについてたずねた所、次のような結果でした。

事前準備の種類

割合

公共サービスについての情報収集

43.6%

介護を受ける本人(親)との話し合い

31.0%

介護費用を貯めておく

29.1%

近くの介護施設の見学

23.1%

本人(親)以外の家族や親族との話し合い

22.1%

知人の介護経験談を聞く

15.9%

民間の介護保険への加入

15.8%

その他

2.1%

特にない

20.5%

事前に準備していたことにはない、「公共サービスについての情報収集」や「近くの介護施設の見学」など介護サービスについての回答が増えているのが特徴的だと言えるでしょう。

これらの調査結果から、親の介護を経験する前は自分で介護を担おうと考えている人が多いものの、その負担の大きさから介護サービスを自然に利用するようになっていく様子がうかがえます。

参考:アクサ生命保険株式会社「介護に関する親と子の意識調査2019」
参考:SOMPOホールディングス株式会社「親の介護に関する調査」

親の介護が限界だと感じる前にできること

高齢者と家族
親の介護を一度担ってはみたものの、限界を感じそうな人は事前に何ができるのでしょうか。

3つご紹介します。

レスパイトケアを活用する

レスパイトケアとは親の介護が大変だったり、しんどいと感じた時に一時的に介護から離れ、休息をしてリフレッシュを図るために行われる介護サービスのことです。

レスパイトケアには次の3つの目的があります。
・介護疲れをいやす
・介護離職の防止
・高齢者虐待の防止

前の項目でご紹介したアンケート調査の結果にもあった通り親の介護は精神的・身体的な負担が大きく介護離職や高齢者虐待につながる可能性があるため、限界だと感じる前にレスパイトケアを利用するのは大切なことと言えるのです。

レスパイトケアには次のような種類があります。

 

対象者

概要

介護保険サービスでできるレスパイトケア

・要介護認定を受けた人

・訪問介護(ホームヘルプ)・通所介護(デイサービス)・ショートステイ

医療保険を用いてできるレスパイトケア

・在宅療養をしていて医療管理が必要な人

・日常生活のケア・医療管理・リハビリ

介護保険外サービスでできるレスパイトケア

・要介護認定を受けていない人も利用できる

・家事援助・外出支援・見守り

親の体調やかかる費用を考え、適切なレスパイトケアを活用するのをおすすめします。

介護休業や介護休暇を利用する

介護休業と介護休暇は、仕事と介護の両立を支援するための制度の1つです。

介護休業と介護休暇の違いは次の通りです。

 

対象者

対象となる家族

利用期間と回数

手続きの方法

介護休業

・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)

・配偶者 (事実婚を含む) ・父母・子・配偶者の父母、・祖父母・兄弟姉妹・孫

・対象家族1人につき3回まで、通算93日まで

・休業開始予定日の2週間前までに、書面などにより事業主に申し出る

介護休暇

・対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)

・配偶者 (事実婚を含む) ・父母・子・配偶者の父母、・祖父母・兄弟姉妹・孫

・対象家族が1人の場合は年5日まで・対象家族が2人以上の場合は年10日まで

・書面の提出に限定されておらず、口頭での申し出も可能

対象者と対象となる家族は同じですが、利用期間が異なり介護を理由に長く休みたい場合は介護休業、急な休みが必要な場合は介護休暇を利用するとよいでしょう。

前の項目でご紹介したアンケートで、介護経験のある人もない人もともに不安に思っているのが仕事との両立でしたが、介護休業や介護休暇をうまく活用すると仕事をしながら親の介護ができる可能性が高まります。

参考:厚生労働省「介護休業について」
参考:厚生労働省「介護休暇について」

介護費用について相談する

介護保険サービスを活用しても親の介護にかかる費用の負担がしんどい場合は、まずはケアマネージャーに相談し介護保険で受けているサービスが過剰ではないか見直しをしてもらいましょう。

例として次のような観点から見直しをしてもらうとスムーズです。
・ケアプラン内に不要な介護サービスが含まれていないか
・利用回数を減らしてもよい介護サービスはないか
・施設に入居しているなら施設のグレードを抑えられないか

また親が住んでいる地方自治体や国の負担軽減制度などの利用について考えたい場合は、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。

2022年4月末現在、地域包括支援センターは全国で5,404ヵ所にあるためまずは厚生労働省のホームページで親が住んでいる最寄りの拠点を探すことから始めてみましょう。

参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム」

親の介護をしたくない時の対処方法

ステップ
ここまでの内容を読んで、親に金銭的な支援はできても直接親の介護はしたくないと感じた人向けに、対処方法を2つご紹介します。

介護保険サービスを利用する

直接親の介護をしたくないなら、介護が必要となった段階で早めに要介護認定を受け介護保険サービスを受けられるよう手配しましょう。

介護保険サービスには要介護1~5と認定された人が利用できる介護給付サービスと、要支援1~2と認定された人が利用できる予防給付サービスがあり、認定された要介護度に応じてサービスを選んで受けることができます。

主な介護保険サービスの内容と対象者、利用者負担金額をご紹介します。

介護保険サービスの種類

対象者

利用者負担金額

訪問介護(ホームヘルプ)

・要介護1~要介護5と認定された人

・身体介護(20分未満)165円

・身体介護(20分以上30分未満)248円

・身体介護(30分以上1時間未満)394円

・身体介護(1時間以上1時間半未満)

・生活援助(20分以上45分未満)181円

・生活援助(45分以上)223円

・通院時の乗車、降車などの介助 98円

訪問入浴

・要支援1~要支援2と認定された人

・要介護1~要介護5と認定された人

・(要支援の人)全身入浴 845円

・(要介護の人)全身入浴1,250円

通所介護(デイサービス) 

・要介護1~要介護5と認定された人

・要介護1 645円

・要介護2 761円

・要介護3 883円

・要介護4 1,003円

・要介護5 1,124円

短期入所生活介護(ショートステイ

・要支援1~要支援2と認定された人

・要介護1~要介護5と認定された人

(併設型・多床室で1日の場合)

・要支援1 437円

・要支援2 543円

・要介護1 584円

・要介護2 652円

・要介護3 722円

・要介護4 790円

・要介護5 856円

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・要介護1~要介護5と認定された人 

①施設サービス費(多床室で1日の場合)

・要介護1 557円

・要介護2 625円

・要介護3 695円

・要介護4 763円

・要介護5 829円②居住費

・室料+光熱費相当③食費

・食材料費+調理費

ご紹介したのは介護保険サービスの一部なので、詳細を知りたい人は厚生労働省のホームページから確認してみましょう。

参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」

介護保険外サービスを利用する

介護保険外サービスとは介護保険の対象には含まれていないサービスで、介護保険ではできないサービスを提供しているのが特徴的だと言えるでしょう。

利用料金は全て自己負担となりますが、次のようなサービスを受けることができます。
・家事援助サービス
・外出支援サービス
・見守りサービス
・健康促進サービス
・生きがい作りの支援サービス

介護保険サービスでは主にADL(日常生活動作)のサポートが目的となりますが、介護保険外サービスではQOL(生活の質)の向上が目的となるのが大きな違いと言えるでしょう。

受けたいサービスが介護保険サービスの中から見つからなかった場合は、介護保険外サービスの利用も含めて検討するのをおすすめします。

まとめ

手と手
親の介護でまず迷うのは法律上の義務があるかどうかですが、扶養義務が定められているものの、親に対する扶養は夫婦間や子供に対するものとは異なり生計が成り立つ程度の金銭的な援助が原則となります。

そのため介護が必要な場合は要介護認定を受けてもらい、介護サービスを受けて介護はプロに任せるのが望ましいでしょう。

この記事も参考にして、ぜひ自分のできる範囲で親の介護をしてみてください。
※掲載情報は公開日あるいは2023年09月28日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。
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