介護における資格取得支援制度とは?使うメリットから種類まで詳しく解説

指をさす車椅子の男性とスタッフ
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自分の将来のために介護の資格を取得したいと考えているけれど、どの学校も学費が高くて今一歩踏み出せないと悩んでいる人はいませんか?

この記事ではそのような人に知ってほしい、介護における資格取得支援制度について詳しく解説します。

介護における資格取得支援制度とは

「RECRUIT」の文字とミニチュアのスタッフと車椅子の男性
介護業界における資格取得支援制度とは、仕事をする上で必要となる資格や免許を取得する際に、それにかかる費用を支援してくれる制度のことです。

介護業界における資格取得支援制度の目的は次の3つです。
・介護業界未経験者の転職を支援すること
・介護業界の中でのキャリアアップ支援
・介護業界全体における人材育成

しかし、どうして介護業界では資格取得にかかる費用を負担してまで、人材育成やキャリアアップ支援を行おうとするのでしょうか。

2021年7月、厚生労働省では第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量などに基づき、都道府県が推計した今後必要となる介護職員の数を公表しました。

年度

介護職員の必要数

2023年度

233万人

2025年度

243万人

2040年度

280万人

2020年度の介護職員数は211.9万人であるため、2023年度における介護職員の必要数を満たすためには約22万人、2025年度では約32万人、2040年度では約69万人の介護職員を今から新たに育成する必要があるのです。

このことから、介護業界においては今後の人材不足を見越してできるだけ多くの新たな介護職員を育成しなければならない状況にあるため、資格取得支援制度を設けていることがわかります。

参考:厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み」

介護における資格取得支援制度を利用するメリットとは?

医師から話を聞く男女のスタッフ
介護業界における資格取得支援制度を活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

資格取得費用を節約できる

介護業界における資格取得支援制度を活用すると、資格取得にかかる費用を一部または全額支援してもらうことができるので、資格取得への敷居が低くなるでしょう。

例えば介護業界に転職したいけれど、自分が介護に向いているかどうかは実際にやってみないとわからないので資格取得費用はあまりかけたくないという人も、資格取得支援制度を利用して学校に行くことで介護について深く学んだり、実習を行ったりできるため自分に合っているかどうかを時間をかけて判断できます。

実務経験を積める

働きながら介護の資格を取得できる会社などの支援制度を利用すると、資格取得をするのに必要な実務経験を同時進行で積むことができます。

介護における主な資格を取得するのに必要な実務経験は次の通りです。

資格の種類

必要な実務経験

介護福祉士

・(実務者研修を受けた場合)従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上 

・(介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を受けた場合)従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上

介護支援専門員(ケアマネージャー)

・法定資格(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士)を取得した人で5年以上

介護職員初任者研修・介護職員実務者研修

・不要

介護業界で長く働き、ケアワーカーとしてのキャリアアップを早期に目指したいと考えているなら、実務経験を積みながら資格を取得することをおすすめします。

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」
参考:厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」

自分のキャリアプランを踏まえた資格取得ができる

自分が将来的に介護業界でどのように働いていきたいのかが明確であれば、国や地方自治来などの資格取得支援制度を利用してそれに合った資格取得をしていくことが可能です。

例えば訪問介護の現場で長く働きたいと考えているならケアマネージャー、施設介護の現場で働きたいなら介護福祉士の資格を取得するのが望ましいでしょう。

同じ介護業界といっても訪問介護と施設介護では提供するサービスの内容や時間、必要な技術が大きく違うため、自分がどのような介護をしたいのかによって取得する資格も異なるということです。

介護における資格取得支援制度の種類

「資格」の文字と左手
介護業界における資格取得支援制度にはどのような種類があるのでしょうか。

国、地方自治体、民間の3つにわけてそれぞれご紹介します。

国の資格取得支援制度

国が提供する、介護の資格取得支援制度を3つご紹介します。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した人に、受講費用の一部が教育訓練給付金として支給される制度で、給付率や対象講座の違いで次の3種類に分かれています。

教育訓練給付制度の種類

目的

給付率

介護分野における対象講座の例

専門実践教育訓練

・労働者の中長期的なキャリア形成を目的とした教育訓練

・最大で受講費用の70%(年間上限56万円)を6ヵ月ごとに支給
・最長4年
・資格を取得し訓練後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は受講費用の20%(上限16万円)を追加支給

・介護福祉士
・社会福祉士 

特定一般教育訓練

・労働者の速やかな再就職と早期のキャリア形成を目的とした教育訓練

・受講費用の40%を訓練終了後に支給(上限20万円)

・介護職員初任者研修
・介護職員実務者研修等特定行為研修
・喀痰吸引等研修
・福祉用具専門相談員

一般教育訓練

・雇用の安定や就職の促進を目的とした教育訓練

・受講費用の20%を訓練終了後に支給(上限10万円)

・同行援護従事者研修

パート、アルバイト、派遣社員として勤務していた人も対象となりますが、雇用保険の加入期間などの条件があるため、制度を利用できるかどうかはハローワークにて支給要件照会の手続きを行い、確認してみましょう。

現在、教育訓練給付の対象講座の検索ツールとして厚生労働省のホームページに「教育訓練給付制度厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」が公開されているため、興味のある人はこのシステムで対象講座を検索できるようになっています。

システムでは通学やe-ラーニング、地域、上記の給付制度の種類など希望の条件から自分に合った講座が選べるのです。

教育訓練給付制度は、雇用保険に加入していて資格取得費用を一部支援してほしい人におすすめです。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度」

修学資金貸付制度

修学資金貸付制度は介護福祉士や社会福祉士の資格取得を目指す人に対して、修学資金を無利子で貸与する制度です。

卒業後介護福祉士や社会福祉士として介護・相談業務に一定年数従事すると返済が免除されるのが特徴的だと言えるでしょう。

修学資金貸付制度には次の4種類があります。

 

対象

貸付金額

貸付の期間

返済が全額免除される条件

介護福祉士修学資金貸付事業

・介護福祉士養成施設に在学(入学を予定)している人

・月額5万円以内 

・入学準備金20万円以内 

・就職準備金20万円以内 

・国家試験受験対策費用4万円以内/年度

・養成施設に在学する期間

・卒業後に介護福祉士として介護業務に5年間勤務すること

福祉系高校修学資金貸付事業

・福祉系高校に在学(入学を予定)している人

・修学準備金(入学金を除く)3万円
・介護実習費3万円以内/年度
・就職準備金20万円以内
・国家試験受験対策費用4万円以内/年度

・福祉系高校に在学する期間

・卒業後に介護福祉士として介護業務に3年間勤務すること

介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業

・実務者研修施設に在学している人

・20万円以内

・卒業後に介護福祉士として介護業務に2年間勤務すること

社会福祉士修学資金貸付事業

・社会福祉士養成施設に在学(入学を予定)している人

・月額5万円以内
・入学準備金20万円以内
・就職準備金20万円以内

・養成施設に在学する期間

・卒業後に社会福祉士として相談援助業務に5年間勤務すること

修学資金貸付制度は、在学中にお金がかかるタイミングで費用を援助してほしい人や、卒業後は必ず一定期間介護業界で働くと決めている人におすすめです。

参考:厚生労働省「介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)」

母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業

母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業は母子家庭における母親、父子家庭における父親の経済的な自立を支援するのを目的に行われている国の事業で、地方自治体が実施主体となって行われています。

母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業は、対象者や対象講座・資格で次の2種類に分かれています。

 

目的

対象

給付金額

介護分野における対象資格・講座

自立支援教育訓練給付金

自立支援教育訓練給付金

・母子家庭の母、父子家庭の父で児童(20才に満たない子供)を扶養している人
・児童扶養手当の支給を受けているか、同程度の所得水準の人
・就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、教育訓練が就職するために必要であること

・教育訓練費用の60%
・下限は1万2千1円
・上限は雇用保険の一般教育訓練給付または特定一般教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合最大20万円で、雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合修学年数×40万円、最大160万円

・介護福祉士
・社会福祉士
・介護職員初任者研修
・介護職員実務者研修等特定行為研修
・喀痰吸引等研修
・福祉用具専門相談員
・同行援護従事者研修(雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座)

高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金

・母子家庭の母、父子家庭の父で児童(20才に満たない子供)を扶養している人
・児童扶養手当の支給を受けているか、同程度の所得水準の人
・資格取得のため1年以上養成機関に通う場合
・仕事または育児と資格取得のための勉強の両立が困難であること

・市町村民税非課税世帯は月額100,000円、市町村民税課税世帯は月額 70,500円
・養成機関課程修了までの期間の最後の12か月は、市町村民税非課税世帯は月額140,000円、市町村民税課税世帯は月額110,500円 

 ・支給期間は上限4年

・介護福祉士
・社会福祉士

高等職業訓練修了支援給付金

高等職業訓練修了支援給付金

・同上

・市町村民税非課税世帯は50,000円、市町村民税課税世帯は25,000円 

・介護福祉士
・社会福祉士

自立支援教育訓練給付金は母子家庭や父子家庭で資格取得費用の一部を支援してほしい人、高等職業訓練促進給付金と高等職業訓練修了支援給付金は資格を取得する期間の生活費用や入学時の費用を支援してほしい人におすすめです。

参考:厚生労働省「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について」

地方自治体の資格取得支援制度

地方自治体が提供する、介護の資格取得支援制度の例を2つご紹介します。

東京都の資格取得支援制度

東京都では介護人材の安定的な確保と育成を目的とした介護人材確保対策事業の1つとして、「介護職員資格取得支援事業」を行っています。

東京都における介護職員資格取得支援事業の概要は次の通りです。

 

対象

受講費

介護分野における対象資格・講座

介護職員資格取得支援事業

・東京都における介護人材確保対策事業の1つである「職場体験」を行った人 

・東京都内で介護業務への就労を希望する学生(大学生、短大生、高校生、高等専修学校生)、既卒者、主婦、高齢者、離職者、就業者(東京都在住以外の人も可)


・無料

・介護職員初任者研修
・生活援助従事者研修

介護職員資格取得支援事業の利用は、東京都で介護の仕事に就きたい人や、介護を少し経験してから本格的に介護業界で働くかどうか決めたい人におすすめです。

大阪府の資格取得支援制度

大阪府では介護未経験者や無資格者の介護施設での雇用促進を目的として、介護分野への就労・定着支援事業を行っています。

制度の概要は次の通りです。

 

制度の概要

対象となる介護施設

補助金額

介護分野における対象資格・講座

介護分野への就労・定着支援事業

介護未経験・無資格の求職者を3か月以上雇用し、介護職員初任者研修を修了した場合雇用軽費と研修受講料の一部を大阪府が負担する

・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護医療院
・介護療養型医療施設
・地域密着型介護老人福祉施設
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

・正規雇用1人当たり上限30万円
・非正規雇用1人当たり17.5万円

・介護職員初任者研修 

制度を利用したい人はハローワークや大阪福祉人材支援センターなどを通じてこの事業に参加している施設に応募することで、介護職員初任者研修の受講料を補助してもらえます。

介護分野への就労・定着支援事業の利用は今は無資格だけれど、将来施設介護職員として働きたいという希望がある人におすすめです。

民間の資格取得支援制度

民間でも介護の資格取得支援制度を独自で設けている事業所が存在します。

このような介護事業所では求人をする際、募集要項に制度の概要を記載していることが多いため、まずは制度の有無を募集要項で確認し、制度の内容を問い合わせてみるのもよいでしょう。

またせっかく事業所の資格取得支援制度を利用するなら、資格取得後に手当が加算されるかどうかも募集要項で調べておくと、自分自身のモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。

まとめ

バインダーの紙に記入するスタッフ
介護業界における資格取得支援制度とは、仕事をする上で必要となる資格や免許を取得する際に、それにかかる費用を支援してくれる制度のことで、介護業界全体の人材不足を背景に、多数ある制度から自分に合ったものを探すことができます。

この記事も参考にして、ぜひ自分のニーズに合った資格取得支援制度を利用し、資格取得へとつなげてみてください
※掲載情報は公開日あるいは2023年01月31日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。
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