社会福祉連携推進法人とは?メリットから活動事例まで詳しくご紹介

社会福祉連携推進法人には、一般社団法人が所轄庁の認定を受けることでなることが可能です。
今回は、設立するメリットなどについてもご紹介します。
社会福祉連携推進法人とは?
社会福祉連携推進法人には、一般社団法人が所轄庁の認定を受けることでなれます。
所轄庁は業務を行う領域によって次のように異なるため注意しましょう。
業務を行う領域 | 所轄庁 |
都道府県 | 主たる事務所の所在地がある都道府県 |
市 | 主たる事務所の所在地がある市 |
同じ都道府県内で市をまたがる | 指定都市 |
全国 | 国 |
社会福祉連携推進法人の成り立ち
機関の種類 | 人数 | 概要 |
理事会 | ・理事6人以上・監事2人以上(代表理事1人を選ぶ) | ・対外的には社会福祉連携法人を代表し、対内的には社員総会の決議に従って社会福祉連携法人の業務を行う・理事と監事の要件は社会福祉法人と同じ水準 |
社員総会 | ー | ・社会福祉連携法人を運営するための重要事項の議決機関・原則1社員1議決権・議決権の過半数は社会福祉法人である社員が持つ |
社会福祉連携推進評議会 | ・3人以上 | ・社会福祉連携推進区域(業務の実施地域を指し、実施地域の範囲に制約はない)の福祉の状況について把握し伝えられる人を必ず入れる・社員総会や理事会に事業計画などについて意見を述べたり、業務実施状況について評価したりする |
また社員になれるのは次の4種類の法人です。
・社会福祉法人
・社会福祉事業を経営する法人
・社会福祉を目的とする公益事業を経営する法人
・社会福祉事業などに従事する人の養成機関を運営する法人
上記の4種類の法人は、それぞれ複数の社会福祉連携推進法人に参加できることを覚えておきましょう。
3つの機関が適切に役割を果たすことで、社会福祉連携推進法人全体がスムーズに運営できるようになっています。
社会福祉連携推進法人の運営方法と業務
・社会福祉連携推進区域と社会福祉連携推進方針(区域内の連携推進のための方針)を決めて公表する
・社会福祉連携推進業務を行う
・社会福祉連携推進業務をするのに支障のない範囲で他の業務を行う(社会福祉事業や同様の事業はしてはいけない)
・社員からの会費や業務委託費などによる業務運営(業務をするための寄付の受付もしてよい)
・社員である法人の業務に支障のない範囲で職員の兼務や設備を兼用してもよい(業務を行うために財産を持ってもよい)
また、ポイントにも出てきた「社会福祉連携推進業務」とは次の6つの業務を指します。
業務名 | 概要 | 具体例 |
地域福祉支援業務 | ・地域福祉の推進のための取り組みを社員が共同でするための支援 | ・地域住民の生活課題を捉えるためのニーズヒアリングの実施・ニーズヒアリングの結果を踏まえた新しい取り組みの企画立案、支援ノウハウの提供・取り組みの実施状況の把握と分析・地域住民に対する取り組みの周知・広報・社員が地域の他の機関との連携をするための調整 |
災害時支援業務 | ・災害が発生した時に社員が提供する福祉サービスの利用者の安全を確保するための支援 | ・事前のニーズ把握・BCP策定や避難訓練の実施・被災した施設の被害状況の調査・被災した施設への応急的な物資の提供や備蓄・被災した施設の利用者を他の施設に移送するための調整・被災した施設で不足する人材の応援派遣のための調整・地方自治体との連絡・調整 |
経営支援業務 | ・社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識を共有するための支援 | ・経営コンサルティング・人事制度や給与システムについてのコンサルティング・財務状況の分析と助言・適正な財務会計の構築に向けた支援・特定事務の事務処理代行 |
貸付業務 | ・社員に対する資金の貸付 | ・貸付ごとに所轄庁の認定を受ける・貸付に充てる原資を社員が提供してもよいが上限額が定められている・貸付に充てた原資は社会福祉充実財産の控除対象財産にはならないので注意する |
人材確保等業務 | ・社員が経営する社会福祉事業の従業員確保のための支援と資質向上のための研修 | ・合同募集の実施・人事交流の調整・給与システムの共通化に向けた調整・職場体験、現場実習などの調整・合同研修の実施・外国人材の受け入れ支援 |
物資等供給業務 | ・社員が経営する社会福祉事業に必要な設備や物資の供給 | ・衛生用品の一括調達・介護機器の一括調達・ICTシステムの一括調達・給食の供給 |
社会福祉連携推進法人の狙い
・社員同士の社会福祉についての業務の連携を推進する
・地域における良質で適切な福祉サービスを提供する
・社会福祉法人における、経営基盤の強化を目的とした事業者間の連携の新たな選択肢となる
同じビジョン(法人としての展望や理想)を持った社員同士が自主性を維持しながら連携し、規模の大きさを活かした法人運営ができるようになるのです。
参考:厚生労働省「社会福祉連携推進法人の運営等について」
参考:e-GOV法令検索「社会福祉法」
社会福祉連携推進法人の設立の流れ
社会福祉連携推進法人は前の項目でもご紹介した通り、一般社団法人が所轄庁の認定を受けることでなれるため、一般社団法人設立と社会福祉連携推進法人設立の2つにわけて見ていきましょう。
一般社団法人設立の流れは次の通りです。
項目 | 概要 |
設立準備 | ・定款の内容、役員の体制と報酬、会費、業務内容などについて検討する |
公証人による定款の認証 | ・原始定款(法人の基本的なルールを定めた一番最初の定款)を作成し公証人(公証役場で国の公務である公正証書作成などを行う人)の認証を受ける |
設立時役員の調査 | ・設立時役員(法人を設立する時の役員)が一般社団法人の設立手続きが法令や定款に違反していないか調査をする |
登記 | ・主たる事務所の所在地を管轄の法務局で登記する・登記すると一般社団法人が成立する |
設立時社員総会 | ・社員総会を開いて社会福祉連携推進方針や役員報酬規程、会費規定、一般社団法人成立日の貸借対照表などを承認する |
項目 | 法律 | 概要 |
社会福祉連携推進認定の申請 | 社会福祉法127条 | ・所轄庁に対し社会福祉連携推進認定を申請する |
社会福祉連携推進認定 | 社会福祉法128条、129条 | ・所轄庁が認定を通知、公示する |
名称変更登記 | 社会福祉法第130条第2項 | ・一般社団法人の名称から社会福祉連携推進法人の名称への変更を登記する |
参考:厚生労働省「社会福祉連携推進法人の運営等について」
参考:e-GOV法令検索「社会福祉法」
社会福祉連携推進法人を設立するメリットとデメリット
社会福祉連携推進法人を設立するメリット
・社員となる1つ1つの法人の自主性を重んじながらも、連携して質の高いサービスを提供できる
・社会福祉連携推進区域に制約がないので、広い範囲でニーズに合った形の連携ができる
・経営基盤が強化される
福祉サービスの質の向上や、福祉業界での人手不足は社会全体で解決しなければならない課題となってきていますが、社会福祉連携推進法人を設立することでこのような課題が解決できる可能性が高まるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
社会福祉連携推進法人を設立するデメリット
社会福祉連携推進法人には社会福祉連携推進評議会があり、社会福祉連携推進区域の福祉の状況について把握し伝えられる人を必ず交えて、事業計画などについて意見を述べたり、業務実施状況について評価したりする必要があります。
また所轄庁は、社会福祉連携推進法人が目的に合った運用をされているかどうか監督する立場にあります。
これらのことから、社会福祉連携推進法人が地域で独占状態になったとしても、福祉サービスの質の低下や目的に合わない運用がされる可能性は低いということです。
社会福祉連携推進法人の一覧
17法人ある社会福祉連携推進法人の概要をご紹介します。
法人名 | 認定所轄庁 | 認定年月日 |
京都府 | 2022年5月10日 | |
社会福祉連携推進法人リゾムウェル | 大阪府 | 2022年6月17日 |
兵庫県 | 2022年8月1日 | |
社会福祉連携推進法人光る福祉 | 千葉県 | 2022年10月13日 |
東京都 | 2022年11月4日 | |
和歌山県 | 2022年11月11日 | |
東京都 | 2022年12月8日 | |
岐阜県 | 2023年1月27日 | |
東京都 | 2023年1月30日 | |
社会福祉連携推進法人福岡親和会 | 福岡県 | 2023年2月3日 |
社会福祉連携推進法人きょうと福祉キャリアサポート | 京都府 | 2023年2月28日 |
埼玉県 | 2023年3月27日 | |
新潟県 | 2023年4月3日 | |
社会福祉連携推進法人幸輪ホールディングス | 福岡県 | 2023年4月1日 |
熊本県 | 2023年5月9日 | |
岐阜県 | 2023年6月29日 | |
社会福祉連携推進法人みらいグループ | 福岡県 | 2023年7月11日 |
社会福祉連携推進法人の活動事例
社会福祉連携推進法人リガーレでは、法人間で連携をしながら人材確保や人材育成を行っています。
最初にグループ本部に「人材・開発研究センター」を設け、2名(1名は認知症認定看護師、もう1名は社会福祉士、介護福祉士)のスーパーバイザーを設置して人材育成を行うこととしました。
研修については、グループ統一研修として新規採用者から役職者までの階層別研修を年間約65回開催し、参加職員は約1,000人ほどとなっています。
またスーパーバイザーによる週に1度の巡回で各法人の課題をアセスメントシートに沿って提案し、法人が行動計画を策定するとそれに対する継続的な助言も行うようにしたのです。
巡回して発見した課題は新たな研修を組み立てる際の重要な情報にもなるため、研修と巡回を両輪として回すことで、人材育成が効率良く進んでいます。
参考:YouTubeチャンネル厚生労働省「【分割版1/3】社会福祉法人の連携の推進に向けた実践者インタビュー集~法人間連携による有機的な人材確保・人材育成~」
まとめ
1つ1つの法人の個性を活かしながら、ニーズに合った連携ができ質の高いサービスが提供できるので、この記事も参考にしてさらに理解を深め施設の運営方法を検討してみてください。







