介護士と介護福祉士の違いとは?
介護士と介護福祉士にはどのような違いがあるのでしょうか。
3つの観点からご紹介します。
介護士と介護福祉士の定義
介護士と介護福祉士で大きな違いがあるのがその定義です。
介護士とは介護業界で仕事をする人の総称で、「介護職」「介護スタッフ」「ケアワーカー」「ケアスタッフ」のように呼ばれることもあるでしょう。
一方介護福祉士は、介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格です。
社会福祉の増進に寄与することを目的として定められた「社会福祉士及び介護福祉士法」の第2条2では、介護福祉士を介護福祉士の名称を用い専門的知識と技術で、身体または精神の障がいがあり日常生活を営むのに困難がある人に対し、心身の状況に応じた介護を行う人と定義づけています。
介護士は資格を意味する言葉ではなく、介護福祉士は介護についての国家資格を意味する言葉なのが大きな違いと言えるでしょう。
介護士と看護師の違い
看護師とは基礎的で総合的な看護教育の課程を修了し、自国で看護を実践するよう適切な統制機関から権限を与えられている人のことです。
日本の「保健師助産師看護師法」の第5条では、看護師を厚生労働大臣の免許を受けて傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う人と定義づけています。
介護士は資格を意味する言葉ではなく、看護師は看護についての国家資格を意味する言葉なのが介護士と看護師の違いと言えるでしょう。
介護士とヘルパーの違い
ヘルパーとはホームヘルパーや訪問介護員とも呼ばれ、介護保険法に基づく訪問介護を提供する専門職のことを指します。
介護保険法の第8条2項では訪問介護を「介護福祉士その他政令で定める者」により行われると定めており、この「その他政令で定める者」が介護職員初任者研修を修了した訪問介護員にあたります。
介護士は介護業界で仕事をする人の総称ですが、ヘルパーは介護保険サービスの中の訪問介護を担当する人であるというのが大きな違いと言えるでしょう。
介護福祉士の資格を取得するメリット
介護福祉士の資格を取得するメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
介護士と介護福祉士では給料が異なる
2022年に厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査」において、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事務所に対し、介護士で資格なしの人と、介護福祉士の資格を持つ人の平均給与額をたずねた所、次のような結果が出ました。
資格 | 2022年12月の平均給与額 |
資格なし | 270,530円 |
介護福祉士 | 331,690円 |
介護士で資格なしの人と介護福祉士の資格を持つ人では、給料が平均で61,160円も違うのがわかります。
このことから、介護福祉士の資格を取得すると給料が多くなるというメリットがあると言えます。
介護福祉士は給料引き上げの対象者になりやすい
2022年に厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査」において、給与等の引き上げの要件についてたずねた所、次のような結果が出ました。
給与等の引き上げの条件 | 割合 |
勤続年数 | 24.4% |
経験年数 | 14.3% |
資格の保有 | 24.8% |
サービス提供責任者 | 3.9% |
主任介護支援専門員 | 1.0% |
勤務形態(常勤・非常勤) | 27.9% |
雇用形態(正規・非正規) | 20.2% |
勤務時間 | 11.9% |
管理職(ユニットリーダーを除く) | 7.1% |
管理職以外 | 10.3% |
人事評価 | 37.9% |
要件なし | 6.9% |
その他 | 13.8% |
介護福祉士の資格を取得しておくと「資格の保有」の要件にあてはまることとなり、昇給に有利となります。
また「サービス提供責任者」の資格要件にも介護福祉士があるので、さらに給料引き上げの対象者にあてはまりやすくなるでしょう。
介護業界で働きながら効率よく昇給したい人にとって、介護福祉士の資格取得はメリットが大きいことがわかります。
事業所の管理者になれる可能性が出てくる
2022年に公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和4年度介護労働実態調査」において、事業所管理者に対し保有する資格の種類についてたずねた所、次のような結果が出ました。
保有する資格の種類 | 割合 |
介護福祉士 | 55.5% |
介護職員初任者研修(介護職員基礎研修・ホームヘルパー1級・2級を含む) | 21.9% |
介護福祉士実務者研修 | 12.3% |
社会福祉士 | 8.0% |
その他の資格 | 41.3% |
無資格 | 4.2% |
無回答 | 8.5% |
介護福祉士の資格を取得している事業所管理者が半数を超える結果となったのです。
介護の現場で働き続け、将来事業所管理者になるのに魅力を感じる人は、介護福祉士の資格取得が大きなメリットとなるでしょう。
介護福祉士の資格の取り方
介護福祉士の資格の取り方について、国家試験の概要、合格率、合格基準の3つの観点からご紹介します。
介護福祉士国家試験の概要
介護福祉士国家試験においては、公益財団社会福祉振興・試験センターが厚生労働大臣の指定を受けた指定試験機関・指定登録機関として、厚生労働大臣に代わって介護福祉士国家試験の実施及び登録の事務を行っています。
そのため介護福祉士の資格の取り方を知りたい人は、まず公益財団社会福祉振興・試験センターのホームページにある介護福祉士国家試験のページで、詳細を確認するのが望ましいでしょう。
介護福祉士国家試験のページでは試験概要として、次の事項が毎年公開されています。
項目 | 内容 |
1.試験日 | ・介護福祉士国家試験を行う日付 |
2.受験申し込み受付期間 | ・介護福祉士国家試験の受験申し込みを受付する期間 |
3.試験地 | ・筆記試験と実技試験を行う場所 |
4.試験科目 | ・筆記試験と実技試験の科目 |
5.受験資格 | ・介護福祉士国家試験の受験資格 |
6.受験手数料 | ・介護福祉士国家試験を受験するにあたってかかる費用 |
7.合格発表 | ・合格発表を行う日付 |
受験資格については受験資格(資格取得ルート図)というページで詳細が公開されているので、自分が受験資格を持っているかどうかを図にあてはめて確認しておきましょう。 また実際に試験勉強をする前に、介護福祉士国家試験の出題基準にあらかじめ目を通し、自分がどこを目指して勉強すればよいかを明確にしておくのがおすすめです。 介護福祉士国家試験の合格率
厚生労働省では、介護福祉士国家試験の合格率を第1回試験から全て公開しています。
直近で行われた、第33回から第35回までの介護福祉士国家試験の合格率は以下の通りです。
回数 | 第33回 | 第34回 | 第35回 |
合格率 | 71.0% | 72.3% | 84.3% |
この3回だけでも合格率がおおむね13%ほど上がっているため、試験対策をしっかり行って国家試験本番に臨む人が増加してきていると言えるでしょう。
介護福祉士国家試験の合格基準
介護福祉士国家試験には筆記試験と実技試験の2種類がありますが、それぞれの合格基準は次の通りです。
試験の種類 | 合格基準 |
筆記試験 | ・次の2つの条件を満たした人
①問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の人
②①の基準を満たした人の中で、以下の試験科目11科目群全て で得点があった人 【1】人間の尊厳と自立、介護の基本 【2】人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術 【3】社会の理解 【4】生活支援技術 【5】介護過程 【6】こころとからだのしくみ 【7】発達と老化の理解 【8】認知症の理解 【9】障がいの理解 【10】医療的ケア 【11】総合問題 |
実技試験 | ・課題の総得点の60%程度を基準として、課題の難易度で補正した点数以上の得点の人 |
筆記試験においては11科目群の中の特定の科目で0点を取ると不合格となってしまうので、苦手科目があったとしても全く得点できないといったことはないように受験準備をしておくのが重要です。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページでは過去の試験問題も公開されているので、受験本番までには自分の力で解けるようになっておきましょう。 介護士が資格なしでいるとどうなるのか
介護士と介護福祉士の違いを知ると、現在資格なしで仕事をしている人が今後どうなるのかが気になる所ではないでしょうか。
2021年に行われた令和3年介護報酬改定において、認知症への対応力向上に向けた取り組みの推進の1つとして、無資格者への認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。
認知症介護基礎研修とは新任の介護士などが認知症介護に最低限必要な知識、技能を習得するための研修で、介護に携わる全ての職員の受講を目標としています。
国では認知症について理解した上で認知症の利用者主体の介護を行い、認知症患者の尊厳の保障を実現していく観点から、介護に携わる人全ての認知症対応力を向上させるため医療・介護の資格を持たない人に認知症介護基礎研修を義務付けるとしているのです。
これには3年の経過措置期間が設けられてはいますが、今後の介護業界において有資格者へのニーズが高まるのは間違いないでしょう。
一方2023年9月21日に行われた介護給付費分科会において、認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業について報告が行われました。
3,008人の受講者に「認知症の方へのケアに関する知識を理解できたと思うか」とたずねてみた所、次のような結果が出たのです。
| そう思う | ややそう思う | あまりそう思わない | そう思わない | 未回答 |
チームケアの重要性について理解できた | 59.4% | 36.4% | 2.9% | 0.5% | 1.0% |
認知症の方への適切・不適切な言葉遣いについて理解できた | 59.2% | 37.7% | 1.7% | 0.5% | 1.1% |
認知症の方への適切・不適切な態度について理解できた | 57.4% | 38.7% | 2.5% | 0.4% | 1.1% |
認知症の定義について理解できた | 52.5% | 43.0% | 3.2% | 0.5% | 1.2% |
今まで認知症について学んでいなかったとしても、半数以上の人がケアに関する知識が理解できているのがわかります。
また同じく3,008人の受講者に対し「認知症の方へのケアの方法に変化があったか」とたずねてみた所、次のような結果が出たのです。
| そう思う | ややそう思う | あまりそう思わない | そう思わない | 未回答 |
本人の話を聴くようになった | 58.4% | 36.8% | 3.8% | 0.3% | 0.7% |
適切な表情や態度を意識しながら行うようになった | 57.0% | 38.7% | 3.2% | 0.4% | 0.7% |
利用者への言葉づかいを変えるようになった | 53.2% | 40.0% | 5.4% | 0.6% | 0.8% |
認知症介護基礎研修が知識を身に着けるだけではなく、受講者の行動変容にもつながっていると言えるでしょう。
このことから介護業界で仕事をするなら、進んで仕事の内容について学ぶ姿勢が大切で、介護福祉士の資格取得もその1つの現れと言えるのがわかります。
まとめ
介護士は資格を意味する言葉ではなく、介護福祉士は介護についての国家資格を意味する言葉なのが大きな違いと言えます。
この記事を参考にして介護福祉士を取得するメリットを理解し、積極的に学びを深めていってください。