居宅ケアマネジャーの仕事内容とは?仕事の流れから大変さまで詳しく解説

高齢者夫婦の相談を受ける女性の居宅ケアマネ
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居宅ケアマネの現状の仕事内容とは?

居宅ケアマネの基本的な仕事内容は以下の通りです。
  • 介護を必要とする人に対しニーズに応じた介護サービスを提供するためにアセスメント(課題分析)を行う
  • 市町村から要介護認定調査を委託された場合調査と結果報告をする
  • 利用者に面接して日常生活の状況を把握し在宅で暮らすための目標を立てる
  • どのような介護サービスが必要かを判断しケアプランを作成する
  • ケアプランに基づいて介護サービス事業者にサービスの実施を依頼する
  • サービス開始後定期的に家庭訪問をして利用者の状況を把握し、(モニタリング)サービスが成果を上げていない場合や利用者の状態に変化があった際はケアプランの修正を行う
  • ケアプランに基づくサービスの実績を市町村に報告する
  • 要介護認定の更新時にケアプランを変更する場合サービス担当者会議を開いてケアプランの内容を協議する
この内容を基にアンケート調査から浮かび上がる居宅ケアマネの仕事内容の現状を3つの観点からご紹介します。

ケアマネの業務範囲外の仕事もある

2023年に、特定非営利活動法人静岡県介護支援専門員協会では215名のケアマネジャーを対象に「ケアマネ業務のアンケート」を行い、以下のような仕事の依頼を受けた経験があるかをたずねた所、次のような結果が出ました。

仕事の依頼内容

受けたことがあり行った

受けたことはあるが断った

受けたことはない

金銭管理

11.6%

36.7%

51.6%

買い物

43.7%

34.4%

21.9%

通院や近隣のお店への送迎

40.5%

38.6%

20.9%

入退院時の立ち合い

67%

9.3%

23.7%

サービス事業所からの負担割合証のコピー依頼

92.6%

アンケートの内容から、居宅ケアマネの業務範囲外ではないかと感じる内容を利用者から依頼され、仕方なく対応している現状がうかがえます。
2024年3月28日に行われた第112回社会保障審議会介護保険部会では利用者像が多様化、複雑化することでケアマネジャーに求められる能力や役割が増えている現状を鑑みて、ケアマネジメントに係る諸問題に関する検討会を開催することが決まりました。
ケアマネジメントに係る諸問題に関する検討会ではケアマネジャーの業務範囲の整理が行われるため、居宅ケアマネの業務範囲外の仕事も少しずつ減っていくのではないでしょうか。

テレワークでできる仕事もある

2023年9月8日に行われた第223回社会保障審議会介護給付費分科会では、介護サービスにおけるテレワークについても話し合いが行われましたが、居宅ケアマネを対象にテレワークについてたずねた所、次のような結果が出ました。

自身がテレワークを行うことがある

自身がテレワークを行うことはないが、当該職種としての業務の一部をテレワークで行ってもよいと思う

テレワークを行うことはなく、行うべきではないと思う

居宅介護支援

26.4%

63.8%

9.8%

テレワークを既に導入している介護事業所は全体の1/4を超え、居宅ケアマネ自身が業務の中でどれがテレワークに適するかもイメージできている状態なので、今後居宅ケアマネがテレワークで業務を行う機会はさらに増加していくでしょう。

居宅ケアマネの年収はあまりよいとは言えない

2020年4月に、シルバー産業新聞が331人のケアマネジャーを対象に処遇改善が必要かどうかたずねた所、次のような結果が出ました。

回答

必要

不要

その他

ケアマネの処遇改善について

86%

12%

2%

一方、処遇改善のため居宅介護支援の利用者負担分を財源にすることについてどう思うかをたずねた所、次のような結果が出たのです。

賛成

反対

その他

居宅介護支援の利用者負担分を財源にすることについて

28%

66%

6%

居宅ケアマネは仕事内容に合った処遇を受けていないと感じている一方で、居宅介護支援で利用者の負担が増えることは望んでいない人の方が多く、利用者に近い立場で寄り添っているために複雑な心境となっている現状が垣間見えます。

居宅ケアマネと施設ケアマネの違い

居宅ケアマネと施設ケアマネの違いは以下の通りです。

項目

居宅ケアマネ

施設ケアマネ

働く場所(運営基準上配置が必要な職種にケアマネジャーが含まれている介護サービス)

  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 居宅介護支援
  • 地域密着型介護老人福祉施設
  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

仕事内容(異なる点のみ)

  • ケアプラン作成時利用する介護サービス事業者の選定を行う
  • ケアプラン作成時入所する施設内の介護サービスをどのように利用するかを考える

担当人数

  • 35人以内
  • 100人以内

職場にいる人の職種

(居宅介護支援の場合)

  • 訪問介護員 0.8%
  • サービス提供責任者 0.4%
  • 看護職員 0.4%
  • 介護職員 2.8%
  • 生活相談員 0.1%
  • ケアマネジャー 94.5%
  • PT・OT・STなど 0%
  • その他 1.1%

(入所型施設の場合)

  • 訪問介護員 0.6%
  • サービス提供責任者 0.6%
  • 看護職員 9.5%
  • 介護職員 74.8%
  • 生活相談員 6.0%
  • ケアマネジャー 4.0%
  • PT・OT・STなど 1.1%
  • その他 3.4%
居宅ケアマネと施設ケアマネでは、担当人数と職場にいる人の職種に大きな違いがあるのがわかります。
担当する人数は圧倒的に施設ケアマネの方が多いですが、居宅ケアマネは周囲の人の職種がほぼ同じケアマネになるので、不明点などがあると確認しやすいといったメリットもあるでしょう。

居宅ケアマネの仕事で大変な部分とは?

2020年に三菱総合研究所では、「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」の中で、居宅ケアマネの仕事の流れにおける負担の大きさについてアンケート調査を行いました。
居宅ケアマネが「契約手続き」「アセスメント」「サービス担当者会議」といったそれぞれの段階で、どのような部分に大変さを感じているのかをご紹介します。

契約手続き

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、ケアマネジャー1,279人に対し契約手続きの負担の大きさについてたずねた所、次のような結果でした。

小さい

やや小さい

やや大きい

大きい

無回答

認定申請に必要な書類の準備

31.6% 

39.7%

20.1%

7.4%

1.2%

契約書や重要事項説明書の作成 

21.3% 

35.7%

32.0%

9.9%

1.2%

契約書や重要事項説明書の説明

12.5%

26.3%

46.4%

13.7%

1.1%

必要書類の取得

14.5% 

34.7%

39.2%

10.2%

1.4%

捺印の取得

18.3%

37.9%

31.8%

10.4%

1.6%

契約書や重要事項説明書の説明の負担が「やや大きい」「大きい」と回答した人が合計で60.1%と一番多く、契約の内容を利用者や家族が納得するまで説明するのに居宅ケアマネが大変な思いをしているのがわかります。
しかし契約書や重要事項説明書の説明を怠ると後で契約トラブルとなる可能性があるため、時間をある程度かけて丁寧に行わなければならず、負荷を軽減しにくい業務だと言えるでしょう。

アセスメント

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、アセスメント記録作成の負担について聞いた所、次のような結果でした。

項目

新規利用者

継続利用者

記載が難しい項目がある

26.5%

14.0%

どこまで記載するかの判断が難しい場合がある 

22.7%

15.7%

記録作成に時間を要する、記録作成の時間の確保が難しい

66.9%

59.2%

アセスメント記録の作成のために必要な情報の収集が難しい

61.5%

33.1%

負担が大きいことはない

5.7%

13.6%

新規利用者、継続利用者とも負荷が大きいと回答した人が半数を超えたのが記録作成にかかる時間の確保ですが、介護現場におけるDXが推進されているため電子化が進めば負荷を軽減できる可能性は高まるでしょう。

サービス担当者会議

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、サービス担当者会議開催の負担についてたずねた所、次のような結果が出ました。

項目

割合

出席依頼の手続きに時間を要する 

53.5%

関係者の日程が合わず、日程を調整することが難しい

92.9%

予定よりも時間がかかってしまうことがある 

66.6%

記録の作成に手間がかかる

83.4%

作成した記録をサービス提供事業所・医療機関と共有する手間が かかる

45.6%

負担が大きいことはない

0.3%

関係者の日程調整と記録の作成の負荷が大きいと8割以上の人が感じています。
サービス担当者会議は利用者、家族、医療や介護の専門家などライフスタイルの異なる人たちがそろって行う必要があるのでそもそも日程が合わせにくく、日程調整ツールなどを使っても調整しにくいのが現状でしょう。
また記録については、2024年現在サービス担当者会議専用のAI議事録作成ツールは開発されていないため、文字起こしはできても所定の書式に書き直す必要があります。

ケアプラン原案作成

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、ケアプラン原案作成の負担についてたずねた所、次のような結果でした。

項目

割合

サービス提供事業所を探すのに時間がかかる

51.2%

書類の作成や書類のやりとりの量が多い

78.6%

介護予防給付からの移行時に再作成が必要となるが、情報把握の負 担が大きい 

37.0%

問題点や負担が大きいことはな い

5.0%

居宅ケアマネの仕事の中でもメインと言えるケアプランの原案作成ですが、書類作成にかかる負荷が大きいと感じる人が7割を超えています。
しかし2024年現在AIを使用したケアプラン作成が社会実装のための調査研究段階のため、将来的にはこれらの負荷は大幅に削減される可能性が高いでしょう。

モニタリング

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、モニタリングをする際の負担についてたずねた所、次のような結果が出ました。

項目

割合

記録すべき範囲や項目がわかりにくい

33.2%

記録に手間や時間を要する、記録作成のための時間をとりにくい

66.8%

第5表(支援経過)以外にも追加で作成しなければいけない書類があ る 

49.0%

問題点や負担が大きいことはない

9.6%

記録や書類作成に手間を取られていると感じる人が多いという結果ですが、2023年11月に行われた第230回社会保障審議会介護給付費分科会では、ケアマネジャーのモニタリングがオンラインでできないかが話し合われました。
まだ結論は出ていませんがオンラインでモニタリングをすることができれば、訪問や移動にかかる時間を書類作成に使うことができるため、居宅ケアマネの仕事の負荷が下がる可能性が高いでしょう。

医療機関との情報連携

「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」において、ケアプランを医療機関に交付する際の負担についてたずねた所、次のような結果でした。

項目

診療所

病院

交付のための時間や労力が大きい 

34.0%

46.8%

医療機関側に受け取りの時間をとってもらうことが困難である

18.7%

34.8%

ケアプランを提供しても、 意見や助言が得られない場合 がある 

42.5%

63.1%

規模の大きい医療機関では、送付先の確認が必要となる 

14.5%

57.7%

問題点や負担が大きいことはない

16.7%

8.6%

ケアプランは介護保険制度に基づいて作成されているため、介護の専門家だけで作成が完結すると勘違いされがちですが、入口である要介護認定を受ける際にも主治医の意見書が必要となるなど、医療と介護の連携によって成り立っています。
居宅ケアマネは、診療所や病院の仕事がどれだけ忙しいかを理解しているので意見や助言がほしいと伝えにくい側面があり、医療業界がもう少し介護保険制度にも目を向けられるよう国の制度改革が待たれます。

まとめ

居宅ケアマネの仕事はアセスメント(課題分析)をしてケアプランを作成し、介護サービスの提供が開始されたらモニタリングをして、必要あればサービス担当者会議を開きケアプランに反映させるという流れになっています。
現状書類作成の負荷が高く大変な内容も多いものの、テレワークの導入やAI活用が進めば適切な業務負荷へと変化していくでしょう。

この記事も参考にして、居宅ケアマネの仕事内容への理解をさらに深めてみてください。

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