介護におけるおむつ交換とは?介護保険法上の位置づけから留意点まで詳しく解説

オムツ用品
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介護士として初めておむつ交換に取り組むことになったけれど、現場が忙しい中手際良く適切にできるかあまり自信がないと悩んでいる人はいませんか?

この記事では、高齢者の排泄介助をする上で知っておきたいおむつ交換についてとその留意点について詳しく解説します。

オムツ交換とは?

車いすの高齢者とスタッフ
オムツ交換とは介護保険サービスにおける排泄介助の1つで、高齢者の自宅に訪問して行う訪問介護、施設へと通ってもらうことで行う通所介護、短期間の宿泊をしてもらうショートステイ、施設で生活をしてもらう施設介護いずれにおいても必要な場合に行われます。

介護保険法第1条でも、入浴、排泄、食事などの介護が必要な人が尊厳を保持し、残存能力を活かして自立した日常生活を送るのが目的と記されているため、さまざまな介護の中でも排泄介助が特に重要視されているのがわかるでしょう。

「排泄ケアは介護の基本」という言葉で表現されるように、オムツ交換は高齢者のQOLを向上させるために必須の介護であることを意識することが大切です。

一方、2021年の介護報酬改定において、高齢者の寝たきり防止や重度化防止のために、次の施設を対象に「排せつ支援加算」が新たに行われることとなりました。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院
・看護小規模多機能型居宅介護

排せつ支援加算の算定要件は次の通りです。

項目

算定要件

排せつ支援加算(Ⅰ)

①排泄介助が必要な人に対し、要介護状態の軽減の見込みについて医師や医師と連携した看護師が施設入所時、また少なくとも6ヵ月に1回評価を行って結果を厚生労働省に提出し、排泄介助においてその情報を活用している

②評価の結果適切な対応を行うことで要介護状態の軽減が見込まれる人に対し、医師・看護師・介護支援専門員(ケアマネージャー)が協働して排せつに介護が必要な原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成してそれに基づく支援を継続して実施している

③②の評価に基づき少なくとも3ヵ月に1回、入所者ごとに支援計画を見直している

排せつ支援加算(Ⅱ)

・排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件に加えて施設入所時などの評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる人に対し施設入所時などと比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、またはオムツ使用ありから使用なしに改善している

排せつ支援加算(Ⅲ)

・排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件に加えて施設入所時などの評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる人に対し施設入所時などと比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともにいずれにも悪化がない、かつオムツ使用ありから使用なしに改善している

高齢者の寝たきりや重度化を防止するためには、オムツを使用しなくても排泄できるようになるかどうかを医学的な観点から定期的に評価し、オムツを使わなくても排泄できるようにケアを行う姿勢が求められるということです。

参考:e-GOV法令検索「介護保険法」

オムツ交換の事前準備

オムツ
オムツ交換をスムーズにするには事前準備が大切ですが、具体的にどのようなことをすればよいのかを2つご紹介します。

高齢者にとって適切なオムツを選択する

オムツ交換をスムーズにするためには、まずは高齢者にとって適切なオムツを選択することが重要です。

介護の現場では排泄介助が必要な人ごとにオムツの種類は指定されているため、自分で最初からその人に合うオムツを考えることはあまりないかもしれません。

しかし、どうしてそのオムツが選択されているのか理由を分析することで、オムツ選びの大切さがより理解できるようになります。

オムツの種類とそれぞれの特徴を表にまとめてみました。

オムツの分類

オムツの種類

概要

メリット

デメリット

使うのに向く人

アウター

パンツタイプ

・下着と同じように履く

・サイズの基準はウエスト 

・見た目がパンツに似ているためオムツに抵抗のある人でも取り入れやすい

・全体のゴムの収縮で身体にフィットさせるためサイズの細かい調整が効かない

・トイレが利用できる人

・排泄場所が時々おむつの中の人やおむつの中にすることが多い人 

テープタイプ

・ウエスト部分をテープで止めて装着する

・サイズの基準はヒップ

・その人の体型にフィットさせやすいため尿もれが起きにくい

・見た目からつけるのに抵抗がある人もいる

・寝て過ごす時間が長い人

・麻痺がある人・日中は車椅子に座ることが多い人

インナー

パンツタイプ用尿取りパッド

・パンツタイプのアウターに合わせて使う

・単独でも使用できる

・アウターにまで漏れていなければ尿取りパッドだけの交換で済む

・サイズをウエストに合わせて足回りに隙間ができた場合でも尿もれを防げる

・外側に防水シートを使用しているため重ねても吸収量は増えない

・トイレが利用できる人

・排泄場所が時々おむつの中の人やおむつの中にすることが多い人 

テープタイプ用尿取りパッド

・テープタイプのアウターに合わせて使う

・アウターにまで漏れていなければ尿取りパッドだけの交換で済む

・外側に防水シートを使用しているため重ねても吸収量は増えない

・寝て過ごす時間が長い人

・麻痺がある人

・日中は車椅子に座ることが多い人

オムツの種類を選ぶ時は、高齢者ができるだけ排泄の失敗をせずに快適に過ごせるものを選ぶことが大切です。

しかし失敗防止を重視するあまり動きにくくなってしまったり、オムツを使わなくても排泄できるようになるという目標を見失ったりしないように配慮することも忘れないようにしましょう。

オムツ交換に必要な物品を準備する

オムツ交換における必要物品は次の通りです。

・交換用のオムツと尿取りパッド
・廃棄物入れ
・使い捨て手袋(ディスポーザブル手袋)
・清拭用のタオルやウエットティッシュ、トイレットペーパー

また次の物品も準備すると尿もれや便もれがあった時によりスムーズに対応できます。

・ぬるま湯を入れたシャワーボトル(陰部洗浄用)
・交換用のシーツや着替え

物品は高齢者の排泄の状態を考慮し、適切なものを選んで準備するようにしましょう。

オムツ交換の手順

オムツ
オムツ交換の基本的な手順をパンツタイプとテープタイプにわけてご紹介します。

パンツタイプ

パンツタイプのオムツを交換する時の基本的な手順は次の通りです。

①高齢者にオムツ交換を行う旨声がけをし、使い捨て手袋をつける
②立ってもらい今つけているパンツタイプのオムツの横を破って脱がせ、排泄量を確認してから必要あれば清拭する
③新しいパンツタイプのオムツを取り、中のギャザーを立たせるため中に手を入れて前後に2~3回伸ばす
③トイレやいすに腰かけてもらう
④パンツタイプのオムツに足を通し、尿取りパッドを併用する場合はセットする
⑤尿取りパッドに手を入れてギャザーを立たせ、パンツタイプのオムツのギャザーの内側にセットする
⑥尿取りパッドのテープを接着させる
⑦高齢者に手すりにつかまるなどして立ってもらい、パンツタイプのオムツを引き上げる
⑧尿取りバッドのずれがないか裾をめくって確認する

また尿取りパッドのみを交換する場合はトイレやいすに腰かけてもらい、パッドを引き抜いて交換し、必要あれば清拭をしましょう。

大量に尿を吸収した尿取りパッドはそれなりに重さがあるため、床に落とさないよう注意が必要です。

テープタイプ

テープタイプのオムツを交換する時の基本的な手順は次の通りです。

①高齢者にオムツ交換を行う旨声がけをし、使い捨て手袋をつける
②身体を側臥位にし、オムツのテープを外して排泄量や便の様子を確認してから清拭する
③つけていた尿取りパッドとテープタイプのオムツを内側に丸めながら取り除く
④新しいテープタイプのオムツと尿取りパッドを取り、両方とも中のギャザーを立たせるため両端を持って2~3回伸ばす
⑤ずれにくくなるようテープタイプのオムツのギャザーの中に尿取りパッドをセットする
⑥テープタイプのオムツの端を少し丸め身体の下に差し込む
⑦上を向いてもらい身体の下に入っているオムツを引き出す
⑧尿取りパッドとオムツをそれぞれ山折りにして足の間を通し、鼠径部に合わせて広げる
⑨足回りにオムツのギャザーを沿わせる
⑩漏れにくくするためテープを下の左、下の右、上の左、上の右の順番で止め、下のテープは斜め上、上のテープは斜め下に向かって止める
⑪ギャザーから尿取りパッドがはみ出していないか、またセンターラインと身体の中心が合っているか確認する

便の場合は清拭の面を広く使って拭き残しのないよう配慮しましょう。

オムツ交換時の留意点

敷き
オムツ交換時の留意点を、性別と身体の状態別にご紹介します。

性別

男性と女性におけるオムツ交換時の留意点の違いを表にまとめてみました。

性別

留意点

男性

・尿量が多い人の場合、尿取りパッドを逆に使用し吸収力の高い部分を当てるのもよい

・包み込んであてる男性用尿取りパッドには漏れにくくお尻を持ち上げずに交換できるというメリットがあるが、厚みが増して身体の動きに影響があるというデメリットもあるため、使用するかどうかは慎重に検討が必要

女性

・尿道と肛門が近い位置にあり、便の付着による感染を防止するために清拭は尿道からお尻の方向に向かって行うようにする

・おむつ、尿取りパッドとも山折りにして密着させることで尿もれを防ぎやすくなる

男性と女性では適するオムツの選び方からあて方、清拭の方法まで配慮するポイントが少し異なることを覚えておきましょう。

身体の状態

オムツ交換時の留意点を、身体の4つの状態別に解説します。

バルーンの場合

バルーンカテーテルをしている高齢者にオムツ交換をする場合の留意点は次の通りです。

・バルーンカテーテルが抜けないように配慮し、もし抜けてしまったら速やかに看護師に報告する
・男性より女性の方が尿道が短いため抜けやすいことを覚えておく
・尿路感染を防止するため尿取りパッドは毎日交換する

バルーンカテーテルをしている高齢者のオムツ交換をする場合、抜けないように慎重に取り扱うことと尿路感染を防止することに意識を向けましょう。

定期的に陰部洗浄を行うのもおすすめです。

片麻痺の場合

片麻痺の高齢者にオムツ交換をする場合の留意点は次の通りです。

・尿取りパッドが片方だけ汚れる傾向にあるため、身体の中心を背骨ではなくお尻の割れ目に合わせる(麻痺していない側にお尻の割れ目が曲がるため)
・便意や尿意があるかどうかを確認する
・パンツタイプは自分では上げにくいため大きめのサイズを選びがちだが、尿もれを起こしやすくなるためサイズ選びは慎重にする

片麻痺が原因の尿もれは、オムツのサイズ選びや尿取りパッドのあて方の工夫で防ぐ事ができるのを覚えておきましょう。

拘縮などで足が開かない場合

拘縮のある高齢者にオムツ交換をする場合の留意点は次の通りです。

・関節拘縮が強く足を開くのが難しい場合、無理に足を開かず側臥位にして片方ずつ清拭やオムツ交換を行うようにする
・介助中に身体が倒れてこないよう90度横向きの側臥位にする
・拘縮のある人は骨折や脱臼などを引き起こしやすいため、できればオムツ交換は1人より2人で行うようにする

拘縮のある人へのオムツ交換は足が開かないためやりにくい面がありますが、骨折や脱臼などのリスクを考え、無理のない側臥位で安全を重視しながら行うようにしましょう。

下痢の場合

下痢の高齢者にオムツ交換をする場合の留意点は次の通りです。

・感染予防対策(マスク、プラスチックエプロン、使い捨て手袋などの着用)をしっかりと行う
・皮膚が弱く何度も拭き取れない人に対しては陰部洗浄を行う
・汚染の大きい尿取りパッドから先に取り除き、尿取りパッドもオムツも汚れた部分を内側にして丸める

下痢の場合臭いで気づくこともできるため、もし気づけた場合は大量の便漏れを防ぐためにも早めにオムツ交換をしておくのがよいでしょう。

まとめ

車いすの高齢者とスタッフ
オムツ交換とは介護保険サービスにおける排泄介助の1つで、高齢者のQOLを向上させ尊厳を維持するためにも必須のサービスであると言えるでしょう。

しかし一方で、高齢者の寝たきりや重度化を防止するためには、オムツを使用しなくても排泄できるようになるかどうかを医学的な観点から定期的に評価し、オムツを使わなくても排泄できるようにケアを行う姿勢が求められるのです。

この記事も参考にして、ぜひ高齢者が排泄のことを気にせず生き生きと過ごせるようにケアの工夫をしてみてください。
#介護おむつ交換 #介護保険サービスおむつ交換 #介護保険サービス排泄介助
※掲載情報は公開日あるいは2023年03月14日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。
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