介護職を人手不足で辞めたいと感じたら?人手不足の原因から辞めたい時の対処法まで解説

あまりにも現場が人手不足で辞めようか悩む介護職の女性
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介護職の人が辞めたいと思うほどの人手不足の現状とは?

介護職の人が辞めたいと感じるほどの人手不足の現状とはどのようなものなのでしょうか。
介護職員の必要数、事業所内における介護職の過不足の現状、介護職が感じる人手不足の現状の3つの観点からご紹介します。

介護職員の必要数

2021年7月に厚生労働省が発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」において、第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量などに基づく介護職員の必要数が発表されました。
この試算結果に基づくと2025年度の介護職員の必要数は243万人、2040年度は280万人となり、2019年の介護職員数211万人と比較するとそれぞれ32万人、69万人の差がある状態となっています。
新しく介護職員として働き始める人がこの間もいるので必ずしも2025年に32万人、2040年に69万人が不足するわけではありませんが、介護を必要とする人の増加で人手不足を解消しにくい状況にあるのを覚えておきましょう。

事業所内における介護職の過不足の現状

2022年に公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和4年度介護労働実態調査」において、8,708件の事業所を対象に従業員の過不足状況について聞いた所、次のような結果が出ました。

過不足の状況

割合

大いに不足

9.2%

不足

22.5%

やや不足

34.6%

適当

33.3%

過剰

0.5%

「大いに不足」「不足」「やや不足」を合計すると66.3%となったため、人手不足を理由に介護職の人が他の事業所に転職したとしても、その悩みが解消されない可能性もあるのが現状と言えるでしょう。

介護職が感じる人手不足の現状

「令和4年度介護労働実態調査」において、19,890人の介護職に労働条件の悩みについてたずねた所、次のような結果が出ました。

回答

割合

人手が足りない

52.1%

仕事内容のわりに賃金が低い

41.4%

有給休暇が取りにくい

26.2%

休憩が取りにくい

22.6%

労働時間が長い

9.1%

人手不足そのものを悩みとして挙げる人だけではなく、人手不足に起因した悩みを抱える人も一定数いるのが特徴的だと言えるでしょう。

介護業界が人手不足になる原因

介護業界が人手不足になる原因にはどのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。

介護職に対するネガティブなイメージ

2023年にHELPMAN JAPANが行った「介護職のイメージに関する調査」において206人を対象に介護業界への就業をためらう理由についてたずねた所、次のような結果が出ました。

介護業界への就業をためらう理由

割合

体力的にきつい仕事の多い業界だと思うから

53.9%

精神的にきつい仕事の多い業界だと思うから

50.0%

給与水準が低めの業界だと思うから

35.0%

離職率が高い業界だと思うから

28.2%

他人の人生に関わるのが大変そうだと思うから

23.3%

一方厚生労働省の職業情報提供サイトJobtagでは、各職種の有効求人倍率が掲載されていますが、介護業界の各職種における有効求人倍率は次のような結果でした。

職種

有効求人倍率

訪問介護員

14.19

施設介護員

3.23

施設管理者(介護施設)

5.25

ケアマネジャー

4.80

訪問介護のサービス提供責任者

14.19

介護業界は体力面、メンタル面、給与など働く人にとって譲歩しにくい条件に対してネガティブなイメージがついてしまっています。
それが就業をためらわせるため求人をかけても応募がなく、人手不足の原因となっているのがうかがえます。

介護事業者の経営が苦しく収入が上がりにくい

2023年に厚生労働省が発表した「令和5年介護事業経営実態調査」で、2022年度決算での各サービスの収入における給与費が占める割合を聞いた所、次のような結果が出ました。

介護サービスの種類

給与費の割合

介護老人福祉施設

65.2%

介護老人保健施設

64.2%

訪問介護

72.2%

通所介護

63.8%

短期入所生活介護

62.5%

企業の収入における人件費の割合は、業種にもよるものの40%~60%が平均値とされており、介護業界のビジネスモデルは人件費が多くかかるのがわかります。
一方2023年に株式会社東京商工リサーチが発表した「老人福祉・介護事業の倒産、休廃業・解散調査」において、老人福祉・介護事業の倒産件数を調べた所次のような結果でした。

事業の種類

件数

訪問介護事業

67件

通所・短期入所介護事業

41件

有料老人ホーム

4件

その他

10件

合計

122件

前年度と比較すると14.6%減少してはいますが、過去2番目の高水準となっているため倒産件数の多い事業では経営がそもそも苦しく、なかなか収入は上がりにくいのが現状です。
これらのことから介護業界が人手不足になる原因の1つとして、そもそも人件費が多くかかるビジネスモデルであるため、収入が上がりにくいことが挙げられるでしょう。

人間関係で悩むことが多い

「令和4年度介護労働実態調査」において、19,890人の介護職に職場での人間関係の悩みについてたずねた所、次のような結果が出ました。

悩みの種類

割合

上司や同僚の介護能力が低い

10.1%

経営層や管理職等の管理能力が低い、業務の指示が不明確、不十分である

18.6%

悩みの相談相手がいない、相談窓口がない

10.9%

人手が足りていれば周囲の人の仕事に対する能力の低さをチームでカバーすることもできますが、それが人手不足でできず相談相手もいないため介護職が辞めてしまい、人手不足になるという現状がうかがえます。

介護業界の人手不足を解消するには

介護業界の人手不足を解消するにはどのようなことに取り組む必要があるのでしょうか。
現状行われている国と地方自治体の取り組みについて説明します。

国の取り組み

国の取り組み内容を4つご紹介します。

介護に関する入門的研修

介護に関する入門的研修とは、厚生労働省が介護に関心を持つ介護未経験者に対し、介護の業務に携わる不安の払拭と基礎的な知識を持ってもらうことを目的に行っている研修です。
実施主体は都道府県や市区町村で、実施予定は2023年4月1日現在の資料が厚生労働省のホームページに掲載されています。
前の項目でご紹介した介護職に対するネガティブなイメージを払拭でき、人手不足の解消にもつながる取り組みだと言えるでしょう。

人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度

介護事業者が介護職の人材育成や就労環境などの改善につながる取り組みをした際、都道府県が基準に基づく評価を行い、一定の水準を満たした事業者に対して認証をする制度です。
介護事業者が人材確保に向けた取り組みをしているかどうかが見える化されるので、介護職に対するネガティブなイメージや現場における人間関係の悩みが改善され、人手不足の解消につながるでしょう。

介護現場における多様な働き方導入モデル事業

リーダーができる介護職の育成と、多様な働き方をモデル的に介護の現場に取り入れることで効率的な事業運営を図るという事業です。
介護事業所の経営が効率化されれば倒産が減り、介護職が働きやすい現場が増えるので自然に人手不足の解消につながるでしょう。

介護の仕事の魅力発信などによる普及啓発に向けた取組み

厚生労働省では広く国民に対して福祉・介護サービスへの理解を求め、人材確保をするのを目的に11月4日~11月17日までを福祉人材確保重点実施期間としています。
一方多くの人に介護を身近なものにとらえてもらうため、11月11日を介護の日として定めました。
福祉人材確保実施期間や介護の日には関連イベントがたくさん開催され、介護の仕事についての普及啓発が少しずつ進んでいます。

地方自治体の取り組み

地方自治体の取り組み内容を3つご紹介します。

隠岐広域連合

島根県の隠岐広域連合では、構成する4つの市町村において介護職の人手不足が課題となっていることから、連合で課題解決に向けて一元的に取り組むこととなりました。
具体的にはエリア内全ての介護事業所を対象にアンケートやヒアリング調査を行い、その結果を取り組みに反映しているのです。
今後は連合独自でのジョブフェア開催を企画したり、UIターン向け住宅を整備したりするなど、「住みたい・働きたい」と思ってもらえる取り組みを推進するとしています。

大阪府堺市

大阪府堺市では最初は人材採用を目的に取り組みを開始しましたが、現在では人材の定着を目的とした取り組みに重点を置いています。
具体的には次の3つを軸とした取り組みをしているのです。
  • 介護従事者向け階層別研修
  • さかい福祉と介護の実践発表会
  • 堺市働きやすく魅力あふれる介護事業所等表彰
今後はオンライン研修や、関係者から要望があった介護職の人材バンク設立などに取り組んでいく予定です。

新潟県新潟市

新潟県新潟市では、人手不足で事業を縮小している事業所がないかを調べる目的で「介護人材実態調査」を実施し、サービスでは訪問介護、業務内容では入浴介助や夜勤帯業務が不足しているという分析結果に基づいた取り組みを進めています。
具体的には人材確保事業や定着促進事業を行い、人手不足を解消しようとしているのです。
今後は、オンライン研修や人材不足を解消するためのマッチング事業などに取り組んでいく予定です。

介護職が人手不足でも辞めたい時の対処法

介護職が人手不足でも辞めたい時の対処法を3つご紹介します。

退職についての法律を知っておく

介護職の人が人手不足でも辞めたいと思ったら、まずは退職についての法律について理解を深めましょう。
民法626条には期間の定めのある雇用の解約の申し入れについて、労働者である場合は2週間前に予告をしなければならないと記載されています。
一方民法627条には期間の定めのない雇用の解約の申し入れについて、「雇用は解約の申し入れの日から2週間経過すると終了する」と記載されているのです。
このことから有期雇用の介護職、無期雇用の介護職とも法律上は2週間前に事業所に退職を伝えれば退職できます。
アルバイトやパートでも辞めさせてくれないといった対応は法律違反ですが、すぐにバックレや労基を検討するのではなく、法律に基づいた説明を上司や事業所に対して行うのがおすすめです。

納得感のある退職理由を伝える

正当性のある前向きな退職理由を伝えると同時に退職への固い意思を表すと、納得感があるため、辞めさせてくれないといったトラブルは起きにくくなります。
例えば資格取得や新たな経験を積みたいといった退職理由を伝えると、正当性があり前向きな印象を与えることができるでしょう。

人手不足は事業所の課題であると理解する

人手不足なのに辞めたいと感じること自体に罪悪感を持ってしまい辞められない人がいますが、そもそも人手不足は事業所の課題であり、介護職の人の課題ではありません。
人手不足を介護職個人が解決できるかどうかを考えてみるとわかりやすいでしょう。
人手不足の解消は事業所の課題であると理解し、自分の将来の働き方を見据えて辞めるかどうかを考えるのが大切です。

まとめ

介護職の人が辞めたいと思うほど介護業界の人手不足が続いていますが、国や地方自治体はその解消に積極的に取り組んでいるのもまた現実です。
この記事を参考に自分が将来どのように働きたいかを考え、辞めたいという気持ちに従うか、辞めずに今の仕事を続けるかを慎重に検討してみてください。

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