シングルマザーが介護職として働くには?実態から働きやすい事業所の選び方まで詳しく解説

男の子を抱いている30代のシングルマザー
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介護職にシングルマザーは多いのか

在宅介護の現場で働くシングルマザーの女性
2021年に厚生労働省より発表された「全国ひとり親世帯等調査」において母子世帯の母親の就業状況について調べた所、就業しているシングルマザーは81.8%を占めることがわかりました。
このことからシングルマザーで無職の人は少なく、何かしらの職業に就いて働いている現状がうかがえます。
一方「全国ひとり親世帯等調査」で介護職が含まれる「サービス職業」に就いている人の割合は18.8%だったため、シングルマザーで介護職を選んで働いている人はそれなりにいると考えられます。

シングルマザーに向いてる仕事の条件とは?

収入が少ないため赤字になっているシングルマザーの家計簿
シングルマザーに向いてる仕事の条件には、どのようなものがあるのでしょうか。
2つご紹介します。

夜勤のない仕事

「全国ひとり親世帯等調査」において、母子世帯で就業している人の帰宅時間を調査した所、次のような結果が出ました。

帰宅時間

割合

午後6時以前

36.6%

午後6時~8時

43.8%

午後8時~10時

5.9%

午後10時~12時

1.5%

深夜・早朝

1.9%

一定でない

8.7%

不詳

1.6%

帰宅時間が午後6時以前、午後6時~午後8時の人を合計すると80.4%となり、ほとんどの母子世帯の母親が午後8時までには帰宅しているのが現状です。
このことからシングルマザーに向いてる仕事は午後8時までには帰宅でき、もし介護職だったとしても夜勤がない仕事であるのがわかります。

貧困にならない収入を得られる仕事

貧困とは生きていく上で必要最小限の食料、飲料水、住居、エネルギー、教育、仕事などの物やサービスを得られないため最低限の生活水準を維持できず、尊厳ある社会生活を営むのが困難な状態を指します。
貧困の基準についてはさまざまな観点から議論されていますが、日本の貧困率の統計ではOECDの定義(所得が全人口の家計所得中央値の半分である貧困線を下回っている人の割合)が用いられています。
こども家庭庁が「ひとり親家庭の支援について」という資料の中で、厚生労働省が行った国民生活基礎調査の結果を参考に算出した、こどもの貧困率とひとり親世帯の貧困率は以下の通りです。

2018年

2021年

こどもの貧困率

14.0%

11.5%

ひとり親世帯の貧困率

48.3%

44.5%

ひとり親世帯の貧困率は2018年から2021年にかけて3.8%減少したものの、それでも40%以上の家庭が貧困状態にあるのが現状です。
このことから、シングルマザーに向いてる仕事は貧困にならない収入を得られる仕事であるのがわかります。

シングルマザーに介護職がおすすめな理由

シングルマザーに対する子育て支援
シングルマザーの仕事として介護職がおすすめなのは、どのような理由からくるものでしょうか。
2つご紹介します。

母子家庭の平均年収より高い年収が得られる可能性が高い

前の項目で、シングルマザーに向いてる仕事は貧困にならない給料をもらえる仕事だとお伝えしました。
「全国ひとり親世帯等調査」において、2020年における母子世帯の母親の平均年収は272万円であることがわかりました。
一方、2022年に公益財団法人介護労働安定センターが行った「介護労働実態調査」において、介護の現場で働く人たちの年収を調べた所、次のような結果が出ました。

職種

年収

労働者全体

3,761,881円

訪問介護員

3,398,011円

介護職員

3,572,439円

サービス提供責任者

3,995,304円

生活相談員

3,896,774円

看護職員

4,309,855円

介護支援専門員

3,937,569円

介護業界で働く労働者全体の年収と母子世帯の母親の平均年収を比較するとその差は1,041,881円となり、シングルマザーが介護職として働くと母子世帯の中ではゆとりを持った暮らしができるようになるのがわかります。
またサービス提供責任者の平均年収と母子世帯の母親の平均年収を比較するとその差は1,275,304円、介護支援専門員の平均年収と母子世帯の平均年収を比較するとその差は1,217,569円となります。
介護職の中でも上位資格を取得してスキルアップをすればさらに年収はアップし、生活は楽になるため将来性も含めてシングルマザーに介護職はおすすめだと言えるでしょう。

資格取得に支援が受けられる

「全国ひとり親世帯等調査」において、母子世帯の母親が持つ資格について調べた所、次のような結果が出ました。

資格の種類

取得割合

簿記

14.2%

ホームヘルパー

9.9%

教員

3.7%

看護師

5.6%

准看護師

2.9%

調理師

2.7%

理・美容師

2.9%

パソコン

10.0%

外国語

2.4%

栄養士

1.4%

介護福祉士

6.0%

保育士

4.9%

理学療法士

0.1%

作業療法士

0.1%

大型・第二種自動車免許

2.4%

医療事務

5.6%

行政書士

0%

その他

22.1%

介護職員として働ける資格の「ホームヘルパー(現:介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修)」、「介護福祉士」を合計すると15.9%となり、シングルマザーで介護職を選択する人は決して少なくないのがわかります。
一方介護業界で働ける資格の「看護師」「准看護師」「調理師」「栄養士」「理学療法士」「作業療法士」を合計すると12.8%となり、この中でも介護業界で働く人は一定数いると考えられるでしょう。
このように、シングルマザーに人気のある介護職として働く上で必要な資格を取得するための支援制度についてご紹介します。

高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金とは、シングルマザー、シングルファザーが資格取得を目指して勉強する期間の生活費を支援する制度です。
給付金の概要は次の通りです。

項目

概要

対象者

訓練開始日以降に次の要件を満たすシングルマザー、シングルファザー

  1. 児童扶養手当を受けているか同等の所得水準(子供が1人の場合1年間の収入が365万円未満)の人
  2. 養成機関などにおいて6か月以上のカリキュラムをこなし対象資格などの取得が見込まれる人
  3. 仕事または育児と勉強の両立が難しい人

支給内容

  • 訓練開始日以降月額10万円(住民税が課税される世帯は月額70,500円)
  • 訓練期間のうち最後の1年間は支給額を4万円増額
  • 訓練終了後5万円支給(住民税が課税される世帯は25,000円)

対象の資格

  • 就職に有利になる資格で養成機関で6か月以上勉強するもの(看護師、准看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、調理師、製菓衛生師等の国家資格や、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格等のデジタル分野などの民間資格)
  • 教育訓練給付の対象講座を受講して取得する資格(一部を除く)など

申込・問い合わせ先

  • 都道府県や市区町村
資格を取得するまでは生活にかかるお金を支援してもらえるため、今まで資格なしで仕事に就くのが難しかったシングルマザーの人が就職しやすくなります。
また対象の資格には介護福祉士や、介護業界で働くのに役立つ看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士なども含まれるため、自分は今後介護業界でどのような役割を果たしたいかに応じて資格を選ぶこともできるのです。
こども家庭庁の調査では、高等職業訓練促進給付金を受けて資格を取得した人と就職した人の数は以下の通りです。

2020年度

2021年度

2022年度

資格取得者数

2,701件

2,757件

2,929件

就職件数

2,088件

2,092件

2,149件

少しずつですが資格取得者数と就職件数が増加しているのがわかります。
シングルマザーの人が介護職として働きたいなら、まずは住んでいる都道府県や市区町村のホームページで高等職業訓練促進給付金についての詳細を確認してみましょう。

自立支援教育訓練給付金

自立支援教育訓練給付金とは、シングルマザーまたはシングルファザーを対象に能力開発を目的として、対象となる教育訓練を受講して修了した場合、それにかかった経費の60%が支給されるものです。
給付金の概要は次の通りです。

項目

概要

給付金の上限

  • 雇用保険の一般教育訓練給付か特定一般教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合20万円
  • 雇用保険の専門実践教育訓練給付の対象となる講座を受講した場合、修学年数×40万円、最大160万円(雇用保険法に基づく教育訓練給付金の支給を受けることができる人には、その支給額との差額を支給)

給付金の下限

12,001円

対象者

シングルマザーかシングルファザーで20才に満たない児童を扶養し、以下の要件を満たす人

  1. 児童扶養手当を受けているか同等の所得水準の人
  2. 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、その教育訓練が適職に就くために必要だと認められる人

対象となる講座

  • 雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座
  • その他都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座

申込・問い合わせ先

  • 都道府県や市区町村
条件を満たせば資格取得費用を支援してもらえるので、希望する資格を取得するのに少し予算が足りない人が活用しやすいでしょう。
教育訓練給付の対象となる講座で取得できる、介護業界で働くのに役立つ資格は以下の通りです。
  • 同行援護従事者研修
  • 介護職員初任者研修 
  • 介護支援専門員実務研修
  • 特定行為研修
  • 喀痰吸引等研修
  • 福祉用具専門相談員
  • 介護福祉士
  • 看護師
  • 准看護師
  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 言語聴覚士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
未経験者向けの資格から、ある程度経験を積んでから取得できる資格まで幅広い中から選べるのがメリットと言えるでしょう。
こども家庭庁の調査では、自立支援教育訓練給付金を受けて資格を取得した人と就職した人の数は以下の通りです。

2020年度

2021年度

2022年度

支給件数

2,031件

2,248件

2,005件

就職件数

1,540件

1,657件

1,559件

件数は横ばいを続けている状態です。
シングルマザーの人が学費を節約して資格を取得し、介護職として働きたいなら、自立支援教育訓練給付金の利用を検討してみましょう。

シングルマザーが介護職として働きやすい介護事業所とは?

シングルマザーが面接に臨むイメージ
シングルマザーが介護職として働きやすい介護事業所の条件には何があるのでしょうか。
3つご紹介します。

倒産の可能性が少ない事業所

2023年に株式会社東京商工リサーチが行った「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査によると、倒産は122件で過去2番目に多いという結果となりました。
シングルマザーが介護職として就職するなら、安定して長く働ける事業所を見つけた方がよいため、参考にしてほしいのが厚生労働省が行っている「介護事業経営実態調査」の結果です。
この調査では収支差率といって介護事業所の売上に対する利益率を示す数値が介護サービス別に発表されるため、経営状態のよい介護サービスとは何かを判断し、少しでも倒産しにくい事業所を選ぶのに役立つでしょう。

雇用形態を選べる事業所

介護労働実態調査において、8,708の介護事業所を対象に派遣労働者を受け入れているかを調べた所、受け入れている事業所は14.3%でした。
一方介護業界で働く人188,643人を対象に有期雇用職員と無期雇用職員の割合を調べた所、有期雇用職員が29.6%、無期雇用職員が70.2%でした。
介護職員というと正社員のイメージがあるかもしれませんが、少しずつ派遣や有期雇用職員など柔軟に雇用形態を選べるようになってきているため、シングルマザーの人が介護職で働くなら自分に合った働き方を選べる事業所を探してみるのもよいでしょう。

子育て支援をしてもらえる環境が整った事業所

厚生労働省では子育てサポート企業として厚生労働大臣のくるみん認定を受けた企業にはくるみんマーク、さらに高い基準のプラチナくるみん認定を受けた企業にはプラチナくるみんマークを付与しています。
厚生労働省ではくるみん認定を受けた企業、プラチナくるみん認定を受けた企業をホームページで公開しており、その中には社会福祉法人も多数含まれています。
シングルマザーが介護職として働きながら子育て支援を受けたい場合は、これらの企業が求人募集をしているかチェックするのもよいでしょう。

まとめ

介護職として就職し、明るく生きられるようになったシングルマザー
シングルマザーには平均年収が低いという現状がありますが、介護職として働くとシングルマザーの平均年収より高い年収を得られる可能性があり、資格取得でさらに昇給も望めるのでおすすめの職種の1つだと言えるでしょう。
この記事も参考にして、支援を受けて資格を取得した後、ぜひ自分の働きやすい介護事業所を見つけて就職してみてください。

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