更新日:2020年06月13日
公開日:2019年11月27日
強度行動障害支援者養成研修とは、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報支援センターによると入所・通所・居宅・相談等、強度行動障害の状態にある方に携わるすべての方を対象に、今後従事者として身に付けるべく「基礎的な知識」と「初歩的な支援計画の立案方法」を学ぶ場と言われています。
強度行動障害はこのように定義されています。
自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる 行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、 著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のこと
一方で、行動障害児(者)研究会(1989)によると強度行動障害は以下の状態といわれています。
・精神科的な診断ではない
・直接的な他害(噛みつき、頭突き等)や、間接的な他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が「考えられない頻度と形式で出現している状態」を指している
・家庭で通常の育て方をして、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態
強度行動障害とは状態を指す言葉です。
生まれた時から、強度行動障害の方はいません。
障害特性に環境要因が掛け算されて強度行動障害の状態が生まれます。
強度行動障害の状態にある方が落ち着いて過ごすためには、構造化された枠組みが重要です。
強度行動障害支援者養成研修では、強度行動障害が生じる背景や構造化の方法、実際にどのように支援を行えば良いかについて具体的に学びます。
★構造化された仕組みとは?
自閉症の人たちは先の見通しを立てて行動することがとても苦手です。
見通しが立たない不安からパニックになったり大きな声を出してしまいます。
構造化とは、自閉症の人たちが今なにをする時間なのか、次にどうするかといった活動や生活のなかの仕組みをその人にわかりやすくする方法のことをいいます。
構造化の技法には、(1)物理的構造化(2)スケジュール(3)ワークシステム(4)決まった手順や習慣(5)視覚的構造化といったアプローチの仕方があります。
また強度行動障害の支援の基本的な枠組みは決まっています。
★基本的な支援の枠組み
●構造化された環境の中で
●医療と連携しながら
●リラックスできる強い刺激を避けた環境で
●一貫した対応をできるチームを作り
●自尊心を持ちひとりでできる活動を増やし
●地域で継続的に生活できる体制づくりを進める
このように基本的な枠組みは決まっているのですが、適切な支援が提供できる事業所が少ないことが問題視されています。
強度行動障害支援者養成研修は、適切な支援が提供できる事業所を増やすための施策でもあるのです。
強度行動障害支援者養成研修には基礎研修と実践研修があります。
以下の表は大阪府の強度行動障害支援者研修【基礎研修・実践研修】の募集要項から引用しています。
基礎研修 | 実践研修 | |
---|---|---|
目的 | 強度行動障がいの状態を示す者の障がい特性の理解及び支援方法を習得し 行動障がい児者に対する適切な支援を実施できる従事者の養成 | 強度行動障がいの状態を示す者に対し適切な障がい特性の評価及び支援計画の作成ができ 他の従事者に支援方法の伝達ができる従事者の養成 |
対象 | 原則として、大阪府内の障がい福祉サービス等事業所等において 知的障がい、精神障がいのある児者を支援対象にした業務に従事している者 もしくは今後従事する予定のある者 | 強度行動障がい支援者養成研修基礎研修修了者で 原則として大阪府内の障がい福祉サービス等事業所等において 知的障がい、精神障がいのある児者を支援対象にした業務に従事している者 もしくは今後従事する予定のある者(※令和元年度 基礎研修修了予定者を含む) |
もう少し詳しく読み解いてみましょう。
基礎研修は障害福祉サービス等において、知的障がい、精神障がいを持つ大人や子どもに携わるすべての従業者または、今後携わる予定のある方が受けることができます。
強度行動障害の方を支援するためには、支援計画を作成する必要があります。
実践研修では、基礎研修で学んだことをより深く学び、支援計画の作成方法について研鑽します。
先に述べた大阪府の強度行動障害支援者養成研修では基礎研修、実践研修ともに6,000円の受講料となっていました。
そのほか、東京都では2019年度東京都強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)において本研修の受講料は徴収しないとのことでした。
へぇ~!東京都は無料なんだ!!すごい・・・!
強度行動障害の人を支援するための考え方を学ぶことは、すべての人の支援に通ずることなので、東京都の本気って感じがします。とても大事な研修だから、みなさん受けてください!って都道府県が門戸を広げてくれることはありがたいことですね。
介護ワーカーでは、シカデミーという初任者研修の資料請求が可能なサービスを提供しています。
現在無資格の方でも初任者研修の資格を取得すれば、障害福祉サービス事業所で働くことが可能になり、強度行動障害支援者養成研修が受講できるようになります。
まずは資料請求をしてみませんか?
★初任者研修の資料請求はこちら
行動援護従業者養成研修を受けていたら、強度行動障害支援者養成研修を修了したことと同じってほんとですか?
平成27年度以降に行動援護従業者養成研修を受講している場合に限ります。強度行動障害支援者養成研修の【基礎研修・実践研修】ともに修了している場合、行動援護従業者養成研修を修了しているとみなされます。一方を修了していれば互換性があると考えてしまうところですが、そうではないので注意が必要です。
なるほど・・・同じようで少し違うんですね!!
強度行動障害支援者養成研修は、関連性のある研修がいくつかあります。
強度行動障害支援者養成研修を修了した方は、行動援護従業者養成研修を修了した者とみなされます。平成27年度以降に行動援護従業者養成研修を修了した方は、強度行動障害支援者養成研修を修了した者とみなされません。
下記に示していますので、ご参考ください。
研修名 | 修了したものとみなすことが可能な研修名 |
---|---|
強度行動障害支援者養成研修[基礎課程]修了者 | 重度訪問介護従業者養成研修(行動障害支援課程) |
強度行動障害支援者養成研修[基礎課程・実践課程]修了者 | 行動援護従業者養成研修 |
行動援護従業者養成研修修了者(平成 27 年度以降修了分に限る) | 強度行動障害支援者養成研修[基礎課程・実践課程] |
障害福祉サービス事業所を運営するには、配置基準というものが決められています。 20XX年XX月 強度行動障害支援者養成研修【基礎研修(実践研修)】修了
管理者は〇人、常勤は〇人、などといったものです。
強度行動障害支援者養成研修を修了していると、採用側にメリットがあります。
それは加算です。
強度行動障害支援者養成研修を修了している職員を配置することで、事業所は強度行動障害支援加算を算定することが可能になります。
強度行動障害支援者研修を修了していることは、採用側にとってもメリットになるため、履歴書には必ず記載しましょう。
加算要件については、厚生労働省令・告示・通知をご確認くださいね。
★履歴書にはこのように記載しましょう
強度行動障害支援者養成研修を修了されている方が活躍できる場所はたくさんあります。
共同生活援助や生活介護、宿泊型自立訓練、放課後等デイサービスなど入所や通所、多岐にわたります。
そのほか短期入所で単発のアルバイトなども可能です。
「どのような求人がありますか?」といった相談だけでも構いませんし副業も大歓迎です。
お気軽にお問い合わせください。
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強度行動障害支援者養成研修を修了した後、活躍できる職場について以下のコラムでご紹介しています。
強度行動障害支援者養成研修【基礎研修・実践研修】修了者が活躍できる職場一覧 |
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【障がい者施設】 共同生活援助 |
【障がい者施設】デイサービスってどんな施設? |
【障がい者施設】ショートステイとは? |
訪問介護ってどんなサービス? |
こちらは強度行動障害支援者養成研修に関連する資格についてのコラム一覧です。
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※掲載情報は公開日あるいは2020年06月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。