安静状態の高齢者をむしばむ廃用症候群とは?

公開日:2020年04月16日

更新日:2020年06月13日

安静中の男性と話しかえる女性

熱を出した後にこんな経験はありませんか

みなさんは、風邪で数日間寝込んだことはありますか。病み上がりは、ふらふらとして、体がだるい、体力が落ちた、疲れやすいなどと感じたことでしょう。
または、骨折をしたことはあるでしょうか。例えば足を骨折して、数週間ギプスをしていると、ギプスを外したときに、生白い足が表れます。左右を比べてみると、太さが全然違います。骨折した方の足は、すっかり筋肉が落ちてしまって細くなっています。
こんな経験をされたことがある方は、多いと思います。若い時は、数日で体力も回復します。細くなった足も、少し時間はかかっても、筋肉を取り戻してもとのようになります。
ところが、高齢者ではそうはいかないことがあります。それが、最近注目されている「廃用症候群」です。

廃用症候群って何?

「廃用症候群」は、学術用語です。一般にも分かりやすいようにと、「生活不活発病」「寝たきり症候群」などとも命名されています。
廃用症候群とは、入院や寝たきりなどの安静状態が長く続くことによって起こる、さまざまな心身の機能の低下です。数週間もしくは、数日でも起こる場合があると言われています。
ですから、安静時の若い人にも見られることがあります。しかし、多くはリハビリなどを経て改善していきます。
ところが、高齢者の場合は、この廃用症候群がきっかけとなり、認知症を発症したり、本格的な寝たきりになってしまったりすることがあり、大きな問題となっているのです。

どんな症状が出てくるの?

安静状態が長く続くと、まず筋肉が減ってきます。動かないことで、関節もゴリゴリと固くなっていき、可動域が狭まってきます。
1週間で減る筋肉の量は、10%とも20%とも言われています。ハイペースで進むのです。リハビリで取り戻せる筋肉は、1週間で1%程度と言われます。高齢者にとって長期のリハビリは苦痛になりますね。
また、足は第2の心臓と言われています。長時間歩かないことが、心肺機能に与えるダメージは大きいです。心肺機能が落ちることで、立ちくらみが起きやすくなり、起き上がることが苦痛になります。
精神面に与える影響も大きいです。動かないので食欲も落ちますし、眠れなくなります。気分が落ち込みやすくなり、うつ病を発症することもあります。
他にも、床ずれや骨粗しょう症、便秘、失禁、脱水、むくみ、感染症などの症状があらわれることがあります。

まずは、入院したり寝込んだりしないようにすることが最大の予防です

日本で、長期入院や寝たきりの原因となる3大要素は、脳卒中、認知症、そして、転倒による骨折です。早期発見・早期治療に努めましょう。
また、これらを予防するには、生活習慣の見直しが欠かせません。例えば、転倒の原因には、歩行障害やロコモティブシンドローム、めまいなどがあります。これらを早期に治療することによって、転倒そのものを防ぐことも可能です。
肺炎など1週間程度の入院でも、発症することがあります。体調が悪い時は、無理をせずに、早めに医師の診察を受けましょう。

入院や寝込んでしまった時には?

それでも、病気やけがを完全に防ぐことはできません。寝込んだり、入院したりしてしまった場合は、そこでのケアがポイントになります。動かないことから進行する症状です。ですから、動くことが必要です。
歩けない、立ち上がれない時でも、可能ならばベッドの上で起きることは必要です。動かせるところは、なるべく動かすようにしましょう。
コミュニケーションも大切です。家族の面会や看護師、介護者の声かけは、出来るだけ多いほうがいいです。1人で体を動かすのは、面倒でもあります。励ましは有効です。
マッサージは、血行を良くするだけでなく、心の癒しにも効果があります。「手当て」という言葉が表すように、軽くさするだけでも、効果があるものです。
脳を働かせることも大切です。DVDやゲーム、編み物、パズルや詰将棋など、頭を使いつつも、夢中になって時間を使えて、気分転換になるものがあるといいですね。

これからの病院の対応を見極めましょう

日本は寝たきり大国でもあります。手厚く発達した医療は、長寿をもたらしました。しかし、これまでは、病気やけがを治すことを重点にしてきて、こういった安静がもたらす病には目を向けてきませんでした。
これからは、高齢化社会。長寿だけではなく、質の高い老後の生活を維持するため、医療の在り方も進化していく必要があります。そのためには、私たちも治療の在り方について考え、選択していく必要があります。

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