更新日:2023年04月09日
公開日:2020年04月16日
「ICT」という言葉を介護業界でも耳にすることが多くなってきました。
しかし「いったいICTってなんのこと?」と思っている方は多いのではないでしょうか?
そこで、ICTとはどのようなものなのか、また介護分野で活用されているICT機器や導入するメリットなどについてまとめてみました。
そもそも「ICT」とは何なのでしょか?
まずは、ICTがどのようなものなのかについて説明していきたいと思います。
ICTとは「Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)」の略語。日本語にすると「情報通信技術」という意味になります。
ICTは、技術を表すだけの言葉ではなく「IT技術を使ってどのように人々の暮らしを豊かにしていくか」「IT技術をどのように活用するか」という点を重視し、情報や知識の共有、伝達することに焦点を当て広い意味で使われています。
日本では「IT」という言葉が広く浸透していますが、国際的にはITよりも「ICT」を使用するほうが一般的です。
ICTは「IT(情報技術)」という言葉にコミュニケーションの要素を含めたもので、IT、ICTどちらもほぼ同じ意味として使用されています。しかしITよりもICTの方が通信によるコミュニケーションの重要性を強調していることを表しています。
ICT技術はすでに私たちの身近な生活に広がっています。
「ICTって何?分からない」と思っている方も、知らずしらずのうちに日々利用しているはず。
例えば、
・メールやSNSなどでのやり取り
・銀行ATMの利用
・スマートフォンやタブレット端末
・ネットショッピング
・電車やバスのICカード
・スマートスピーカー
など、日常生活のあらゆる場面でICT技術が活用されています。
ICT技術の普及は日常生活だけでなく、介護現場でも進められています。
介護現場でICT化を進め活用することで、介護職員の仕事の効率化や負担軽減に繋がり、サービス提供にかける時間を増やすことが可能になります。
現在、介護現場で活用されている代表的なICT技術は
・タブレットを利用した情報共有システム
・勤怠管理、給与計算ができるシステム
・見守りシステム
など、様々あります。
■タブレットを利用した情報共有システム
利用者情報を管理できる介護事業専用の情報共有システムがあります。
この情報共有システムを導入していれば、施設利用者の「状態、ケア内容、気付き」などの記録を直接タブレット端末に入力できるため、書類作成にかかる時間を大幅に削減することが可能になります。
また、情報共有システムを利用していれば、スタッフ同士の情報共有が容易になるだけでなく、利用者情報をタブレット端末ですぐに検索、確認することができます。
■勤怠管理、給与計算ができるシステム
勤怠管理できるシステムはとくに、ホームヘルパーの事業所で活用されているシステムです。スマホから出退勤を登録できる勤怠管理システムを利用すれば、移動の多いホームヘルパーがタイムカードの打刻をするためだけに事業所へ戻らなくても良くなります。
このようなシステムには、自動で給与計算してくれるシステムも一緒になっていることがほとんどで、毎月の労働時間や給与の計算にかかる事務作業を短縮させることが可能です。
■見守りシステム
介護現場で働く介護スタッフは、利用者の様子を確認しながら他の作業をおこなっていることがほとんどです。1人で数人の利用者を担当するため、1人の利用者をずっと見ておくわけにもいきません。担当利用者の離床や在室状況を常に管理するのは、介護スタッフにとってとても負担の大きい業務の一つです。
しかし、見守りシステムを導入することで訪室しなくても、離床しているのか、睡眠しているのか、トイレにいるのか、など利用者の様子を把握できるようになります。
とくに夜間などスタッフの人数が少ない時間帯は、見守りシステムがあることで夜間の見回り回数を減らすことができたり、利用者の異常をいち早く気付くことができたり、活躍してくれます。
介護施設や事業所でどのくらいの割合がICT機器を導入しているのでしょうか?
介護施設・事業所のICT導入率を調べてみました。
長崎県の「令和3年度 介護ロボット・ICT導入実態調査結果」によると、ICTの導入率は以下のようになっていました。
県内の介護施設・事業所の「介護ロボット・ICT導入率」は、41.3%が「導入している」で、40.2%が「導入を検討している」17.4%が「導入しない」でした。
平成30年度と比べると、導入している施設や事業所は16.2%から41.3%と大きく増加。また「導入予定はない」の回答は69.7%から17.4%にまで減少しました。
長崎県内での調査ではありますが、このことから介護ロボットやICTの必要性を感じた(感じている)事業所が大幅に増加したということが分かります。
現時点で「導入しない」と回答している理由については、以前と同じく「導入コストが高い」が最も多く、つぎに「事故が心配」となっています。
※参考:長崎県「令和 3 年度 介護ロボット・ICT 導入実態調査結果」
介護現場でICT化を進めるメリットとはどのようなことでしょうか?
デメリットとあわせて見ていきましょう。
介護現場でのICT導入のメリットは以下の3つです。
◇業務の効率化
◇スムーズな情報の共有・連携
◇データ活用による介護ケアの質の向上
ICTを導入することによって、書類作成にかかる時間など業務を効率化させることやスムーズな情報の共有・連携、また介護ケアの質の向上に役立ちます。
ICTを導入し利用者情報をタブレット端末に登録していれば、必要な時にすぐ利用者の情報を入力、確認、検索することが可能です。またスタッフ間での情報を共有しやすくなるだけでなく、他職種との情報連携もスムーズに行えるようになります。
日々蓄積された利用者のデータは保存されるだけでなく、関連のデータと組み合わせて分析することも可能。そのため、従来の紙ベースでの情報記録よりも簡単に情報分析ができ、さらにケアの質を向上させることにも繋がります。
ICTの導入で、介護記録やケアプランの書類作成時間を短縮できることは、スタッフの業務負担が軽減されるだけでなく、空いた時間で利用者とのコミュニケーションを図る機会が増やせるということは大きなメリットと言えます。
介護現場でのICT導入のデメリットは以下です。
◆導入コストが高い
◆操作に慣れるまでに時間がかかる
◆情報漏洩のリスクがある
ICTを導入する最大のデメリットが「導入コストが高い」ということです。
ICTを導入するには、施設や事業所内のインターネットの環境を整えることに始まり、パソコンやタブレット端末などの購入費、通信費などが必要となり、コストが高くなってしまいます。
また介護施設などで働いているスタッフのなかには、パソコンやタブレット操作が苦手な方も少なくないため、操作に慣れるまで講習などサポート体制が必要不可欠になること、そして操作が苦手な方にとっては、慣れるまではストレスが増えてしまうことはデメリットと言えます。さらに、紙ベースでの記録よりも情報の漏洩のリスクが高いこともICT導入に否定的な理由の一つとなっています。
厚生労働省では介護現場のICT化を進めており、介護事業所のICT化を補助するための「ICT導入支援事業」というものがあります。
ICT導入支援事業とは、厚生労働省がICT導入にかかる費用の一部を補助してくれる制度のことです。この制度を利用することで、ICT導入に必要となるネットワーク機器やタブレット端末、介護ソフトなどの購入費用を対象に補助金の交付を受けることができます。
ICT導入補助金の要件は以下。
【要件】
・LIFEによる情報収集、フィードバックに協力
・他事業所からの照会に対応
・導入計画の作成、導入効果報告(2年間)
・IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または
「★★二つ星」のいずれかを宣言
など
SECURITY ACTION(セキュリティアクション)とは…
IPA(情報処理推進機構)が実施している、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度のことです。
◎SECURITY ACTION(セキュリティアクション)について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
補助上限額や補助率、補助対象は以下のようになっています。
ICT導入支援事業では、介護ソフトやタブレット端末、スマートフォン、インカム、Wi―Fi機器の購入設置などを対象に、事業所規模に応じて上限100万~260万円まで補助されます。
補助率については、令和2年度の1次補正予算よりさらに拡充され、3次補正予算から「一定の要件を満たすことにより、3/4を下限に都道府県の裁量により設定」となりました。
詳しい補助率については、各都道府県のホームページにて確認が必要です。
なお、ICT導入補助金の交付を受けるには、自治体への事前申請が必要となります。
申請の申し込み又は詳細については、各自治体のホームページもしくはお問い合わせにてご確認ください。
介護現場にICTを導入すると「業務の効率化」「スムーズな情報共有・連携」「データ活用による介護ケアの質の向上」など多くのメリットがあります。
新しい方法や機器に慣れるまでは、少し難しく感じたり、面倒に感じたりすることもあるでしょう。しかし慣れてしまえば、自分自身もラクになるだけでなく、今まで以上に利用者に寄り添える介護をおこなうことが可能です。
ICTの導入を考えている方は、ぜひ補助金制度などを利用し導入を進めてみてください。
また、働く施設がICTを導入するという方は、前向きに操作方法などを習得してみてくださいね!
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