更新日:2023年04月09日
公開日:2019年07月26日
「転職理由は何ですか?」
「前職を退職されたのはなぜですか?」
介護職の面接でも、必ずと言っていいほど聞かれるこの質問。
答え方によっては、マイナスな印象を与えてしまうこともあるんです。
本コラムでは、
●面接で転職理由を聞かれる理由
●転職理由を答える際のポイント
●言ってはいけない転職理由
●ネガティブな理由の言い換え方
について書いています。
「給料が安いから転職したい!」
「人間関係が嫌だから今の職場を辞めたい!」
こんな理由伝えてもいいの?と悩めるあなたの疑問を解決します。
面接で採用側が転職理由を必ず聞く理由は、前職を辞めた理由が何かを知ることで「仕事への取り組み方やモチベーション」、「同じような理由で退職しないか」を知りたいからです。
面接官はこの質問で、
「すぐに辞めないか?」
「介護の仕事に覚悟はあるか?」
「仕事への意欲は高いか?」
という点を知りたいと思っています。
特に介護の仕事は離職率が高く人手不足が深刻な業界。どこの事業所も長く続けてくれる人に来てもらいたいと考えています。
「この人は教育しても、同じ理由ですぐに辞めそう」
「どこでもいいから働きたいだけでは?」
と思われるような発言にならないように注意しましょう。
それでは、転職理由をどのように伝えると好印象なのでしょうか。
ポイントはこちらです。
・嘘をつかずに正直に話す
・自信をもって堂々と話す
・納得してもらえる転職理由を
・前向きな転職であることを伝える
転職理由に説得力があり、かつ好印象を持ってもらうために、「転職してどうなりたいのか」「入職後あなたがどう活躍できるのか」を面接官がイメージできるように話しましょう。
そのためには具体的な転職理由と、今後の目標やキャリアプランを明確にしておく必要があります。
公益財団法人 介護労働安定センターが実施した令和2年度 「介護労働実態調査」による「前職の介護職を辞めた理由」では、介護職員の退職理由の上位が、職場環境や経営理念に対する不満であるというデータが出ています。
介護関係者22,154名の回答の中で、最も多かった退職理由は「結婚・妊娠・出産・育児のため」で25.0%。次に「職場の人間関係に問題があったため」が16.6%、「自分の将来の見込みが立たなかったため」が15.0%と続きます。
「給料が安い」「人間関係が嫌だった」「労働条件が悪い」など、転職理由はどうしてもネガティブなことが多くなりますが、それををそのまま伝えるのはNGです。
前職の不満や愚痴ではなく、自身の目標と合致しなかった点について述べましょう。併せて、状況改善のためにどのようなアクションをとったかということも伝えられると良いでしょう。
ネガティブな転職理由(退職理由)だとしても、視点をずらせばポジティブな内容に言い換えることができます。
ここからはネガティブな転職理由を伝える時の注意点と回答例を紹介します。
転職理由に最も多い「人間関係の問題」は、人が関わり合う仕事であればどの職場でも起こりうることです。介護の仕事をする上でも、スタッフ同士はもちろん、利用者の方とのコミュニケーションは必須で、避けることはできません。
「人間関係が嫌だった」と、そのまま伝えてしまうと、「協調性がなく自己中心的なのでは?この職場でもうまくやっていけないだろう」という印象を与えかねません。
「人間関係にどのような問題を感じていたのか」「改善するためにどう動いたか」という点を論理的に話し、その上で転職を決めた理由を伝えられるとよいでしょう。
ネガティブ:人間関係に問題があった
↓
ポジティブ:チームワークを活かした仕事をしたい
<回答例>
「前職では、若手社員の意見を取り入れてもらうことが難しく、必ず上司からの指示の元に各自業務を遂行することが原則とされていました。
3年間経験を積み、もう少し主体的に行動できる力と介護スキルを身につけていかなければならないと感じるようになりました。ですが、職場の方針を変えることはできないため、スタッフ皆の意見を尊重しあえる新たな環境でチャレンジしたいと考えています。
今後はチームワークで業務を行いスキルアップも目指していきたいです。」
事業所の理念や運営に疑問を感じて転職を決めた場合、それをそのまま伝えても説得力がありません。「会社の方針に納得できなかった」と伝えると、単なる不平不満ととられてしまうことも。
「仕事をする上で大切にしていることは何か」「何をやっていきたいのか」を伝えることで、転職理由に説得力を持たせましょう。
ネガティブ:事業所の理念や運営に不満があった
↓
ポジティブ:利用者の方に向き合い、信頼関係を築いていきたい
<回答例>
「前の事業所では、常に人手が足りず利用者の方の声に耳を傾けることができない状況で、スタッフからの不満の声も上がっていました。
業務上の問題点を具体的に洗い出してスタッフの増員を依頼するなど、より良い環境にできるよう試みましたが、改善されることはなく転職を決意しました。
こちらの施設見学をした際、利用者の方へのケアが非常に行き届いていると感動しました。今後は一人ひとりの利用者の方に向き合い、信頼関係を築いていきたいです。」
「残業が多い」「休日が少ない」「人手が足りず一人当たりのマンパワーに頼りすぎている」。働き手にとっては非常に大きな転職理由になりますが、これらも自分の不満と要望だけを言ってしまうと印象は良くありません。
「メリハリをつけて仕事をしたい」「気持ちの切り替えをすることで、利用者の方により良いケアができる」など、前向きに仕事に取り組むために環境を変えたいという意志を伝えましょう。
ネガティブ:労働条件(休日、時間)が悪い
↓
ポジティブ:オン、オフのメリハリをつけて働きたい
<回答例>
「事業所の慢性的な人員不足により、サービス残業や休日出勤を余儀なくされていました。
十分な休息や睡眠をとれないことが続き、気持ちの切り替えがうまくできなくなったことが転職を考えるようになったきっかけです。
このままでは利用者へ満足のいくサービスができなくなるのではと感じました。
しっかりとオンオフのメリハリをつけて取り組むことができる環境で、仕事のパフォーマンスを上げていきたいと思っています。」
「給与が少ない」「もっとほしい」というアピールは企業側からは好まれません。
特に介護職は給与水準が低い事業所も多いです。「この人はその給料以上の仕事ができているのか?」というマイナスの印象を与えてしまうので、ストレートな表現は避けましょう。
これまで自分が頑張ってきたことや成果を上げたことを述べ、「その結果が評価されればやりがいになる」という風に繋げましょう。
くれぐれも「私はこんなに頑張ったのに評価してもらえなかった!」という愚痴にならないように注意してください。
ネガティブ:収入が少ない
↓
ポジティブ:評価制度がある環境で働きたい
<回答例>
「前職の5年間で、スタッフの育成と業務の効率化に注力してまいりました。
業務フローを改善したことでスタッフの業務負担と月の残業時間を20時間軽減することができ、自分でも手ごたえを感じていましたが、前職では職員の評価の仕組みがありませんでした。
こちらでは年二回のスキルチェックと評価制度を設けていると知りました。職員の頑張りを評価していただけるという点がやはり大きなモチベーションに繋がると感じ、転職を決めました。」
今の仕事内容がただ嫌だということを伝えても、思いつきのわがままとしか受け取られず印象はよくありません。「どのような仕事が嫌なのか」「なぜ嫌なのか」「今後は何をやっていきたいのか」を明確にする必要があります。
「仕事内容が嫌だから」ではなく、「スキルアップしたい」「他にもっとやってみたいことがある」というニュアンスで伝えられると仕事への意欲が伝わるでしょう。
ネガティブ:仕事の内容が嫌
↓
ポジティブ:今後このような仕事をやっていきたい
<回答例>
「2か月ほど前に、ケアマネージャーの資格を取得しました。
5年間介護士として、介助やレクリエーションなどで利用者様のサポートを行ってきた中で、もっと利用者の方に寄り添い、より質の高いサービスを提供できるようになりたいと思うようになったからです。
今後は利用者のご要望を聞きながら、現場の職員と相談し、状況に応じたケアプランを立てられるケアマネージャーとして介護の仕事に携わっていきたいと考えています。」
面接で必ず聞かれる質問「転職(退職)理由は何ですか?」
この質問の背景と答えるときのポイントは以下。
■聞かれる理由
・すぐに辞めないか?
・介護の仕事に覚悟はあるか?
・仕事への意欲はあるか?
を知りたいから。
■答えるときのポイント
・嘘をつかずに正直に
・自信をもって堂々と
・納得してもらえる転職理由を
・ネガティブな理由はポジティブな理由に変換
・前向きな転職であることを伝える
転職理由を答えるとき、まずは嘘をつかずに話すというのが大前提。しかし必ずしもそれは、「本音を話せばいい」ということではありません。
伝え方や内容によっては、「社風と合わない」「自己中心的」と捉えられてしまいます。
愚痴や不満などネガティブな理由は絶対にNGと心得てください。
「今後の目標」や「チャレンジしたいこと」という視点に置き換えて、前向きな気持ちを伝えると好印象です!
面接はただうまく質問に答えればいいというわけではありません。
どんなに受け答えが良くても、第一印象が悪ければマイナスからスタートしてしまいます・・・。基本的なマナーや身だしなみについても、しっかり準備しておきましょう。
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