更新日:2023年04月12日
公開日:2020年10月01日
人手不足といわれる介護業界。職員の新規採用に苦戦している事業主さんも多いのではないでしょうか?
採用にかかるコストは大きく、新たな雇用を躊躇されているところもあるかもしれません。
「いい人材を採用したい」
「人手不足を解消したい」
「新規立ち上げのためにスタッフを募集したい」
こんなふうにお悩みの事業主さん必見!
本コラムでは人材採用や定着・育成に利用できる助成金・補助金をご紹介します。
ぜひお役立てください。
はじめに、助成金とは何かということについて簡単にご説明します。
皆さんは助成金と補助金の違いについてご存知でしょうか?
どちらも必要な資金を援助してくれる制度というイメージがありますが、これらは単なる名称の違いだけではなく、資金援助の内容が少し異なります。
助成金は主に国や地方自治体から支給される資金で、返済の必要がありません。産業の種類や目的に応じて数多く存在します。
代表的なものとして、厚生労働省から支給されている雇用関係の助成金があります。
支給条件や金額、申請期限などが細かく定められていますが、要件を満たしていればほぼ支給されるでしょう。
内容(金額や要件など)の改定がよくありますので、申し込む前に最新の情報をチェックしてください。
補助金も主に国や地方自治体から支給される資金で、返済の必要がありません。
国や自治体が政策推進、目的達成のために支給しているのが補助金です。
補助金は予算が決まっているため申請者全員が受け取れるわけではありません。この点が助成金と異なる点です。
助成金より支援の額が大きいことも多く、当選の倍率は高くなる可能性があります。審査もその分厳しくなるでしょう。
また申請期間が短かったり、早い者勝ちになってしまう場合もあります。
では、介護職員の雇用関係で使える助成金をご紹介していきます。
要件や金額などの詳細に関しては、公的機関のホームページなどで最新の情報をご確認ください。
(※本コラムでは2020年10月時点の情報を掲載しています)
人材採用にかかる資金は相当なもの。
とはいえ、職員がいなければ介護の仕事は成り立ちません。
以下でご紹介する雇用推進のための助成金の活用もぜひ検討してみてください。
65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して支給されます。
高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる社会を実現するための助成金です。
65歳超雇用推進助成金は次の3コースで構成されています。
■65歳超継続雇用促進コース
◆要件
A.65歳以上への定年引上げ
B.定年制度の廃止
C.希望者を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制
上記のいずれかを導入
◆支給額
5~160万円の範囲で、措置の内容や年齢の引上げ幅、60歳以上の雇用保険被保険者数に応じて決まる
■高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
◆要件
高年齢者の雇用管理制度の整備に係る措置を実施した場合
実施期間は1年以内
◆支給対象経費
A.雇用管理制度の導入に必要な専門家への委託・相談費用
B.環境整備に必要となる機器、システム等の導入に要した経費
◆支給額
支給対象経費の額に規定の助成率を乗じた額
支給対象経費は初回に限り50万円
2回目以降はA、B合わせて上限50万円
■高年齢者無期雇用転換コース
◆要件
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用へ転換した場合
◆支給額
対象労働者一人につき
中小企業:48~60万円
中小企業以外:38~48万円
※要件・支給額などの詳細はこちらからご確認ください。
65歳超雇用推進助成金|厚生労働省
特定の労働者をハローワークなどの紹介を通じて新たに継続雇用する場合に厚生労働省から支給される助成金です。
多数のコースがあり、それぞれに要件や支給額は異なります。
■特定就職困難者コース
◆要件
高年齢者や母子家庭の母、障害者などの就職困難者を雇用した場合
・ハローワークや民間の職業紹介事業者等の紹介によるもの
・雇用保険一般被保険者として、かつ継続雇用であること
◆支給額
対象労働者や勤務時間によって異なる
■生涯現役コース
◆要件
満65歳以上の離職者を雇用した場合に支給される助成金
・ハローワークや民間の職業紹介事業者等の紹介によるもの
・雇用保険の高年齢被保険者として、かつ1年以上の継続雇用
◆支給額
短時間労働者:40~50万円
短時間労働者以外:60~70万円
■被災者雇用開発コース
◆要件
東日本大震災による被災離職者及び被災地求職者を雇用した場合
・ハローワークや民間の職業紹介事業者等の紹介によるもの
・雇用保険一般被保険者として、かつ1年以上の継続雇用であること
◆支給額
短時間労働者:30~40万円
短時間労働者以外:50~60万円
■就職氷河期世代安定雇用実現コース
◆要件
正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を雇用した場合
※満年齢が35歳以上55歳未満などの諸条件あり
◆支給額
大企業:50万円
中小企業:60万円
特定求職者雇用開発助成金には、他に下記コースもあります。
■生活保護受給者等雇用開発コース
3ヶ月以上支援を受けている生活保護受給者等を継続雇用した場合に支給される助成金
■障害者初回雇用コース
障害者雇用の経験のない中小企業が障害者を初めて雇用した場合に支給される助成金
■発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
発達障害者または難治性疾患患者を継続雇用した場合に支給される助成金
※各コースの要件・支給額などの詳細はこちらからご確認ください。
雇入れ関係の助成金|厚生労働省
職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した場合に支給される助成金です。
早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることが目的です。
■一般トライアルコース
◆要件
・ハローワークや紹介事業者の紹介によるもの
・原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
・週の労働時間が通常の労働者と同程度、もしくは30時間を下回らないこと
<雇用対象者>
・過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
・離職期間が1年以上
・出産・育児を理由に離職、無職の期間が1年を超えている
・ニートやフリーター等で45歳未満
・生活困窮者
・就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する人
◆支給額
支給対象者1人につき月額4万円(※諸条件あり)
※要件・支給額などの詳細はこちらからご確認ください。
トライアル雇用助成金|厚生労働省
人材を採用しても早期離職されてしまっては意味がありません。
続いては、労働環境の整備や職員の定着・育成を図るために利用できる助成金のご紹介です。
魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して支給される助成金です。
人材の確保・定着を目的としています。
■介護福祉機器助成コース
◆要件
介護福祉機器の導入を通じて離職率の低下に取り組んだ場合
・機器の導入・運用計画の認定
・介護福祉機器の導入、導入効果の把握
・離職率の低下目標の達成
<対象の機器>
・移動・昇降用リフト
・装着型移乗介助機器
・体位変換支援機器
・特殊浴槽
◆支給額
機器導入助成:費用の25%(上限150万円)
目標達成助成:費用の20%~35%(上限150万円)
■介護・保育労働者 雇用管理制度助成コース
◆要件
労働者の職場への定着促進につながる賃金制度を整備し、介護・保育労働者の離職率の低下に取り組んだ場合
・介護・保育賃金制度整備計画の認定
・賃金制度の整備・実施
◆支給額
制度整備助成:50万円
目標達成助成(第1回):57~72万円
目標達成助成(第2回):85.5~108万円
■雇用管理制度助成コース
◆要件
事業主が雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合
・以下の雇用管理制度整備計画の認定
1.評価・処遇制度
2.研修制度
3.健康づくり制度
4.メンター制度
5.短時間正社員制度(保育事業主のみ)
・雇用管理制度の導入・実施
・離職率の低下目標の達成
◆支給額
57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
■人事評価改善等助成コース
◆要件
人事評価制度と賃金制度を整備し、生産性向上、賃金アップ、離職率を低下させた場合
・従業員の賃金アップを含む人事評価制度の導入
など
◆支給額
制度整備助成:50万円
目標達成助成:80万円
■設備改善等支援コース
◆要件
設備投資により、雇用管理改善と生産性向上を図った場合
・設備導入
・期間内での生産性向上
・従業員の賃金アップ
など
◆支給額
総額130~450万円(選択コースによって異なる)
■働き方改革支援コース
◆要件
中小企業が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図った場合
・時間外労働等改善助成金の受給
・人材確保が必要な場合に新たに労働者を雇用
・雇用管理改善
など
◆支給額
労働者1名につき40~60万円(上限10名)
※3年間で生産性向上の要件を達成した場合、労働者1名につき15万円(短時間労働者の場合は10万円)を追加で支給
■外国人労働者就労環境整備助成コース
◆要件
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じて、外国人労働者の職場定着を図る取組みを実施した場合
・下記の環境整備を実施している
1.雇用労務責任者の選任
2.就業規則等の社内規程の多言語化
3.苦情・相談体制の整備
4.一時帰国のための休暇制度
5.社内マニュアル・標識類等の多言語化
・整備計画終了後の外国人労働者の離職率が10%以下
◆支給額
生産性要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限額57万円)
生産性要件を満たす場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)
<対象経費>
・通訳費
・翻訳機器導入費
・翻訳料
・弁護士、社会保険労務士等への委託料
・社内標識類の設置・改修費
※要件・支給額などの詳細はこちらからご確認ください。
人材確保等支援助成金のご案内|厚生労働省
非正規雇用の労働者(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者)の企業内でのキャリアアップを促進するための取組を実施した事業主支給される助成金です。
■正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合
■賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等の賃金規定等を改定した場合
■健康診断制度コース
有期雇用労働者等に対し、法定外の一定の健康診断制度を新たに規定し、4人以上に実施した場合
■賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合
■諸手当制度共通化コース
有期雇用労働者等に関して、正社員と共通の諸手当制度を新設、適用した場合
■選択的適用拡大導入時処遇改善コース
社会保険の適用拡大の措置に伴い、有期雇用労働者等の働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施し、新たに被保険者とした場合
■短時間労働者労働時間延長コース
有期雇用労働者等の週所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険の被保険者に適用した場合
※各コースの要件や支給額は細かく規定されています。下記似てご確認ください。
キャリアアップ助成金|厚生労働省
仕事と家庭生活が両立できる職場環境づくりを実施し、職員の仕事の継続、復職支援に取り組んだ事業主に支給される助成金です。
優秀な人材の確保・定着を目的としています。
両立支援等助成金制度には次のコースがあります。
■出生時両立支援コース
■育児休業等支援コース
■女性活躍加速化コース
■介護離職防止支援コース
■再雇用者評価処遇コース
■事業所内保育施設コース
※それぞれのコースに細かく要件や支給金額が規定されています。
利用をご検討の事業主さまは下記にて各コースの詳細をご確認ください。
仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ|厚生労働省
雇用情勢が厳しい地域において活用できる助成金をご紹介します。
雇用機会が少ない地方で、雇用の場の創出に貢献した事業主に支給される助成金です。
■地域雇用開発コース
◆要件
雇用情勢が特に厳しい地域で、事業所を設置整備して労働者を雇い入れた場合
・施設・設備の設置・整備、求職者の雇用計画書の提出
・事業に必要な施設や設備を計画期間内に設置・整備
・地域に居住する求職者等を計画期間内に3人(創業の場合は2人)以上雇用
・事業所における労働者(被保険者)数の増加
など
◆支給額
労働者数、設備費用などに応じて変動(※ほか諸条件あり)
■沖縄若年者雇用促進コース
◆要件
沖縄県内において、事業所の設置・整備に伴い、沖縄県内に居住する35歳未満の若年求職者を雇い入れた場合
・計画書の提出
・規定に沿った事業所の設置・整備
・対象労働者の雇い入れ
・沖縄新規学卒者の雇い入れ
・事業所における労働者(雇用保険被保険者)数の増加
など
◆支給額
沖縄助成金対象者1人につき、企業規模などの条件に応じて支給される(年間120万円上限)
※要件・支給額などの詳細はこちらからご確認ください。
地域雇用の開発のために|厚生労働省
介護の人材採用、雇用関係で利用できる助成金を紹介しました。
制度を利用する際は、多くの提出書類などが必要となります。
申請期限もありますので、事前に正しい情報を確認し、余裕を持って準備をはじめてください。
今回ご紹介した助成金以外にも、介護業界で利用できる制度は多数ございます。
助成金ではありませんが、ハローワークの人材確保総合支援サービスや処遇改善加算による賃上げなども効果が期待できるのではないでしょうか。
助成金を含め、ぜひ様々な制度をご活用ください。
人材確保対策コーナー|厚生労働省
処遇改善金について詳しくはこちら↓
■コラム「介護職なら知っておくべき!介護職員処遇改善金について」
また効果的な人材募集の方法についてまとめたこちらの記事もぜひ!
■コラム「介護職員の採用難を解決!効果的な人材募集方法とは!」
「今すぐに人材募集をしたい」
「募集をかけても応募がない」
「今の人材紹介会社のコストを見直したい」
このようなお悩みのある採用ご担当者様はぜひ一度介護ワーカーまでご相談を。
経験豊富な専任のキャリアアドバイザーが現状お抱えの課題をヒアリングさせていただき、ご条件にそった人材紹介をいたします。
面接調整から採用後のアフターフォローまで介護ワーカーにお任せください!
なお、介護ワーカーの人材紹介サービスは完全成功報酬制度となっており、採用決定するまで費用は一切かかりません。
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※掲載情報は公開日あるいは2023年04月12日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。