更新日:2023年04月13日
公開日:2020年12月18日
インテークを初めて行う際、失敗しないかと不安になるケアマネージャーは少なくないはず。そこで、インテークを成功させるために必要な事前準備や基本的な流れ、手順、気を付けておきたいポイントについてご紹介したいと思います。
インテークとは、ケアマネージャーが最初におこなう利用者やその家族との面接・相談のことです。利用者から事務所へ電話がかかってくることもあれば、事務所へ直接来訪される方など、さまざまなパターンがあります。
インテークは、1時間ほどかけてケアマネージャーが利用者やその家族からそれぞれの事情、要望を聴き、記録に残します。インテークで得た情報を基にケアプランを立てていくため、ここでの会話はとても重要な情報となります。
インテークは、利用者やその家族と初めて顔を合わせる機会となるため、第一印象に繋がる大事な場面でありケアマネージャーの重要な仕事の一つです。また、これから問題解決に向けて利用者や家族と関わっていくために、信頼関係を築くうえでも最初の印象はとても大切です。
インテークで利用者や家族が持つ第一印象は、担当したケアマネージャーだけではなく事業所全体の印象にも繋がるため、利用者や家族が「安心して相談できる」「ケアプランを任せたい」と思ってもらえる対応を心がけましょう。
新人ケアマネージャーが、インテークを成功させるためには事前準備をしっかりとおこなっておくことが大切です。
準備なしに電話や対面で話をおこなうと、焦りや緊張から上手く話せず相手の印象を悪くしてしまうことも・・・。
そうならないためにも、一つひとつの手順に気を配れるように「前もって準備しておくこと」についてご紹介します。
事前に準備しておくことは、以下の3つです。
・電話対応の方法
・手元には必ずメモ
・最低限確認しておきたいポイントを決めておく
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
電話対応の方法
初めて電話をかけてくる相手の緊張を和らげられるように丁寧な口調で対応する。
声のボリュームや言葉の柔らかさは、自分では気づきにくいものです。そのため、同僚や家族、友達などに電話での声の印象について聞いてみましょう。また、ロールプレイングをおこない会話の流れを練習するだけではなく、会話中に「怖い・キツイ」印象になっている部分はないか確認しておくことも大切です。
利用者や家族といつ話しても大丈夫なように、日頃から丁寧な口調で話すことを意識しておきましょう。
手元には必ずメモ
電話で利用者や家族と話す場合は、必ず手元にメモを置いておきましょう。
メモを取らずに電話で話していると、同じ質問を繰り返してしまうことがあるからです。利用者や家族に同じ質問をしてしまうと、電話の相手は「自分の話をちゃんと聞いていないのでは?」と感じ、なかにはケアプランの依頼をやめてしまう方もいます。
電話の場合、相手の顔が見えないため対面で話すときよりも、少しの疑問が不信感に繋がってしまいやすいということを覚えておきましょう。
最低限確認しておきたいポイントを決めておく
インテークをおこなう際は「必ず確認しておきたい事項」を前もって決めておきましょう。
初回の面接では、相手のペースに流されてしまったり、話がそれてしまったり、ということが多々あります。
話が終わって「確認したいことを聞けていなかった…」では、利用者や家族に合ったケアプランを作成することはできません。そうならないためにも、事前に確認しておきたい事項を書き出しておくことで、聞き漏れを防ぐことが可能です。なかでも、優先度が高い項目に印をつけておくことをおすすめします。
とはいえ、必要事項を聞くだけがインテークではありません。確認したい事項ばかり気にしていては、利用者や家族がどのようなことに困っているのか、本音を聞き出すことはできないでしょう。最適なケアプランを作成するためには、利用者本人や家族の話をしっかりと聴きくことが大切です。
<聞いておきたい項目の例>
□インテークに至るまでの経緯について
□悩み始めた時期はいつ頃か?
□その悩みを持ち始めた理由について
□これまでどのような対応をした?
□他機関へ相談した事はあるのか?効果はどうだったか?
□生い立ちや家族構成について
□その問題に対して「どうしたいのか」
□どのようにサポートしてほしいのか
□私に知っておいてほしい事はあるか
□言い残した事はないか
ここでは、社会人としての基本的なマナー、そしてインテークをおこなう際のマナーについてご紹介したいと思います。
>電話の受け方
電話の対応は、個人だけではなく事業所全体の印象に繋がります。はっきりとした受け応えと丁寧な対応が大切です。
基本的な電話の受け方は以下。
1)事業所名・氏名を名乗る
2)相手が名乗った後、挨拶をする
「いつもお世話になっております」など事業所によって決められている電話での挨拶。
相手が名乗らない場合は、「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」などと名前を尋ねましょう。
電話を受ける際は、相手が話す内容を書きとめられるように、必ず手元にはメモ用紙を用意することを忘れずに。
>利用者宅を訪問する際の服装
利用者宅へ訪問する際の服装は、利用者や家族に「不快感」を与えないことが基本です。
できる限りの清潔感を心がけましょう。
自分では大丈夫と思える服装でも、相手にとっては不快に感じることもあります。無駄な露出や装飾がある服装、ピアスやネックレスなど過度な装飾品は避け、相手が安心して話せるような服装で訪問しましょう。
>名刺交換
名刺交換の基本的なマナーは以下です。
1)事業所名、名前を名乗りながら、両手を胸の高さにして名刺を渡す。
2)相手の名刺は胸より高い位置で、両手で受け取る。
名刺を差し出す際も受け取る際も、基本は両手でおこなうこと。
インテークで利用者宅に訪問した場合の名刺を渡す順番は「利用者本人→家族」の順番で渡すことを心がけましょう。
>自己紹介
自己紹介の基本マナーは、まず明るい表情で姿勢を正し相手の顔を見てはっきりとした口調で話します。
自己紹介の流れは
1)挨拶
2)事業所名と名前
3)これからおこなうことを簡単に説明する
の3つが基本となります。
しかし、インテークの際に基本の自己紹介のみでは、利用者や家族は緊張してしまい「話しやすい雰囲気」ではなくなってしまいます。
インテークをおこなう利用者や家族が話しやすい空気感を作るためには、挨拶をおこなう際などに「簡単な雑談」から始めることで、相談者の緊張を和らげることができます。
たとえば、来訪された場合であれば「今日はここまで来る際に場所はすぐ分かりましたか?」などと笑顔で雑談しながら、自然に自己紹介をしていきましょう。
まずは、ケアマネージャー初心者のために、インテークの基本的な流れについて見ていきましょう。
インテークで相談者に会い「始まり~終わり」までの流れは以下が基本です。
【インテークの流れ】
(1)挨拶、簡単な日常会話や雑談
↓
(2)自己紹介
↓
(3)守秘義務について説明
↓
(4)インテークの進行方法、所要時間について説明
↓
(5)話された内容のメモをとる事の承諾を得る
↓
(6)相談開始(困っていること、希望について話を聴く)
↓
(7)確認しておきたいことを聞く
↓
(8)今後の希望に繋げて終了
それでは、インテークの手順についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
利用者や家族が落ち着いて話ができるように、笑顔で声がけをする。
ケアマネージャーという名前は聞いたことがあっても、実際にどのようなことをしている人なのか分からない方も多くいます。そのため、ここでは自分の名前だけではなく“どのような仕事をしているのか” を分かりやすく説明しましょう。そうすることで、相手に安心感を持ってもらうことができ、話をしてもらいやすくなります。
個人情報保護法に基づく守秘義務についての説明をします。
利用者や家族は、これから話す内容がどのように使われるのか不安になるもの。そんな不安を感じたままだと本音で話すことをためらってしまう方もいます。安心して相談ができる要に、あらかじめしっかりと説明しておきましょう。
利用者や家族には、この面接がどのように進行していくか、またどのくらい時間を目安とするのかを先に伝えておきましょう。話が長くなってしまい、予定時間が迫ってしまうことは少なくありません。会話に焦りが出ると相手にもその焦りが伝わり、会話を急がせてしまったり、話を中断してしまったり、ということになると、悪い印象を与えてしまいます。そうならないためにも、相談を始める前に目安の時間は伝えておきましょう。
相談を始める前に、話した内容のメモをとることの承諾を得ておきましょう。
承諾なしに会話の内容をメモすると、不快に感じる方や真剣に話を聴いていないと思う方もいます。安心して話をしてもらえるように、ケアプラン作成のためメモを取らせてもらうということを伝え、承諾を得てからメモを取り始めましょう。
ケアプランを作成するうえで最も大事な「困っていること、希望」についての話を聴きましょう。世間話を交えながら、利用者や家族が話してもらえるような空気感を作ることが大切です。「話をちゃんと聴いてくれる人」というイメージを持ってもらえるよう、聴く姿勢を見せましょう。
こちらから確認したいことについて質問をしていきましょう。しかし、一方的な質問は気を悪くする方や構えてしまう方もいるため“相手のペースに合わせて質問をする”ということを心がけましょう。
なかには、質問に対する返答がズレてることや省略されるなど、聞きたい情報が得られない場合もあります。その場合は、聴き方を変えるなどの工夫が必要です。
インテークの残り15分は、利用者や家族が困っていることを要約して伝えます。また、最後に話たりないことはないか、今後のことで質問したいことはないか聞く時間を設けましょう。最後は、利用者や家族が今後の介護に対して希望を持ってもらえるように、今後利用できるさまざまな介護サービスを紹介してインテークを終了します。
インテーク初心者のケアマネージャーが失敗しないためには、基本的な流れをしっかりと押さえておくことが大切です。また、頭で覚えるだけではなく、ロールプレイングをして練習をしておくことで、実際にインテークをおこなう際スムーズに進めることができるようになります。
インテークをおこなう際の気を付けておきたいポイントは以下です。
◇ほどよい距離感で不安を和らげる
◇誠実に応対する
◇相手に悪い印象を与える状況を作らない
インテークを実施する際、利用者や家族は何かしらの不安を抱えています。ケアマネージャーはその不安を和らげ、相談しやすい雰囲気を作らなければなりません。
利用者や家族の不安を和らげるには、まず話を聴く・共感する姿勢が必要です。
しかし、ここで重要なのが「ほどよい関係」を築くこと。親密になりすぎると、利用者の依存や信頼関係を失ってしまう問題が起こる場合があります。
共感する目的は、あくまでも「相談者に関心を持ち、話を聴く姿勢を見せるため」ということを意識しておきましょう。
利用者や家族は、電話・訪問に関わらず何かしらの問題を抱え、話を聴いてくれる人、そして解決する手助けをしてくれる人を求めています。
ケアマネージャーにとって大切なことは、親身かつ冷静に相談者の話に耳を傾けることです。相談者が「どのような問題を抱えているのか」ということを考え、常に誠実に対応しなければなりません。
インテークで、利用者や家族に悪い印象を与える状況は作らないように心がけましょう。
たとえば、訪問時間が迫っている時に電話を受けた場合などは、この状況になりやすいため注意が必要です。時間がないなかで相談の電話を受けると、早口になってしまったり、口調がきつくなってしまったり、ときには話を中断してしまうことがあります。
そうならないためにも、電話が長くなりそうな場合は「訪問の約束があること」「時間があまりないこと」を正直に伝え、そのうえで「折り返しの電話」を約束しましょう。
折り返しの約束の際は、しっかりと電話で話せる時間を指定し約束することを忘れずに。時間を指定していないと、相談者がずっと待つことになりクレームになりかねないため注意が必要です。
ケアマネージャー初心者がインテークを失敗しないための事前準備やマナー、基本的な流れ、気を付けておきたいポイントについてご紹介しましたが、いかがでしょうか?
初めてのインテークを失敗しないためには、しっかりと流れやポイントを押さえておきましょう。また、インテークを自信もっておこなうためにも、何度もインテークの練習をし、先輩や同僚などから指摘やアドバイスをもらうのも大切です。失敗することに気を取られずに相談者の話に耳を傾けることを心がけましょう。
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※掲載情報は公開日あるいは2023年04月13日時点のものです。制度・法の改定や改正などにより最新のものでない可能性があります。