介護をするうえで大切なことは何でしょうか。
今回は「介護とは何か」というテーマに立ち返り、介護職員の仕事や大切にすべき考え方についてお伝えしていきます。
介護の仕事を始めたばかりの方や、これから介護職に就こうとお考えの方はぜひ参考にしてください。
介護とは何か
法的に定められた定義はありませんが、介護をする側である「介護福祉士」については、社会福祉士及び介護福祉士法の第2条において、次のように定義されています。
「介護福祉士」とは、第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護
(喀痰かくたん吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)
を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
引用:社会福祉士及び介護福祉士法つまり介護とは、老齢や心身の障害などの原因により日常生活を営むことに支障がある人に対して、日常生活の動作、家事、健康管理、社会活動の援助などを行うこと
をいいます。 日本の介護の歴史
日本での介護の歴史は1960年代頃にまでさかのぼります。1963年に現在の介護保険制度の前身となる「老人福祉法」が制定され、老人福祉政策が始まりました。老人医療費は無償化されるようになりました。しかし高齢化が進む中で、医療費は増大していきます。1982年には老人医療費の一定額負担の導入を盛り込んだ「老人保険法」が制定されました。そして2000年、「介護保険法」が施行され、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとなる現在の介護保険制度ができました。それまでは各高齢者に必要な介護サービスや施設などを決定していたのは市区町村の自治体でしたが、要介護者自身の選択によって決めることができる契約制度になったのです。参照:公的介護保険制度の現状と今後の役割|厚生労働省 介護の仕事とは
日本では、介護の基本的な考え方として次のように定められています。◆ 自立支援
単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援する◆ 利用者本位
利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる◆ 社会保険方式
給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用する上記を踏まえて、下記のような介護サービスがあります。訪問系サービス・訪問介護・訪問看護・訪問入浴介護・居宅介護支援など通所系サービス・通所介護・通所リハビリテーションなど短期滞在系サービス・短期入所生活介護など居住系サービス・特定施設入居者生活介護・認知症共同生活介護など入所系サービス・介護老人福祉施設・介護老人保健施設など介護予防サービス・介護予防訪問介護・介護予防通所リハビリなど介護従事者は介護保険法に基づき、支援が必要な高齢者らに上記のようなサービスを提供します。 介護と介助の違い
介護と似た言葉に「介助」があります。介護士、介助士などとも言われますが、この介護と介助の違いとは何でしょうか。繰り返しになりますが、介護は日常生活を送ることが困難な高齢者らに対して、彼らの意思を尊重しながら生活をサポートし、自立を支援することです。一方、介助は「そばに付き添って動作などを手助けすること。介添え。」とあります。(引用:デジタル大辞泉より)排泄介助、入浴介助など、日常生活を送るうえで必要な行動や動作をサポートすることです。つまり介助は具体的な手助けの行為そのものを指し、介護をするための手段の一つであると考えられます。<詳しくはこちら>介護と介助は何が違う?介助の種類・方法・ポイントをご紹介! 介護と看護の違い
では介護と看護の違いにも触れておきましょう。看護とは、病気やケガなどを負った方の健康回復を支援することです。患者の治療・療養をサポートすることが看護の役割となります。介護と看護の業務には、共通する部分ももちろんあるのですが、介護は「日常生活のサポート」、看護は「治療のサポート」と、それぞれに役割が違うということを理解しておきましょう。したがって、看護師と介護士では、取得資格や仕事内容も異なります。<詳しくはこちら>「介護」と「看護」の違いは3つ!!それぞれの役割とは? 介護の仕事をするうえで大切なこと
最後に、介護の仕事をするうえで大切にすべきことをお伝えします。
「介護の三原則」というものをご存知でしょうか。
高齢者福祉が進むデンマークで1982年に提唱された介護の理念です。
1.生活の継続性
なるべく生活環境や習慣を変えずに、可能な限り今までと近い暮らしを継続できるようにする。
2.自己決定の尊重
本人が望まない生き方や介護は行わない。
高齢者自身が意思決定をし、周囲はその選択を尊重する。
3.残存能力の活用
身体の残っている機能を最大限活用し、日常生活の動作で本人ができることは何でも自分でやってもらう。
この三原則は介護に対する基本の考え方として、今では各国で取り入れられています。日本も例外ではありません。介護職員に求められることは、高齢者の尊厳を守ること、そして本人の能力に応じて自立した日常生活を送れるように支援することです。この基本の考えを持って介護の仕事に取り組むことが大切です。また人生の先輩である高齢者の方々を敬う気持ち、接遇の心を忘れてはなりません。利用者の方一人ひとりの思いを尊重し、相手の立場に立って介護を行うことが介護職員の務めです。
そして上記の考え方において一点気をつけるべきなのは、「利用者の身体機能の維持を無理強いしてしまっていないか」という点です。利用者の意思に関わらず、残存能力を維持すること自体が目的になり、無理なリハビリ訓練をさせたり、苦痛を強いることがないよう注意が必要です。それが本人の希望であればサポートすべきことですが、本人の意思とは無関係に自立支援を目指すことだけを考えた介護にならないようにしなければなりません。<介護の三原則について詳しくはこちら>「介護の三原則」とは?デンマーク生まれの介護の基本となる考え方 関連コラム一覧
まとめ
介護とは何かという大きなテーマについてお伝えしました。
「何を大切に介護するか」という介護観は人それぞれで、正解があるわけではありません。
しかし、利用者の思いを尊重すること、そのうえで日常生活を安心・安全に送れるようサポートすることというのが介護従事者の役目であることは間違いありません。
今介護の仕事をされている方、またこれから介護の仕事を始めることをお考えの方にとって、この介護の基本がお役に立てば幸いです。
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